ブリガンダインGE/小説   作:ドラ麦茶

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第二十一話 ヴェイナード 聖王暦二一五年六月下 ノルガルド/オークニー

 エストレガレス帝国からオークニー城を奪ったノルガルドは、その後の戦略について軍内で意見が割れていた。作戦会議は予定の時間を大きく過ぎているが、意見がまとまる気配は無い。

 

 このまま一気に帝国内部へ侵攻すべきだ、と、ベテランの騎士は言う。難攻不落のオークニー城をわずか五万の兵で落とし、兵たちの士気は高揚している。このまま勢いに乗り、帝国の首都ログレスまで攻め入ろうという作戦である。

 

 まずはなによりもオークニー城の護りを固めるべきだ、と主張するのは、二ヶ月前、ノルガルドに仕官してきたモルホルトという男だ。モルホルトは、かつては旧アルメキアにおいて屈指の軍略家であったが、ゼメキスの反乱により兄を失い、仇を討つためノルガルドに仕官した。その際、五万の兵でオークニー城を落とす作戦を立案したのが、このモルホルトである。

 

 モルホルトは、ノルガルド兵十万をこのオークニー城に集結させ、護りに徹するべきだと主張している。兵十万は、全ノルガルド軍の三分の一に匹敵する数である。国境を三国と接するノルガルドにおいて、ひとつの城にそれだけの兵を集結させるのは、かなりリスクを伴うことであった。その分、他の城の護りが手薄になってしまう。

 

「しかし、それだけの兵を集めなければ、このオークニー城を護るのは難しいでしょう」と、モルホルトは言った。

 

 オークニー城は、旧アルメキア時代から交通の要所として栄えてきた都市だ。北にノルガルド領リスティノイス、北東に帝国領カドベリー、南東にディルワース、南にエオルジア、そして、南西には現在は帝国領となった旧パドストーの都市キャメルフォードへと続く街道が伸びている。オークニーは五つの都市に囲まれており、そのうち北のリスティノイスを除く四つがエストレガレス帝国の領土なのだ。それはつまり、帝国軍に包囲されているようなものである。敵の兵力を考えれば十万の兵でも十分とは言えない。今は護りに徹するときである。これが、モルホルトの意見だ。

 

 逆に、このオークニー城に敵を引きつけている間に、ジュークス城からリドニー要塞へ侵攻すべきだ、と主張するのは、白狼王の右腕にしてノルガルドの軍師・グイングラインである。リドニー要塞は、アルメキア大陸で最も流域面積の広いアルヴァラード川中央の島にある城で、地形的に極めて攻めづらく、オークニー以上に難攻不落の城だ。

 

「それ故に、リドニーを落とす機会は今をおいてありません」と、グイングラインは主張する。

 

 さきほどモルホルトが言った通り、オークニー城は帝国の四つの城に包囲されている。逆に言えば、帝国は四つの城に兵を分散させなければならないため、その分リドニー要塞の護りが手薄になる。グイングラインは、開戦当初よりリドニーを攻めるための特殊部隊を準備してきた。多くの船を用意し、水兵や高空兵の訓練を行っており、侵攻の準備は整っている。このオークニーに続きリドニー要塞をも落とすことができれば、エストレガレス帝国は崩壊したも同然だ。

 

「しかし、それでオークニー城を奪い返されては意味がありません」と、モルホルトが反論する。「今、こちらから攻めずとも、帝国は徐々に疲弊していくでしょう。帝国は、四つの国と国境を接しております。西アルメキアは奪われたキャメルフォードを奪還しようとするでしょうし、南のカーレオンやイスカリオも、帝国への攻撃を強めて行くはずです。我らは、帝国が他国との戦闘で弱り切ったところを叩けばよい」

 

「そのような弱腰の姿勢でどうする!」と、ベテラン騎士は反論する。「我らノルガルド軍は大陸最強だ! その武威を示すためにも、ここで一気に帝国を滅ぼすべきだ!」

 

 ベテラン騎士の意見は暴論のようでもあるが、他国に武威を示すのは無駄なことではない。ゼメキスの首を獲ることは他国への威圧となり、自国の士気高揚につながる。戦略的には間違っていないだろう。

 

「武威を示すのは結構だが、それは戦いに勝利して初めて示すことができるもの」と、今度はグイングラインが反論する。「具体的な策も無くただやみくもに突撃するのでは勝ち目は薄い。それでは、ノルガルドの武威を示すどころか、逆に蛮勇と笑われるだけであろう」

 

「では、グイングライン殿の策には勝ち目があると仰るのかね?」

 

「無論だ。私は、昨年アルメキアとのいくさに破れた時から、リドニー要塞を落とす策を練ってきた。準備も整いつつある。必ずや、リドニーを落として見せる」

 

「仮にリドニーを落とすことができたとしても、我が軍の被害も大きいでしょう」と、モルホルトが反論する。「リドニー要塞は、私がアルメキアの軍師であった時も、防衛力に絶対の自信を持っていた砦です。もちろん、弱点も心得ておりますゆえ、落とすことは不可能ではありません。しかし、それには十万の兵で出陣し、その三分の一を失う覚悟が必要です。今、そのような危険な橋を渡る必要はありません。護りを固め、好機を待つべきです」

 

 話は平行線をたどっていた。誰も、己の主張を曲げようとはしない。このままでは意見はまとまらないだろう。このような場合、最終的な決定は、やはり、王であるヴェイナードに委ねられる。会議室の全員の目が、ヴェイナードを向いた。

 

 ヴェイナードは、静かに口を開いた。「モルホルトよ。此度のオークニー城を落としたそなたの手腕は見事であった。このまま護りに徹すれば帝国は徐々に疲弊していく、というのも、その通りであろう。そなたの策は、最も堅実だ。さすがはアルメキアでも屈指の軍略家であるな」

 

「ありがたきお言葉」モルホルトは、右の拳を左の掌で握り、頭を下げた。

 

「しかしな、モルホルトよ。そなたはひとつ、大きな見落としをしている」

 

「見落とし、ですか?」モルホルトは首をひねった。「それは、なんでございましょう?」

 

「食糧だ」と、ヴェイナードは答え、そして続けた。「寒冷地である我がノルガルドは、食糧生産力に乏しい。いくさが長引けば長引くほど、我らはどんどん不利になる」

 

「いえ、それは十分心得ております。しかし、私の見立てによりますと、今のままでもあと半年は十分戦えるかと思います。帝国は、四ヶ月もすれば疲弊しますので、それまで耐えるべきかと――」

 

「三ヶ月だ」ヴェイナードは、モルホルトの言葉を遮るように言った。

 

「――は?」

 

「今のままいくさがこう着すれば、我が国の食糧は、三ヶ月で底を突く」

 

「陛下!」と、声を上げたのは、ログレスまで一気に攻めるべきだと主張していたベテランの騎士だ。「このモルホルトという者は、まだ敵か味方か判りませぬ! そのような者に、安易に国情を話すべきではありません!」

 

 だが、ヴェイナードは無視して続ける。「昨年の夏、我が国は時ならぬ寒波に襲われ、かつて経験したことの無いほどの冷夏に見舞われた。食糧の生産量は、例年の半分にも満たなかった」

 

「それは……誠でございますか?」

 

「もちろんだ。そなたがいかに優秀な軍略家であろうと、アルメキアでは得られぬ情報もあるだろう。我が国の食糧事情は、そなたが思っている以上に深刻なのだ。そのことは、決して忘れるな」

 

「はは。肝に銘じます」

 

「よって、現状では長期戦は不可能だ。一刻も早く、南へ侵攻する必要がある。しかし、慌てて侵攻したせいでこのオークニー城を奪い返されては元も子もない。モルホルト。この城には、七万の兵を集める。それで、帝国の侵攻を阻止できるか?」

 

「陛下の仰る国情であるのならば、致し方ありません。なんとか七万で防衛する策を講じましょう」

 

「よろしく頼む」と言った後、ヴェイナードはグイングラインを見た「グイン。リドニー要塞へ侵攻する部隊を、いつでも動かせるようにしておけ。ひと月以内には攻めるぞ」

 

「御意」グインは右の拳を左の掌で握り、頭を下げた。

 

 ヴェイナードはベテラン騎士を見た。「そなたはグインの部隊に入り、ともにリドニーへ侵攻せよ。ノルガルドの武威は、そのいくさで示すのだ」

 

 ベテラン騎士は渋い顔をする。自分の意見が通らなかったことに加え、自分の子供のような歳の男の指揮下に入ることに納得していないのであろう。しかし、王の命令に逆らうつもりはないようだ。騎士は「仰せのままに」と、頭を下げた。

 

 最後に、ヴェイナードは全員を見渡す。「予は一度フログエルに戻り、オークニー防衛とリドニー侵攻の準備を進める。皆、戦局はまだまだ予断を許さぬ。気を引き締めて当たれ」

 

「――はっ!!」

 

 全員が右拳を左掌で握り、会議は終了となった。

 

 

 

 

 

 

「――陛下、よろしいでしょうか?」

 

 会議が終わり、騎士たちが会議室を後にし始めたところで、入れ替わるように、部屋に女が入って来た。透き通るような白い肌と、肌にも負けぬほど透明感のある声をした少女だ。一見すると従者のようであるが、彼女もノルガルドの騎士の一人である。

 

「ノイエ――」と、ヴェイナードは応える「どうかしたか?」

 

「在野の騎士様が、陛下にお目通りを願っております。以前アルメキアの騎士であった、シュトレイス様と申しております」

 

「シュトレイス……知らんな」

 

 ヴェイナードはグイングラインを見たが、彼も知らないようで、小さく首を振った。

 

 ヴェイナードはモルホルトを見る。「モルホルト、知っているか」

 

「名は聞いたことがあります。確か、王ヘンギストの近衛兵の一人であったかと」

 

「ほう……おもしろいな」ヴェイナードは笑みを浮かべた。

 

 旧アルメキアの騎士がノルガルドに仕官してくるのは、モルホルトに次いで二人目だ。ゼメキスによって滅ぼされたアルメキアは、王太子ランスがパドストーへ逃れ、西アルメキアとして挙兵している。にもかかわらず、その西アルメキアではなくノルガルドへ仕官するのには、どのような事情があるのだろう?

 

「どのような男だ?」と、ヴェイナードはモルホルトに訊いた。

 

「申し訳ありません。名前以上のことは知りません。近衛兵は王直属の兵ですので、私の指揮下にはありませんでした。それでも、私の耳に名が届くほどですから、腕は確かではないかと」

 

「そうか。まあ、会ってみよう。モルホルト。そなたも同席してくれ」

 

「かしこまりました」

 

 ヴェイナードはモルホルトと共に、シュトレイスが待つ大広間へ向かった。

 

 

 

 

 

 

「お初にお目にかかります。アルメキアより参りました、シュトレイスと申します」

 

 大広間で、シュトレイスと名乗った騎士はぎこちない仕草で右拳を左掌で握り、頭を下げた。ヴェイナードやグイングラインと同年代と思われる若い男の騎士だ。

 

「よく来た、シュトレイス。我がノルガルドへ仕官したいとのことだが、アルメキアの騎士であったそなたが、なにゆえ我が国への仕官を望む? 我が国は、アルメキアと敵対しておったのだぞ」

 

 ヴェイナードは単刀直入に問うた。

 

 シュトレイスは顔を上げて答える。「私には義兄弟の契りを交わした者がおります。名は、ソレイユ」

 

「ほう――」と、モルホルトが、その名に反応した。ヴェイナードが「知っているのか?」と、問うと、モルホルトは「アルメキアでは名の知れた男です」と言い、そして、続けた。

 

「神官騎士団に属していた男です。個の騎士としての実力は極めて凡庸ですが、獣と心を通わすという、特殊な能力を持っております。それ故に、獣を統べる者(ビーストルーラー)の二つ名を持ち、魔物を操る(すべ)に関しては、その者の右に出るものはいません」

 

 ほう、と感心するヴェイナード。ルーンの騎士は、マナの力を用いて異界より魔物を召喚し、従わせることができる。その力は『統魔力』呼ばれ、武力・魔力・戦略力に並び、騎士として重要な能力のひとつだ。

 

「ソレイユは、人一倍愛国心の強い男でした」と、シュトレイスが言った。「ゼメキスが反乱を起こした夜、私は、王を護る近衛兵として、ゼメキスの軍と戦いましたが、深手を負い、先日まで、治療を余儀なくされておりました。ソレイユがどうなったのか心配していたのですが、風の噂で、エストレガレスの騎士になったと聞きました。私には判らない。あれほど祖国を愛していたソレイユが、なぜ、エストレガレスに身を置くのか――」

 

 ゼメキスがアルメキアで反乱を起こした際、アルメキア側に就いてゼメキスと戦ったのは、王ヘンギストの近衛兵と王太子ランスの親衛隊だけだったと言われている。残りの勢力――アルメキア軍・神官騎士団・魔術師団の三つの勢力は、ゼメキス側に就いた。しかし、それらの勢力の中にも愛国心を持ち、ゼメキスと戦った者も少なくはない。アルメキア軍の軍師であったモルホルトもその一人である。

 

 シュトレイスは続ける。「ソレイユがエストレガレスに味方するには、何らかの事情があるのだと思います。私は、彼を救いたい。ヴェイナード王。我が義兄弟を救うため、我が身をこのノルガルドに置くことを、お許しください」

 

 シュトレイスは、深く頭を下げた。

 

 ヴェイナードは、値踏みするかのようにシュトレイスを見つめた。ノルガルドでは、在野の騎士の登用を積極的に進めているが、シュトレイスやモルホルトのような旧アルメキアの騎士を抱え込むことに反対する声は少なくない。敵国の騎士だった者など、信用できぬと言うのだ。しかし、旧アルメキアの騎士だからこそ祖国を滅ぼしたゼメキスに敵対するのは当然であるし、そのために、より強国に仕官するのも当然の話だ。ノルガルドは、開戦よりジュークスとオークニーという重要拠点を、帝国から奪取している。シュトレイスがノルガルドに仕官する動機に不審な点はない。元近衛兵であるなら王宮の警備事情にも詳しいはずだ。帝国の首都ログレスを攻める際には役立つであろう。仕官を認める利は大きい――ヴェイナードはそう考えた。

 

 よかろう、仕官を認める――ヴェイナードが口を開きかけた時。

 

「シュトレイスよ――」と、先にモルホルトが口を開いた。「ひとつ、確認しておくことがある」

 

「なんでございましょう」

 

「義兄弟を救いたいというそなたの気持ちは判った。そなたの言う通り、義兄弟が帝国に仕えているのは、何らかの事情があるのかもしれぬ。だが、もし、特別な事情など無く、自らの意思で帝国に仕えていた場合、あるいは、そなたの説得に応じなかった場合、そなたには、義兄弟を斬る覚悟があるかね?」

 

「――――」

 

 はっとした表情になったのは、シュトレイスだけではなかった。

 

 ヴェイナードも、シュトレイスと同じ表情になる。

 

 それに気付いたかどうかは判らないが、モルホルトは続ける。「どのような事情があろうとも、我らの前に立ちはだかるならば敵である。例えそれが義兄弟や肉親であろうとも、敵ならば倒さねばならぬ。その覚悟が無ければ、そなたを戦場に立たせるわけにはいかぬ」

 

「それは……」と、言い淀んだシュトレイスは、しばらく逡巡した後、「もちろん……です」と、歯切れの悪い返事をした。

 

「口ではそう言っても、実際に義兄弟を前にして躊躇っていては、何もならぬぞ」モルホルトはさらに言った。「戦場において、敵を倒すことを一瞬でも躊躇えば、自分が倒される側になる。そしてそれが、いくさ全体の敗北へとつながる可能性もあるのだ。いま一度問う。肉親が敵として立ちはだかった時、そなたに斬る覚悟があるか?」

 

「モルホルトよ――」ヴェイナードはモルホルトに鋭い視線を向けた。「貴様はさっきから、誰に対して言っているのだ」

 

「はて? 何のことでございましょう?」モルホルトは、とぼけたような表情をヴェイナードに向ける。「もちろん、このシュトレイスに言っておるのです」

 

 モルホルトを睨むヴェイナード。喰えぬ男だ、と、内心苦笑する。

 

 ノルガルドの者が聞けば、今の言葉はヴェイナードに向けられていることは、誰でも判るであろう。今、ヴェイナードの姉は、エストレガレス帝国にいる。皇帝ゼメキスの妻として。モルホルトは、その点を指摘しているのだ。思えば、先ほどの軍略会議のモルホルトの様子には違和感があった。電撃的な作戦でオークニー城を制圧したにもかかわらず、急に護りを固めるよう言い始めた。このままヴェイナードが帝国に攻め込むことに、憂いがあったのかもしれない。

 

「……まあ良い」と言って、ヴェイナードは視線をシュトレイスに移した。「モルホルトの言う通りだ。たとえ義兄弟であろうとも、敵として立ちはだかるなら倒さねばならぬ。シュトレイスよ。その覚悟があるか?」

 

「はい」今度はためらうことなく答えるシュトレイス。「義兄弟が誤った道を進むのならば、それを正すのも私の役目。ソレイユが帝国に味方するのであれば、斬ってでも道を正して見せます」

 

「よかろう。そなたの仕官を認める。我がノルガルドで、そなたの力、存分に発揮するが良い」

 

「はは! ありがたき仕合せ!」

 

 シュトレイスは、深く頭を下げた。

 

 

 

 

 

 

 謁見が終わり、モルホルトとシュトレイスが広間を去った後も、ヴェイナードは一人、席を立たずにいた。

 

 姉のことを思っていた。

 

 ヴェイナードの姉・エスメレーは、一年前の旧アルメキアとの講和の際、人質としてアルメキアに差し出された。その後エスメレーは、当時アルメキア軍総帥であったゼメキスの妻となった。現在どうしているのか、詳しいことは判らない。開戦当初から密偵を送り、探らせているが、王都ログレスにいるという以上の情報はない。

 

 エスメレーも、ヴェイナードと同じくルーンの加護を受けている。騎士としての実力はヴェイナードにも並ぶ。もし今、エスメレーがノルガルドにいれば、優秀な将になったであろう。

 

 だが姉は、エストレガレス帝国の首都・ログレスにいる。

 

 ゼメキスがクーデターを起こした夜、ログレス城内はかなり混乱したはずだ。エスメレーであれば、その混乱に乗じて脱出することなど、簡単なことではなかったのだろうか?

 

 姉の力をもってしても脱出できぬほど、厳しい監視のもとにあるのか。

 

 それとも――考えたくはないが――姉は、自らの意思で帝国に身を置いているのか。

 

 判らない。判らないが、もし、姉が帝国の騎士として戦場に現れた時、斬り捨てる覚悟が、自分にあるのか?

 

 エストレガレスとの開戦を決意した日、ヴェイナードはグイングラインに、姉が我が軍の前に立ちはだかるのならば容赦はしない、と、言い切った。その覚悟は、今も変わらないはずだ。

 

 ならば、何も迷うことはない。

 

 必ずリドニー要塞を落とし、そして、ログレスへ攻め込む。

 

 ヴェイナードは、決意を胸に大広間を去った。

 

 

 

 

 

 

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