「典道君、会いたかったよ」
私は笑顔でそう言う。
凄い、典道君躊躇ってる。
そりゃそうだよね。
いないはずの私が来たらビビるよね。
「なんで、俺に会いたかった…?」
決まってるじゃん、典道君のことが好きだからだよ。
「なんででしょう」
私の口癖。
少し、小悪魔的って言われるのもこの発言からかな。
「典道君ってまさか鈍感?」
典道君答えられないってことは…。
分からない?
「し、知らねーよ」
凄く、困ってる顔だな。
「中1の時抱き合ってキスして、今も会いたいって言ってて。分からない?」
分かりなよ。早く。
「えっ…!?だってお前には…」
祐介君のこと…。
まだ引きずってるんだ。
祐介君なんか前から頭にもなくて典道君一筋だったのに。
絶対次告白してやる。
「私は典道君のことが好きなんだよ」
遂に言えた。
私の人生をかけた告白。
成功かどうかは分からないけど。
でも、凄く嬉しい。
夢が叶った。
あともう少し。
「いや、おかしいって」
まだ、疑ってる…?
だったら、男を落とす必殺技。
なんでしょう。
「まだ、信じられない?」
正解はキス。
私は、典道君に近づいてキスをした。
チュッとリップ音。
私の初キスあげれなくて残念。
次は、ディープキス。
じゅぼぼって音がする。
誰か、彼氏持ちの人が言ってた。
この音に興奮するんだって。
私も興奮してるよ。
でも、今は抑えるの。
典道君がいなくなって絶望的な感じで祐介君と付き合ってた。
祐介君としても嫌悪感ばっかりだけど。
典道君とやっても全然平気。
もっとキスしたいけど。
典道君が窒息死しちゃうね。
「典道君、これでも分かんない?」
分からなかったらやばいよ。
「分かった。だけど…」
分かってくれたね。よかった。
「だけど?」
きっと、由郁のことだ。
典道君は罪悪感があるんだ。
「俺には付き合ってる人がいるんだ。だからこんなことしてちゃダメだろ」
確かに正しいよ。
でも、私達は正しいことしてちゃ結ばれない。
「典道君は私のこと好き?」
典道君の意思を試してみる。
典道君は私のこと好きなの?
「…」
何もない。
もし、私だけが片想いだったらどうしよう。
「ん?」
「好きに決まってんだろ。他の誰よりも」
私の願い叶った。
両想いだったんだ。
今、嬉しさ込み上げてくる。
「良かった。これで、私達両想いだよ。で、典道君どうするの?」
両想いだってことが分かった。
後は付き合って結ばれるしかない。
「無理だろ。だって、お前には祐介がいて、俺には由郁がいる。こんなこと続けてると俺たち話不倫になっちまうぞ。そんなんで、いいのか、なずな」
典道君はこのことを察したのか聞いてきた。
いいに決まってる。
想い人と一緒に居られることがいかに嬉しいか。
私がモテてた時は何も分かんなかった。
でも、今は私のことを好きな人の気持ちが分かる。
「私はいいよ」
いいよ。もちろん。
「お前は、いいのか?祐介と付き合ってんのにいいのかよ」
典道君って心配性だね。
「いいよ、典道君といられれば」
私の本音。
典道君と居られれば私は何でも良い。
「でも、世間的にやばいだろ。だって、こういうことするのってW不倫じゃねーか」
お互いが好きなのに、W不倫なんかに縛られるの?
「そうだよ。でも、好きじゃない人にそんなこと言わないよ」
好きな人に不倫を持ちかけたら私はしない。
自分の初恋がかかってる。
恋のためなら私は狡猾かもね…。
それほど、私は典道君のことが好き。
「でも…」
優柔不断なところ、昔から変わってない。
改めて告白しないと分かんないのかな。
「もう、優柔不断な典道君。じゃあ、私の願い聞いて」
「えっ」
典道君が困ったような顔して驚いた。
「典道君、私は典道君のことが好きです。付き合ってください」
もう、典道君に好きって言った。
次はお付き合いの話かな。
「付き合ってくださいじゃない。付き合いなさいが正しいかな」
これで、断られたら衝撃だよ。
一生立ち直れないんだから。
「ああ、分かった。俺からもいいか」
典道君からも告白してくれるのかな…。
「もちろん」
典道君はなんて言ってくれるのかな。
「なずな、なずなのことが好きで好きでたまらなかった。小学校の頃から好きで、中学校になってお前がめっちゃ大人っぽくなって綺麗で男子からモテてたなずなが」
ん…。典道君に言われると胸がゾクゾクするっ。
私、そういえばモテてたのかな。
顔とか身体目当てで告白してくるんじゃないかって。
ずっと思ってた。
まあ、典道君だったら身体目当てでも良かったけど。
改めて好きって言われると嬉しい。
「だから、俺他のやつが彼氏になるか心配だった。実際祐介が彼氏になった時ずっと嫉妬してた」
嫉妬してくれてたんだ。
私も由郁が典道君の彼女って知った時嫉妬したなー。
そこからだっけ。
告白して略奪不倫しようって決めたの。
「嫉妬に駆られて、前が見えなくなるほど好きだった。由郁を差し置いてなずなことが好きな男だ。こんな、最低な男だけどよろしく」
そうかもね。
私達最低だよ。
結局、お母さんと同じ運命辿っちゃったな。
「ありがと。私も男をたぶらかす最低な女だけどよろしく」
これから、大好きな典道君とのお付き合いが始まる。
邪魔はされたくない。
でも、今は…。
私も我慢する。
だから、後で私の我儘聞いてね。
「典道君」
典道君…。
前、成し遂げられなかったこと。
「ん…?」
それはなんでしょう。
「私と駆け落ちしない?」
駆け落ちだよ。
「か・け・お・ち!」
「はっ!?」
典道君がギョッとしてる。
でも、今日一日は恋人になった記念として言うこと聞いてもらうんだから。
「やばい、由郁がもう直ぐ帰ってきちゃう。今日の10時30分エントランス集合ね」
由郁が帰ってきたら元も子もない。
バレるなんてことあっちゃダメなんだから
「えっ、マジかよ」
「マジだよ。はい、バイバイのキス」
と言って私は愛する典道君にキスをし、部屋を急いで出て行った。
今日はたくさんの願いが叶った。
その代わり、たくさんの人をこれから不幸にする。
もし、誰もが幸せになって結ばれることができたら。
後、もう一つ…。
もし、私と典道君が駆け落ちが成功したら。