繋想(けいそう)   作:彩加

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第4話

──ここは……

 

何もない空間に大きな扉。

扉が開くと、その人影に目線を移す。

烏帽子をかぶった端正な顔立ちをした男性。

 

「ようこそいらっしゃいました。塔矢アキラ」

「え? 僕を知っているのですか?」

 

と驚くアキラ。

 

「えぇ。もちろん知っていますよ。あなたが疑問に思っていた事の答え合わせを致しましょう。さあ、奥へどうぞ」

 

と指を奥へ差しながら笑顔を見せる。

色とりどりの草花を抜け、何もない場所へ行くと

 

「まずは一局打ちましょうか」

 

と対局を持ちかけられる。

この人が誰なのか全く分からない。

会った事もないのに自分の事を知る人物に緊張を隠せないアキラ。

 

「打てば全て分かりますよ」

 

と見透かされたように笑顔で言われてたので黒石を持ち一手目を打つ。

10手も打てばだいたい分かる。

 

──saiだ! もう一人の進藤では…なかった?

 

「お分かりになったようですね。私がsaiです。藤原佐為と申します。17年前のあの対局はヒカルを通して私が対局しておりました。あの頃はずいぶんと困らせてしまいましたね…」

 

苦笑いしながら佐為が言うと

 

「進藤が対局を休んでいた時期があったのは何故だろうか?」

 

とアキラは質問する。

 

「私が突然消えたからですよ」

 

アキラは混乱する。

 

「私は幽霊として2年あまり、ヒカルのそばにいたのです。そして突然ヒカルの前から居なくなった。」

「……なぜボクをここに呼んだのですか?」

 

整理の着かない頭で無理やり納得し、次の質問をぶつける。

 

「碁の神様が『囲碁』をしたかったのと、あなたがお父様とのお別れをきちんとできるようにです」

「?」

 

言葉が飲み込めないアキラ。

佐為が遠くを指差し、

 

「今あそこで打ってるのは神様と塔矢行洋、あなたのお父上です。あなたはアプリでここに来ましたが、お父様はアプリをお使いになっていません」

「え?!」

 

行洋に向けていた視線を佐為に向ける。楽しそうに碁を打つ父親に声を掛けようとしたが、思わず言葉を飲み込んでしまった。

 

「それはつまりーーー」

 

と恐る恐るアキラが聞く。目を伏せ目がちにして佐為は答える。

 

「死期が近いと言うことです」

 

心臓の音が大きく早く聞こえる。汗が額を伝う。

 

「………」

 

言葉を完全に失うアキラ。

しかし、最近寝てる時間も多くなった。ここで碁を打ってたのかと考えると納得も行く。ここにはsaiだけでなく神様との対局も叶うのだから、父がこっち側に長居する理由も分かる。

静かに見守る佐為。

 

──ふぅ。

 

大きく深呼吸を1つしたアキラは父親の方を見つめた後、佐為の目を見て、

 

「納得しました。教えて下さってありがとうございます」

 

と深々と頭を下げた。

ホッとする佐為。笑顔に変わり、

 

「神様は『囲碁』もご所望です。アプリは週2回、一回3時間まで利用出来ます。コレが次回以降のIDとパスワード。後1時間程時間がありますし神様と打って行きますか?」

 

とパスワードの書かれた紙をアキラに渡しながら質問する。

 

「囲碁なら今お父さんと打ってるんじゃ?」

「囲碁は単に碁(いし)を囲むという意味であると同時に、複数人で碁盤を囲む事も『囲碁』と言うのですよ。神様はずっと1人でしたので後者の『囲碁』を望んでおられるのです」

 

と云うと佐為は神様と行洋のいる方へ足を進める。

アキラもそういうことならと納得し佐為の後に続く。

 

「神様、行洋殿! アキラが来ましたよ」

 

と佐為が声を掛ける。

 

「アキラもここに来たのか。ここは天国だな」

 

とアキラを見て冗談に聞こえない冗談を行洋は言う。

 

「はい。ボクも一局打ちたいと思いまして来てしまいました」

 

とアキラが答える。

 

「私はペア碁をしたことがない。私とアキラ、佐為と行洋でペア碁をしても良いか?」

「それは喜んで」

 

と神様の提案に即答する行洋。

 

「アキラの残り時間が1時間ほどですので早碁に致しましょう」

 

と佐為が言うと対局時計がどこからともなく出てきて、時計をセットする。

 

「さて、それでは行きますよ!」

 

と佐為が第1手を打ち始める。

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