この力、この世界で役立つのか?   作:zaurusu

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今回は少しシリアスな話です。


第10話

一夏君の職業体験が終わって早、2週間。便利屋と勘違いした依頼が次々くるが、ようやく落ち着いたところだ。

 

本来なら、休業中なのに仕事に駆り出されたのだから残業手当が欲しいが、個人経営だから関係ナッシング。

 

ブラック企業顔負けの忙しさだった。

 

そんな体験をした次狼が今何をしてるのかというと……

 

「あ〜、極楽極楽」

 

仕事の疲れを癒しに人里離れた温泉地へと旅行に行っていた。

 

温泉マニアが選ぶ隠れた名露天風呂で堂々の一位に選ばれた温泉、猿翁山の滝温泉に浸かっている。

 

全国でも珍しい、温泉の滝が流れているのと、あたりを囲む紅葉の葉が風流だ。ここで、一句とか言えたらかっこいいだろうな。

 

まぁ、俺にはそんな才能が無いから無理だけど。

 

それと、ここの温泉は鉄分が豊富で美肌効果、肩こり、腰痛、血流が良くなったりと地元でもかなり有名なのだが、運がいいのか、今回は次狼1人だけしかいなかった。

 

寂しいが、この景色を独り占めできると思って楽しもう。

 

「んー、やっぱ熱燗は辛口に限るな〜」

 

温泉に来たからには、これをやらなくてはならない。

 

温泉に入りながらの、熱燗はやっぱり違うな。なんか、ほっくりしてきた。

 

お酒を飲み終えると、アルコールが少し回ってきたのか身体が火照ってきたので一度上がり、身体を冷やして再び湯船に使った。

 

今度はどっぷりと肩まで浸かる。

 

半身入浴の方が健康にいいというけど、やっぱ日本人は肩まで浸かってこそ温泉に来たと思うんだ。

 

「あ〜………」

 

気持ち良さにだらけていると……

 

「あら、中々良さそうな雰囲気じゃないの」

 

「おお、そうだな!」

 

何やら、奥の方で女性2人の声が聞こえる。

 

確か、ここ混浴だったな。

 

しばらくすると、タオルを巻いた女性が湯気の向こうから現れた。

 

「あら、どうやら先客がいたみたいね」

 

腰まで伸ばした金色の髪、紅瞳、そして妖艶を思わせる白い肌。外国人だろうか?

 

「おう、どうやら男みたいだな」

 

もう一方の人も、茶髪を腰までのばし、とても大人の雰囲気を持つとても綺麗な人だった。

 

「いや、どうも。それにしても、外国の人ですか? こんな秘境に珍しいですね?」

 

「ええ、ここの温泉は治療にいいのよ」

 

そう行った、女性の体をよく見るとどこかガラス細工のようで少しでも衝撃を与えたら崩れそうな感じがした。

 

逆にもう1人の方は、どこか活発な雰囲気がある。

 

2人は恥ずかしがることなく次狼の目の前で湯船に浸かる。まぁ、外国では混浴なんて日本よりも普通にあるみたいだからそこまで恥ずかしくないって言っていたな。

 

「「あ〜」」

 

よほど、心地よいのか顔が少しにやけていた。風呂は命の洗濯というだけあってそれを実感しているようだった。

 

しばらく温泉に浸かっていると向こうから質問が飛んで来た。

 

「そういえば、あなたこそなんでこんなとこにいる? あたし達は仕事の慰安できたんだけど?」

 

「俺も、そんな感じですかね。ここんとこ休む暇もなく海外を飛び回っていましたからね……」

 

「へぇー、そいつは大変ね、一体どんな仕事してるのかしら?」

 

うーん、なんて言えばいいのか困るな。再生屋なんて言っても伝わるか分からないし、かといって便利屋ったら答えたらなんか嫌だし……言うだけ言ってみるか。

 

「えっと、再生屋って仕事をしてます。」

 

「「…………」」

 

やはり、ピンとこないよね。やっぱり、便利屋の方がしっかりしていいんじゃないかと最近思うようになって来てる自分がいて困惑してるんだ。

 

そんな中、茶髪の女性が何かを思い出したかのように、こちらを睨むと

 

「再生屋……!? もしかして、お前、あの次狼って奴か?」

 

そう言うと、金髪の女性が少し驚いた顔でこちらを見てきた。

 

「ええ、あのとは何かは分かりませんが次狼って名前はあってますよ」

 

「あら、まさかこんなところで、かの有名な次狼博士に会えるなんて光栄だわ」

 

「ははは、博士なんて柄じゃありませんよ」

 

と言うか、そもそも博士号を取ってない。それなのに、依頼先からはよく博士とか教授なんて呼ばれることが多い。

 

「そんなに謙遜するなよ、今の時代、自慢できるものは自慢しとかないと飲み込まれるぜ? とくに男はな」

 

「肝に命じときますよ」

 

「ははは!それでいい!!」

 

この人、少し口は悪いけど話すと案外悪い人ではなさそうだ。今時珍しい女尊男卑な思想にかなり反対しているみたいで、男勝りな生活がどうも千冬と酷似していて馬が合う。

 

「あ、よければ名前を聞いていいですか?」

 

話が進んだのはいいのだが、肝心の2人の名前を聞くのを忘れていた。

 

「あー、言ってなかったわね。私は……」

 

言おうとしたその時

 

ピロロロロロ

 

突然、どこからか携帯電話が鳴り始めた。

 

「お、悪い。私だ………なに?わかった。直ぐそちらに向かう」

 

茶髪の女性が電話に出ると、何やら表情が先程とほ一変して険しい表情になった。

 

「緊急事態だ。急ぐぞ!」

 

「どうやら、慰安旅行はここで終了みたいね。あーあ、今夜の懐石料理は楽しみにしてたのに……これは、後で謝礼を貰わないとね」

 

そういって、2人は温泉から出て行ってしまった。

 

話を聞く限り、会社から呼び出されたようだ。

 

慰安旅行中に呼び出しとか、どんだけブラックな企業に勤めてるのだろうかあの2人は?

 

心配していると

 

「あ、そうそう。ここに名刺置いておくから、しっかり読んでおきなさい」

 

「ついでに、私のも置いておくぞ。何かあったら、頼るといい。まぁ、それなりの報酬は貰うがな?」

 

そう言って出て行ってしまった。

 

次狼がそのまま名刺を取るとそこにははっきりとした文字で

 

スコール・ミューゼル

 

オータム

 

と書かれていた。

 

そう、2人は亡国機業(ファントムタスク)のメンバーだ。

 

そして、スコールの名刺の裏には

 

もしも、この世界に嫌気がさしたらここに連絡しなさい。歓迎するわ、束博士お気に入りの1人の次狼博士♡

 

亡国機業には完全に次狼の存在がバレていた。

 

オータムは知らなかったようだけど、スコールは最初から知っていたようだ。

 

あの時奇妙に感じたのは、そのせいか。

 

それにしても、厄介な奴らに目をつけられたものだ。

 

亡国機業、第二次世界大戦終期に誕生した謎の裏組織……奴らの目的は一体……

 

そう考えていると……

 

「……雨か」

 

先程まで、晴れていたのがいきなりあたりが暗くなると雨が降り出した。

分厚い雲がまるで太陽を飲み込まんとする勢いで広がっていく。

 

どことなく嫌な予感がする。

 

これは予感だが、そろそろ世界が大きく動き出す。

 

その為にも、準備をしなければならない。

 

何があってもいいように……

 

 

 

 

 

 

 

 




オータムとスコールの登場。どうやら、スコールは次狼の事を知っているようです。果たして今後どうなるやら。

フラグたてたりなんかも……まさかね。

次回もお楽しみに!!
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