天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。


東空座町編第一話 粕人絶体絶命

義骸と義魂丸など最低限の装備だけで東空座町(ひがしからくらちょう)に赴任されられた葛原(くずはら)粕人(かすと)

そして着任当日の深夜。粕人は追い込まれていた。

 

 

 

「はぁ、はぁ……く、クソッ……」

公園の中央で、死神化した粕人はドクドクと血が流れる左肩を抑えていた。

「フフフ、どうしたのかしら死神?」

空から片膝をつく粕人を見下ろす蚊の姿をした(ホロウ)、ブラットヴァイブは鋭く尖った口器(こうき)を次々と男に向けて放つ。

「クッ!」

立ち上がった粕人は矢のように降り注ぐブラットヴァイブを避ける。しかしその動きは鈍い。

「ち、力が入らない……!何故だ?」

「苦しそうね、死神。教えてあげるわ」

見た目からでは考えられないほどの女性らしい美声で、哀れむような目で虚は続ける。

「アタイの口器には対象物を衰弱させる液体が出ているの。刺さるのはもちろん(かす)るだけでも効果があるほどに強力なほど」

宙高く自分を見る蚊の虚を睨む粕人。

(くそっ。急な赴任だったから遠距離用の針も苦無も用意していない。罠を張るには時間がなさ過ぎる。鬼道も縄道ならまだしも破道はからっきし……まだ使える縄道ですらあの蚊の虚を捕まえるのは難しい。……直接攻撃系の幽世閉門ではあそこまで距離を取られては意味がない。元々遠距離の攻撃手段は乏しい上に手持ちの道具が不足しているという悪条件だ)

「ならば!」

粕人は心の中で言い聞かせる。

(タイミングは一度きり。タイミングがずれたら命は……ッ!?)

「ウッ!ゲホゲホッ……!!」

粕人は口を抑えて()き込む。口を抑えた右の掌には血がベットリと張り付いていた。

「ウッ……!?」

急激な脱力感。粕人は思わず倒れそうになるのを、気力を振り絞り立ち続ける。しかしその姿はあまりにも弱々しく、今にもその身を食いちぎらんと考える敵には恰好の獲物でしかなかった。

「フフフ、どうやら毒が回ってきたようだね。だったら貴様の血、このブラットヴァイブ様が一滴残らず飲み干してやろう!」

空で粕人を見下ろしていた蚊の虚がブーンという羽音を立てながら旋回。かろうじて立っている獲物の背後に回ると、細く尖った口器を右肩に突き刺した。

「う、ウワアアアァァァッ!?」

突き刺した口器からチューチューと血を吸い取っていく。

「く、クソッ!」

紙のように真っ白になりながら、粕人は気合と共に血を吸うブラットヴァイブの顔に裏拳を与えた。

「ウグッ!?」

粕人の予想外の反撃に怯んだ蚊の虚は男から離れて再び空へと逃げる。

「ググッ、まだそんな力があったか……しかしアタイに血を吸われては……ッ!?ウウッ、ウワアアアアアアァァァァァァッッッ!!??」

突然苦しみ出したブラットヴァイブが地面に落ちていく。

「ウウッ!身体が、体中の血管という血管が熱い!痛い!……何故だ、ウワアアアアアアァァァァァァッッッ!!??」

あまりの激痛に蚊の虚は身体を抑えながら地面を転がりながら悶絶する。

「僕の、血のせい……ですよ」

腰に差した刀を杖代わりにして、今にも倒れそうになりながら種明かしをする。

「僕は……貴方が蚊と同じく、血を吸うものだと、推測しました……だから、貴女は……僕の血を吸いにくる。だから僕は……飲んだんです。耐性がない者が、体内に取り込んだら、内側から溶かす……猛毒を」

「も、猛毒……だったら吐血したのは!?」

「お察しの、通り……僕が飲んだ毒薬、ですよ……」

フラフラになりながら、粕人は懐から白い丸薬を取り出し口に放り込んだ。

「これは解毒剤。……もし貴女が血を吸わなければ、自分が飲んだ毒で死に――――」

粕人は懐からスプレーのような物を吹きかけたのと同時に気を失い、その場に倒れこんだ。

「ウゥ……ウゥッ!」

ブラットヴァイブは内側から溶けていく激痛と恐怖に耐えながら地面に倒れる男めがけて前進する。

目の前の男の体内には解毒剤が入った血が流れているということ。その血を吸えばまだ助かるのでは。その一縷の望みにかけた行動だった。しかし彼女は近づくことが出来なかった。

「ウゥ、なんだこれは!?」

粕人に近づけば近づくほど、吐き気を催す臭気に身体が動かなくなる。

 

ブラットヴァイブは体内の猛毒を解毒しようと再び自分の血を吸おうとする。

 

それを見抜いた粕人が倒れる直前に自身に吹きかけた女が嫌う臭いを発する香水、女嫌香によって。

粕人が所持している女嫌香は半径100メートル以上の女性にも影響を与えるオリジナルよりも効果を薄めているとはいえ、激臭には変わらない。

近づけば激臭が威力を増し、離れれば解毒剤から遠ざかる。

「ウ、ウウッ……ウワアアアアアアァァァァァァッッッ!!??…………――――」

進むことも退くことも出来なくなった蚊の虚、ブラットヴァイブは内側から溶かす猛毒にやられ液状になって消滅した。

耐性がありかつ解毒剤を飲んだとはいえ、身体を溶かすほどの猛毒を摂取した粕人もただでは済まなかった。その上ブラットヴァイブに大量の血を吸われている。ブラットヴァイブの後を追うのは時間の問題だった。

 

 

 

「ん?誰かが倒れてる?」

一人の男が。公園で倒れている霊力が強くなければ見ることの出来ない死神の粕人が倒れているのを発見した。

 




ブラットヴァイブ
蚊のような姿をした女性の虚。遠距離からの武器を所持していなかった粕人を一方的に追い込んだ。
筆先文十郎オリジナルキャラ。
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