本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。
見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。
とある夜。
技術開発局では一仕事が終わり、その慰労と祝杯を兼ねて居酒屋で飲んでいた。
そのふすま一つ挟んだところでは二番隊がいた。
隣はコソコソ人殺しなんかやっている二番隊かよ。
隣は安全なところでのほほんと実験やってる十二番隊かよ。
自分たちの酒を楽しむ十二番隊と二番隊だったが酒が入っていることもあり、楽しい酒の会から面と向き合わないものの互いの悪口合戦へと発展していく。
隠密起動みたいな後ろめたい奴らが近くにいると酒がまずくなる。
技術開発局みたいな部屋で実験ばかりでカビ臭い奴らがいると楽しい酒も楽しめないな。
「「「なんだとコラッ!!」」」
お互いの悪口を聞かされた両者は襖をあけて対峙する。
この事態を収拾させようと粕人が「僕のために争わないで!」と言ったのをきっかけに、隠密起動と技術開発局が力を合わせて葛原粕人をボコボコにするという暴力事件に発展した。
翌日。
京楽春水の自室。
「いやいや、これは困ったことになったねぇ~」
「……ッ!」
「フンッ!」
椅子に座る京楽総隊長の前には二番隊隊長の砕蜂と十二番隊隊長の涅マユリが立っていた。
二人はお互いの顔を見ようとせず、不機嫌な顔を隠そうとしない。
呼び出された用件は昨夜二人の部下達が居酒屋で起こした暴力事件だった。
「さて、二人には腹を割って話し合って……と言いたいけど。二人を見ると話し合いで禍根が残らないようにするなんて無理だろうから。総隊長命令を伝えるよ」
二人の隊長の反応に「予想通りだな」と心の中で思った京楽は考えていた案を口にした。
「これから一週間、君たちの部下を交換してもらいたい」
「「!?」」
突拍子もない眼帯の男の説明に二人の隊長は目を大きく見開く。それも予想通りだったのか京楽は続ける。
「ボクは思うんだ。“こういう風なお互いの組織を
「「……」」
「そういうわけでボクは考えた。“それならばお互いの仕事を実際やってみたらどうか”って。もちろん全員が仕事を入れ替えたんじゃ支障が出るところじゃ済まないからね。だから、七緒ちゃん」
京楽の傍に立っていた伊勢七緒は両隊長に『総隊長命令』と書かれた折りたたまれた紙を渡す。
二人は紙を広げて、数秒ほど驚く顔の驚きを隠せずにいた。
「というわけでクズ。お前には二番隊に一週間ほど異動してもらう」
「……はあっ!?」
十二番隊隊長・涅マユリは突拍子もないことを言う。しかし今日の突拍子は今まで以上だった。
京楽春水が二人の隊に出した総隊長命令。それは“それなりの地位がある互いの隊一名を一週間ほど交代させる”というものだった。
「で、その人選は各隊長に任せるとの総隊長殿のご命令ということ。そこで私はお前を二番隊に異動させることにした」
「なんで!僕は平隊士じゃないです――」
「十二番隊第二十席で技術開発局雑用総責任者兼
「うわ~、そこまで僕のことを思ってくれるなんて本当に嬉しいなぁ。嬉しくて涙が出そうですぅ(棒読み)」
思ってもないことを口にする上司に、逃げられないことを悟った粕人はやけくそになっていた。
翌日。二番隊隊舎。
「砕蜂隊長。十二番隊から来ました葛原粕人です。今日から一週間よろしくお願いします!」
「ふん!」
目の前で頭を下げる粕人に小柄な隊長は不機嫌な顔を隠さなかった。
「ところで葛原殿にはどこで働いてもらいましょう?」
「そうだな……そうだ、葛原。お前には
「ハッ!」
渋い声をした黒装束の部下の言葉に、砕蜂は一瞬ニヤリと笑って粕人の配属先を伝えた。
30分後。
斬魄刀・幽世閉門を「私が預かっておく」と砕蜂に手渡した後、粕人はどこに配属させるかを砕蜂に尋ねた犬飼に連れられ、巨大な堀の上に架けられた橋を渡った。その先には周囲を高い壁に囲まれた施設があった。その施設の門をくぐり更に奥へと行くと、そこには重々しい黒い扉があった。その脇を黒装束の男が立っている。
「今日から一週間、隠密機動第三分隊・
「「どうぞ」」
脇を固めていた二人が扉を開ける。
「あ、ありがとうございます」
粕人は扉を開けた二人に頭を下げて、引率する犬飼についていく。
長く暗い階段を下りながら粕人は周囲を見渡していた。
「中は完全な洞窟なのですね。まるで地下牢みたいな」
「地下牢ですから」
古株の隠密機動は会談を下り終えた所にある扉を開ける。そこは綺麗にされた床に白い囚人服に実を包んだ男達の姿があった。男達の視線が犬飼と粕人に集中する。
「あ、あの……犬飼さん?」
「今日からここ地下特別監理棟、通称『
「え、ええっ!?う、蛆虫の巣!!??」
蛆虫の巣。その言葉に粕人は驚愕を露わにする。
(『蛆虫の巣』って噂で聞いたことがあるぞ。確か護廷十三隊で危険因子とされた人達を収容する場所じゃないか!?涅隊長もここに居たことがあるとか!!)
自分に向けられていた視線が「なんだ、こいつは?」という疑問から「なんだ、こいつは!」という怒りに変わっていく。
その視線にうろたえている間に犬飼は扉を閉めた。
「ちょ、犬飼さん!何しているんですか!?開けて、開けて下さい!!」
粕人が扉に手をかけるが押しても引いてもビクともしなかった。
「おいおい、檻理隊長代理さんよ。そうそうに帰るなんて言わないでくれよ」
腕をコキコキと鳴らしながら粕人が見上げるほど高い大柄の男が背後に立っていた。
「あ、いや、その~」
「殴り殺してやるぜ!」
大男のスイカ大の拳が粕人めがけて振り落とされた。
あ~あ、あいつ。お陀仏だわ。
周りで二人のやりとりを見ていた囚人達は誰もが粕人の死を想像した。しかしそれは間違いだとすぐに気づかされる。
「な、なん……だと……」
殴りかかった大男は言葉を失った。なぜならば地面がえぐられた場所に小柄な男の姿はなかったからだ。
「危ないなぁ。初対面で殴りかかるなんて」
大男は首を右に動かす。そこには先ほどまで殴った場所に立っていた小柄な男の姿が。
「おい、
「う、うるせぇ!今のは小手調べだ!!こっからが本気よ!!」
両角と呼ばれた大男は粕人の方へ振り返って腕を振り上げた。
「おらあぁっ!!」
振り上げた拳を小柄な男の顔めがけて振り落とし、動けなくなった。
「あの、お互いよくわかんないので……話し合いませんか?」
汗を流し、気弱な声で粕人は提案する。自分よりはるかに大きい男の拳を手のひら一つで受け止めながら。
「てめぇっ!」
横から足の長い男が回転のかかった回し蹴りを仕掛ける。
「あ、あの。どうか話を……」
困った顔をしながら粕人は勢いのある蹴りを空いた手で難なく受け止める。
「えい、袋にするぞ!」
その様子を見ていた男の言葉に他の様子を見ていた囚人達が粕人に向かっていく。
「あ、あの――」
ブンッ!
「どうか――」
バンッ!
「話を――」
ゴーンッ!
「聞いてください!」
ダーンッ!
次々と襲い掛かる囚人達の攻撃を避けながら、小柄な男は訴え続けた。
10分後。
「あ、あの……お話を聞いてもらいたいのですが」
息をゼイゼイと切らす囚人達に、粕人は困った顔で問いかけた。その間粕人の身体に一発も当たっていない。
この男はただ者ではない。
力量の差を思い知らされた囚人達は腰の低い男の言葉に耳を傾けざるを得なかった。
数日後。
「どうだ、あの男は?」
「え、あ、その……」
年配の黒装束の歯切れの悪い言葉に小柄な女隊長は切り込む。
「何かあったのか?」
「あ、それは……見ていただいた方が早いかと」
10分後。
「こ、これは……」
囚人達が収容されている扉を開けた女隊長は、固まった。
「
「で、葛原さん。巫女はどうなるのです!?」、「早く続きを!」、「やっぱり、R18が貼られる展開に!?」
そこには中央に本を読む小柄な男の周囲に囚人達が熱心に耳を傾けていた。
「貴様、何を考えている!」
「え?そ、砕蜂隊長ォォォッッッ!!」
音を上げていると思った男が囚人達を手なずけている。その上いかがわしいと思われる本を朗読している。
その姿に隠密機動の頂点に立つ女性の怒りは頂点に達した。
「この馬鹿者がァァァッ!!」
その光景に怒りが頂点に達した隠密機動総司令は目にも止まらない速さで小柄な男を蹴り飛ばした。
ドゴーーーーーーーーンッ!!
「そ、砕蜂隊長……――――」
壁にめり込んだ粕人はカクッと頭を落として気絶した。
その頃。技術開発局。
「それでは二番隊副隊長、
「いやあああぁぁぁっっっ!!誰か、誰か助けて下さいぃぃぃ!!!!」
診察台にくくりつけられた、でっぷりとした太め大男の悲鳴が技術開発局に
その後悲鳴を聞きつけた阿近を始めとする技術開発局局員によって解剖は中断された。
交換期間が終わり、『解剖されそうになったことを話したら殺す』とマユリに脅された大前田は解剖のことは伏せて技術開発局は大変な所だと自分の体験談を話したという。
お詫び。
間違えて『新章第一話 葛原粕人、二番隊に異動される』を『奥さん、貸した金が払えないなら身体で払ってもらおうか!』の方に投稿していました。
この場を借りてお詫びします。
大前田がどうなったのか?というコメントを頂いたので最後を少し加筆しました。
コメントしてくださった回答者様にはこの場を借りて感謝申し上げます。