この力、この世界で役立つのか?   作:zaurusu

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第6話

ある日……

 

次狼はいつものように、のんびりしながら食材の再生をしていた。

だが、しばらくすると電話が鳴り、出ると相手はクロエちゃんからで「束様が父さ……次狼さんに渡したいものがあります。」と言うと、可愛らしいうさぎマーク付きの地図が送られてきた。

 

クロエちゃんが父様といい間違えそうになったのはこの際置いておいて、束が俺に渡したいものとはなんだろうか?

 

それなら、郵便で送ればいいのにと思い、メールを送信したら、『それだと父様がブタ箱行きになりますよ?』と淡々と返信が来たので、一体何を渡すつもりなんだ!?と心の中で叫んでしまった。

 

メールには父様と書いてあるのだが、何を送ろうとしてるのか気になってそれどころではなかった。

 

まさか、ISとかじゃないよな?

 

ISに触れたことないから、適性があるかはわからない。いや、束の事だからイタズラで俺も動かせるようにするかも知られないし……まぁ、取り敢えず行けばいいか。

 

指定された場所はかなり遠いが、高速を使えばすぐに行ける。だが、今現在、高速道路は帰省ラッシュで物凄い渋滞が発生しているとニュースで言っていた。

 

流石の次狼も、あの渋滞に並ぶのは勘弁だ。

 

でも、そんな時役立つのが

 

「ゴン、この場所まで行けるか?」

 

「ワォン!」

 

相棒のゴンである。

 

新幹線以上のスピードを持ち、尚且つ知能も高い。渋滞など皆無に等しい。

 

一応、政府からは許可を貰って公道を走る際は軽車両扱いになり、犯罪ではないがそれでも警察沙汰になるので、いつもは民家やビルの屋根伝いを走っている。

 

今回もそんな感じで向かう予定だ。

 

「よし、行け!」

 

ゴンにまたがり、合図すると一瞬でその場から消えた。

 

 

しばらくして……

 

 

「えっと、地図によるとこのあたりなんだけど……」

 

地図を片手に、指定された場所に向かうと、あたりは断崖絶壁の崖に囲まれ、隠れるようにひっそりとした砂浜が広がる場所だった。

 

いかにも、密入国や密輸といった犯罪が起こりそうな場所である。

 

「グルルル!」

 

一応、ゴンも付いて来ている。あんなひらけた場所に待機させておいたら猛獣が出たとパニックになる事間違いなしだからね。

 

なるべく、人に見られないよう、隠すつもりで連れて来たのだが……

 

「どうした、ゴン?」

 

「ワォーン!!」

 

先程からゴンの様子がおかしい。何やら、上空をじっと眺めて時々唸ってら、吠えている。

 

普段は温厚なゴンがこんなになる理由はただ、一つ。なにか、良くない物事や得体の知れない物が近づいている証だ。

 

次狼もゴンが向いている方向に集中して目を見張ると、何やら3つの飛行物体がこっちに近づいて来ている。

 

「あれは!」

 

1つは人参型のロケット。もう2つはそれを追いかけ、今にも撃ち落とさんとばかりに攻撃を仕掛けている2機のIS。

 

あんな変なロケットに乗り、こんな状態を作れる奴は世界でただ1人だけだ。

 

束のやつ、またしくじったな。そのたんびに、尻拭いするのは千冬と俺なんだから堪まったものではない。

 

まったく、貸し一つだ。

 

「仕方がない、ゴン!!」

 

「ワォン!!」

 

ゴンに命令すると、その場から一瞬で消えると、いつのまにか2機のISの真後ろに移動しており、後ろ足で思いっきり一方のISを蹴ると衝撃で飛ばされ、もう一機に激突すると、巻き込む形で海へと落ちていった。

 

一応、絶対防壁が発動してるはずだし、手加減はしたから死にはしないだろう。

 

ゴンが次狼のとなりに戻ると、携帯が鳴り始めた。

 

非通知……束だな。

 

「もしもし…」

 

『じーくん!何したかわからないけど、ありがとう!悪いんだけど場所変更するよ!安心して、そんな遠くないから!!』

 

そういって、すぐに電話を切るとメールで再び地図が送られて来た。今度は普通のマークだった。

 

確かに、それほど遠くはない。

 

でも、先程の2人が再びISを展開して追いかけてるかもしれないからゴンに乗って素早く行く事にした。

 

 

 

新たに指定された場所は10分もかからなかった。

 

とはいえ、ここも先程の砂浜同様、犯罪が行われてそうな場所だった。

 

そひて、しばらく歩くと地面に突き刺さった人参ロケットを発見した。

 

至る所が凹んでおり、そこから煙が出ていた。ありゃー、故障してるな。

 

束の奴、無事だろうか?

 

「やー、じーくん!さっきはどうもありがとう!」

 

「はー……」

 

前言撤回、物凄い頑丈な事を忘れていた。

 

「ワン!」

 

「おろ!? ゴンちゃんだ!久しぶりだね〜。元気だった?束さんは元気だよ〜、ブイブイ!」

 

「ワン!」

 

ゴンは嬉しいのか、束にべったりだ。

 

「にゃはは!くすぐったいよ〜!」

 

完全に2匹だけの世界に(正確には1匹と1人だが……うさ耳つけてるから匹でいいか)なっている。

 

そんな中……ロケットから人影が降りて来た。

 

「お久しぶりです。次……お父様」

 

クロエちゃんだった。

 

「うん、なんで言い直す必要はなかったのに言い直したのかはさておき、久しぶりだね。怪我はない?結構な衝撃だった思うけど?」

 

束はともかく、クロエちゃんは少しか弱いところがあるから心配だ。

 

束に負けないぐらいの過保護ぶりを発揮するのもしばしば。

 

妹みたいだからと次狼は言うが、その姿は父と娘にしか見えないと、千冬や束に弄られるのだが本人は分かっていない。

 

「はい、見た目はあれですが、世界最高峰の技術のかたまりですから問題ありません」

 

よかった、どうやら怪我はないみたい。

 

それと、気になることがもう一つ。

 

「クロエちゃん、(ナノマシン)の調子はどう?束は大丈夫って言ってるけど……」

 

クロエはドイツの極秘研究所で試験管ベイビーとして造られた。次狼が保護した時は両目にヴォーダン・オージェが埋め込まれ、不適合だった為に両目とも金色に変色してしまったらしく、出来損ないの烙印を押されていた。

 

「はい、今のところは安定しています」

 

そう言って、目を開けると黄金の瞳が現れる。俺は綺麗だと思うが見る人によっては奇妙に映るかもしれない。それのせいで、クロエちゃんは日常的に目を閉じるようになった。

 

それ以外にも、クロエがいつも目を閉じてるのには理由がある

 

「うん、確かに安定してるな。ナノマシンも正常に動いてるみたいだし。もう、暴走することはないんじゃないかな?」

 

そう、最初の頃はナノマシンの情報処理能力が暴走して脳に強制的に危険信号を送ったことによって次狼と束に本能的に攻撃をすることがしばしばあった。

 

最初は変わりの目を用意しようかと思ったけど、束曰く、そのナノマシンがクロエちゃんの命を良くも悪くもを支えてるようで、下手に摘出すると死ぬかもしれないとのこと。

 

なので、次狼がナノマシンを一時的にノッキングして動きを止めた隙に束が欠点を修理した。

 

その結果、もう暴走することはほとんどなくなったのだが、やはりあの時の事がトラウマらしく、今も目を閉じたままだ。

 

それでは、見えないのではないかと思ったがナノマシンによって目を開けてなくても景色が情報化されて脳に送られてるから見えるそうだ。

 

でも、いつかその綺麗な瞳で実際にこの景色を目に焼きつける日が来るかもしれない。その時まで、俺と束は何があってもクロエちゃんを守ると誓っている。

 

「はい。これも、束様と次狼さんのお陰です」

 

「うんうん、やっぱクロエちゃんは笑顔が一番似合うよ」

 

なでなで

 

「………//////」

 

撫でられて、恥ずかしいのか頬が少し赤くなっている。でも、いやではなさそうだった。

 

やっぱ、こういうところは普通の女の子なんだな〜と思っていると……

 

「むぅ〜!くーちゃんばかりずるい〜!じーくん、私もなでなでして!!」

 

ゴンと戯れていたはずの束がいつのまにかいた。

 

「はー、仕方ないですね」

 

なでなで

 

「………//////」

 

束も束ねで次狼のなでなでが思いのほか、良かったのか顔が赤かった。

 

「束様ずるいです!私も、お父様にもっと撫でてもらいたいのに……」

 

そしたら、嫉妬したクロエちゃんが出てくるから。最終的に次狼は束とクロエの2人を撫でる羽目になった。

 

しばらく、2人を撫でていると……

 

「くぅ〜ん……」

 

「ゴン、お前もか……」

 

寂しそうに、羨ましそうな目線だった。かわいそうなので、手招きして次狼はゴンもなかに入れた。

 

そして、最終的に気持ちよくなって寝てしまったクロエをゴンの上に乗せたのだが、いい夢を見てるのか、表情が嬉しそうだった。

 

それを見た2人と一匹は、どこかほっこりしたとか。

 

 

 

 

 




クロエが熟睡中の会話

「そういえば、渡したいものってなんですか?」

「あ、そうそう。うっかり忘れてたよ!」

「大丈夫……?」

「まぁまぁ、それより、はいこれ!」

「なんですかこれ?ハンドガンとスナイパーライフルみたいですけど……」

「うん、それは前に貸してもらったノッキングガンを私なりに改造したものだよ。あのままだと、なんかダサいからね。かっこよく銃にして見ました!ブイブイ!」

「おー、確かにかっこいいですね」

「へへへ、そうでしょ?ハンドガンは対人用でスナイパーライフルは対IS用だよ!」

「対IS用って……」

「そのライフルの弾は特別でね?強力な電流が流れるとともに、特殊なコンピュータウィルスが仕込んであるんだよ。かすっただけでたちまち機能停止するよ?」

「なるほど、ロボットや機械専用のノッキングガンみたいなものですか」

「さすがはじーくん!でも、そのライフルは衝撃がそこらのライフル銃とは比べものにならないから気をつけてね……って言いたいけどじーくんには関係ないか」

「それは、言わない約束ですよ。千冬だったら間違いなくアイアンクローをお見舞いしてるところです」

「げぇ、ちーちゃんのあれは確かにやばいからね。出ないものが本当に出そうになるから」

「なら、少しは自重したらいいと思うんですけど……」

「むふふふ、じーくんはわかってないな〜。私は天災なのだ!!自重なんて言葉は私にない!!てへぺろ〜☆」

「…………合掌」

「Σ(゚д゚lll)なんで合掌してるの!?」

「いや、近いうちに本当にそうなりそうな感じが……」

「やめて!じーくんの予感は本当に当たるんだから!」

「………束様、今までありがとうございます……」

「(´;Д;`)うわーん!くーちゃんも寝言でなんか言ってる!?私、死んじゃう!本当に死んじゃう気がした来たよ!」

拝啓、お父さんお母さん、今日もこの世界は平和です。









なんだ、こりゃ。

どうも、今回は束との日常?です。

クロエについてですが、若干キャラ崩壊しています。口調や容姿はアニメでわかったんですが、性格はわからなかったのでオリジナルです。

一応、次狼はクロエの事を可愛い妹としてみています。恋愛感情はない……やっぱわかりません。

ナノマシンの設定なんかもオリジナルです。

もうしばらくは日常辺を書きたいと思います。

今回は 戦闘とは言えるかわかりませんが、戦闘描写をかきました。

そのうち、きちんとしたものを書く予定です。


さて、番外編の話ですがとても迷っています。

束とのデートにするか、クロエ救出、他の作品とのコラボ、もし次狼がISを憎み世界を敵に回すなど色々出て来ますがなにかこいうのがいいとなありましたら、是非お願いします!






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