投稿遅くなって申し訳ないです。
来年から大学生なもので受験とか受験とか受験とかが忙しくて(吐血)
「クソッ、クソッ!おのれ藤丸立香ァ!この私に、この私によくもあんな生き恥を晒さやがってぇ!」
この特異点の黒幕、レフ・ライノールは協力者のある居城まで必死に走っていた。『あの方』からの命令に従い、最後の人類の生き残りにして最後の三流魔術師である藤丸立香に絶望と恐怖の中で死を与えるために、ローマの開祖であるロムルス撃破後に姿現した。
しかし、彼の思い描いていた理想が実現することはなく、現実は自身の敗北と、苦し紛れに呼んだ破壊神であるアルテラに背後から消し飛ばされる結果だった。だが、ここでレフが消滅しなかったのは彼の少ない運が彼に味方したからであった。フローレスの厚意により、バルファから渡された身代り人形によってローマより離れた場所に転移して九死に一生を得たレフは、今の状況では勝ち目がないと自覚、フローレスに助力を求めようと行動を開始したのも束の間、両儀式に生きていると勘づかれ、そこから彼等に捕まるまいと逃亡、冒頭に戻る。
「クソッ、一体どれだけ走れば奴の居城に辿り着けるんだ!」
かれこれ数十分も走り続けいるレフは、未だ辿り着けない事に苛立ち悪態をつく。すると、何か薄い膜を通り抜ける感覚と共に、突如目の前にフローレスの居城が現れる。
「こ、これは…特殊な隠蔽魔法で隠していたのか」
僅かばかり驚いたレフは、後ろから迫る気配に追い付かれる前に奴に会わなければと、居城の扉を開け放ち、大広間に辿り着く。
「フローレス、フローレス!どこにいるフローレス!!いる筈なのだろう、出てこい!」
大広間で大声を上げ、レフはフローレスの名前を大声で連呼する。そこには最早余裕や慢心は無く、只敗北を払拭する為に焦る敗者のごとき姿だけだった。しかし、呼ばれている居城の主は一向にその姿を現さない。
「くそくそ!奴め一体何をしていやがる!さっさと来ないと奴等が「奴等ってのは私達の事か?」…ヒッ!」
レフが後ろに振り返れば、そこには今追いついたのか息を切らした両儀式と三蔵法師、遅れてマシュと立香が現れる。
「まさかお前がこんな所に隠れ家作ってたとはな」
「もう逃げられないわよ!これ以上の非道、仏が許してもこの私が許さないんだから!」
「大人しく観念してくださいレフ・ライノール!」
ジリジリと距離を詰めてくる両儀式と三蔵法師に、レフは二人を警戒しながら後退する。マシュも後ろの立香を守りながら二人より少し後ろからレフとの距離を詰める。
「くっ、黙れ黙れ!貴様らなぞ、奴の手に掛かれば赤子の手をひねるかのように惨殺されるだけだ!」
「その奴ってのは、今お前の後ろにいる奴の事か?」
「何?」
言われて後ろに振り返れば、そこには灰色の鎧を身に纏う巨漢、フローレスが右手に既にクレイモアを握りしめ立っていた。
「おぉフローレス来るのが遅かったじゃないか!」
「…すまない、少し手の離せない用事があったものでな」
「そんなことはどうだって良い!手伝えフローレス、あそこにいる貴様の居城の侵入者を俺と二人でさっさと始末するぞ!」
フローレスの姿を確認するや否や、レフは安堵の表情とため息をする。すると先程まで後退りしていたのが打って変わり、足を前進させ、逆に両儀式達に詰め寄る。
「残念だったな藤丸立香!私をここに着く前に殺せていたら、貴様らはこの化け物と対峙せずに済んだものを!」
「チッ、こいつはまた面倒くせぇ相手がお出ましなこった。つかてめぇ、魔神柱としての誇りとかねぇのかよ。こんな所まで必死に逃げやがって、協力者が姿見せた途端強がりやがって」
「どうとでも言うが良い、結果的に勝てば良いのだよ勝てば!勝って貴様らを殺してしまえば、私の敗北という汚点は無かったことになるんだからな!」
「貴方、本当に姑息で卑怯な奴ね!」
「ハッ!負け犬の遠吠えか?見苦しいぞ英霊共が!さて、これで形勢逆転だな藤丸立香!先の戦いでは遅れを取ったがもう手加減せん!この男が一緒ならば、例え破壊神であろうとも必ずほふ―」
そこまで言いかけたレフの言葉は、フローレスから頭を後ろからクレイモアで深々と貫かれることによって永遠に遮られる。
「……これ以上は聞くに耐えん」
クレイモアを引き抜き、糸の切れた人形のように倒れ伏したレフわ大広間の端まで蹴り飛ばす。立香達は、フローレスの突然の行動に驚きを隠せず、ポカンとした表情だった。
「な、仲間じゃ無かったんですか?」
「仲間?貴様らに負けてノコノコここまで逃げ帰ってくるような弱者を、我輩は仲間にしたことなど一度も無い。正確に言えば、奴は仲間ではなく利害の一致からこの特異点で協力していた協力者だ。最も、お互いに協力し合った事など全く無かったがな」
レフを貫いた際にこびりついた鮮血を布で拭きながら、レフを毒ずくフローレス。そんなフローレスの態度に両儀式と三蔵法師はお互い目線を合わせた後二人で後ろに顔を向け、立香を見る。立香は二人の意図を理解し、無言で力強く頷く。
「そうだ、我輩という敵を恐れずに立ち向かい戦おうとするその姿勢…素晴らしい!その姿勢は我輩にとってとても好印象だ」
「「ッ!」」
各々の武器を握る手を強めながらフローレスに攻撃を仕掛けようとした矢先、フローレスが音もなく2人と距離を詰めてきたので、直ぐ様距離を取る。
「何故距離を取る?貴様らは只眼前の敵を打ち倒すべく我輩に挑みかかれば良いだけの話であろう?」
「生憎と、てめぇからは気味が悪い感覚しか感じ取れねぇんだよ。そんな奴と真正面から殺り合う程アタシらは馬鹿じゃねぇ。それに、今も駐屯地で見せた"見えない壁"か何かで自分を守ってんだろ?」
「その通りだ。理解しているようで嬉しく思うよ」
「やっぱりか…」
両儀式の指摘をあっさりと認め、フローレスは人差し指で何もない空を触ると、そこから硬質な音が響く。
「だが、今回"これ"は使わんよ。我輩は闘争は直に楽しみたいタイプだから。滅多な事ではこれを介して戦うことは無い。それに、こんなものを使って戦うほどの小心者でもないしな」
そう言いフローレスが手を空中に翳すと、フローレスを取り囲むように空中に罅が入り、そのまま砕け散る。
「これで貴様らの攻撃は我輩に当たるようになった。もし、まだ疑心的ならば、ナイフの2、3本投げてみたらよい」
「あっそ、ならお言葉に甘えて」
フローレスの提案に両儀式は素っ気なく答え、赤いジャンパーの内側からナイフを数本取り出すと、そのままフローレス目掛けて投擲。フローレスは避けずに全て全身で受け止める。ナイフはフローレスに当たった後、一本残らず根本から真っ二つに折れる。
「これで信じて貰えたかね?」
「…そうみたいだな」
「やれやれ、まだ信じきれないようだな。だが安心しろ、貴様らは―」
そこまで言い、フローレスはゆっくりと両手を広げながら立香達に接近する。両儀式はナイフを、三蔵法師は如意棒、マシュは盾をそれぞれ構える。
「―我輩と是が非でも殺し合うのだからな。そこで確かめるが良い」
フローレスは嗤いながら、クレイモア片手に4人に肉薄する。
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