召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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タイトルが某有名アニメ映画と被っていますが、中身は一切関係ありません


君の名は。

 「召喚士殿はなんていう名前なんだろう」

ある日のお茶会。ロイがふと思いついたことを呟くと、一緒にお茶会をしていたリリーナ、シャニー、スーは同時に首を傾げる。

 「確かにお父様達が召喚士さんのお名前を呼んでいるところは聞いたことがないわね」

 「それどころか、ヴァイス・ブレイブのみんなが『召喚士』って呼んでるよね。誰一人として名前で呼んでいるところは見たことがないよ」

リリーナの言葉にシャニーも続く。そしてスーが不思議そうに首を傾げた。

 「召喚士殿は『ショウカンシ』という名前じゃないのか?」

 「「「多分、それは違う」」」

どこか天然の入った発言にロイ、リリーナ、シャニーは揃って否定する。

 「それよりロイはどうして召喚士さんの名前が気になったの?」

 「いや、最近、リンさんが水着装備で召喚されたことで、SPアップ要員ってことで修練の塔に一緒に行っているんだけど、リンさんも召喚士さんのことを『召喚士』って呼んでいたから、本名を知っている人っているのかなって」

 「それもそうね。ところでロイ」

ロイの言葉にリリーナは同意しながらも視線を鋭くしてロイを見る。

 「まさか水着姿のリンさんのことを嫌らしい目で見てないでしょうね?」

 「み、見てないよ!! それどころかこっちの方が恥ずかしくなっちゃうよ!!」

顔を真っ赤にして必死に否定するロイ。その姿は漫画雑誌の水着グラビアを恥ずかしがって読み飛ばす思春期中学生のような姿だった。

 「でも一番仲が良いリンさんが名前を呼ばないんじゃ、知りようがないんじゃない?」

夫婦喧嘩は犬も食わないとばかりにシャニーはロイとリリーナのやりとりをスルーして、会話を続ける。

 「ふむ、気になるのなら知っていそうな人物に聞いてみればいいだろう」

 「「「え?」」」

 

 

 

 

 「そういうわけなんですけど父上。父上達は召喚士殿のお名前を知っていますか?」

ロイとリリーナがやってきた(シャニーは興味なし、スーは鍛錬のために抜けた)のは自他共に召喚士の悪友としてヴァイス・ブレイブに悪名を広げるエリウッドとヘクトルのところだった。

 「……お父様。昼間からお酒はお母様と一緒に禁じたはずですが?」

 「いや……これはだな。エリウッドから誘われて」

 「あ、リリーナちゃん。ヘクトルの奴は僕とお茶なんか飲めるかと言ってお酒を飲み始めたよ」

 「エリウッドぉぉぉぉぉ!!!!!」

悪友の即座の裏切りによって娘に連行される父親。しばらくするとフォルブレイズの音が鳴り始めたので折檻が開始されたのだろう。

オスティア親子の折檻風景に慣れているフェレ親子は気にせずに会話を続ける。

 「う〜ん、召喚士の名前かぁ」

 「父上でも知ってはいませんか?」

ロイの言葉にエリウッドは素敵な笑顔を浮かべて口を開く。

 「いや、欠片も興味なかったからね」

 「あの……ご友人ですよね……?」

 「時と場合によりにけり、かな」

ロイは父親と母親を尊敬おり、模範としているが、友人との付き合い方だけは真似しないように硬く誓っている。

 「……言われてみると不思議だな。僕達にとって『軍師』は『軍師』だから呼び方を気にしたことがなかった」

そして急に真剣な表情になって呟くエリウッド。そんなエリウッドを見て「やっぱり父上はすごい人だ。さっきまでふざけていたのに、すぐに切り替えができるなんて」という洗脳された発想になるロイ。ロイは早く目覚めた方がいい。

 「いや、名前だけじゃない。僕達は『軍師』のことを何も知らない。いや、『興味を持たない』ように思考誘導されていたのか……」

 「父上……?」

ロイの言葉に、ロイのことを思い出したような表情になるエリウッド。

 「うん、だったら聞きに行こう」

 「聞きに行く……ですか?」

 「そうさ。本人にね」

 

 

 

 

 「うちの可愛い息子が鬼畜クソ外道の名前を知りたがっているから教えやがれこの野郎」

 「突然部屋にやってきてなんだテメェ」

突如部屋にやってきた親バカが開口一番に喧嘩を売ってきた。なんなんだこいつは。

 「というかお前は俺が何をやってるかわからないのか?」

 「インバースちゃんにセシリアちゃん……密会?」

 「『召喚士のよくわかる戦略・戦術教室』だ馬鹿野郎」

 「ネーミングセンスないね」

 「ぶっ飛ばすぞ?」

流れるように罵倒してきたエリウッドと胸ぐらを掴みあう。エリウッドが来たことによって授業は終了だと気付いたセシリアは一礼してから部屋を出て行き、インバースは楽しそうに俺たちを見ている。オロオロしているロイくんが唯一の癒しだ。

 「そ、そういえばインバースさんは召喚士殿の名前を知っているんですか?」

とにかく話を変えようと思ったのか、ロイは俺の養子であるインバースに話かける。それにインバースは100%笑顔で告げた。

 「知りませんわ」

 「え!? お、親なのに知らないんですか!?」

 「それはそうですわ。私にとって『お父様』は『お父様』であって名前を知る必要もありませんから」

 「そ、それでも悲しくないですか?」

ロイの言葉に不思議そうに首を傾げるインバース。

 「『お父様』という形があればあえて名前を知る必要がないと思うですけど」

 「君の教育方針歪んでるよ」

 「息子に洗脳を施すお前よりかはマシだよ」

俺たちのどつき合いが激しくなった

 「でも、やっぱりお世話になっている人の名前は知っておきたいです」

 「見ろよ召喚士。こんないい子が他にいると思うかい? この子うちの子なんだぜ?」

 「きっとウルスラに似たんだな」

俺たちの怒鳴り合いがひどくなった。

 「ふぅむ。なぁ、ロイ」

 「はい!! なんでしょう!!」

俺の言葉に元気よく返事をするロイ。

 「お茶目な回答と真面目な回答。どっちがいい?」

 「……え?」

 「じゃあ両方で」

俺の奇行に慣れていないロイは一瞬フリーズし、染まっているエリウッドは即答した。

 「召喚されたサーヴァントの真名を知ったら負けるじゃないか」

 「君はいつから聖杯戦争に参加しているんだい?」

 「参加したことあるぞ」

 「マジでか……!?」

俺の爆弾発言に超驚愕顔をするエリウッド。そして聖杯戦争が何か理解していないロイ。湯のみの代わりとして使っている聖杯をアピールするインバース。ははは、インバース。その魔力タンクを乱暴に扱うんじゃないぞ。爆発するからな。

 「それじゃあ真面目な回答はなんだい?」

 「俺の仕事柄名前を知られると呪いとかをかけられる可能性がある。そのリスクを避けるためだ」

 「バカな……本当に真面目な回答だと……!?」

 「親バカ、貴様は喧嘩を売っているな?」

一旦治った胸ぐらを再度掴みあう俺たち。

 「そ、それでしたら召喚士殿の名前を知っている方はいないんですか?」

 「いや、リンと烈火世界にもう一人。そして教えた覚えはないのに知っているパントくらいだな」

 




ロイ
純粋培養に育てられたために女性への免疫が限りなく低い純情ボーイ。純情であるがゆえに召喚士の名前に興味を持ってしまった。

召喚士が参加した聖杯戦争
きっと敵は酷い目にあった

召喚士の名前に興味を持てない理由
召喚士が魔法を使っている結果

召喚士の名前を知る方法
召喚士との支援がSになるか、パントのようにバグになるかの二択。ちなみに支援Sになるのは初見でダークソウルやセキロを一度も死なずにクリアするくらいの難易度




そんな感じでロイくんが召喚士の名前に興味を持ったようです。しかし結局謎のまま。設定も小出しにしていくスタイル。

今日から第二弾水着ガチャですね。みなさんはお目当ての英雄を引けましたか? 作者は1フェーぶっ込んで水着リンちゃんを引きました。やっぱりリンちゃんは無課金では来てくれないんやな、て。水着ウルスラさんも欲しいけどオーブがない。

次回こそは戦禍の連戦回になるかと思います。

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