この力、この世界で役立つのか?   作:zaurusu

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第7話

今日の天気は快晴で雲一つもない。

 

それでいて、夏とは思えないほど、涼しくて過ごしやすい日でもあった。

 

というわけで……

 

「いやー、こんな日は魚釣りに行くのに限るよ」

 

「本当だな!よし、弾、数馬、どっちが多く釣れるか勝負だ!」

 

「おうよ、そうこなくっちゃな!」

 

「ふん、僕につられてみるといい!」

 

「色々と突っ込みたいところがあるんだけど……まぁ、いいわ。」

 

暇だったので、一夏君、弾君、数馬君、鈴ちゃんを釣りに誘った。因みに、千冬さんも誘ったけど運悪く、仕事で呼び出されたみたいで残念だった。

 

まぁ、また今度誘えばいい。

 

今回参加した中で釣り初心者だったのが、一夏君と鈴ちゃんだった。2人とも誘った時は凄く目がキラキラしていた。

 

2人は釣り道具を持ってないとの事なので、次狼が貸し出すことにした。

因みに、一夏君は伸縮タイプの万能竿。鈴ちゃんはヘラブナ竿を選んでいた。

 

海釣りかと思った?残念、俺は川釣り派なんだ。

 

丁度、鮎釣りが解禁になったから沢山つるぞ!

 

でも、初心者に鮎釣りは難しいからオイカワとかヘラブナとか簡単な奴を釣ってもらうことにした。

 

でも、いざ開始となると必ず釣り初心者がぶつかる壁がある。

 

それは、餌つけだ。

 

弾君や数馬君は経験があるからスムーズにつけれるが、初心者の2人は苦戦していた。

 

いつもは、ぶどう虫やイクラなんかを使うんだけど……ぶどう虫は運悪く売り切れでイクラは用意したんだけど思いのほか崩れやすくなってしまったのでダメになった。

 

その為、代わりになる、とても万能な赤虫を選んだのだが……こいつが思いのほか元気でうねうね動くものだから尚更つけにくい。

 

でも、流石は主人公というか、しばらくすれば一夏君はいとも簡単に針に餌を通していた。

 

しかし、鈴ちゃんは相変わらずだった。

 

と、ここでも一夏君のスキルが発動する。

 

見かねたのか、代わりにつけてやると言い出した。

 

それも、普通につけるかと思ったら、わざわざ後ろに回って、鈴ちゃんの手を優しく持って「こうするんだ。」と耳元で優しく囁くものだからりんちゃんの顔がユデダコ状態になる。

 

恋人同士がやる事をいとも簡単にやってのけてしまう。それでいて、何も思わないものだから本当に罪作りなものだ。

 

当の本人は「わかったか?」と呑気な事を言ってるが、あれ、絶対わかるわけがない。

 

そんな、甘〜い光景を見せつけられた男子2人はというと

 

「「けぇ!」」

 

「おわ!?どうしたんだよお前ら?」

 

「「別に!!」」

 

やけになって、釣りを再開するのだった。そのうち、嫉妬が限界を迎えて川に落っことしたりしないかな?一応ライフジャケットはつけてはいるが……

 

まぁ、大丈夫だろう。

 

「さて、俺もそろそろ……」

 

手頃な鮎を捕まえて、友釣りの仕掛けを作る。なるべく、獲物がいそうでなおかつ、4人から離れないような場所で始めた。

 

「フィッシュ!!」

 

竿を入れて、ものの数秒でかかった。

 

中々の大物だ。塩焼きにしたら美味いだろうな。

 

さて、向こうはどうかな……

 

「お、釣れた!」

 

「あ、私も!」

 

「「くそ!なぜ、俺らだけ釣れない!!」

 

はは、弾君と数馬君は釣れてないようだね。

 

「あ、また釣れたわ!」

 

「お、これは結構でかいぞ!」

 

「あ、俺も釣れ……なんだ、長靴かよ……って長靴!?」

 

「よし、俺もかかっ……ぎゃー、生首(人形)!!」

 

それとも、ただ単に一夏君と鈴ちゃんが釣り過ぎなのか。

 

まぁ、弾君や数馬君もある意味すごいものを釣っている気がするのだが……気のせいだろう。

 

それにしても、2分に一回のペースで当たってないか?高級魚なんかも釣れたみたいだし。

 

これは、負けるわけにはいかない。

 

「ベテランのテクニックを見るがいい!!」

 

次狼も負けじと、釣りを再開する。

 

 

四時間後……

 

「釣りって面白いな!」

 

「ええ、思ってたよりも楽しかったわね!」

 

「「なぜじゃー!!」」

 

この時間で4人が釣った魚は合計で47匹。オイカワやウグイ、鯉、ナマズ。変わった所でドンコやカワムツ、すごい所では鮎や岩魚、ヤマメ、鰻なども入っていた。

 

これらの魚は全部一夏君と鈴ちゃんが釣ったものである。

 

一応弾君達も釣れたには釣れたが、全部生き物ではなく、極端にいうとゴミばかり釣れていた。

 

いやー、びっくりした。まさか、人形の生首釣ったり、びちゃびちゃになったエロ本を釣ったり、やっとの思いで釣れた魚を鳥に奪われたりとある意味才能を見せていた。

 

でも、坊主なのは変わりない。

 

そんな中、次狼はというと……

 

「ふむ、中々だったな」

 

合計で35匹の鮎を釣っていた。他にも、ナマズやカニなんかも途中で捕まえたりもしたため、籠の中は今にも溢れそうな勢いだ。

 

時間も丁度いいから、この辺りで帰るとするか。

 

「おーい、みんな!そろそろ帰るぞ!」

 

さて、本当のお楽しみは家に帰ってからだ。

 

 

 

 

 

 

 

次狼の自宅にて

 

「ほら、焼けたぞ!」

 

七輪で火を起こして、串刺しにした鮎を縦にさして焼く。いい感じに焼けてきたら、適度に塩を振る。

 

瞬く間に鮎の塩焼きの完成。

 

「おお!美味そ!」

 

「ええ!そうね!」

 

「よし、こっちも天ぷらが上がったぞ!」

 

「こっちは、あと少しで蒲焼ができるぜ!」

 

その他にも釣った魚は弾君と一夏君が料理してくれている。鈴ちゃんと数馬君にはテーブルとお皿を並べるよう頼んでおいた。

 

岩魚と鮎の塩焼き、ヤマメの天ぷら、鰻の蒲焼き、ナマズのハンバーグ、鯉の煮付け、モクズガニの味噌汁、どれも食欲をそそるいい匂いだ。

 

全員が席に座る

 

そして、あの言葉を必ずいう。

 

「この世の全ての食材に感謝を込めて……」

 

「「「「「いただきます!!」」」」」

 

 

さて、お味の方は

 

「「「「「美味い!」」」」」

 

「鈴、この鮎、美味いな!」

 

「ええ、ヤマメの天ぷらもサクサクして歯ごたえがあって美味しいわ!」

 

「ナマズは泥臭いと聞いていたけど、淡白であっさりして幾らでも食べれるな。鰻も脂が乗っていて食べ応えがある」

 

「ああ、そうだろ? この鯉の煮付けも味がしみてて美味いぜ!」

 

食材が素晴らしいこともあるが、何よりみんなで食べるからこそ料理はより美味しくなるのだ。

 

楽しい食事会が続くと、一台のタクシーが玄関前でとまった。降りてきた人物はやはりあの人だった。

 

「あれ、千冬姉!?今日は帰ってこれないって……」

 

「ああ、仕事先で少しトラブルが起きてな。そんなことより、釣りは楽しかったか?」

 

「ああ、めちゃくちゃ楽しかったぜ!」

 

サムズアップで答える一夏君。どうやら、本当に楽しかったみたいで良かった。

 

「そうか、それはよかった。次狼、迷惑をかけたな。本当なら、私もついていくべきだったんだが……」

 

「そんな事ありませんよ。千冬が忙しいのは仕方がない事ですし、今度は休暇の時に行きましょう。」

 

「ふむ、その時はよろしく頼む」

 

「ははは、それより千冬は食事がまだですか?よければ、一緒にどうですか?魚はまだまだ沢山ありますよ?」

 

「ふむ、ならお邪魔させてもらおう」

 

こうして、千冬も加わり、食事会は更に賑やかになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




釣りの回です。

発端はISのOVAで一夏君が暇つぶしに釣りをしていたシーンから思いつきました。

個人的に私も海釣りよりも川の方が好きです。理由は何となく落ち着くから?

わたしの釣りスタイルは魚が餌にかかるまでひたすら待つタイプです。

なので、鈴とレジャーシート、小型の折りたたみ椅子は欠かせません。その間は寝たり、携帯でゲームしたりする事がおおいです。





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