学校に着いた。
俺が、行ってた学校。懐かしい。
俺が、東京に行っても変わらずみんなここで生活してる。
結構、複雑だ。
「ここが典道の学校?」
「そう」
「プール大きいね」
「そうか?普通じゃね」
「都会だから狭いじゃん」
「まあな」
俺は、純一に学校の前に着いたと連絡する。
『りょ』
5秒足らずで返信してきた。なんで、そんなに早いんだろ。
学校に入った瞬間、懐かしいとまた思ってしまった。
今日は、人生の中で一番懐かしいと思った回数が多い。
あっ…知ってる先生だ。
『中2の2組に集合な』
純一からだ。
『ok』
俺は、そう返信した。
この階段は中2の階だ…。
なんか、少し緊張する。
みんな、俺のこと覚えててくれるてるか。
「典道?どうしたの?」
「いーや、何でもない」
俺は、中2の階を歩いていく。
中2の2の教室の前に着くと、ふーっと息を吐いて扉を開けた。
「おー、典道、やっぱ来てくれたのかー」
稔が叫んだように言っている。
祐介が近寄ってくる。
「典道、久しぶり」
「久しぶり」
ふっと緊張が和らぐ。
「そして、みなさん久しぶりです。今年の4月、皆さんに内緒で転校してすみませんでした」
「別に大丈夫って言ったろ。それにしても、ワイシャツにネクタイって決めやがったな」
純一が笑って言っている。純一、変態だけどいいやつなんだよな。
「めっちゃ制服かっこいい」
クラスの同級生の喜んでる顔を見るとやっぱ嬉しい。
「それで、お前が連れて来た女は誰よ」
やはり、純一…。変わってねー。
「あー、ちょっと待って」
由郁は中2の教室の脇に隠れていた。
「由郁?行くのか?」
「行くよ、心の準備が出来てなかっただけ」
と言って俺の後に着いていく。
由郁が教室に入るとみんながオーと歓声をあげた。
一瞬、なずなと目があった気がした。
「初めまして。典道と一緒の学校に通ってる別所由郁です。なずなの小学校の頃の親友です」
「めっさ可愛いじゃん」
純一がニヤニヤしてる。
「島田君、三ヶ月も経つとこんなに大人っぽくなるのね。ネクタイ似合ってるわよ」
「ありがとうございます」
「そんな、固くなんなくていいのよ。それにしても、貴方達、お似合いなカップルね」
「はっ…はあ」
「2人は付き合ってるのかしら?」
「まあ…」
「付き合ってます」
男子からエーという声が聞こえる。また、なずなと目が合う。なずなが俺のことを見てる気がするのは気のせいか?気のせいか…。
こんなやりとりが続いて、自由な時間が始まる。
祐介が話しかけて来た。
「典道、ごめんな。あの時、俺も血が上ってたわ」
多分、俺が殴った件である。
「いや、いいって。別に。俺も悪かったんだからさ」
「後さ、俺、なずなと付き合ってるんだ」
ある意味予想通りだ。なずなは最初から俺なんか見てなかった。結ばれるべきなのは祐介なのだ。凄い、お似合いなカップルだ。
でも、俺もなぜか心の奥底で祐介のことが憎いと感じてしまってる。
納得できない自分がいる。
そのことが、俺は悲しい。
「そっか…」
「いやー、だってお前なずなのこと好きだったろ。それで、勘違いされてお前とお前の彼女が別れるの見たくないからさ。お前の彼女、なずなの友達なんだろ。後で言っとくよ」
「本当は?」
「本当はって…。いやまぁ、典道とかに取られたくなかったからっていうのもなくはないけど」
「分かってたよ。まあ、祐介頑張れ。応援してるぞ」
俺も、心はこんなに動揺してるのに良く白々しく言えるな…。
心の中では動揺してんのに良く平静でいられるよな。自分でも凄いと思うわ。
「お前、変わったな…」
「そうか?」
「俺らより一段大人っぽく感じるぜ。東京でも頑張れよ」
「おう」
祐介は凄い。恋敵の俺にこんな言葉を言えるなんて…。なずなが惚れるのもそりゃそうだ。俺が、もし逆の立場でも言えないだろう。
でも、そんな祐介だからこそ妬いてしまう。
もしな、もしだけど思ってしまうんだ。
もし、祐介と俺の立場が入れ替わってなずなと付き合えたらって。