「召喚士、よくやったね」
「ガチャでサンタサーリャが出ずに爆死した俺に対する優しさとかないの?」
俺の部屋に入ってきて、(本当に珍しく)心からの笑顔でエリウッドが言い放ってきた。
「いやいや、爆死じゃないでしょ。だって総選挙ロイが出たんだよ?」
「性能的に当たりかもしれないが、狙ってたんじゃないんだよ。むしろすり抜けで出てきてビビッたわ」
そう、この心がブラックホールの深淵並の黒さを誇るエリウッドが喜んでいるのは総選挙ロイがクリスマスガチャをすり抜けて出てきたからだ。子煩悩な上に明らかにエリウッドを意識した衣装を着た息子の姿を見た暗黒侯爵の喜びようは半端なかった。
「つぅか、一緒に出てきたカレルには触れないのか?」
「あぁ、召喚された時の言葉の途中で召喚士とヘクトルを見て『こんな外道達のいるところにいられるか。俺は別のヴァイス・ブレイブに移るぞ』って言い放って逃げようとした剣魔さんかい?」
「ナチュラルに自分を外すなよ。カレルは明らかにお前のことも見てたから」
こいつは昔から悪いことを俺やヘクトルのせいにする。
ちなみに逃げようとしたカレルは武器錬成されたニニアンの光のブレス+で焼いてもらって捕縛した。あの時召喚室にいたのが主に烈火メンバーだったのが、カレルのトラウマを刺激したのかもしれない。
「しかも、君は育成途中だった星5ロイもレベル40まで育てたね。いや、君は本当にロクデナシのクソ外道でキチガイだけど、極稀に良いことをするね」
「極稀というと?」
「マンボウの子供が生き残るくらいの確率かな」
3億分の2の確率とか確実に喧嘩売っているよな?
エリウッドは特に気にした風もなく、当然のようにお茶を入れると炬燵に入ってきた。
「それで? 僕を呼び出して何のようだい? これからロイと食事の約束があるのだけど」
「どこまで息子優先なんだよ。まぁ、話というのはそのロイのことだ」
俺の言葉に烈火時代でもほとんど(むしろ皆無?)見たことのないくらい真剣な表情になる。
「詳しく聞こうか」
「俺とエリウッドの仲だ。単刀直入に言うぞ」
俺の言葉に真剣な表情で頷くエリウッド。それを確認して俺も口を開く。
「どこで拾った子供だ?」
「ちょっと待ってくれるかい、召喚士。今、デュランダルを持ってくるから」
「ばっか! お前! 当然の反応だろ!? お前みたいな性根が腐ってる人間に憧れるとか、そういう過去があるか、洗脳されているかの二択だろ!? ヘクトルだって『ロイはきっとエリウッドの少しだけ存在する善性が表に出てきているとしか考えられない』って言ってたぞ!?」
「ヘクトルには後でサナキの相性激化シムベリンを叩き込むとして、君には前回に引き続き石抱でいいかな?」
「よくないから! 笑顔で拷問宣言するなよ! だからお前は腹黒って言われるんだよ」
4873秒ほど二人で言い争うと、とりあえずお茶を飲んで一息つく。
「総選挙ロイを育成している時にな、レベルアップのたびに『父上のように』とか言ってたんだよ。別世界のノーマルアクア(英雄値稼ぎ中)とアテナ(剣経験値アップ要員)は言いとして、一緒にいた俺と花嫁リン(SP稼ぎ中)は思わず『それはネルガルのような存在になるぞ』ってツッコミそうになったわ」
「君たちは僕のことを何だと思ってるんだい?」
ラスボスだよ。言わせんな、恥ずかしい。
「どう考えてもあの時の戦いの所業を考えると、お前を尊敬するとかありえないだろ」
「その戦いの作戦を考えた人間が言っていい発言ではないね」
「その作戦にノリノリだった人間の発言でもないな」
しばらく無言でメンチをきりあったが、珍しくエリウッドが引き下がった。
「まぁ、あの時の戦いのことは伏せてあったし、マーカスやロウエン、ハーケンにイサドラにも僕のことを美化して教えるように言い含めておいたからね」
「ウィルとかレベッカもいただろ?」
「ロイの乳母とか大役すぎると思わないかい?」
「……ウィルはどうした?」
エリウッドの笑顔が怖すぎるから、ウィルの行方を聞かないほうが良さそうだ。
「まぁ、それはそれとしてロイ関係でお前に相談したいことがあってな。こいつを見て欲しい。総選挙ロイのレベル40ステータスだ」
「素晴らしいステータスだね!」
「守備と魔防が飛行ユニット並なの見えねぇの?」
守備と魔防だけだったらカミラ姉さんのほうが高いというツッコミはエリウッドが取り出したペンチを見て言うのを辞めた。
「ぶっちゃけると総選挙ロイにノーマルロイの相性激化継承させていいか?」
俺の言葉にエリウッドの顔が苦悶の表情になった。息子(総選挙ロイ)が強くなるのは嬉しいが息子(ノーマルロイ)がスキル継承に使われるのは我慢ならないのだろう。
「し、獅子奮迅とかどうだい?」
「確かに星4ヒナタも5人いるし、元々持ってる攻め立てとも相性いいけどさ」
「だったら!」
俺の言葉に希望を見出した表情になるエリウッド。それに俺は最高のゲス顔で答える。
「それだとお前が困る姿が見れないだろう?」
「貴様ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「はははははははは! たまにはお前も困るべきだよ! いつもいつも俺とヘクトルに厄介ごとを持ち込みやがって!!」
「だからって子供を人質に取るのか!? 最低すぎるぞ!!」
「相手を選ぶに決まってるだろ!! やるのはお前かヘクトルだけだ!」
本格的に怒り狂い始めたエリウッドから逃げるように俺は部屋の窓から飛び出した。さぁ!! あとは罠を張っているはずのヘクトルの場所に誘き寄せるだけだ!!
「なんか懐かしいね」
「フロリーナ、親友の貴女にこう言いたくはないけど、あの三馬鹿に毒されてるわよ?」
「で、でもリン。昔の旅はずっとこんな状態だったよ? パントさんがいないから大人しいくらいだし」
『おいヘクトル! なんで罠を発動させない!!』
『させないんじゃねぇ! できねぇんだ! くそ、誰か罠を解除させやがったな……ハ!! あいつは!』
(召喚士の用意した罠の重要部分を持ちながら笑う盗賊の男)
『『マ、マシュー!!』』
『こう言ってはなんですけどね、若様達は痛い目にあうべきですよ』
『ばっか! お前! マジで馬鹿だろ!! エリウッドと一緒にいたらいつも痛い目にあってただろ』
『さてはお前、スキル継承に使いまくってることを恨んでるな!!』
『さ、エリウッド様。ロイ様から烈剣デュランダルを借りて(盗んで)きましたんで』
『素晴らしい働きだよ、マシュー。と言うわけで死にたまえクソ外道共』
『『ギャアアアアアアア!!!!』』
「……速いところストッパーのオズインかマーカスの実装が待たれるわね」
「そうだね、また皆で集まりたいもんね」
エリウッド
ロイ・大好き・エリウッドさん!!の親バカの出現。烈火をやったことのないプレイヤーに勘違いしないで欲しいのは、原作のエリウッドはこんなキャラ崩壊してませんし、むしろ真面目な心優しい好青年です。
リンちゃんもいねぇ、カミラ姉さんもいねぇ、のクリスマスガチャだったので最初は回す気なかったんですけど、とりあえずネタ出しのために回すかぁと思ったら二人目の星5アテナ推参。これは今回いけるんじゃね? と思って全弾発射した結果、サンタサーリャは出ませんでした。90個を切ったあたりで剣魔さんが来て、残り10個の時に総選挙ロイが来ました。サンタ? 誰もいねぇよ!!
これ書いてて思ったのは、こいつらちゃんと烈火でシリアスしてたのだろうかということです。結構シリアスシーンも多かった気がしますけど、ここの召喚士をブチ込むとシリアス(笑)にしかならないような……
むしろこのノリで烈火を書きたいのだけれど、アドバンスはすでに行方不明なので3DSに移植されるのを全裸待機してます。え? 公式発表でFEは3DSで新作は出ないって発表された? それは新作だから……! リメイクはワンチャンあるって信じてる……!
ちなみに我がヴァイス・ブレイブにはヘクトルの娘・リリーナ嬢が7人いて、奥さんのフロリーナも7人います。ヘクトルの胃に穴が空く日も近い