繋想(けいそう)   作:彩加

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第16話

週1ペースで神様の世界に足を運んでいるとちょくちょく来ているらしい緒方や行洋に会う頻度が多くなった気がする。

それでもばったり会うのは月に1回くらいだったので、ヒカルは特に何も気に留めてはいなかった。

 

 

ある日、神様の世界に行くと行洋とアキラがいた。

終局間近だったのでそのまま碁盤を見ているとアキラの勝利で対局が終わった。

そのまま神様も入って検討していると、アキラに時間が来て抜ける。

せっかく来たのだからと今度はヒカルと行洋が対局することになった。

 

 

 

序盤は互角、穏やかに進んでいく。

中盤になってようやく行洋が仕掛けるとヒカルは負けじと抵抗していく。

ヒカルにとっては我慢が続いていた碁だったが、行洋の一手にヒカルが反応し隙をつく。

上手く反撃されそうになりながらもヒカルがそこから土台を作って地を広げる。

左上の攻防戦に移るとさらに戦いは荒れていき、石の取り合いに発展した。

若干ヒカルが不利になるも会心の一手が行洋を黙らせる。

ヒカルが優勢に傾くと、行洋は両手を組み考え込む。

しばらくして行洋が打った一手は何でもない手でヒカルはこれに何の意図があるのかと疑問に思う。

色々考えた結果、下辺を全て奪い取るつもりかと分かり、牽制の一手を打つ。

行洋はヒカルの読みの深さに感嘆する。

先程の会心の一手も佐為と打ってるような感覚になる。

行洋は1年以上佐為と打ててないのを寂しく思っていたが、ヒカルとの対局はまさに佐為との対局に匹敵する素晴らしい対局だと思った。

神様との対局は指導碁で、それはそれで楽しいものだが、同程度の棋力を持つ者同士の対局はさらに楽しいものだ。

自分がいかに半目優勢に立つかをギリギリの所で考え込む時間はまさに至福と言っても過言ではない。

己の限界を超える事の出来る瞬間、神の一手に近付く瞬間を実感できる。

佐為との対局はまさに神の一手に近付く実感を得ていたが、ヒカルとの対局でも感じる事が出来るのは、やはりヒカルの打ち筋に佐為を感じるからだろうか。

 

 

ヒカルの牽制の一手に対して行洋が臆せず戦いを真っ向から挑んでいく。

半目が黒と白を行き来している中、下辺は行洋に軍配が上がった。

残るは中央と右上。お互い一歩も譲らないまま戦いが続いていく。

小寄せに入る手前、ヒカルの勝ちが不動となると行洋は投了した。

 

 

「また負けてしまったね。進藤君、強くなった。まるで佐為のような打ち筋だったよ」

 

と行洋がヒカルを誉める。

佐為のようだと誉められて、ヒカルは嬉しく思う。

ヒカルは今まで佐為と一緒に打ち、神の一手を目指そうと決心し突き進んできた。

佐為が居なくなって自分の碁の中に佐為を見つけた時、佐為は自分の中で生き続けているんだと思った。

それから15年が経って、佐為が生まれ変わって再会することになるのだから人生分からないものだが、少なくとも佐為がいた証は自分だけが知っている。今はアキラや緒方、行洋も佐為の存在を知っているし、棋譜としてはネット碁を打った時のものが出回っているため和谷達もsaiの存在を知っている。しかし、佐為の碁はヒカルだけに受け継がれている。

 

 

「進藤君、また打とう。楽しかった」

 

行洋はヒカルにそう言うと、

 

「そろそろ時間だ。帰りなさい」

 

と帰宅を促す。

 

「ホントだ! 危ない危ない。じゃあ、また来るよ! 神様、さよなら」

 

ヒカルは神様に挨拶すると足早に帰っていく。

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