この力、この世界で役立つのか?   作:zaurusu

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プロローグ

例え、大きな力を手に入れたとしてもそれを有効に使うことが出来なければ、何にも意味がない。

 

そう、まさに俺こと八神次狼のことを言っている。

 

実を言うと、俺、転生者なんだ。

 

生前は高校生三年生で、登校の時にトラックに轢かれそうになった猫を身を呈して助けて死んだ。

 

そしたら、その助けた猫がまさか神様のペットで、助けてくれたお礼に転生させてもらったのだ。

 

転生の際に、特典をあげるからそこのくじを引いてと言われて、引いて見たところ、

 

漫画トリコのノッキングマスター次郎の技術と技、力を得る。おまけに、再生屋の技術をプレゼント。

 

なんて、書かれていた紙を見たときはびっくり仰天してしまった。

 

神様いわく、おみくじで言ったら中吉ぐらいなんだとか。

 

これで、中吉となると大吉とかどうなるんだ?と疑問に思ったのは言うまでもない。

 

まぁ、特典はいいとして気になったのは転生先だった。俺としては、この力を生かせそうな世界がいい。ONE PIECEとかHUNTER×HUNTERの世界がいいなと思っていた。

 

そう思っていた時期がありました。

 

「ちくしょう!狼王ギネスパンチ!」

 

絶賛、只今ミサイルを数発撃ち落としています。

 

なぜ、こうなっているかって?

 

転生先はこんなのがいいなと、考えている時に、神様が適当に転生先を選んで、いきなり、「良き人生を!」なんて、言った瞬間辺りが暗くなって気付いたら、砂浜で寝そべってました。

 

てか、転生って言ったから赤ちゃんからやり直すのかと思ってたのに、姿そのままで、「転生じゃなくて、転移だ!」と叫んでしまった。

 

そんでもって、やたら辺りが騒がしいなと思ったら、実はそれが避難警報で、遠くの方からから女性の声が聞こえるなと思ったら。

 

「日本に向けて、数千発のミサイルが発射されました!繰り返します!日本に向けて、数千発のミサイルが発射されました! 近くの住民は避難してください!」

 

なんて、とんでもないことを言っていた。携帯を見ても、避難の指示が表示されていた。

 

てか、この携帯、俺が死ぬ前に使ってたやつだった。

 

まぁ、それは置いといて。なんで、日本に向けて数千発のミサイルが発射された物語(はなし)なんて、俺は、一つしか知らない。

 

海の家を見つけて(不法侵入だが、この際しかたない)テレビをつけてみると、ミサイルを撃ち落とすために海上自衛隊のイージス艦や空母、戦闘機が沢山飛んでる中、一際、速く、次々とミサイルを撃退していく謎の白い騎士の様なロボット。

 

間違いない。

 

ここは、ISの世界だ!!!!!!!!!!!!!

 

よりにもよって、ISかよ!!

 

ISが嫌いなわけではない、話は面白いし、アニメもヒロインが可愛かったから、小説も何巻か購入していた。

 

だがしかし

 

「ISの世界じゃ、こんなの役に立つか!!!!」

 

ロボット同士の熱い戦いと青春がメインのこの物語に、なんに役立つのこの力!

 

せめて、ガンダムとか欲しかった!!

 

と思っていたら、目の前にミサイルが落ちて海の家が吹き飛びました。

 

俺?全然大したことなかったです。

 

流石は、ノッキングマスター次郎。この時だけ、この特典で良かったと思ってしまった。

 

で、よく見たら上空にこちらめがけて、ミサイルが飛んできているわけ。

 

わぁー、ミサイルの流星群や!!

 

と、グルメレポーター風に言って見たが、そんな美しいものじゃ無いです。

 

どうしようかと思ったら、懐から何故か狼王ギネスの牙がついた、グローブが見つかった。

 

嵌めてみたところ、ぴったりでした。

 

やることはただ一つ。ひたすら、ミサイルを撃ち落とすことじゃ!!!!!

 

「おりゃ!ギネスパンチ!!」

 

ドルルルルァアアア!!

 

最初は、変な方向へ行ったりしてミサイルに全然当たらなかったが、次第にコントロールに慣れ、二発に一回は当たる様になった。

 

でも、加減しないと原作通り本当に星まで喰らいそうな威力だった。

 

最初に打った一発が思いっきり振りすぎて、一瞬で遥か彼方への消えていって、ポカーンとしてしまった。

 

まさか、戦闘機とかに当たったりしないよな?

 

幸い、あの方向には誰もいなさそうだし。

 

「まぁ、いいか」

 

取り敢えず、今はこのミサイルの大群をなんとかしないといけないし。

 

そう思い、ギネスパンチを放つ。

 

だが、次狼は知らなかった。ギネスパンチが飛んでいった方向に丁度、次のミサイルを撃ち落とそうと、白騎士が近づいているのを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「束!後いくつだ!」

 

私、織斑千冬は親友のやらかした事の尻拭いをしていた。最初に話を聞いたときは、アイアンクローを決めて、直ぐにやめるように言ったが、時は既に遅く、数千発のミサイルが日本に向けて発射されていた。

 

いくら、ISが学会で認められなかったからと言って、こういう見せ方で納得させようとする親友に千冬は呆れていた。

 

頼れるのは私だけとか、一夏を守らなくていいのかと?言われたので渋々了解したが……やはり、やめれば良かったか。

 

そもそも、数千発は多すぎる。せめて、100ぐらいにして欲しかったと千冬は思っていた。

 

だが、そこは人間離れした肉体の持ち主と、後の天災と呼ばれる程の頭脳の持ち主が手を組めば、不可能を可能にしてしまうのだ。

 

「ちーちゃん!残りはそこから15キロ離れた、砂浜に落ちる予定だよ!数はそんなにないはずだよ!」

 

既に、ミサイルの9割はこの二人によって撃退されていた。途中、捕獲をしようとしてきた戦闘機は操縦者を強制的に脱出させた後々、撃墜した。

 

「わかった、今向かう!」

 

ISの出せる最高速度で千冬は束に指示された場所へと向かう。既に、音速で数時間は飛び、戦闘もしているのにも関わらず、ISは無傷だった。

 

この時ばかりは、千冬も束の事を褒めるのだった。だが、すこし今回はやりすぎだ。

 

千冬は速く残りのミサイルを撃ち落として、親友に括を入れようと考えていた。

 

その時、

 

ピピ!

 

ISのセンサーがこちらに向かってくる物体を捉えた。千冬は自分を捕獲しようとしてくる戦闘機かミサイルと思い、撃墜しようと臨戦態勢を取ろうとすると、プライベート・チャンネルから束が慌てた様子で何かを伝えようとしている。

 

「どうした束……」

 

「ちーちゃん避けて!今すぐ!」

 

「なに?」

 

刹那

 

ドルルルルァアアア!!

 

遥か先から聞こえてきた、獣の雄叫び、千冬が振り向くと既にそれは、数メートルまで近づいていた。

 

「ーーーっ!!」

 

それは、本能だった。思考する間も無く身体は既に動いていた。避けなければ死ぬ。

 

普通、あの距離からギネスパンチを躱すことは不可能に近い。だが、運良くISのハイパーセンサーに表示されていた事と、千冬の人間離れした動きにより回避することができた。

 

千冬が気がつく頃には、それは既に消えていた。

 

しかし、未だに千冬の顔からは汗が止まらなかった。

 

それは、死という恐怖に対面したからだった。

 

今まで、負けなしで最強と言われた千冬にはそれが何なのかは分からなかった。

 

しかし、これだけは分かる。

 

避けなければ、私は確実に死んでいた。

 

「大丈夫!?ちーちゃん!返事をして!!」

 

束の声でようやく我に帰る。

 

「ああ、大丈夫だ。それよりも速くミサイルを……」

 

「その事なんだけど……」

 

束の口調がなにか曇っている。

 

「もう、ミサイルは……全部消えたよ……」

 

「なに!?」

 

そんな馬鹿な!?、数百は残っていたはずだ!!

 

何かの間違いじゃないかと言ったが

 

「いや、ちーちゃんがぼーっとしてる時に、反応がなくなったんだよ……間違いない、ミサイルは全部撃墜された。」

 

束がいつにも増して真剣な声だ。

 

「取り敢えず、終わったから帰ってきて……色々とやりたいことがあるし……」

 

「ああ、そうだな……」

 

二人に残ったのは、達成感よりも違和感だった。

 

あれは、なんだったのか? そして、何処から飛んできたのか?

 

後からわかったことだったが、ISのスラスターの一部が破損していたようだ。

 

束は終始驚いていたな。シールドエネルギーがどうとか、絶対防御がどうとか。わたしにはよく分からないが……本人は相当(こた)えたみたいたな。

 

束はISの事はしばらく置くことにして、あれが何なのかを調べるみたいだ。

 

「まぁ、私にはどうでもいいがな」

 

そう言って、千冬は愛する弟がいる我が家へと帰るのであった。

 

 

この後、ISが次々にミサイルを撃ち落とす映像がマスコミに流れ、世界中に拡散していった。

 

日本に向けて発射されたミサイルは合計で2341発。それをたった一人で撃墜したそのISは戦う姿から白騎士とよばれ、この事件は「白騎士事件」と名付けられた。

 

まさに、歴史が変わった瞬間であった。

 

そんな中、次狼は……

 

「これ、どうしようかな……」

 

めちゃくちゃになった、砂浜や海の家をどうしようかと考えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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