愛は時を忘れさせ、 時は愛を忘れさせる   作:月瀬 星音

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9話 〜典道の視点〜

知弥が適当に話を進めてくれた。

 

少し、学校の話とか混ぜてくれたりして。

 

知弥のおかげで非常に助かる。

 

ありがたい。

 

最後の、知弥は出て行くとき、俺に目配せをしながら

 

「そんじゃあ」

 

と言って帰っていった。

 

もちろん、知弥が俺の荷物を持ってることなんて由郁は知る由もない。

 

後、30分くらい。

 

「ねぇ、典道。肩もんで」

裏切る前の最後の償いか。

 

今はなんやかんや言って俺は由郁の彼氏なのだから。

 

「いいぜ」

 

由郁の肩を揉んでるとなずなの華奢な肩を思い出す。

 

俺は完全になずなの虜になってしまった。

 

おい、由郁。

 

俺みたいな奴次も選んだらダメだからな。

 

もっと、お前を幸せにできる奴を選べ。

 

ごめんな、由郁。

 

今は言えない。

 

後々、言えたらいいな。

 

「気持ちい。もっとやって」

 

「はいよ」

あいつ、眠くなってる?

 

「由郁、眠かったら寝ていいぞ」

 

「そう…」

 

「あー、気持ちい。ありがとう」

 

「もういいのか?」

 

「もういいよ。なんか眠くなってきた」

 

「分かった」

 

「おやすみ」

 

「10時くらいになったらアイス買いに行くからいないかも」

 

「じゃあね。いってらっしゃい」

由郁…?

 

今のどういうことだ。

 

まさか、俺が出て行くことを勘付いてる?

 

そうであればやばい。

 

本格的にやばい。

 

由郁が寝息を立てて寝ている。

 

旅費と交通費は玄関に置いとこう。

 

もう、後10分か。

 

2.3分で行って早めに知弥が来ていると思うから。

 

緊張する。

 

やばい、心臓のバクバクが止まんねー。

 

俺は小さい声で。

 

「じゃあ」

と言って扉を開けた。

 

スマホと財布は持った。

 

俺は扉を静かに開けて駆け落ちにむけエントランスに向かうのだった。

 

 

集合時間3分前。

 

もうすでに知弥もいる。

 

「なずなちゃんまだか?」

 

「まだっぽい」

 

「大丈夫か?」

 

 

俺がまだかと待ってるとなずなが来た。

 

ぴったり10時。

 

「この人は…誰?」

 

「初めまして。今回、君たちの駆け落ちを協力するために今いるから。東原と呼んで」

 

「…こちらこそよろしく、なずなです」

 

「で、どうするの。典道君」

 

「その件についてはこいつについて行ってから決める」

 

「大丈夫なの?」

 

「大丈夫」

 

「おい、二人とも俺についてこい」

 

俺となずなは旅館前に出る。

 

黒のクラウンがいた。

 

「あれに乗るぞ」

 

俺となずなは車に乗り込む。

 

「二人とも乗れたか?シートベルトを締めてくれ」

 

車はすぐに走り出した。

 

「これが、俺の兄貴だ」

知弥が知弥の兄貴のことを紹介する。

 

知弥の兄貴、バリバリヤンキーなんだよな。

 

「この人、怖そうじゃない」

なずながそう言う。

 

まあ、無理もない。

 

「俺は悠真。お前らのことは聞いた。駆け落ちカップルなんだって」

 

「そうです」

俺は答える。

 

「ふっ、本当に聞いてた通り面白い奴らじゃねーか。大丈夫、協力するためにこの車運転してるんじゃ。別に固くなんなくてもいいやん」

知弥の兄貴がそう言って笑う。

 

「で、詳細は俺から説明するぜ」

 

「おう」

 

「まず、今から行くところは山梨の京王富士スバル高原別荘地ってところだ。じいちゃんの別荘があるから二人にはそこに泊まってもらう」

 

「えっ、大丈夫なの?」

 

「確かに、大丈夫なのか?」

 

「大丈夫だ。じいちゃんとも相談してこうなった」

 

「知弥のじいちゃん、ノリいいな」

 

「本当、それ。で、お二人さん。東京行きたいと思わない?」

 

「行きたい、私典道君と東京行って駆け落ちするのが夢だったから」

 

「もし、行きたいとか言ってくれれば連れてくから。それ以外は夏休み一杯じいちゃんの別荘で生活してくれ。近所にスーパーとかコンビニはあるけど、どうする?料理するか?」

 

「料理するよ、典道君のために作ってあげる」

 

「マジ!?」

 

「マジ」

 

「オッケー。まあ、そういうことだ。なにか、質問は?」

 

「ない」

多分ない。

 

知弥と知弥の兄貴がいてよかった。

 

「ないよ、大丈夫」

なずなが答える。

 

「了解。それでは、お二人の時間をお楽しみください。てか、もう夜中だからお前ら寝る?」

 

「寝たい時に」

 

「まだ、大丈夫かな?」

 

「大丈夫なのか?」

 

「寝て来たし」

 

「俺寝なかったわー」

俺となずなの願いが叶った。

 

このまま行けば駆け落ちも成功する、

 

「寝ないなら音楽つけとくよ」

 

「ちょい、待て!」

 

「どうした、兄貴?」

 

知弥の兄貴がなんか言ってる?

 

音楽でよく聞こえない。

 

音楽を兄貴が止める。

 

「お前ら二人にアドバイスや。余計なお世話かもしれんが避妊はしとけよ。子作りは20歳になってからやぞ。お前ら、責任取れんだろ」

 

「はぁーっ?そんなことしませんよ」

 

「しないの?」

なずなが聞いてくる。

 

そりゃ、そういうことしたいよ。

 

でも、なずなが…。

 

「私はいいよ、典道君とシたいし産んだっていい」

なずな…?

 

嬉しいけど、大丈夫なのか?

 

「今は、やめとけ。せめて、避妊だけはしとけ。後悔するのは典道達だぞ」

 

知弥が口うるさく言う。

 

「東原君には関係ないよね」

なずながむっとしてる

 

なずな、可愛い。

 

「ははっ、お前らほんとラブラブやな。もう自由にやれや。その方がお前らにとって幸せなのかもしれん。なあ、知弥。俺らは温かく見守ってやらだけでいい。余計な口出しは無用やな」

 

知弥の兄貴ってすげーいい奴だな。

 

そういうことサラッと言えるのカッコよすぎだよ。

 

「そうだな。お前ら、自由にしてもいいけど車の中ではするなよ」

 

「しねーよ!!」

 

「そうか…」

 

「疑うなよ…。なずなだってそう思うよな」

 

なずなは満面の笑みだ。

 

可愛い。

 

「えっ…?」

 

「する気だったのかよ」

 

「うん」

 

なずなと…。

 

そりゃシたいよ。

 

「ほらみろ、典道ー」

知弥が面白そうに笑う。

 

この、俺となずなの熱い関係が続くといいな。

 

もしもの願いは叶った。

 

それでも、俺は願いたいことがある。

 

俺となずながずっと一緒でありますようにって。

 

 

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