職場最悪で、現在進行形で死にかけておりますが、何とか書きあげたものを投稿します。あくまでこうなればいいなあ、という仮定のものですが、どうぞ!
089 後日譚―アフターエピソード―
※ その後の禁書展開編―ダイジェスト―
どうして、こんなことになったのだろう?
私は、私たちは、ただ日常の中にいたかった。私が料理をして、居間ではミコがよだれを垂らしながら待っていて、足音を忍ばせながらインデックスが出来たての唐揚げをつまみ食いにやって来る……。
そんな当たり前の日常が本当に大切で、かけがえのないものなんだって失って初めて気づいた。あの日、英国旅行に行ったインデックスと、その付き添いに任命された上条さんを空港に見送りに行ったのが、インデックスを見た最後の姿で――。
――彼女は今も、私たちの家には戻ってこない。
英国で、ローマ正教のトップに攫われたとは後で聞いた。上条さんは自分が絶対に取り返すなんて伝えてきたけど、それでも大人しく待っていることなんて出来なくて。大事なルームメイトを、大事な『家族』を何としても取り戻したくて。
だから――――
「それでッ! 結局どうして私が巻き込まれてるってワケよ!!」
雪原のど真ん中をひた走る一台のワンボックスカー。その車中において、涙目の金髪少女に襟首掴まれてガクガクと頭を揺さぶられる羽目になりました。
「いやー、上条さんからの情報で、インデックスがロシアにいるってことが分かってね? そこまでの道のりもそれなりにあるし、通訳も必要でしょ? で、見た感じ『現地のヒトっぽく』見えるフレンダにお願いしようかなー、と……」
「私の母国ココじゃないから、結局ロシア語なんて1ミリも話せないワケよ! 第一、そっちの無表情無口系絶賛無免許運転女がロシア語もスワヒリ語も話せるって話じゃない!! そっちに頼めばいいワケよ!」
「心外ですね。誰が無表情無口系ですか。とミコは遺憾の意を表します」
やれやれだぜ、と首を振りながら、運転席のマルチリンガル少女が嘆息する。ちなみに無免許運転は否定しない。現在進行形で罪を重ねている真っ最中だからだ。
「じゃあ、今からでも降りる?」
「それが出来たら――――!」
佐天の提案に対してのフレンダの返答は、車中の者にはよく聞こえなかった。突如として閃光が車の後輪近くに着弾し、雪原の一画が水蒸気爆発を引き起こしたからだ。
「………………」
話を中断されたことなど、既にフレンダの頭の中には無かった。たった今の閃光、それは彼女にとって余りにも心当たりがありすぎるものであって。
「フーレーンーダぁ?」
その声は、フレンダの聴覚に余りにはっきりと届いた。喉が引きつる、冷や汗が吹き出る。ギギギとまるで壊れかけのブリキ人形のように首を回し、声と閃光を投げかけられた方向へと視線を向け――。
ブ・チ・コ・ロ・シ・か・く・て・い・ね?
ガチでブチコロシ五秒前、我らが麦野サンが降臨していた。
「いやぁあああああああああああああああああああああああああ?! ゴメン、ゴメンなのよ、むぎの!
「駄目」
「ひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」
ロシアに行くところまでは良かったのだ。無料バカンスなんて有り難いと思ってもいたのだ。ところが、いざ着いてみたら大戦勃発で帰還命令が出て、帰ろうとしたらそのまま目の前にいる二人に拉致られて、あれよあれよという間にハイエースされて……。
……気が付いたら、自分の所属する暗部の同僚全員に、帰還命令破った自分の確保命令が下っていました。しかも『
「ナンデェ?! ナンデこうなったワケよ!?」
このままでは「フレンダ」は、「フレ/ンダ」になってしまう。せっかくあの暗部抗争からも逃げ切ったというのに。第二位に追い詰められて情報吐かされそうになった時に、佐天のアドレスにSNSを飛ばしたおかげで逃げ切れたというのに。何とか生き延びねばと、彼女は必死になって灰色の脳細胞をフル稼働し続けていた。
◇ ◇ ◇
――そうして、雪景色のロシアを逃げに逃げ、追いかけに追いかけ。いつしか彼女らは目的の場所へとたどり着く。そこは、この世界の果て、魔術という名の神秘が世界に顕した一つの奇跡の中心地。
「――端役が、場違いにも俺様の前に立つかよ」
それは、異形の『右手』を持つ青年だった。鳥類のような、爬虫類のような、とにかく『右手』だと辛うじて分かるナニカが肩口から生えていた。その『右手』を以て『奇跡』を。神の如き所業を成し遂げようとしていた。
世界の大多数にとって、もしかしたら、目の前の青年は正しいのかもしれない。間違っているのは自分たちの方なのかもしれない。そんな思いは、確かにこの胸にある。
――けれどもそんな『迷い』は、この胸の中のたった一つの想いが否定する。
「アンタが正しいかどうかなんて、問題じゃない…………!」
『右手』が、変わる。目の前の青年をも越える、更なる異形へと。『
「私の親友に、手を、出すなッ!!」
上空数千メートル、ベツレヘムの星にて。世界の命運を決めるバトルは幕を開けた。
※ 異世界観光旅行編―イフストーリー―
閑静な住宅街、そこに奇妙な集団が降り立った
「おー、ここがバンちゃんやユーゴーさんの故郷なんですね!」
「学園都市に比べると、些か文明レベルが落ちますね。排ガスは身体に悪いですよ。とミコは注意喚起します」
『……うるさいわね。ポリバケツが自動走行してる、あの街がオカシイんだって悟りなさいよ』
『あはは……でもこの藍空市は、本当に良い街ですから』
黒髪の少女は、台詞も半ばでさっさと走り去ってしまう。お目当てはどうやらクレープ屋。異世界の味を存分に味わうつもりのようだ。
「もう、佐天さんは……」
「でも、大丈夫でしょ。メニューにはオーソドックスなものしか書いてないみたいだし」
「そうですわね。以前食べたヤシの実クレープを越えるインパクトは早々ありませんわ」
「るいこー! 私にもイチゴとチョコ増シ増シ・全部のせ三つ欲しいんだよー!!」
そんなことを言い合いながら、彼女らもまた店へと特攻するのだった。
◇ ◇ ◇
そうして、昔の皆を誘ってのお花見の席にて。
「ちょ、アリスちゃん?! 何でスルスル桜の木を登ってるの!?」
「ああ、時々キャンプに連れて行ってるからな……。それよりコレ、少し食うか?」
「なんでセミの素揚げが、花見の料理に出てきますの?!」
「出されたものはちゃんと食べるべきなんだよ、くろこ?」
「美味しいのでしょうか?と、ミコは未知の食の探究に心躍らせます」
「それよりも、気配もなくいつの間にか合流してる、こっちの背広の人が疑問なんだけど……」
「なに……少し、忍術をね……」
『まだ、お二人はご結婚されていないんですか……。二人の赤ちゃんにも会ってみたかったんですが』
「あ、あああ赤ちゃん?! ちょっとユーゴー! 私たちにはまだ早いわよ」
「オイ、いくら何でも動揺し過ぎだろ。まあ、今の仕事が落ち着いたら考えるさ。随分待たせちまってるからな」
「おー! ついに決心したの、隼人お兄ちゃん!!」
「まったく、凡人とは騒がしい奴らだ……」
「フフ……。何だかんだで、皆が少し羨ましいかな。僕なんてイタリアを飛び回ってるから、全然恋人作る暇がないよ」
「あらあら、武士君も大変ねぇ……。今度ご近所の奥さんに聞いて、涼と同年代位のお嬢さん見繕ってみようかしら?」
それはとある春の日、夢か幻か、心穏やかなある日の出来事――。
以上、仮想の番外編でした。ちなみに禁書は旧約までしか展開考えておらず、恐らく書くことはありません。フィアンマをデンプシーでボコり、ミーシャとロシア上空での怪獣大決戦バトルまでは考えましたが……。
異世界観光旅行はほのぼの。優しい世界をイメージ。ちなみにこの世界に行こうとして、大失敗でスプリガン世界やD-LIVE世界に漂着する流れも考えていたり。後は全く関係ないのに最近ハマったシンフォギア世界やありふれた職業で世界最強の世界も良いなと考えてました。どちらも神気取りのカストディアンとエヒト涙目になりますww
……最近、オリジナルのプロットを少し考え中だったりして。書く暇あればなぁ……。