召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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この作品で修羅場展開なんて誰も望んじゃいねぇだろ!!


でも実装されたんだから仕方ないよなぁ!!


召喚士と修羅場

ヴァイス・ブレイブの大広間。ここの中央で俺は正座していた。隣には顔色が悪いインバース。俺の顔色も真っ青であろう。

その証拠に俺にしか見えない位置に通信帯が現れる。

【ニノ】『召喚士さん、大丈夫?』

視線だけをニノの方にずらすととても心配そうな表情をしたニノ。そして愉悦の笑顔を浮かべているバカ二人がいる。

俺はニノを安心させるように笑顔を見せてから通信帯に入力する

【召喚士】『ボスケテ』

俺の返答を見たバカ二人はこらえきれないとばかりに机をバシバシと叩き、大天使ニノエルは心配そうにオロオロとしていた。

おのれ、バカ二人め。あとで貴様らの嫁にないことないことを吹き込むからな。

 「どうかした? 召喚士」

 「いや、なんでもないぞリン!!」

東の龍。自称俺の嫁のリン。

 「私達とお話しをしているのに別の方を気にかけるのは良いこととは言えませんよ」

 「すまない、フィオーラ!!」

西の虎。自称俺の妻のフィオーラ。

うん、そうなんだすまない。まさかの修羅場なんだ。烈火時代の最終決戦直前に二人から告白された俺。当時、俺が別世界に召喚されてしまったのでなんとなくお流れになったと思っていたお話し。過去の話になったと思っていたのは俺だけだったようで、リンもフィオーラもバッチリ独身を貫き通したらしい。愛が重い。

そしてリンだけだったら割と大丈夫だったかもしれないが、今回の戦禍の連戦でまさかのフィオーラがヴァイス・ブレイブにやってきたことによって雲行きが怪しくなった。具体的に言うと俺を挟んで女性の戦いが発生した。

 「ふふ、でも軍師さん……じゃなかった。召喚士さんと再会できて私も嬉しいです」

 「ハハハ、オレモダァ」

フィオーラの100%笑顔での発言に俺の胃にダイレクトアタック。さらにリンの舌打ちで追撃効果が発生である。

リンもフィオーラは笑顔である。その笑顔は古い戦友と再会できて嬉しいと言う笑顔である。

その瞳が『深淵を覗いたとき、深淵もまた覗いているのだ』と言わんばかりの瞳の色をしていなかったら俺も素直に再会を喜べたかもしれない。

 「ええ、本当に再会できて嬉しいです。これであの時の答えが聞けますから」

フィオーラの言葉に大広間の室温が20度くらい下がった。バカ二人はニノを連れていち早く避難している。大天使を逃したことは褒めてやるが、あとで貴様らは殺す。

 「あらフィオーラ。もう答えは出てるんじゃないかしら。私はすでに召喚士の娘であるインバースから『お母様』と呼ばれているから」

リンの挑発。フィオーラの笑顔の氷点下が下がった。

 「インバース?」

 「はい、フィオーラお母様!!」

 「いい娘ですね」

フィオーラのにっこり笑顔。インバースはリンの視線を受けて恐怖のあまり失神した。

 「……何の真似?」

 「何の真似とは? 私は『娘』に母と呼ばれただけですが?」

 「貴女はインバースの母ではないでしょう」

 「それはリンさんにも言えることでは?」

二人とも笑顔でのやり取り。俺は背筋が凍る思いをしている。だから自称俺の母であるミコトよ、助けてくれ。「あらあら、息子はモテますねぇ」じゃねぇんだ。

 「貴女はイリアで教官職について新人を鍛え抜いているんでしょう? シャニーが『フィオーラ教官の旦那になる人が可哀想』と言っていたから結婚はしない方がいいんじゃないかしら」

 「シャニーには後でOHANASHIするとして、結婚に関してはリンさんも人のことを言えないのでは? 世紀末遊牧民族サカの民がマトモな妻をやれるとは思えませんが」

二人の視線の氷点下がさらに下がる。さりげなくシャニーに死亡フラグが立った気がするが、俺は自分の命を守るだけで精一杯なので自分で頑張ってもらおう。

そこから続く女性二人による静かなる戦い。リンの親友であり、フィオーラの妹であるために完全に巻き込まれたフロリーナも涙目である。

 「しょ、召喚士さん。助けてください。私は死にたくないです」

 「俺も死にたくないよ、フロリーナ」

フロリーナの小声のヘルプ宣言に俺も胃を抑えながら答える。これが異世界に高飛びかました男に対する罰ということか。重すぎる罰だぞ、神はいな『私はユンヌ』破壊神はお呼びでないのでおかえりください。

俺の思考回路に混線してきた破壊神にお帰りいただきつつ、俺の灰色の脳細胞は止まらない。そして158通りの閃きがあり、158通りの俺の死を確認した。

これは完全に詰んだ……!? この俺が……!?

 (召喚士、聞こえますか? 貴方の脳内に直接語りかけています。パントです)

 (ファミチキください……!!)

 (君、さては余裕だな?)

とりあえず脳内に直接語りかけてきたパントに脳内にネタで返すと、呆れた返答が帰ってきた。

 (まぁ、いいや。聞こえるかい、召喚士。ここは天才イケメンパントさんのいう通りにするんだ)

 (それは俺の身の安全が保障されるものか?)

 (それは君次第さ。だが、このままでは恋愛初心者マークを通り越して恋愛仮免すら取れていない君には絶対に越えられない窮地だと思うけどどうだい?)

パントの言葉にぐうの音も出ない。基本的に他人の欲望とか悪意を利用して策を立てることに特化した俺に、好意という好感情で他人をどうこうできるほど俺の人生経験値は順風満帆だったわけではない。むしろ他人の悪意を見続けている人生である。

 (いいだろう……!! 結ぶぞ!! その契約!!)

 (忘れるな、召喚術は主人を孤独にさせる)

某反逆王子の真似をしたら、律儀にネタを返してくるパントは何なのだろうか。

そして俺に助言をしてくるパント。俺はその助言の通りに口を動かす。

 「二人共聞いてくれ!!」

二人の視線が俺に集中する。勝負は今……!! 頼むぞ、パント。

 「お前が……お前たちが、俺の翼だ!! ってパントぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

あまりにも堂々とした二股宣言に俺は焦り、ふっかけたパントは笑顔でサムズアップ。あのイケメンは後で殺す。

 「「召喚士?/召喚士さん?」」

 「はい」

 「「とりあえず正座」」

 「はい」

とりあえずこの場を生き延びることができたらな!!

 




リン
召喚士の自称・嫁。まさかの恋敵実装で焦りが出る。再度の逆レも近い。

フィオーラ
召喚士の自称・妻。烈火世界では軍師が異世界に高飛びした後は故郷に戻って教官をしていた模様。封印のペガサス三姉妹は全員フィオーラの教導を受けており、シャニー曰く『泣く子も黙る鬼教官』。ヴァイス・ブレイブに来てからは時にリンと敵対し、時に協力しながら召喚士を烈火世界に連れて行く計画を立てる。

パント
脳内テレパシーも使いこなす最悪すぎる存在。

フロリーナ
完全な被害者。

烈火世界の恋のトライアングラー
召喚士は誰とキスをする



まさかのフィオーラ実装で召喚士の嫁候補が増える結果に。恋のトライアングラー設定を作った時から「最後の一人はフィオーラだよな。作者の趣味的に考えて。まぁ、実装されないから大丈夫大丈夫」と高をくくっていたらまさかの配布実装に嬉しい半分やばいという感情半分の作者です。フィオーラに倭刀が欲しいんだけどなぁ、カレルくん。

前話でモロバレでしたけど、相手がフィオーラだと予想していた人いますかね。

さて、水着ガチャの第二弾が来ているわけですが、作者は当然のように課金してリンちゃんは引きましたが、ウルスラさんが来てくれません。とりあえず一日一回ガチャで無色を回してますけど、来てくれる気配がないのはどういうことだ。すり抜けたエポニーヌはマジで許さん

ところでフィオーラは剣じゃなくて槍のイメージなんですけど運営さん

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