本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。
「ん?」
額に角が生えている不良のような顔の眉毛がない三席、阿近は一枚の紙を拾った。何なのかと思い拾うとそれは給料明細書だった。
「誰のだ?」
名前の所を見ると、それは十二番隊平隊士の葛原粕人の物だった。
阿近はその明細書を綺麗に折りたたむとポケットに入れた。
夜。十二番隊隊舎。
阿近は葛原粕人と名札が掲げられた部屋のドアをノックした。
「あ、はい!あ、阿近さん。こんな夜遅くにどうかされたんですか?」
「葛原、これ。昨日落ちていたぞ」
扉を開けた男に、阿近は昨日拾った給料明細書を手渡した。
「あ、すみません。ありがとうございます!」
男はペコリと頭を下げてそれを受け取る。
「葛原。その給料明細書なんだが。持ち主が誰か調べるためにちょっと、な……」
歯切れの悪い言葉に、男は察する。
「良いんですよ。僕が薄給だなんて皆が知っていることですから」
はははっ!と穏やかに笑う男に、阿近は切り込む。
「それ何だが、俺が思うにお前はもう少しもらっていいと思うぞ」
その言葉に男はキョトンとした顔をする。そのキョトンとする顔に、阿近もどうすればいいか困り果てる。
「やだなぁ、阿近さん。僕みたいなまだ右も左も分からない技術者と名乗るのもおこがましい人間がお給料をもらっていい訳がないじゃないですか!」
目の前の上司が冗談を言っているのだと思い、男は顔を
「い、いや!お前色々死にそうな(というか死んでる)体験をしているじゃないか。だからそう言った手当てがついてもいいと思うのだが」
「まあそりゃあそうですけど……」
と、腕を組んでしみじみと男は呟く。
「
「え?」
死んでいない。
その一言に阿近は言葉を失う。
目の前の男がマユリに何度も殺されているのは十二番隊では誰もが知っている。にも関わらず殺された当人が”殺されていない”という。
何かの冗談かと思った阿近だが、目の前の男の顔を見ると嘘や冗談を言っているようには見えなかった。
頭を抑えること数秒。目つきの悪い三席は目の前の男に確認する。
「葛原。お前はまぁ”危険な目には遭っているが命をとられるような危険な目には逢っていない”。そう言うんだな?」
「え、ええ……そうですけど?」
目の前の上司の意図が分からず、男は不安そうに答える。
「いや。だったらいいんだ。下らないことを聞いたな」
そう言って阿近はその場を後にした。
「はぁ~」
男の部屋から去った阿近は思わず重いため息を漏らした。
「あいつ。死んだ前後の記憶がないのか」
(本来ならば危険手当が有りえないほど溜まっているはずなのに。……いや、記憶がない方が精神崩壊しなくてよかったかもしれないな)
阿近は心の中で同情した。