愛は時を忘れさせ、 時は愛を忘れさせる   作:月瀬 星音

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4話 〜なずなの視点〜

典道君がもう直ぐ、来る。少し緊張しちゃうな。

 

「もう、典道来るってよ」

 

「まじかー。超久しぶり。なんて言ったらわかんないかも」

 

ガラッと扉が開いて、典道君が入ってくる。

 

典道君の顔見るの久しぶりだな。

 

制服?東京っぽい制服だなー。

 

ネクタイしてる。

 

「おー、典道、やっぱ来てくれたのかー」

稔君が叫んでる。

 

あっ、祐介君が典道君に近寄ってく。

 

まさかなんだけど…。

 

典道君とのことをまだ根に持ってる?

 

「典道、久しぶり」

祐介君は、普通に笑って言った。

 

「久しぶり」

典道君も笑って返す。緊張が解けたように。

 

「そして、みなさん久しぶりです。今年の4月、皆さんに内緒で転校してすみませんでした」

典道君、改まって謝ってる。

 

典道君は家庭の都合だっけ。

 

「別に大丈夫って言ったろ。それにしても、ワイシャツにネクタイって決めやがったな」

田島君が笑って言ってる。男子の友情っていいね。女子なんか、嫉妬で渦巻いているのに…。

 

「めっちゃ制服かっこいい」

典道君の制服を女の子が褒めてるんだ…。胸が痛い。妬いちゃうな。

 

「それで、お前が連れて来た女は誰よ」

由郁のことかな…?

 

「あー、ちょっと待って」

典道君が教室を出る。由郁を連れて来るのかな…?

 

 

 

「初めまして。典道と一緒の学校に通ってる別所由郁です。なずなの小学校の頃の親友です」

 

「めっさ可愛いじゃん」

 

「島田君、三ヶ月も経つとこんなに大人っぽくなるのね。ネクタイ似合ってるわよ」

典道君大人っぽくなってる…。

 

「ありがとうございます」

 

「そんな、固くなんなくていいのよ。それにしても、貴方達、お似合いなカップルね」

カップルか…。本来、私達が言われてたのかもしれないのに?

 

「はっ…はあ」

 

「2人は付き合ってるのかしら?」

 

「まあ…」

 

「付き合ってます」

分かっていたけど、悔しい…。私も典道君と付き合いたいよ。

 

 

由郁が話しかけて来た。

 

「なずなー、彼氏誰?」

由郁とあまり今話したくない。ひどいことを言ってしまいそう。

 

「典道君と喋ってる男の子」

 

「あの子ね〜、かっこいいじゃん」

 

「そう?」

私は、平然と言う。

 

「そういえば、典道ってかっこよくない。ワイルド系っぽいけど凄い大人しいし。そのギャップがたまんないわ」

私は、生まれて初めてかもしれない。

 

由郁に殺意を持ったのは。

 

実際、実行するわけないけど、何故ここで彼氏自慢をするの?

 

そのことが意味わからない。

 

「なずな、あんた典道のこと好きでしょ?」

 

「別に…。好きだったら今祐介君と付き合ってないわよ…」

自分でも、なんで言ってるんだろう。

 

本当は、本当は、典道君のことが好きなのに。

 

「ふーん。なずなも良かったね」

 

「そう?」

 

「彼氏出来て」

 

「別に…」

 

「普通はなずなみたいにいろんな男の子惚れさせることなんて出来ないんだから」

由郁、あなたのこと嫌いになりそう。

 

「由郁も典道君と頑張って」

そう言って、由郁の元から離れた。

 

今日、大の親友だった由郁に激しく妬いて殺意まで湧いた。

 

あまり、人と関わりたくない私にとって初めて。

 

由郁と私は前みたいには戻れない。

 

きっと、由郁も私の態度を見て分かってる。

 

でも、典道君と付き合いたいの。

 

典道君の隣にいるのは由郁、あなたじゃなくて私よっ!

 

私、願いが最近多い気がする。

 

でもね、私また譲れない願いが出来ちゃった。

 

もしも、由郁との恋のレースに勝てるなら。

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