蒼き天使と女神達   作:エルシオンガンダム
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第3話:海と英霊



キラの夢を見た。


その夢はおそらく、ガイアが言っていた前世のだろう。


だが・・・あれはいくらなんでも狂気に満ちていた。


生まれ方が違うというだけで彼らを化け物と呼び、追い出そうとするどころか抹殺しようとまでした。


核ミサイルどころか、あのような虐殺兵器まで・・・私が言うのもあれだが、人の命をなんだと思っているんだ?


その中でもキラは、大切な者達を守るために戦って来た。


なのに、キラの目の前で大切な者達が殺されていく。


・・・なるほど、あのガイアが生涯共にいると言ったわけだ。


それにキラが謝罪した理由も解った。


・・・・・・彼は強いのだな・・・。


一人では背負いきれない罪だとしても、『それでも』と言い続けてきた。


ならば私も、キラを守るとしよう。






もう、一人にさせないためにも・・・。







――――――――――――――――――――――――――――――――――――








「ここが遺跡ですか?」
「そうですわ」
シヴァと契約(という名のセックス)を終わらせて2時間が経ち、キラ達は目的地の一つである遺跡にたどり着いた。
「遺跡ってもっと古いものだと思っていましたけど・・・」
「この世界は私達から見れば過去の文明ですが、キラ様からみれば未来の文明ですわ」
「なんかエ○シャダイみたいですけど?」
「そういう世界なんだ」
3人は話し合いながらも、遺跡の中に入る。そこには、見たことも無い機械と鏡の様な物が鎮座していた。
「これは?」
「ゲートだな」
「キラ様、デバイスをゲートの前に翳してくださいまし」
「こ、こうですか?」
キラはガイアの言うとおりに、デバイスをゲートに翳した。すると、突如ゲートが光りだした。
「それでは、行きましょうか」
「そうだな」
「は、はい!」


そして3人は、光るゲートの中に入るのだった。




「えっと・・・ここは?」
「海・・・みたいですわね?」
次にキラ達が目をあけると、そこは海と砂浜だった。後を見ると、先ほどみたいな遺跡の残骸がちらほら見える。
「・・・ってアッツ!?」
「南国みたいな暑さだな?」
「えぇ」
そう、なんといっても此処は南の島の様な暑さなのだ。雲ひとつない青空に、青い海。まさしくハワイそのものである。
「それにしても、綺麗な海ですね・・・」
「そうですわね」
「何処までも続く青い海、本当に綺麗だ」
キラに同意するように、ガイアとシヴァも感想を述べる。
「キラ様、折角ですし泳ぎませんか?」
「え?でも僕、水着なんて持ってませんよ?」
「それなら心配いりませんわ♪」
そう言ってガイアはキラの前に、男の子用の水着を出現させた。蒼いラインが入った白いハーフパンツタイプである。
「私は創造神、水着の一つや二つ無から作ることなど造作もありませんわ」
「すごい・・・でも」
「やっていることがショボイな?」
「ショボイとは失礼な!」
シヴァの直球な感想にガイアは怒り出した。それをよそにキラはガイアが作った水着を手に取り、色んな場所を調べた。
「・・・本当に凄い。生地の材質も、何から何まで水着だ」
「ふふっ、驚きましたか?」
「はい!」
満面の笑顔で返事をしたキラ。それを見たガイアとシヴァはズキューンと来たらしい。
「それじゃあ、僕あっちで着替えてきます!」
そんな二人などお構いなしと言わんばかりに、キラは遺跡の一部に向かって行った。
「・・・私達も、着替えましょうか?」///
「・・・そうだな」///
二人も別の場所で水着に着替えるのだった。


数分後


「う~ん、そろそろかな?」
水着に着替えたキラは、時間のかかっている二人を待っていた。
「お待たせいたしましたわ、キラ様」
「待たせたな」
「あ、ガイアさん、シヴァさ・・・」
やって来た二人の方に振り向いたキラは、最後まで言うことができなかった。
まずガイアは白と緑のパレオタイプで、シヴァは青いマイクロビキニである。さらにガイアは髪型をポニーテールに、シヴァはストレートにしているので、何時もとは違う魅力がある。
そんな彼女達を見て、本来なら思春期真っ盛りなキラは顔をトマトの様に顔を赤くしたのである。
「ど、どうだ私達は?」///
「すごく・・・綺麗です」///
「あらあらキラ様ったら、お顔を赤くしちゃって♪」
キラの反応が可愛かったのか、ガイアは顔を赤くしているキラを見て笑った。だがキラの反応は間違っていなかった。神秘を帯びた女神二人が、水着を着れば誰だって顔を赤くするであろう。男性だけでなく、女性でも少なからず見惚れてしまう程だ。
「所で、キラ様は泳ぎは?」
「プールで数回泳いだ程度です」
前世と今世、どちらもキラは家にいる方が多かったので、余り外に出て泳ぐことはなかったのである。
「それならば、私が泳ぎを教えよう」
「シヴァさんが?」
「私の属性は水だ、泳ぎくらい簡単だ」
「勿論私もできますわ」
「・・・それじゃあ、お願いします」
キラは少し考えると、シヴァに泳ぎを教わることにしたのだった。


「うわ!?しょっぱい!?」
初めて海で泳ぐキラは、海の水がしょっぱいことに驚いた。
「どうだ海は?」
「初めてのことがいっぱいあって凄いです」
「あらあら♪」
「そうか」
楽しそうに遊ぶキラを見て、ガイアとシヴァは微笑んだ。
「・・・元気でよかったですわね」
「そうだな」
今まで辛い思いをしてきたキラが楽しそうにしているのに、二人共安心したのである。
「前世から何度も嘆き悲しみ、転生しても尚泣き叫ぶだなんて・・・」
「辛かっただろうな・・・・・・憎んでしまえば楽だろうに、恨んでしまえば楽だろうに。戦争を見てしまった為に、それすらもできずに我慢していたのだな」
戦争を見たからこそ、憎み合うことがどれだけ愚かな行為なのかを知っている。
「・・・強いな」
「えぇ・・・」
だから二人は、キラが強いと称した。絶望しても尚憎もうとしない、それは普通では到底できないことだ。

だがそれは同時に、自分を追い込んでしまっているのだ。

「それなら私たちが、キラ様の心のよりどころにならなくては」
「そうだな」
二人は改めて、キラの傍に居ることを誓う。
「おーいガイアさん!シヴァさん!こっちにサザエとか美味しそうな貝がありますよ!?」
「解りましたわ!」
「すぐそっちに行く!」

二人はキラの元に泳いで向かった。



―――――――――――――――――――――――――――




「英霊・・・ですか?」
「そうですわ」
あれから遊んだり食べたりし、キラ達は色々満喫した。少し休憩をすると、ガイア達から英霊を召喚してみようと言うことになった。
「でも、どうやって召喚するんですか?」
「方法は色々あるが、今回はデバイスの力を借りて召喚してみるか」
「デバイスですか?」
キラがそう質問すると、ガイアとシヴァがさらに説明した。
「デバイスには、英霊や幻獣を召喚する機能も有しておりますの」
「さらには英霊をチェンジ出来たり、英霊たちの装備を購入することも出来る」
「なんかやってることがRPGのそれですよね?」
キラは苦笑いしながら言う。ガイアとシヴァもキラの言うとおりなのであまり突っ込まない。
「まずはそうだな・・・・・・キラ、デバイスを前に掲げて召喚と叫んでみろ」
「多分デバイスを経由して英霊が応えてくれますわ」
「わかりました」
キラは二人に言われたとおり、両手でデバイスを前に掲げる。
そして深呼吸をして、その言葉を叫ぶ。
「英霊・・・召喚!」


カッ!


叫んだ瞬間、キラの前に魔方陣が現れ、大きな光が現れた。
「!? この感覚はまさか!?」
その光が現れた途端、何かを感じたのかガイアが驚いた。
少しして光が収まると、そこには一人の男が佇んでいた。


「やれやれ、私の様なハズレを呼んだのが、まさか君の様な幼い少年だとはな」


紅い外套を纏い、浅黒い肌に白髪の男の最初に開いた口から発せられたのは、なんとも皮肉めいた言葉だった。
「ふむ・・・どうやら聖杯戦争というわけではないらしいな」
男はなにかを確認するかのように片手で頭を抑えた。
「あの・・・あなたは?」
「おっとすまない、召喚早々色々考え事をしていたものでな?」
「いえ・・・」
「そうだな・・・私のことはアーチャーと呼んでくれ」
「弓兵・・・ですか?」
キラの問いにアーチャーと名乗った男は「そうだ」と言った。
「僕はキラ、キラ・ヤマトです。信じてくれるとは思いませんけど、転生者です」
「ほう・・・」
アーチャーは少し驚いた顔をすると、なにやら納得したような表情になった。
「なるほど。幼い少年にしてはかなり『経験』している目をしていると思えば、転生者だったとは・・・」
「わかるんですか?」
「あいにく、私もそれなりに経験しているのでね。・・・・・ところで君達・・・いや、あなた達は何者だ?」
そう言ってアーチャーは、キラの後にいたシヴァとガイアに顔を向ける。そのアーチャーの顔は真剣そのものだった。
「魔力の量からして人間ではないな?それに強大な神秘を帯びている」
「さすがだな、会って早々見破るとは」
シヴァはそう言いながらアーチャーを興味深そうに見つめる。
「私の名はシヴァだ。英霊であるなら、その名くらい聞いたことはあるだろう?」
「・・・やれやれ。まさかヒンドゥー教の最高神に会うとは夢にも思わなかったな」
「私としては、久方ぶりに『男』の英霊に会うとは思わなかったさ」
「それはつまり、この世界には『男の英霊』が少ないということかね?」
そんなアーチャーの問いに、シヴァは「ご想像に任せよう」とはぐらかした。
「・・・・・・そして貴方は?」
「はじめまして、私はガイアですわ」
「!?」
ガイアの名前を聞いた瞬間、アーチャーは彼女を警戒しだした。
「まさか・・・抑止力かね?」
「その名前を知っていると言うことは、貴方はやはりあの世界のものですね?」
「質問をしているのはこちらなのだがな」
そう言うアーチャーを見て、ガイアはため息を吐いた。横を見ると焦りだしているキラが見えた。
「・・・・・・私は抑止力ではありませんわ。正真正銘、ギリシャの創造神ガイアです」
ガイアがそう言うと、アーチャーは警戒を解いた。
「まったく、今回の召喚は異常すぎるな。説明してくれないか?」
「解りましたわ」
「はう~・・・びっくりした」
「驚かせてすまない」
「いえ、見ず知らずの人に警戒するのは仕方ないですから」
「くくっ、どうやら今回のマスターは物分りが良いらしいな」









それからアーチャーは、二人の女神と一人の少年と話し合った。