Fate/うだうだ Order   作:爆死者

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シリアス書けぬぇ……僅かにシリアス風味を漂わせただけでこのザマですぞ、『ペロッ、これはシリアス!間違いない!』並みに混ぜられないんですが。

マテリアルの前書きの詠唱にほんとに英訳つけて下さる方がいらっしゃった。感想を見たときにとても驚きました。超COOLだよ旦那。

尚、病弱Aをチート聖杯でも治せない理由について。読者の皆様の意見を有り難く掻き集めて、型月Wikiを見たりして勝手ながら考えました。ご意見くださった皆様、ありがとうございます。正直鯖募集と同じくらい多かったです。

『スキルである病弱Aは無辜の怪物同様、後世に押し付けられた『沖田総司は病弱である』という認識(イメージ)による。チート聖杯で治療するためには、その認識を聖杯で書き換えた上で、沖田総司の霊基を改竄し、スキルを取り除く必要がある。しかし人類規模で認識改変なんて壮大な真似をすれば抑止に睨まれ、守護者派遣事案となるために実行は現実的に不可能』

おのれ抑止。ついでに守護者。
こんなところでどうでしょう。……何故でしょう、一瞬いたちごっこというワードが脳裏を掠めました。ま、まあ気のせいでしょ!
では三話、始まりです。
尚内容について、守護者への八つ当たりではありません。決して、ほんとに。出番やらねえなんて思ってないです。


うだ3。シリアスは彼方に置き去りたい。

「えっ……?」

「……⁉︎」

 

目の前の光景にぐだ男くんとマシュちゃんは驚愕していた。仕方のないことだ。今の今まで相対していた、宝具をポンポンポンポン投影しては爆破してくる上に、近接も強いという敵に回したら超面倒なシャドウサーヴァント、その胸から唐突にも白銀の刃が突き出したのだから。ズグシュって。

後ろから見ている俺は当然分かるが、誠を掲げた浅葱色の羽織を纏った沖田さんの一撃である。諸事情で無明三段突きは今回は使用せず。

 

「馬鹿なっ……貴様、何処から……ッ!!」

「……」

 

沖田さんは答える事なく、赤く染まった胸元から刃を引き抜く。エミヤが苦し紛れに双剣を振るうが、エミヤの敏捷値では宝具『誓いの羽織』まで装備した沖田さんを捉えることは叶わない。元々敏捷A+だからな。エミヤはCだったはずだ、多分。

 

「なん……だと……⁉︎いや待て、その刀は……!」

 

沖田さんの顔を見たエミヤが愕然とした後に、沖田さんの手にある刀を解析したのか、更に顎をかっくり落とした。

『菊一文字則宗』。『誓いの羽織』を装備することで『乞食清光』からランクアップされた武装である。

 

《やってやりましたよマスター!がっつり心臓を破壊しました!》

《パーフェクトだ、沖田さん。これでもう勝ったも同然だ!カルデアに帰ったら紅茶とケーキでお祝いしようぜ!》

《ちょっと死亡フラグ撒き散らすのやめて下さいよ》

 

まあエミヤの気持ちは分かる。気が付いたら心臓を刺されてて1びっくり、振り向いたらアルトリア顔で2びっくり。最後に菊一文字つまり、沖田総司が女性で3びっくりだ。

心臓を破壊されたエミヤは体の末端を影の粒子として崩壊させて行きながら、重なる驚愕に脳が混乱をきたしたらしい。あの言葉を絞り出す。

 

「な、なんでさ……」

 

生なんでさ頂きましたァ!これで勝つる!(何がだ)

 

「さて」

 

ここらで俺も出よう。気配遮断を解いて、ぬるりと岩陰から姿を現わす。当然危険なので沖田さんより前に出ることはしない。情けないとか言わないでくれ、流石に戦闘機の前に堂々と立てるほど命を投げやっちゃいないんだ。今も割と声震えそうなんだ。

 

「初めまして、正義の味方」

「「有馬さん⁉︎」」

 

ぐだ男くんとマシュちゃんが驚いているのでヒラヒラ手を振る。すまんね、これまで合流できなくて。でも半分はキャスニキの所為だから、是非もないよネ!

物言いたげな所長は放置し、俺は膝をついた消えかけのエミヤに向き直る。睨まれた。睨みたいのはコッチだ、カラドボられたのまだ忘れてないからな!

俺は息を吸って、一つの頼みを口にする。

 

「今回あなたは奇しくも敵役に回った訳だが、最後に正義の味方らしく、世界を救う為に頑張る若人の頼みを聞いてくれてもいいとは思わないか?」

「………なに?」

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

エミヤが消滅した後、大空洞に続く洞窟の中。所長の第一声は叱責だった。

 

「有馬!あなた今の今までどこ行ってたのよ⁉︎」

 

まあ、正直そう来るだろうなと思っていた俺は沖田さんとアイコンタクトを交わすと、大仰な手振りで話し始める。そう……被害者っぷり全開で!!

 

「それが聞いて下さいよ所長!俺と沖田さんは所長とぐだ男くんとマシュちゃんを探そうとですね、高いところに登ってたんですよ。具体的にはビルの屋上とか、ええ。それで必死に目を凝らしてようやく見つけたと思ったら、ルーン魔術と思しき魔術で何者かに突然爆撃されたんです!それで合流するのに手間取りまして。いつ攻撃されるか分かったもんじゃないですから。ね、沖田さん」

 

俺は沖田さんを振り返る。沖田さんもうんうんと頷き、心なしかキャスニキをじと目で見ながら。

 

「そうですねーマスター。あの攻撃を受けて煙まみれになって、その後は今さっきのアーチャーに気がつかれて爆撃されましたし。マスターなんてビルから飛び降りることを余儀なくされましたもんねえ。あの攻撃、あの魔術……敵はキャスタークラスに違いありません!ルーン魔術使える系の、ケルトとかの」

「「「「『……』」」」」

「「どうかしました?」」

 

ニッコリ。

 

「「「「……ごめんなさい/悪い」」」」

 

心当たりアリアリだったようで(皮肉)、全員目を逸らした末に謝罪なさった。キャスニキもごめんなさいならレアだったんだが。もっと弄ってもいいけど味方だし、この辺にしておこう。しかし何故ぐだ男くん達まで謝るのか。解せぬ。

 

『いやまあ、誤解が解けて良かったじゃないか。それよりもこの先にいるって言う騎士王の対策について話し合おうよ』

「そっすねドクター。何故か俺のところには一切連絡来なかったんですけど、そんなことより対策の方が百倍重要ですもんね」

『ごめんなさい』

「マスター、ねちっこいですよ……その辺にしてあげましょう」

「グフッ⁉︎」

 

ね、ねちっこい……?沖田さんにねちっこいって言われた……痛い!心が痛い!

言葉が矢印のように胸の中央を突き抜け、俺は洞窟の隅で膝を抱えて蹲る。

 

「ね、ねえ……その、有馬のサーヴァント?有馬、めちゃくちゃ凹んでるわよ?」

「だ、大丈夫ですよ。時々こうなりますし……予想しない方向から攻撃されるとこんな感じに。ゲームでも味方だと思ってた人間に刺されたりすると、十分くらい呆然とするタイプですし、マスターは」

「ゲ、ゲーム?英霊が?特異点(ここ)で召喚されたんじゃないの?」

「え?……あっ。しまったやぶ蛇じゃないですか。今のナシでお願いしますね」

「いや待ちなさいよ!しっかり説明しなさい!有馬!あなたも……有馬?」

 

『マスター、ねちっこいですよ』『マスター、ねちっこいですよ』『マスター、ねちっこいですよ』『マスター、ねちっこいですよ』『マスター、ねちっこいですよ』

ねちっこい……ねちっこいか……。ねちっこい……。

 

「……ねえ、なんか凄まじく影背負ってるんだけど⁉︎変な魔力滲み出てるわよ⁉︎」

「あ、あっれえ?マスター?マスター⁉︎ごめんなさい、謝るからガチ傷つきしないで下さい!」

 

ハァ……。

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

「……まあ、俺と沖田さんに関しちゃあれです。並行世界から何者かに放り込まれた人間とでも思って頂ければ」

「へ、並行世界……?第二魔法の領域じゃない……いや、それは流石に騙されないわよ?」

「事実ですし。ねえ?」

「ええ、まあ(若干違いますけど)。第二魔法の領域の実演なら沖田さんも出来ますとも。案外身近にあるものですよ?第二魔法。ええ、炊飯器くらいには身近ですよ」

「そんな訳ないでしょ⁉︎」

 

ああ、多重次元屈折現象(キシュア・ゼルレッチ)。でもあれ、第二魔法に限りなく近いけど似てるだけの別物現象って話では?

 

《今そこに突っ込んじゃ駄目じゃないですかマスター。折角説得力のカサ増しを図ってるんですから!》

 

カサ増しって言っちゃったよこの娘。

それはそうとして……キャスニキがずっとこっち見てるんだよなあ、訝しげに。多分ぐだ男くん達が襲われてる時に助けに行かずに見てたことを不思議に思ってるんだろうけど。

今掘り返すのはやめて欲しい。折角協力出来そうなのにそこを指摘されると返答に非常に困る。

いやまあ、キャスニキが来てるって分かってたから動かず見てたって言えばいいとは思うけど、疑念をぐだ男くん達に決戦前に来て抱かれたくはない。反転してるとは言え騎士王相手に身内の瑕疵ありで挑むとかマジであり得ん。死ぬる。

結局、キャスニキもそれは理解していたのか、何も言わないでくれたけど。

あと多分、《初対面》のはずのエミヤに向けて、正義の味方と言ったのも一因だと思われる。

所長は悩んでいたようだったが、結局溜息を吐いて考えを振り払うように首を振った。

 

「……兎に角、もうすぐ大空洞に着くわ。今聞いても死んじゃったら意味無いもの。帰ったら全部聞かせて貰うわよ」

「あいまむ」

《帰ったら、ねえ》

《帰ったら、ですか》

 

沖田さんとほぼ同時に念話で言い合う。この先の正史を知る側としては、皮肉にも聞こえた。この後の段取りを脳内で確認していくうちに、所長はぐだ男くん達へ寄って行く。

 

「藤丸、マシュ!その……………勝つのよ。負けるのも死ぬのも許さないわ」

「はい!」「頑張ります!」

 

おおう。所長、精一杯の応援。マジツンデレ。しかし、それならば。

 

「所長、俺と沖田さんには何か無いんですか?」

「ですよね、私も思いました」

「あなた達は放っておいても、気がついたら終わらせてそうじゃない」

「まさかの放置ゲー扱い⁉︎」

「そんなー!コフッ!」

「嬢ちゃ、ぶっ⁉︎」

「な、なんでいきなり吐血するのよ⁉︎ギャグ表現⁉︎ギャグの英霊なの⁉︎」

 

顔面からベシャッと血を被ったキャスニキに常備してるタオルを渡す。所長がキャスニキを盾にして逃げたのだ。セコイ。

 

「おっすキャスニキ。水も滴るいい男だぜ」

「血しか滴ってねえよ」

「沖田さんは病弱だからな。すまん。堪忍してやってくれ」

「病弱な英霊かよ……見ねえタイプだな」

「無辜の怪物みたいなもんだ」

「……あー、災難だな。あの嬢ちゃん」

 

それにしても所長。放置してて問題ないとか、信頼から来ているなら兎も角、そういう生き物扱いされるのは流石に納得いかないんですがそれは。サボテンじゃないんだから。

と、ぐだ男くんとマシュちゃんが沖田さんについて考察していた。真名を当てようとしてるのかね?

 

「吐血する英霊とは……駄目です、分かりません。先輩、心当たりはありませんか?」

「まあ、日本人なら分かると思いますよ?沖田さんは日本では割とメジャーな英霊ですから。でも吐血する英霊ってレッテルはやめてください、いやほんと」

「誠の羽織に、『沖田さん』……やっぱり新撰組一番隊隊長の、沖田総司じゃないかな?病弱で有名な

 

沖田さんは再び血を吐いて崩れ落ちた。orzの体勢で沈んでらっしゃる。やはり沖田総司=体弱い人イメージは深く根付いているようだ。

 

「……病弱Aの原因の一端を見た。沖田さん、刀抜かないでね?ここで何したって、日本国民の意識が変わらないとどうしようもないよ」

「分かってますっ……!分かってますけど、私のこの遣る瀬無い思いはどこへ……!死後も尚病に悩まされてディスペル不可とか。うわーん!」

「あーよしよし。帰ったら生キャラメル作るから。元気出して、ほら」

「うぅ……ありったけお願いします……」

 

俺はじたじたする沖田さんの肩をぽんぽんと叩く。カルデアに生キャラの材料あるかな。

 

「人理修復したらタイムスリップして治しに行きましょう、マスター!」

「それ剪定事象にされない?大丈夫か?」

 

沖田さんは考えた末に困ったように。

 

「……大丈夫。問題ないですよ」

 

それ駄目なやつな。うん、剪定事象にならないにしてもややこしいところに絡まれる可能性がなくもないし、止めておこうか。

いや、待てよ。

 

「いっそ特異点的な感じで沖田さんの病が治る世界を聖杯で……それでそこにいる間だけでも……」

「! 流石マスター。それならワンチャン沖田さん大勝利の可能性が!」

 

特異点【沖田快癒温泉 熱海】とかな。コタツに入ってのんびり出来そうじゃない?

 

「……頼むからこれ以上問題増やさないで」

「私と先輩が定礎復元しに行くんですね、分かります」

 

所長とマシュちゃんが眉間を揉んでいたが知ることか。実行する時はついでに、「温泉か、いいなぁ」と漏らしていたぐだ男くんを拉致して行こう。

言いながらも足は動かしていた俺たちの前に、光が差し込んでくる。さあーー大空洞だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?騎士王対策会議してなくないですか私達」

「……あっ」

「ーーほう。面白いサーヴァントがいるな」

 

やせい の きしおう が あらわれた !

 

 

 




後、沖田さんが病弱A持ちの英霊だと知れた時に、所長が沖田さんと有馬に、

『何よ、使えないじゃない!もっといいサーヴァント引きなさいよ!』

と詰るシーンを入れようかと思いましたが、感想欄が所長をカルデアスにダストシュートしろみたいな感想で埋め尽くされそうでしたので変更しました。
変更しておいてなんだけど所長、混乱してる時はホントにコレ言いそう。
……まあ、うだうだの所長については、一緒に行動する人が増えたから責任感とか安心感が増してるってことで。

あっ、鯖募集は続行でお願いします……と言ってましたが感想欄での募集は運対案件らしいため申し訳ない、急遽停止します。活動報告か……仕方ないから名前晒すべきか……?
また気が乗れば近々ー。

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