人理修復に舞い降りし悪党共   作:砂嵐に潜む昆虫

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投稿遅れて申し訳ありませんm(__)m
文構成やら戦闘描写やらに頭を捻っている内にいつの間にか一ヶ月位経っていました。

それでも構わないと言う方はどうぞ本編をお楽しみください。


邪竜百年戦争 1ー5

 大きな魔方陣からは、魔方陣特有の煙と眩い光りが発生し、その場にいた全員が目を瞑るなどして激しい光から目を保護する。そして煙と光りが止み、全員が魔方陣があった場所に目を向けると、そこにはこの世の者ではない異形の姿があった。

 

 「フシゥゥゥゥゥゥ...」

 

 そこには三メートルの体躯に、左肩から左腕は欠落しており、右手にはクレイモアを引きずるように持ったボロボロのみすぼらしい鎧を身につけた骸骨人間(スケルトン)が唸り声を上げながら召喚者(キャディ)の命令を今か今かと待ちわびていた。

 召喚に成功したキャディは満足げに、しかし隠しきれない興奮に体を小刻みに震わせていた。

 

 「スンバラシィィィィィ!これぞ、これぞ正に!殺戮を行う為に生まれてきたかのようなその造形!生者を憎み続けるその双眸!やはりこいつは素晴らしい出来だなぁ!ヒッヒヒヒヒヒッ!興奮が収まりませんよこいつぁアッハハハハ!」

 

 キャディの異常な興奮と殺戮騎士に対する警戒を込めて、バーサーク・サーヴァント達は更に距離をとる。その動きに反応した殺戮騎士(キラーナイト)は唸り声を更に大きくさせ、周りを見回す。

 

 「さぁ、殺戮騎士(キラーナイト)よ!ここに!お前を縛る者は何もない!そしてお前の周りにはお前が楽しめるだけの猛者達がいる!存分にお前の(さが)である殺戮を楽しむがいい!」

 

 「GAaaaaaaaaaaaaa!!!」

 

 召喚者からの許可が下り、殺戮を許可された騎士は、一際大きな声で叫ぶと、まず自分の目の前にいたデオンに向かって肉薄する。

 デオンは瞬時に体勢を整え、殺戮騎士を迎え撃つ。他のバーサーク・サーヴァント達もデオンに加勢するように殺戮騎士に向かって攻撃を始める。

 

 「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

 デオンは、標的をキャディから殺戮騎士に変更し、レイピアを左側から鎧の欠けた部分に向けて突きだす。しかしそれを察知した殺戮騎士は、体を捻る様にして避け、その勢いのままクレイモアを振り回す。

 デオンもクレイモアを身を屈めて避ける。アタランタも弓でデオンを援護するが、いかんせん鎧が硬く、矢が鎧に当たると同時に砕ける。

 

 「ほぉ...中々頑丈なようだな。ならばこれはどうかな?」

 

 そう言うとヴラドは血で作った杭を地面から生やし、殺戮騎士を地面から鎧ごと串刺しにする。

 

 「GYaaaaaaaaaa!」

 

 しかし串刺しになった殺戮騎士は悲鳴のような咆哮を上げると体をよじり、血の杭を無理矢理砕いて脱出する。脱出した後、殺戮騎士はヴラドに、見た目に反した瞬発力で肉薄し、クレイモアの自重に全体重をかけて振り回す。ウラドはそれを槍を駆使して防御する。

 

 「さぁて、私はここから高みの見物と洒落混みましょうかね」

 

 そんな光景を見物していたキャディは、その辺の瓦礫を撤去し始めると、積み上げた瓦礫の上に座り込み、懐から魔法瓶を取り出すと、蓋を開けてその中に入っていた紅茶を蓋に注ぎ、マスクをずらして飲みながら、彼等の戦闘を遠目で傍観するのであった。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 所変わり、カルデアのマスターとそのサーヴァント達はギルディアと対面していた。マスターの藤丸立香とデミ・サーヴァントのマシュ、ランサーのクーフーリン、アーチャーの織田信長、そしてこの特異点で出会い協力しているサーヴァントジャンヌダルク、ジークフリート達だった。

 立香達とギルディアとが初めて遭遇した後、彼等はギルディアを追いかけようとして、その道中で(本当はキャディが皆殺しにした)多くの兵士の死体を見つけていた。

 その後出会った他のサーヴァント達にもギルディアとその事を話し、彼等は、ギルディアを危険な存在として認識していた。しかし当の本人であるギルディアはカルデアの面々を無視し、首だけ捻ってキャディのいる方向を見ていた。

 

 「殺戮騎士を召喚したのか、道化め」

 

 「英雄相手に余所見するたぁいい度胸してんじゃねぇか!」

 

 「卑怯と文句を垂れるではないぞ。これは、戦なのじゃからな」

 

 「マシュ・キリエライト、行きます!」

 

 「神よ、どうか私達に加護を。ギルディア、貴方はもう一人の私以上の悪です。それを聖女として見過ごす訳にはいきません、覚悟してください!」

 

 「この剣は竜殺しの為なのだが、貴様が害悪ならば、振るわん訳には行かんな」

 

 その隙をサーヴァント達が見逃す筈がなく、全員が各々の武器を使い、ギルディアに向かって一斉に攻撃する。

 

 「弱い、その程度か英霊共」

 

 しかしギルディアは大矛を器用に振り回し、サーヴァント達の攻撃を悉く防ぎながら首を前に戻す。

 

 「油断などするわけないでしょう。貴方達が相手なのですから」

 

 「ケッ!相変わらず冗談じみた野郎だな」

 

 「先のワイバーン戦で力の一端は見たが、やはりどこまでも出鱈目な力じゃのう...」

 

 『皆!油断しないでくれ!そいつは今まで戦ってきた英霊達とは訳が違う!』

 

 「分かってるよドクター!」

 

 ロマニの警戒の言葉に立香は答え、ギルディアと目を合わせようとする。ギルディアは静かに立香を見据え、何かを期待するような、そんな感じのものを立香はギルディアから感じた。しかしそれもほんの数秒、ギルディアは立香から視界を外すと、全員を見渡すように見る。

 

 「さぁ、存分に攻撃させたのです。今度は此方の番ですよ」

 

 『来るぞ!』

 

 ロマニが警告していると、ギルディアは大矛を低く構え、体勢もまた低くする。その姿は、まるで引き絞られた矢のようだった。サーヴァント達は如何なる攻撃にも対処できるよう体勢を整える。

 

 「シッ!」

 

 鋭い声と共にその場から跳躍したギルディアは、瞬く間にサーヴァント達に接近する。走っている最中に低く構えていた大矛を前方の地面に突き刺し、それを支点に半回転、その勢いのまま大矛を地面に叩きつける。

 大矛が叩きつけられた中心から広範囲に大きな皹が入り、衝撃波が彼等を襲った。しかしサーヴァント達は寸でのところでその場から跳んで避ける中、ギルディアはすぐさま追い打ちをかける。

 

 「先ずはおまえからだ、盾娘」

 

 「ッ!ぐぅ!」

 

 「マシュ!」

 

 「マシュさん!」

 

 立香を守っているマシュの前にジャンプで近づき、大矛で何度もマシュの盾を攻撃する。それを見たジャンヌは、自らが盾の前に出てマシュを庇おうとしたが、ギルディアの攻撃はそれすら許さないと言わんばかりの猛攻撃だった。

 そんなギルディアの強烈な攻撃を何度も受けながらも、マシュは盾から伝わる衝撃で腕の感覚が無くなりかけても、歯を食い縛りながら猛攻に耐え続ける。

 

 「これで終わりだ、潰れるがいい」

 

 「させるか!」

 

 「チッ、無駄な真似を」

 

 ギルディアは一際大きく大矛を振り上げ、盾ごとマシュと立香を叩き斬ろうとしたが、ギルディアの視界の右側から迫ってきたジークフリートにそれを阻まれてしまい、ギルディアは一度後ろに跳び立香達から距離を取る。

 そこからジークフリートはギルディアに反撃を行う。ジークフリートは巧みな剣術でギルディアを攻め立てる。

 

 「ほれっ、儂からの些細な贈り物じゃ!受け取れぃ!」

 

 「チィ、猪口才な!」

 

 そこに信長の火縄銃による支援が入り、ギルディアはそれを大矛で防御しつつ、更に立香達から距離を取る羽目になった。

 何度目かの攻防の末、ジークフリートが同時に剣を振り下ろした時を見計らい、ギルディアはそれを受け止め十字型の大矛で剣を引っ掛け、ジークフリートを後ろへ投げ飛ばす。

 宙に投げ出されたジークフリートは投げられるとは思っていなかったのかものの、何とか空中で体勢を立て直して地面に着地する。その隙にまた立香達へと接近するが、今度はクーフーリンが行く手を阻んできた。

 

 「ここは通さねぇぜ!」

 

 「貴様ッ!」

 

 クーフーリンに足止めされ、ギルディアはマスターの立香に辿り着けないでいた。おまけにケルトの大英雄であるクーフーリンの槍術を前に、ギルディアは中々攻めに転じられず四苦八苦していた。

 対するクーフーリンは槍を巧みに使いこなし、時々フェイントを織り混ぜながらギルディアを翻弄していく。

 

 「おらおらどしたぁ!それが限界かこの野郎!」

 

 「...調子に、乗るなよ」

 

 クーフーリンに煽られ、激昂したギルディアは、大矛に力を込め、クーフーリンの朱槍に叩き込む。

 それを受け止めた朱槍は、衝撃に耐え切れず、クーフーリンごと建物の壁を突き破りながら吹き飛ばされ、クーフーリンは声を上げる暇もなく瓦礫の中に消えていった。

 

 「クーフーリン!」

 

 『大丈夫だよ立香!クーフーリンの魔力反応は消滅してないおそらく瓦礫の下に埋もれてるだけだ!』

 

 「先輩!来ます!」

 

 「ッ!」

 

 吹き飛ばされたクーフーリンに向かって叫ぶ立香だが、ロマニからクーフーリンの無事を伝えられ、ほっと安堵する。しかしそれも束の間、マシュが大きな声で立香を呼んだ事によって、再び視線をクーフーリンが吹き飛んだ壁から前に戻し、気を引き締める。

 立香の視線の先には立香達に向けて大矛を構えたギルディアが立っている。マシュが盾の取っ手を更に強く握りしめるのと同時にギルディアが駆け出し、徐々に立香達との距離を詰める。ジャンヌはマシュの横に立ち、旗を構えながら迫り来るギルディアに備える。しかしギルディアの進行方向の前に、今度はジークフリートが立ち塞がった。

 

 「ここは、俺に任せてもらおうか」

 

 「ジーク!無茶だ一人で戦うなんて!」

 

 「犬死するだけじゃぞ馬鹿者!」

 

 「そうです!ここはジャンヌさんや信長さんと協力しないと...!」

 

 「安心して欲しい、オレはそう簡単には死にはしない。それに、俺は誰かと共に戦うより、一人で戦う方が性に合っている。だが決して、驕っている訳ではないと信じてくれ。ただこの体の性能上、一人で戦う方が何かと都合がいいんだ」

 

 「そんな....!」

 

 ジークフリートの言葉にジャンヌを含めたカルデアの面々は大きく目を見開く。そうこうしている内にもギルディアは着々と迫ってきており、十数秒後にはジークフリートと確実に戦闘になる。

 それ以上何も言う事はないのか、ジークフリートは立香達に背を向けると、剣を構えて自らもギルディアに接近する。

 

 「次から次えと鬱陶しい、そんなに死にたいのなら今すぐ殺して差し上げましょうか?」

 

 「生憎、それは出来ない相談だ!」

 

 ギルディアは大きく大矛を振り上げ、それを見たジークフリートは、即座に剣を両手で横に持ち、防御の体勢を取る。そしてギルディアの強力な一撃をジークフリートは、剣の腹で受け止める。

 

 「ハァ!」

 

 「ぐっ!」

 

 しかし助走をつけた状態から大矛を繰り出したギルディアと停止して防御の体勢を取ったジークフリートでは勢いの差が大きく、ジークフリートの防御は呆気なく突破され、ジークフリートの肉体を切り裂いた。

 

 「ぐはぁ!」

 

 「ジーク!」

 

 「ッ!」

 

 「あぁそんな!」

 

 「チィッ!あの阿呆めが!あれほど忠告したと言うのに」

 

 大矛は左肩から心臓部分まで深く達しており、その激痛にジークフリートは口から吐血する。その光景を見た立香は思わず目を塞ぎ、マシュは盾を持っている反対の手で口を押さえ、ジャンヌは思わず旗を落として口元を両手で覆い、信長は火縄銃を構えながら顔を歪めた。しかしこの中で一番驚愕していたのは、攻撃したギルディアの方だった。

 

 「お前、何故!?」

 

 「ハァ.....ハァ.....ッ!言っただろギルディア、オレは、そう簡単に、くたばらないと」

 

 「戯けが!たかが死ににくいだけの分際で!」

 

 心臓部分にまで大矛が達しているにも関わらず、ジークフリートは口の端から血を流しながらも不敵な笑みを浮かべていた。

 ギルディアは、背筋に冷や汗が流れるのを感じ、直ぐ様ジークフリートから離れようと大矛を引き抜こうとしたが、ジークフリートは剣を地面に捨て、素早く大矛の持ち手を両手で掴む。

 

 「貴様、離せぇ!」

 

 「ぐふっ!こ、断る...」

 

 ギルディアは必死に離れようと腕に力を込め、ジークフリートから大矛を引き抜こうとするが、ジークフリートは負けじと更に両手に力を入れる。

 大矛を強く握り締めていることで、傷口から止めどなく出血し、自分が立っている場所を中心に血の海が広がり続けるが、ジークフリートは気にも留めず大矛を掴み続ける。

 

 「後は、頼んだぞ、クーフーリン」

 

 「---おうよ。後は任せな!」

 

 「クーフーリン!」

 

 「おう、安心しな坊主!オレは至って元気だぜ!つか、あんなので死んでたらそれこそ師匠に殺されらぁ。しかしジーク、おめぇも中々考えつかねぇような捨て身の特攻なんぞしやがって」

 

 「これしか、こいつの、足止めの、方法が、浮かばなくてな」

 

 「そぉかよ。まぁなんにせよ、もう暫くはそうしといてくれや」

 

 「了解した。だが、出来れば確実に仕留めてくれ」

 

 「へっ、誰に物言ってやがる!おい、坊主!」

 

 「は、はい!」

 

 「令呪頼んまぁ!」

 

 「ッ!!分かった!」

 

 ジークフリートがそう言うと、瓦礫に埋もれていたクーフーリンが立香達の前にスライディングの要領で姿を現したのであった。そしてそのまま立香に宝具の使用を求める。

 クーフーリンの言葉を理解した立香はすぐに左手の甲が正面に来るように持ち上げ、顔の所まで左手を上げる。

 

 「令呪を持って命ずる!クーフーリン、宝具使用を許可する!」

 

 「--呪いの朱槍をご所望かい?」

 

 立香の言葉に反応して、左手にあった痣の様なものが発光し、その一部から色がなくなる。それと同時に、クーフーリンは自身の体に多量の魔力が供給されるのを感じ、野性的な笑みを浮かべ、その魔力を朱槍へと流すと、朱槍に彫ってあるルーンが鮮やかに発光する。

 

 「その心臓、貰い受ける!--刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)!」

 

 そして宝具を開放したクーフーリンは、一気にギルディアに接近する。ギルディアも徐々に力が弱まってきたジークフリートを足で蹴り飛ばすと、大矛を振り上げ、接近してくるクーフーリンに叩きつけようとする。しかしそれも時すでに遅く、振り下ろした大矛がクーフーリンに当たることはなく空を切り、クーフーリンの宝具がギルディアの心臓がある左胸部分に直撃する。

 

 「---!?」

 

 宝具が直撃したギルディアは、声にもならない声を上げて、大きく空に打ち上げられる。そのまま十数メートル程宙を舞い、そのままキャディのすぐ横まで吹き飛んで行く。

 

 『ギルディアの魔力反応が消失した。やった、勝ったんだ!』

 

 「へへっ、やってやったぜ」

 

 「ぐっ、かはッ!はぁ..、はぁ..、お、終わったのか」

 

 「終わったぜ。お前が足止めしてくれなかったらまず間違いなくあいつには勝てなかった。とりあえず感謝するぜ」

 

 「フッ、それは、良かった」

 

 「どうやら、俺は、ここまでのようだ、後は、頼む」

 

 「おう。安心して座に帰れや」

 

 「あぁ、その言葉に甘んじよう」

 

 ボロボロになったジークフリートは徐々に霊子となり、消滅するとそのまま座へと帰っていった。それを見届けたクーフーリンは、吹き飛んだギルディアに視線を向ける。

 

 「ブッ!ちょっ、はぁ!え?待ってください何やられてるんですか貴方!?ちょちょ待ってください。どう言うことかですかこれは!?」

 

 優雅に紅茶を啜っていたキャディは、吹き飛んで来たギルディアに驚き、思わず口に含んでいた紅茶を吹き出す。そして倒れ伏していたギルディアと彼を倒したカルデアの面々とを何度も交互に見る。

 

 「...えーっと、あなた方が?」

 

 「そうだけど、貴方は?」

 

 「おっとこれはこれは。そう言えばお互い初対面でしかも自己紹介がまだでしたねぇ。なら、先ずは自己紹介から」

 

 恐る恐るといった感じに確認してきたキャディの言葉を立香は肯定し、続けて誰なのかをキャディに問い掛ける。問い掛けられたキャディは、ゆっくりと瓦礫の上から降り、服に付いた砂や埃を払いながら一礼する。

 

 「はじめましてカルデアの皆様。私、キャディ・マディルと申します、以後お見知りおきを」

 

 「あっ、俺は藤丸立香って言います、宜しくお願いします」

 

 「おい坊主、ありゃ敵だぞ。なんで敵に自分も自己紹介してんだ」

 

 「えっ?だってそうしないと自己紹介してくれた相手に失礼かなって」

 

 「気にする必要もなかろう。てか儂今始めて見たぞあやつの事」

 

 「た、確かに。というかあの人、今アッサリ自分の真名明かしませんでしたか?」

 

 『うん明かしてたね。しかし、キャディ・マディル...うーん、聞いたことのない名だね』

 

 「あれ?私ってそんなに影薄かったっけ?」

 

 自己紹介をしたキャディは、右手の親指と人差し指でシルクハットを挟むと、それを胸元に添えゆっくりとお辞儀する。

 立香も同じように自己紹介しながら、やや緊張気味にお辞儀する。クーフーリンはジト目で立香を睨み、信長はそんな立香に呆れ、マシュは信長に同意すると同時に、キャディが真名を明かした事を確認し、ロマニはキャディの名前はどの史書にも載ってないと言う。

 言われたい放題のキャディは、自分の存在自体が認識されていなかった事実に、お辞儀の姿勢のままがっくりと項垂れる。すぐにいつもの調子に戻ったが。

 

 「まぁこの際どうでもいいか。それでは改めて.....ギルディアを倒したこと、先ずは素晴らしいと言わせておきます。しかし、次はこの私、キャディ・マディルと戦って---」

 

 「待ちなさいこの道化男!」

 

 役者のように振る舞うキャディの声は、背後から制止してきたジャンヌ・オルタの声とファブニールのブレスの轟音によって遮られる。ファブニールがブレスを吐いたことによって近くにいたバーサーク・サーヴァントと殺戮騎士はそのブレスに飲み込まれ、バーサーク・サーヴァントは消滅し、殺戮騎士は鎧だけを残し消し灰になっていた。声を遮られたキャディは、不自然な状態で固まっていた。

 そしてその状態のまま錆び付いたブリキの人形のように首を動かし、ファブニールの上にいるジャンヌ・オルタに顔を向ける。そしてジャンヌ・オルタを確認すると再び前に戻す。

 

 「あ、あのぉ...大丈夫ですか?」

 

 「すいません、申し訳ないのですが少々お時間頂けますかすぐに終わらせますから」

 

 「あっはい」

 

 無言になったキャディを不自然に思い声を掛けた立香だが、唐突に話し掛けてきたキャディの有無いわさずの迫力に気圧され、立香は首を縦に振らざるおえなかった。

 立香の反応を確認したキャディはくるりと体を反転し、ファブニールの上にいるジャンヌ・オルタを見上げる。心なしかその後ろ姿から漂ってくる雰囲気は不機嫌そうだった。

 

 「あのですねぇ、普通人が話してる時にそれ遮りますか!あなた常識って言葉知らないでしょ!?知らないんでしたら辞書でも引いてご自分で調べることをオススメ致しますが?」

 

 「はぁ!?貴方みたいなそんな場違いな格好した人に言われたくはありません!貴方こそ、突然現れたと思ったら好き勝手してくれて!」

 

 「あぁ!今、今言っちゃいましたね!?私が嫌いなワード第二位言っちゃいましたね!?」

 

 「何がですか!そのふざけた格好を場違いと言って何が悪いと言うのですか!」

 

 「なぁ!一度ならず二度も同じワードを!もう怒りましたからね!後で泣いて謝ったってもう許しませんからね!」

 

 怒りを露にしたキャディは、懐から一枚のカードを取り出す。そのカードには、とぐろを巻いた蛇がリアルに描かれていた。

 

 『高出力の魔力反応を検出!キャディの持ってるあのカードからだ!あいつ、なにか召喚する気だ!』

 

 ロマニがそう言うのと同時に、キャディが持っているカードからは抑えきれなくなった魔力が溢れだしており、立香はその魔力を肌で感じる程だった。それを感じたサーヴァント達も、再び各々の武器を構えて警戒する。

 

 「地を喰らい、海を飲み干せ....召喚(コール)

  ---世界蛇(ヨルムンガンド)

 

 キャディが地面にカード投げて置くと同時に、カードを中心に巨大な魔術陣が展開され、その魔力陣から、ファブニールを優に越える程の巨大な蛇がその姿を現したのであった。




如何でしたでしょうか?
今回も楽しんで頂けたら幸いです。

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