愛は時を忘れさせ、 時は愛を忘れさせる   作:月瀬 星音

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7話 〜典道の視点〜

なんで、なずなが…。

 

俺は言葉が出ない。

 

「典道君、会いたかったよ」

 

なずなが少し涙目になりながらそう言った。

 

俺に会いたかった。

 

なんで…?

 

「なんで、俺に会いたかった…?」

ようやく声が出た。

 

「なんででしょう」

 

デジャブだ。

 

前も同じようなこと言われた。

 

「分からない。だってお前は…」

 

「典道君ってまさか鈍感?」

 

「し、知らねーよ」

やべー、うまく頭が回らない。

 

言葉の意味も分からねーよ。

 

「中1の時抱き合ってキスして、今も会いたいって言ってて。分からない?」

 

「えっ…!?だってお前には…」

あいつには祐介という彼氏がいる。そんなはずないじゃないか

 

「私は典道君のことが好きなんだよ」

はっ!?今なんて言った。

 

俺のことが好き?それはとてつもなく嬉しいけど、ダメだろ。

 

祐介と付き合ってんじゃねーのかよ。

 

「いや、おかしいって」

 

「まだ、信じられない?」

なずなの顔が近づいて来て…。

 

このシチュエーション蘇って来た。

 

これは、もしや…。

 

チュッというリップ音が聞こえる。

 

俺は、放心状態だ。

 

なずなの顔が離れたと思ったらまた近づいて来た。

 

今度はなずなの下が口に…。

 

まさかだけど、ディープキスじゃ…。

 

やべー、頭が真っ白になるくらい気持ちいい。

 

じゃぼぼ。

 

舌が混じり合う音。

 

ダメだ。

 

由郁がいてこんなことダメだって分かってんのに。

 

なずなとのキスが嬉しい。

 

なずなの告白が人生で一番嬉しかった。

 

なずなが俺とキスをしたのはただビッチ

 

そういう風に考えていた。

 

俺は、ずっとなずなのことを想っていて、由郁とはやけくそのように付き合っていた。

 

だからこそ、嬉しい。

 

1分ぐらい。

 

ようやく、なずなは俺の顔を離した。

 

「典道君、これでも分かんない?」

 

「分かった。だけど…」

 

「だけど?」

 

「俺には付き合ってる人がいるんだ。だからこんなことしてちゃダメだろ」

ダメだ。こんなことしたらどこかの不倫してる芸能人と同じだ。

 

「典道君は私のこと好き?」

好きに決まってんだろう。

 

「…」

答えられねーよ

 

「ん…?」

なずなが俺の顔を真剣に見つめてる。もう言っちゃえ

 

「好きに決まってんだろ。他の誰よりも」

 

「良かった。これで、私達両想いだよ。で、典道君どうするの?」

俺が、好きになった小悪魔的な笑顔を送るなずな。

本音を言うと凄い可愛い。

 

でも…。

 

「無理だろ。だって、お前には祐介がいて、俺には由郁がいる。こんなこと続けてると俺たち話不倫になっちまうぞ。そんなんで、いいのか、なずな」

 

「私はいいよ」

は…!?いいのか。てか、ダメだろ。俺のこと好きなんだよな。

 

お前は祐介に惚れてたんじゃないかってずっと…。

 

あの時したキスも一緒に駆け落ちしたお礼だって思ってたんだから。

 

「お前は、いいのか?祐介と付き合ってんのにいいのかよ」

 

「いいよ、典道君といられれば」

なずなは俺のことが好きなのか…。まだ、信じられない。

 

「でも、世間的にやばいだろ。だって、こういうことするのってW不倫じゃねーか」

 

「そうだよ。好きじゃない人にそんなこと言わないよ」

 

「でも…」

 

「もう、優柔不断な典道君。じゃあ、私の願い聞いて」

 

「えっ」

 

「典道君、私は典道君のことが好きです。付き合ってください」

なずなが頰を少し赤く染めて言った。

 

「付き合ってくださいじゃない。付き合いなさいが正しいかな」

命令形…。

 

俺はなずなの告白で今覚悟を決めた。

 

「ああ、分かった。俺からもいいか」

 

「もちろん」

 

「なずな、なずなのことが好きで好きでたまらなかった。小学校の頃から好きで、中学校になってお前がめっちゃ大人っぽくなって綺麗で男子からモテてたなずなが」

 

「だから、俺他のやつが彼氏になるか心配だった。実際祐介が彼氏になった時ずっと嫉妬してた」

 

「嫉妬に駆られて、前が見えなくなるほど好きだった。由郁を差し置いてなずなことが好きな男だ。こんな、最低な男だけどよろしく」

 

「ありがと。私も男をたぶらかす最低な女だけどよろしく」

なずなの顔のなかで一番綺麗な顔だった。

 

「典道君」

 

「ん…?」

 

「私と駆け落ちしない?」

絶対デジャブ。

 

「か・け・お・ち!」

デジャブだー。

 

「はっ!?」

なずなが俺を抱きしめながらそう言う。

 

「やばい、由郁がもう直ぐ帰ってきちゃう。今日の10時エントランス集合ね」

 

「えっ、マジかよ」

 

「マジだよ。はい、バイバイのキス」

と言って俺にキスしてきた。

 

なずなどこまで誘惑するんだよ、俺を。

 

なずな、帰っちゃった。

 

今日の10時か…。

 

俺となずなは両想いで結ばれた。

 

俺に、今後悔はない。

 

俺もなずなも最低だな。

 

人を裏切って…。

 

だけど、俺はなずなを愛するって決めた。

 

これに揺らぎはない。

 

なずなとならどこまでも落ちるところまで落ちてやる。

 

だって、俺となずなは運命共同体なんだから。

 

そういや、今日はいろんな願いがかなったな。

 

今の願い…。

 

あるよ。

 

もし、俺となずなが駆け落ち出来たら。

 

できるといいな。

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