それでも構わないと言う方はどうぞ楽しんで下さいm(__)m
邪竜百年戦争 1ー1
邪竜百年戦争
場所は西暦1431年のフランス。ちょうどこの時期は百年戦争の休止期間であり、比較的小さい戦争しか起こっていない。そんなフランスの土地にある森の中を二人の男が歩いている。
片方はカラフルなタキシードとシルクハットをした黄色いマスクを被った男キャディ。見た目だけ教えれば、例え人混みの中にいたとしても簡単に見つけられるような、そんな目立った格好をしているにも関わらずキャデイはどこか落ち込んだ様子で歩いていた。
そんな彼の隣には、身長二メートル以上もある大男が一緒に歩いていた。その大男の名は"ギルディア"と言い、神父服にも似た戦闘服を着て、首にはロザリオ、顔には十字架の描かれた仮面をしている。右手には十字架をモチーフにしたかのような大矛を持っており、杖として使っている傍ら時折視界の邪魔になる小枝などを大矛の刃で切断している。
「ハァ...ねぇ?なぜなんでしょうかねぇ。どうしてこんなこ事になったんでしょうかねぇ」
「...おまえ自身が勝手に取り決めた"ルール"に則って行われた結果、もしくはおまえ自身の運のなさ、としか言えませんね」
「確かにそうですそうなんですよ。そうなんですけど...なんでしょうこの訳の分からない敗北感は...」
「知りませんよそんなこと」
落ち込みながらも話しかけてくるキャディを冷たくあしらうギルディア。
なぜ彼がこんなにも落ち込んでいるのかは、この特異点突入前に彼がサプライズて作ったルールによるものが原因だった(尚この時、その場にいた大半がキャディに対してイラッとしたの余談である)。
キャディが作ったルールの内容は、まずルーレットでその特異点に行く人数(2~5人)を決めてから、今度はくじ引きで誰が行くのかを決めるという単純なものだった。
キャディは自分以外の誰かが行くだろうと期待していたらしく、自分が行く事になるとは想像もしておらず、この特異点に来てからというものずっとこの調子だ。
「キャディ・マディル。いつまで落ち込んでいるんですか。いい加減怒りますよ」
「いや、なぜに怒るんです!寧ろここは慰めるべきでしょ!大丈夫ですかって!なのに慰めるどころか怒るとか酷すぎません!一応これでも連盟のリーダーの一人なんですけど!?」
「知ったこっちゃないですよ」
「何故です!何故私相手にそんなに冷たくなれるんですか!あなたには血も涙も無いんですか!それとも私が嫌いなんで--」
「そうですよ」
「言い切る前に即答しやがったたよこの人は!出来れば最後まで私の話を聞いて欲しかった!」
「うるさいですね(ボソッ...。あ、因みにおまえの何処が嫌いかと言いますと...主に外面から内面までの全部てす」
「聞いてもいないのに嫌いな理由まで言っちゃったよ!てか外面から内面までってそれ私の存在自体否定してるじゃないですか!」
「事実ですから仕方がありませんよ」
「...あの、知ってますギルディア?いじめっていじめられた方がそう感じたらいじめになるんですよ?」
「おまえにいじめなんて言葉が該当する訳ないでしょう何言ってるんですか」
「理不尽すぎる!!」
などとそんな他愛ない話(?)をしている内にキャディの調子も元に戻り始め、キャディ達は森の少し開けた場所で足を止める。
「まぁ私が嫌われている云々はとりあえず置いておくとして、本当にこっちで大丈夫なんですかギルディア」
「問題ありません。順調に目的の場所に向かっていますよ」
「そうですか。それなら別になんともないのですが...」
歯切れが悪そうにそう言ってキャディは今来た道を見る。ギルディアも何かを察したのかキャディと同じ方向に視線を向ける。
「やはり...か」
「えぇ、
「...相手は分かりますか?」
「勿論。
「そんなこはどうでも良いです。ここで迎え討ちますか?」
「とんでもない。彼らの旅が二つ目の特異点の、ましてやこんな森の中で終わってしまったらあまりにも素っ気ないでしょう」
「...そうですか。ではどうするんです?我々が彼等と遭遇するのは時間の問題ですが」
「そに関しては問題ありません。ギルディアが魔力放出すればいいんですよ」
「...何故?それでは彼等に居場所を教えるようなものではありませんか?」
「何事にもリスクは付き物というものです、それにそっちの方が都合が良いので」
「まぁ、そう言うことなら...」
役者のように振る舞いながら説明するキャディ。そんなキャディを冷たい視線で見ていたギルディアは半信半疑だが言われた通りに魔力放出をする。
ギルディアの魔力放出の影響で周りにあった木々が大きく揺れ、枝に停まっていた鳥や近くにいた動物が次々と逃げ出していく。それと同時にギルディアの感知していた複数の魔力反応が一度だけ止まってからその内の一つがスピードをあげてこちらに向かってくる。
「そうですそうです上出来ですよ。流石ですギルディア」
「...おまえに褒められるのはひどく癪ですが、この程度造作もありません。それで?次はどうすればいいのですか?」
「いや、もう大丈夫ですよ。後は少し待つだけです。私の考えが間違っていなければ直ぐにでも...って、ほら言ったそばからもう来てくれた」
「こいつらは...ワイバーン?」
「ゾンビ兵もオマケで付いてきましたね。こればかりは予想外」
ギルディアが魔力放出してから僅か数分で何処からともなく現れたのは大量のワイバーンと追従する形でやってきたゾンビ兵達だった。
キャディにとってこんなに大量に来るとは思ってもおらず予想外の事態であったものの、作戦に支障はないのかどこか覇気のない口ぶりだった。
「こんなに来るとかえって面倒くさいですね...」
「私のせいではないですからね、指示したあなたに非があるのですからね」
「まぁそうかんですけど、てか敵の首魁もかなり臆病ですねぇこんなところにこんなに駒を投入して」
「そう言う話はどうでも良いのですが、要はこいつらを皆殺しにすれば良いのか?」
「そうですそうです。いやぁ流石はギルディア話が早くて助かります。こんな初歩的なことも分からない
「...そうですか、それは可哀相な...」
「おや、慰めてくれるんですか?さっきまで冷たかったのにどういう風の吹きまわしで「--その構成員が」…やっぱりそっちですか!?まぁ大体予想は出来てましたけどいざ言われてみるとかなり心に来るものがあるですが!」
「もしかして自分が慰められていると思ったのですか?だとしたらおこがましいにもほどがありますよこのクソ野郎」
「酷すぎる!!」
と会話しているにも関わらず、ワイバーン達は一向に攻撃してくる気配がない。
なぜならワイバーン達が、邪竜よりも濃密な魔力を纏っているギルディアを攻撃してはいけないと生存本能からそう理解しているからだ。しかし、知性も本能もないゾンビ兵達にそんなものは関係なく、唸りながら一斉に剣や槍を突きだしてギルディアに向かって突撃する。
「五月蠅い」
ギルディアが一言そう呟き、振り向き様に大矛を横に振る。ただそれだけで一瞬の内にゾンビ兵の六割が肉片へと成り果てた。
ゾンビ兵も流石にギルディアの実力に気づいたのか少しだけ距離をとる。ワイバーン達は更に警戒を強め、空からギルディアを見つめている。
「あらら、随分警戒されちゃってますね。まぁ仕方ありませんか、二人でちゃっちゃっと片付けちゃいましょう」
「--いや。おまえは先に行け。こいつらは私が相手します」
ギルディアの隣まで来て杖の中に隠していた刀を抜こうとする。しかしギルディアはそれを制し、先に行けと言ってきた。キャディもまさかここで先に行けと言うとは思わず、内心少し驚いていた。
「...良いのですか?」
「構いません。こんなの言うのも非常に癪ですが、おまえが相手するほどの脅威ではありませんよ」
「そうですか、ならここはおまかせしましょう。先に行っているので早く来てくださいね」
そう陽気に言ってキャディは、ギルディアに背を向けて再び森を進み始める。それを目で見送ったギルディアはワイバーン達に視線を戻す。
「さて、
ギルディアは片手でゆっくりと大矛を地面と平行に構える。その姿は正に、戦いに飢えた猛獣のようだった。
「さぁ、来るがいい蜥蜴と屍共。我が王フローレス様から授けられた称号『断罪王』の名に懸けて、貴様等を一撃で
『断罪王』ギルディアは、放たれた矢のようにワイバーンとゾンビ兵達に向かって走り出した。
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