愛は時を忘れさせ、 時は愛を忘れさせる   作:月瀬 星音

7 / 29
4話 〜典道の視点〜

学校に着いた。

 

俺が、行ってた学校。懐かしい。

 

俺が、東京に行っても変わらずみんなここで生活してる。

 

結構、複雑だ。

 

「ここが典道の学校?」

 

「そう」

 

「プール大きいね」

 

「そうか?普通じゃね」

 

「都会だから狭いじゃん」

 

「まあな」

 

俺は、純一に学校の前に着いたと連絡する。

 

『りょ』

5秒足らずで返信してきた。なんで、そんなに早いんだろ。

 

学校に入った瞬間、懐かしいとまた思ってしまった。

 

今日は、人生の中で一番懐かしいと思った回数が多い。

 

あっ…知ってる先生だ。

 

『中2の2組に集合な』

純一からだ。

 

『ok』

俺は、そう返信した。

 

この階段は中2の階だ…。

 

なんか、少し緊張する。

 

みんな、俺のこと覚えててくれるてるか。

 

「典道?どうしたの?」

 

「いーや、何でもない」

 

俺は、中2の階を歩いていく。

 

中2の2の教室の前に着くと、ふーっと息を吐いて扉を開けた。

 

 

「おー、典道、やっぱ来てくれたのかー」

稔が叫んだように言っている。

 

祐介が近寄ってくる。

「典道、久しぶり」

 

「久しぶり」

ふっと緊張が和らぐ。

 

「そして、みなさん久しぶりです。今年の4月、皆さんに内緒で転校してすみませんでした」

 

「別に大丈夫って言ったろ。それにしても、ワイシャツにネクタイって決めやがったな」

純一が笑って言っている。純一、変態だけどいいやつなんだよな。

 

「めっちゃ制服かっこいい」

クラスの同級生の喜んでる顔を見るとやっぱ嬉しい。

 

「それで、お前が連れて来た女は誰よ」

やはり、純一…。変わってねー。

 

「あー、ちょっと待って」

 

由郁は中2の教室の脇に隠れていた。

 

「由郁?行くのか?」

 

「行くよ、心の準備が出来てなかっただけ」

と言って俺の後に着いていく。

 

由郁が教室に入るとみんながオーと歓声をあげた。

 

一瞬、なずなと目があった気がした。

 

「初めまして。典道と一緒の学校に通ってる別所由郁です。なずなの小学校の頃の親友です」

 

「めっさ可愛いじゃん」

純一がニヤニヤしてる。

 

「島田君、三ヶ月も経つとこんなに大人っぽくなるのね。ネクタイ似合ってるわよ」

 

「ありがとうございます」

 

「そんな、固くなんなくていいのよ。それにしても、貴方達、お似合いなカップルね」

 

「はっ…はあ」

 

「2人は付き合ってるのかしら?」

 

「まあ…」

 

「付き合ってます」

男子からエーという声が聞こえる。また、なずなと目が合う。なずなが俺のことを見てる気がするのは気のせいか?気のせいか…。

 

こんなやりとりが続いて、自由な時間が始まる。

 

 

祐介が話しかけて来た。

「典道、ごめんな。あの時、俺も血が上ってたわ」

多分、俺が殴った件である。

 

「いや、いいって。別に。俺も悪かったんだからさ」

 

「後さ、俺、なずなと付き合ってるんだ」

ある意味予想通りだ。なずなは最初から俺なんか見てなかった。結ばれるべきなのは祐介なのだ。凄い、お似合いなカップルだ。

 

でも、俺もなぜか心の奥底で祐介のことが憎いと感じてしまってる。

 

納得できない自分がいる。

 

そのことが、俺は悲しい。

 

「そっか…」

 

「いやー、だってお前なずなのこと好きだったろ。それで、勘違いされてお前とお前の彼女が別れるの見たくないからさ。お前の彼女、なずなの友達なんだろ。後で言っとくよ」

 

「本当は?」

 

「本当はって…。いやまぁ、典道とかに取られたくなかったからっていうのもなくはないけど」

 

「分かってたよ。まあ、祐介頑張れ。応援してるぞ」

俺も、心はこんなに動揺してるのに良く白々しく言えるな…。

 

心の中では動揺してんのに良く平静でいられるよな。自分でも凄いと思うわ。

 

「お前、変わったな…」

 

「そうか?」

 

「俺らより一段大人っぽく感じるぜ。東京でも頑張れよ」

 

「おう」

祐介は凄い。恋敵の俺にこんな言葉を言えるなんて…。なずなが惚れるのもそりゃそうだ。俺が、もし逆の立場でも言えないだろう。

 

でも、そんな祐介だからこそ妬いてしまう。

 

もしな、もしだけど思ってしまうんだ。

 

もし、祐介と俺の立場が入れ替わってなずなと付き合えたらって。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。