天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

『クズと呼ばれる男は一人でバンビーズ(-1)に挑むようです』の後日談です。


千年血戦篇・訣別譚その後

我輩は竹馬棒である。名前はまだない。

見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)という滅却師(クインシー)達との戦いが終わってもう数年がたった。

それは我輩が主と認めた男がいなくなってから数年を意味した。

数年前。

あの凶悪な顔の男が何も言わず部屋に主の斬魄刀を置いた。

朝がきて夜になり、また朝が来る。しかし主が部屋に戻ってくることはなかった。

主が帰ってこなかったことは何度もあった。それでも長くても一週間で主は帰ってきた。

長い間帰ってこない場合は大抵死んでいる。その場合いつの間にか主の刀が部屋に現れうっすらと主が現れる。

まるで無から出てくるかのように。

しかし一週間、一ヶ月、一年。いくら待てども主が帰ってくることはなかった。

刀は主の部屋にあるにも関わらず。

それでも我輩は主がいつ帰ってきてもいいように部屋を綺麗している。

食費も自分で稼ぐため運送業を始めた。元々尖兵計画(スピアヘッド)という対虚用の戦闘用改造魂魄(モッド・ソウル)の代わりに作られた我輩である。脚力には自信があった。街の人にも覚えられていたので街の人はすぐに我輩に仕事を頼んでくれた。そう時間がたたないお金は貯まった。

山のように好物の人参を買えるほどに。

しかしどんな高価な人参でも我輩の心を満たすことは出来なかった。

 

一番美味い料理。主と共に食べる食事を知っていたから。

 

本来ならば部屋の持ち主である主が戦死ということで部屋を追い出されるかと思ったが、元々倉庫だった部屋を改造しただけの部屋に住もうと考える者はおらず結局あの時のままだった。

もちろん主無き部屋は知らない者から見れば我輩のような化け物が占拠しているようにしか見えない。事情の知らない者が無断でこの部屋を潰そうとしたことがあったが、そうはならなかった。

意外なことにあの凶悪な顔の隊長がそうしようとした者を無理やり黙らせたからだ。そのためこうして我輩は主がいた時と同じようにここにいる。

「ブヒィン(ふう、疲れた)」

仕事が終わり行水(ぎょうずい)してから帰る。

「ブフィン(まだ主は帰らぬか)」

もう何百回と感じた寂しい感情。何百回と体験したのに慣れることがない。

 

「ただいま。竹馬棒、いい子にしてたかい?」

 

そう言いながら主が帰ってきそうで。

(……え?)

我輩は振り返る。

そこには部屋の隅に置かれていた斬魄刀・幽世(かくりよ)閉門(へいもん)を腰に(たずさ)えた小柄な男が立っていた。

一日たりとも忘れもしない我輩の主、葛原(くずはら)粕人(かすと)だった。

「ぶ、ブヒィン?(これは、夢か?)」

 

主のことを思うこと我輩を不憫(ひびん)に思った何かが我輩にせめての(なぐさ)めに幻をみせているのか?

 

そう思う我輩に、目の前の男はそっと我輩の頭に手を置き、優しく撫でた。

我輩を(いつく)しむ手の動き。忘れもしない感触だった。

「ぶ、ブヒィィィンッ!(あ、主ィィィッ!)」

我輩は両眼から前が見えなくなるほどの涙を流しながら主の胸へ飛びついた。

そんな我輩を抱きしめながら、主はにっこりと微笑みながら言った。

 

 

 

「ただいま、今帰ったよ」




男がすぐに帰ってこれなかったのはバンビーズに殺されたとき手元に幽世閉門がなかったからです。
(死んだ時に幽世閉門と離れていたらその分だけ復活するのが遅れる)
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