ちなみに北九州弁。
これだけ短くても変な文章になってしまう...\(^o^)/
「おかえり、パパ!」
家に帰ると、娘が駆け寄ってくる。
とてとてと駆けてくる娘は嬉しい...のだが、今が何時か分かっているのだろうか。
「だ、だって!いっしょに、ごはん食べたかったし...いっしょに寝たかったけ」
そんな事言われると、何も言えなくなる。
我ながら娘に甘いとは思っているのだが、こればかりはしょうがない。たった二人の家族なのだから。
「...パパ、おしごとおつかれさま」
そう言って、娘は私に顔を近づけ――
「――チュッ...えへへ、おかえり」
「先にごはん、食べよ?」
娘は、自分で作ったであろう料理を温めてテーブルに出す。
昔と比べ、本当に料理が上手になっていて思わずほっこりとする。
しかし、最近はスタミナ料理ばかりで困惑してしまう。
「今日はぶたにくが安かったけ...」
茶碗に盛られた白米の上に、さらに盛られた豚とニラ。
間違いなく豚丼。問題は量か。
なぜ白米をマンガ盛りした上で、豚肉をマンガ盛りしたのか。
流石にこの量を食べるのは大変だ。
「夜おそくまでありがと。お腹いっぱい食べてね!」
勿論、全部食べます!
いただきます!
「いただきまーす!」
「すぐお皿洗うけ、パパはお風呂に入っとって!」
娘の手料理を頂いたあと、お風呂へ。
熱いお湯の中へ身体を浸すと、思わず声が出る。もういい歳だ。
身体の芯まで温まろうとのんびりしていると、娘が水を使っている音が聞こえる。
時折、皿がぶつかる音もして、洗い物をやってくれている娘の姿が安易に想像できる。
本当に良い娘に育ったものだ。
暫くすると音も止み、鼻歌が聞こえてきた。
とても楽しそうだ。
鼻歌はだんだんとこちらに近づいてきて――
「――ふんふふ〜ん♪」
あれ、脱衣所に娘がいる。どうかしたのだろうか。
「――パパ、背中流すね!」
どうやら背中を流しに来てくれたらしい。
やっぱり良い娘。
「いたくない?」
ゴシゴシと、タオルで背中を擦ってくれる。
全く痛くない、どころかこそばゆい。
「じゃあ、もっと力込めるけん...いたかったら言ってよ?」
背中を擦る手に少し力が込められる。まあ込めたところで、と言った強さだが。
この擽ったさが心地良い。
「...よし、じゃあ泡流すね」
タオルが離れ、お湯が掛けられる。
あったけぇ...。
「――ん、ばっちり♪んじゃ、一緒に入ろ?」
「さっぱりしたぁ〜!」
一緒にお風呂から上がる。大分長く入ってたため、のぼせ気味だったりする。
「パパ、髪ふいて?」
仕方ないなぁ、と言いつつ、頰が緩むのを抑えられない。
タオルで髪をボサボサーっと拭くと、案の定、寝癖より酷い髪型になっていた。
「...えへへ〜、ありがと」
どうやらその髪型を気に入っているらしい。
私の娘だけあって、とても悲しいセンスだ。
「パパ、電気消すけ」
パチッっとスイッチが押され、電気が消える。真っ暗の中、娘は迷いなく歩き、私の布団に入って来る。
「パパ」
呼んだだけ。そんな顔をしながら私をじっと見つめる。毎日、娘の顔を見ながら眠りにつくのは良いものだ。
「...ねぇ、パパ?」
先ほどとは違い、問いかけるように、聞いてほしいかのように呼びかけてくる。
「私さ、パパとこうしてるだけで、幸せっちゃね」
――パパもそうだよ。
「パパとこうやって、いっしょにごはん食べて、お風呂入って、寝て」
パパも既に、それだけのために生きているまである。
妻に逃げられ、両親は既に他界。もう、唯一の家族だ。娘に甘えさせる為だけに働いて、娘と過ごす為だけに生きている。
「やけさ、別にね?こんな時間までいっしょうけんめい、はたらかなくてもいいんよ?」
...。
「いっしょにごはん食べるお金があれば幸せ」
「いっしょに居られれば幸せ」
「パパが居れば、幸せなんよ?」
――それでも、子供の為に。
子供のわがままを聞く為に、大人は働くんだ。
「じゃあさ。私のワガママ、聞ける?」
当たり前だ。
お前が一人で待っていてくれるおかげで、お金はかなり稼いでいる。恐らく、お前が独り立ち出来るまで不自由なく過ごせるだろう。
「じゃあ――」
「パパ、おはよう!」
朝、娘に布団を剥ぎ取られ、起きる。
「えへへ――チュッ」
おはようのキス。というか、そろそろ恥ずかしい年頃の筈なのだが。
「夕方にはかえってくるんよね?」
――そのつもり。
「そっか...じゃあ、さいごのおしごと、がんばってね!」