ブリガンダインGE/小説   作:ドラ麦茶

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第十四話 ランス 聖王暦二一五年五月下 西アルメキア/キャメルフォード

 戦の準備は整っていた。

 

 城塞都市キャメルフォードの城門を潜るランス。黄金色の鎧に身を包み、国一番美しいと言われる白馬に跨り、そして、腰には二本の剣を携えている。彼のそばには、このたびの戦で軍師を務めるゲライント。そして、その後ろには、街道を覆い尽くすほどの兵が続いていた。その数、七万。これから各地で別の兵と合流し、敵と刃を交える頃には、その数は十万にまで膨れ上がっているだろう。

 

 先日、斥候部隊から知らせがあった。エストレガレス帝国の西を護る城・オークニーから、敵の大部隊が出撃し、キャメルフォードを目指して進軍しているというのだ。その数、十万。

 

 今から、これを迎え撃つ。

 

 兵力に差はない。だからと言って、互角の戦いだと楽観することはできない。敵は、かつてアルメキアで百戦錬磨を誇ったゼメキスの部隊を中心とした軍隊だ。対して、こちらの総大将であるランスは、これが初陣である。むしろ、勝ち目は薄いかもしれない。

 

 しかし、それでも。

 

 ランスの後ろには、コール老王やメレアガント達、旧パドストー公国の騎士がいる。

 

 そして、ランスのそばには、あのクーデターの夜より――いや、それより以前よりずっとそばで支えてくれた、ゲライントがいる。

 

「ゲライント。お前がそばにいてくれるなら、こんなに心強いことはない」

 

 ランスは、これまでの感謝の気持ちを込めるように言った。

 

 ゲライントは、昔を懐かしむように顔をほころばせた。「よもや、ランス様と共に、このような大きな戦に向かうとは思いませんでした。私も戦場を離れて久しく、どこまでお役にたてるか判りませぬが、必ずや、ランス様に勝利を捧げてみせましょう」

 

 二人を先頭に、兵は足を進める。

 

 遮るもののない一面の平原が、此度の戦場だ。

 

 地平線の彼方に砂煙が上がっている――エストレガレス軍だ。

 

「――旗を掲げよ!!」

 

 ゲライントの号令で、後方の兵たちが何本もの旗を掲げる。旧パドストーの国旗と同時に、アルメキアの国旗も含まれている。

 

 眼前の地平線を覆い尽くすかのごとき数の兵が、姿を見せた。

 

 あそこに、憎き相手ゼメキスはいるのだろうか? 敵将の情報はまだ入っていない。いるかもしれないし。いないかもしれない。

 

 どちらであろうとも関係ない。このまま戦い続ければ、いずれ、出会うことになるだろう。

 

 ――父上、母上。見ていてください。

 

 ランスは右の拳を左胸に当て、空に向かって誓う。

 

 

 

 

 

 

 そして――。

 

 

 

 

 

 

 ランスは、エストレガレス帝国と、対峙した。

 

 

 

 

 

 

     ☆

 

 

 

 

 

 

 聖王暦二一五年、五月下。

 

 

 

 

 

 

 エストレガレス帝国軍十万がオークニー城より出兵。西アルメキア領キャメルフォードを目指し、進軍した。

 

 これに対し西アルメキアは、ランス王子率いる兵十万で迎え撃つこととなる。

 

 

 

 

 

 

 フォルセナ大陸全土を巻き込む四年間の戦争が、今、幕を上げた――。

 

 

 

 

 

 

 (第一部 終わり)

 

 

 

 

 

 

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