あれから時間は進み約一年。スノーのISを受けとるために俺とスノーはデュノア社を訪ねていた。スノーがISを受け取り慣らし運転をしている間、俺は一人の男と話していた。
「新夜くん、君の武器のお陰で我が社は持ち直せてシャルロットも普通の女の子として過ごせそうだよ」
「それは良かったです」
話しているのはデュノア社の社長。シャルロットと言うのは社長の娘で今はスノーの慣らし運転に付き合っている。スノーの実家は武器の販売をしているのだが俺はそこで武器の設計士をしていた。数年前、デュノア社は経営難に陥ったがスノーの父親。俺の雇い主はデュノア社に資金提供し俺を武器の設計士として派遣。俺は使いやすい武器を開発し使い手に馴染むようにカスタマイズするサービスを初め、万能の機体と使いやすい武器をウリにしてデュノア社は経営難を脱した。
「妻は居なくなったが私は幸せだよ」
経営難で苦労していたデュノア社。その時社長の元妻は、愛人の娘だったシャルロットを引き取り男装させて最近発見させた男性操縦者のバイタルデータなどを取ってこらせようとしていたが経営難を脱してすぐに社長は妻と別れシャルロットに幸せに暮らして欲しいと正式に娘として迎え入れた。
「君には感謝してもしきれない。君がISに乗れるなら専用機を渡せたのだが…」
「女しか乗れないのは分かってますから気にしないでください。ですがISには興味はありますISの保管庫は見てみたいですね」
いいとも、社長はそう言うと俺を保管庫に案内してくれた。10機の政府から修理依頼を受けたラファールが並んでいる様は壮観だ。だからこそポツンと離れた場所にあるISが目立つ。明らかにラファールではなく紫に赤いライン。禍々しいカラーリングの機体だった。
「あれは?」
「あれはカラミティー。誰もが機体カラーと雰囲気を不気味がって女性にも反応しない不思議なISだよ」
不気味と言われるカラーリングだが俺には魅力的に見えた。ラスボスのようなカラーリングが何故不気味と言われるか分からないほどに。
「触っても?」
「乗り手が居ないからね。構わないよ」
カラミティーに触れると手にヒンヤリと金属の冷たさが伝わる。何でISに男は乗れないのか、こいつが気に入ったのに…そうガッカリしていると声が聞こえてきた。
『カッコいいって思ってくれるの?』
「社長、何か言いました?」
「いや?どうかしたのかね?」
「声が聞こえてきまして…」
そんなことを言ってるとまた聞こえてくる。
『私はカッコいいの!?』
明らかに社長ではない女の声。整備スタッフも今は誰もいない。とすれば…
「お前なのか?カラミティー」
『そうだよ。カッコいい?』
何を言い出してると社長が後ろで慌ててるが気にせず俺は、
「そんなにISを見てはいないけど俺はカラミティー、お前が一番カッコいいと思うぞ」
『そうか、そうか』
満足げな声が聞こえてくる。ISのコアには意識があるとか聞いたことがあるな等と考えていると…
『君なら僕を任せても良いかな。みんな不気味がって触らないしそのくせに力を欲しがる欲張りな人より君が持ち主良いよ。力が欲しいかい?守る力が?敵を不幸にする力が』
「手にはいるなら、俺が守りたい人を守るためならこの身を犠牲にしてでも欲しい」
そう言うとカラミティーは光だし周囲を白く染めた。
『気にいったよ。僕は君の剣。君の盾。正しく使ってね。何時でも傍にいるからね』
光が収まると俺の視線は高くなり正面には社長の姿が見え何故か後ろの様子も365度見える。あんぐりと口を開けていた社長の後ろからスノーとシャルロットが走ってきた。
「大丈夫!?倉庫が光ったって聞いたけど…!?」
「どうしたの!?」
二人も固まる。右手を見れば鎧のようなものが付いていて左手も同様だった。つまり…
「なんかISに乗れちゃったようだな」
三人の驚きの声が聞こえたがそれと同時にカラミティーから
『エッヘン』
と胸を張ってそうな声が聞こえた。俺の護衛生活はまだまだ終わらないようだ