今回は水着ウルスラを狙っている時にすり抜けてきやがったカイネギスのお話
「ねぇ、外道。ちょっといいかい」
「今、話しかけるな腹黒」
真夏の炎天下。そんな中、俺とエリウッドは汗を垂らしながら訓練場にいた。
「なぜ僕らはこの炎天下の中で筋トレをさせられているんだい?」
「話しかけるな……!! しんどくなるだろうが……!!」
俺とエリウッドが汗だくで筋トレをやっている中、ヘクトルは嬉々とした様子で筋トレしていた。奴はやはり重度の脳筋である。
「いいか!! 健全な魂は健全な肉体に宿ると言う!!」
そんな拷問を課してきたのは水着ウルスラのすり抜けで我がヴァイス・ブレイブにやってきたカイネギスであった。カイネギスは鍛え抜かれた上半身を晒しながら俺たちの前で演説をぶちかましている。
「つまり健全な魂は筋肉で宿るのだ!!」
「「その考えはおかしい」」
俺とエリウッドのツッコミを無視するカイネギス。
「わしも若い頃はひ弱で引っ込み思案であった。しかし……これでは駄目だと思い直し、鍛え抜かれた筋肉を手に入れたことによって、ガリアの王として相応しい存在になれたのだ」
「お前、若い頃は血気盛んだったんじゃねぇの?」
「うむ、それはまだワシが筋肉に飲み込まれていた時のことよ!! 筋肉との共存をすることに成功したワシに弱点はない!!」
そう言ってサイドチェストを決めながら歯を光らせるカイネギス。それをみて俺とエリウッドはげんなりする。
「なぜだ。普通、夏だったらあれだろ。美少女の水着が出るべきだろ。なんでヒゲモジャ獣の半裸を見せつけられなきゃいけないんだ」
「普段の行いのせいじゃないかい?」
「それだったらエリウッドだけが不幸になるはずだ」
いつもだったらここでメンチの切り合いが発生するが、残念ながら俺たちは筋肉王カイネギス監修の下に筋トレを受けている最中なので発生しない。
「うむうむ!! 三人ともワシの見込んだ通りよ!! このまま青空筋トレを続ければ筋肉量は3倍……いや!! お主達の素質なら5倍は堅い!!」
「「5倍って普通に怖くない?」」
俺とエリウッドの言葉は脳みそまで筋肉でできているカイネギスには届かない。
「うぉぉぉぉぉ!!! 盛り上がってきたぜ!! 唸れ!! 俺の筋肉!!」
「「えぇ……(ドン引き)」」
そして何故かテンションが上がっているヘクトル。すごい勢いで筋トレをしている。
「貴方達、ちょっと休憩したら?」
「お弁当作ってきたわよ」
「飲み物も持ってきました」
そこにやってきたのは水着姿のリンとウルスラ。いつもより薄着なフロリーナだった。
「うむ、筋肉には休息も必要だ。休憩!!」
カイネギスの言葉に地面に倒れ臥す俺とエリウッド。元気に腕立て伏せをしているヘクトル。ヘクトルにいたってはやってきたフロリーナを背中に乗せて重石代わりにして腕立て伏せをしている。
「あいつはなんなの?」
「きっと筋肉に汚染されているんだよ」
俺とエリウッドの冷たい視線も無視して筋トレを続けるヘクトル。それを微笑みながら見ているフロリーナにも狂気を感じる。
「ちなみにリン。ヘクトルを見てどう思う?」
「近くに来て欲しくはないわね」
「辛辣ぅ!!」
言い切ったリンに俺は笑い声をあげる。しかし……
俺の視線に気づいたのかリンは胸元を隠す。
「なに!? ジロジロ見るんじゃないわよ!!」
「いや、同じ水着なのにウルスラの方が色気があるのはなんでだろうな」
(チョキで目潰し)
「あぁァァ!!! 目がぁ!! 目がァァァ!!!」
素直に感想を言ったら無表情で目潰しをされた。
「なんで君は言っちゃうのかな」
「私はロイとニノがいる限り老けないわよ。常に大人の色気もキープしてるわ」
「くっ、私だって子供を産んでいれば大人の色気くらい……!!」
「お前ら少しは心配とかできねぇの?」
「「「え?」」」
「あ、今のは表情見なくてもわかるぞ!! 心底意味がわからないって表情をしているな!!」
なんて酷いやつらだ。こいつらに人の心はないのだろうか。
「おい、カイネ、ギ、ス?」
俺がカイネギスの方を見るとカイネギスはサンドイッチを掴みながら唸っている。
「ムムム、召喚士よ。この食べ物はどうやって食べるのが正解……いや、待て!! 王たる者として試す前に聞くなど!! やはり王たる者自力で答えを見つけなければ!!」
「それは普通に食べる以外に選択肢ねぇだろ」
カイネギス
筋肉至上主義のガリア王国の王様。きっと親衛隊もマッチョしかいない。
三馬鹿
健全な魂を宿すためにカイネギスによって筋トレに連れ出された。なお、健全な魂は宿らなかった模様
奥様は水着姿
似たような布面積なのにウルスラの方が色気あるのなんなん?
そんな感じで筋トレ回でした。
京アニの放火事件を受けて、割とショックを受けてます。あそこの作品、好きなの多いんですよね。それに意欲も技術もあった数多いクリエイター達が亡くなられたのも悲しい。そんな時に作者にできることはいつも通りに頭の悪い話しを書くことだけでした。ですが、ショック大きいので文章が出てきませんでした。短いのはそのためです。
延期してもいいから、響け!ユーフォニアムとヴァイオレット・エヴァーガーデンの劇場版待ってます。