召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

113 / 219
『聖杯戦争編書けねぇなぁ、どうしよう。あ、そうだ、カルデアを我がヴァイス・ブレイブに招待しよう』


そんな作品です


異世界特異点〜アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領

人類最後のマスターである藤丸立香はDr.ロマンに呼び出されて管制室に向かっていた。

人類最後のマスターとしていくつもの特異点を解決して来た藤丸。しかし、藤丸に重くのしかかるのは人類最後のマスターとしてのプレッシャー以外にもあった。

 「この時期だとひょっとしてまた夏イベントかな……」

そう季節(ギャグ)イベントである。特にハロウィンが酷い。鼓膜が何個あっても足りないくらいに酷い。命が関わっているのは同じはずなのに、何故季節イベントの方はサーヴァントもみんなギャグに走るのか。魔術素人の藤丸にはそれが理解できなかった。

 「Dr.ロマン。来たよ」

 「やぁ、藤丸くん。待っていたよ」

 「お疲れ様です、先輩」

管制室に待っていたのはカルデアで指揮官を務めるロマニ・アーキマンと、何故か後からカルデアにやって来た藤丸を先輩と呼ぶマシュ・キリエライトの二人だった。

 「今度は誰が悪さをしたの、Dr.ロマン。またエリちゃん?」

 「いやぁ、藤丸くんの目がすごい勢いで腐っているのは誰のせいなんだろう」

きっとイベントのせいだろう。

 「実は今回も特異点が見つかってね」

 「今度はどこですか? またチェイテ姫路城ピラミッド?」

 「先輩!! 大丈夫です!! 今回、エリザさんは関係ありません!!」

マシュの天使発言に藤丸の目が真剣なものになる。ひょっとしたら本編(シリアス)かもしれないからだ。

そしてロマンの言葉で新しく出現した特異点に視線が向かう。

そして藤丸の思考は停止した。その特異点の場所は何故かカルデアスから大きく外れたところにあったからだ。

 「あ〜、Dr.ロマン。次の目的地はひょっとして宇宙?」

 「ははは、そんなわけないじゃないか」

いつものゆるふわな笑みを浮かべて藤丸の言葉を否定するDr.ロマン。

 「次の特異点は異世界さ」

 「おかしくない!?」

そして帰って来た発言は宇宙以上に吹っ飛んだ発言だった。

 「いや、藤丸くんの混乱もわかる。これを知った僕も同じ反応をしたからね」

 「あのDr.ロマン。特異点が異世界であるならば、放っておくことはできないんですか?」

マシュの言葉に藤丸は大きく頷く。なんと言うか鍛え抜かれた直感が叫ぶのだ。この特異点は危険だと。

 「うん、最初は僕もそうしようかと思ったんだけどね。実はこの特異点はかなり特殊らしくて、放っておくとどんどん肥大化していくんだ。最終的にはこちらの世界を飲み込みかねないほどにね」

 「わかりやすく」

 「異世界の特異点で現実がピンチ!!」

 「ファッキン異世界!!」

藤丸渾身の叫びである。

 「そんなわけで仕方ないけど、行って来てくれるかい?」

 「はい!!」

 「はぁぁぁ、仕方ないですよね」

元気よく返事をするマシュと嫌な予感がすると言う表情を隠さない藤丸であった。

 

 

 

 

そんな感じで異世界にレイシフトした藤丸とマシュ。すでにマシュはデミ・サーヴァントモードになっている。しかし……

 「平和ですね」

 「だよね」

争いなど一切ない森が広がっているだけであった。

 『テステス。あ、無事に到着している見たいだね』

 「Dr.ロマン。こっちは平和そのものだけど?」

 『みたいだね。聖杯の反応はそこから南に行ったところにあるみたいだ。とりあえずそちらに向かってくれるかい?』

 「はいはい」

ロマンの言葉に促されるままに聖杯の反応があるという方角に進む藤丸とマシュ。

そしてしばらく進むと「おや?」と思い、近くに来て呆然とした。

巨大な城にそれを囲むようにそびえ立つ城壁。そして城壁からところどころに出ている戦艦くらいの大きさはあるであろう主砲。

どう見ても要塞であった。

 「「えぇぇぇ……」」

藤丸とマシュは軽くドン引きした。異世界だと思って中世的なところを想像していたらバッチリ近代的であった。むしろこんな巨大な要塞を作るってどう言うことだ。

とりあえず話が進まないので門のところに進む二人。すると中性的な声が響いて来た。

 『流体魔力検査—————エラー。身体的特徴—————エラー。網膜認証—————エラー。登録されていない英雄のかたですね。ようこそアスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領へ』

そして魔法と近代技術がMIXされたかのような門。この時点で二人の思考は停止した。

 『現在、迎えの英雄がこちらに向かっております。しばらくお待ちください』

 「……どうしますか、先輩」

 「迎えに来てくれるなら素直に待とうか」

マシュの言葉に藤丸は少し悩んで答える。

そして上空から降ってくる何か。臨戦態勢に入るマシュといつでも令呪のサポートをできるようにしている藤丸。

そしてスーパーヒーロー着地を決めているのは当然この二人。

 「マークくんと!!」

 「マークちゃんです!!」

 「「二人合わせてWマークです!!」」

スーパーヒーロー着地からのバッチリ決めポーズまで決めるマークくんとマークちゃんである。

 「ようこそいらっしゃいました旅の方!! 僕達は新しい旅の方を歓迎しますよ!!」

 「はい!! なにせこのヴァイス・ブレイブに訪れた方は二度と立ち寄らなくなると大評判ですから!!」

 「なにそれ怖い」

マークくんとマークちゃんの言葉に思わず呟く藤丸。

 「あの……私達は聖杯を探している者なんですが……あ、聖杯って言うのはこんな形の器なんですが」

そして純粋ゆえに普通にWマークに接することができるマシュ。そのとき藤丸は「流石はマシュ。頼りになる」とマシュへの好感度を上げていた。

 「チッチッチ、あまり私達を舐めてもらっては困りますよ!! 聖杯くらい知っています!! なんでも願いを叶えてくれる願望機でしょう!!」

 「そして僕達は聖杯戦争のことも知っています!! 聖杯を巡って七騎の英雄がバトルするバトルロワイヤル!! そして貴方達は7つの特異点を解決に導こうとするお二人ですね!!」

 「待って、なんで知ってるの」

 「「電波です!!」」

 「お、おう」

とてもいい笑顔での電波発言に、数多くの英霊と普通に接することができる藤丸も流石にちょっと引いた。

 「とりあえず聖杯だったら師匠が持っていますので案内しますね!!」

 「あ!! 大変ですよマークちゃん!! 今回はお二人だからペガサスに乗ってアクロバットマニューバができません!!」

 「ムムム!! 逆に考えましょうマークくん!! 『二人だけどペガサスにくくりつけてもいいんだ』と考えましょう!!」

 「おぉ!! それですねマークちゃん!!」

 「いや、普通に案内してくれると嬉しいけど」

 「「残念です……」」

心底残念そうに言うマークくんとマークちゃん。そして二人を先導して歩き出した。

 「ここはアスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領です!! アスク王国から独立自治権を持っており、自前で軍備も持っています!!」

 「アスク王国、ニフル王国、ムスペル王国の経済の中心地でもあります!!」

 「うん、ちょっと待って」

 「「なんでしょう!!」」

この場所の説明をしてくれるマークくんとマークちゃん。藤丸にはそれは大変助かるのだが、マシュの思考がフリーズしてしまっているので確認しなければなるまい。

 「あの人達はなに?」

 『ククク、クククハハハハハ!!! 強い!! 強いですねユンヌ!! あぁ!! 今日こそ貴女を超えてみせましょう!!』

 『私はユンヌ』

藤丸とマシュの視線の先にいたのはサーヴァント同士の戦いでもあんまりみない限界バトルを行なっている美少女と美幼女。拳一振りが宝具並の威力が出ている。

藤丸の言葉にマークくんとマークちゃんは不思議そうに首を傾げる。

 「「イドゥンさんとユンヌさんですけど?」」

 「え? ちょっと待って。あんな一昔前のジャンプのバトル漫画みたいな人達がここにはいっぱいいるの?」

マークくんとマークちゃんは顔を見合わせて指を折り始める。そして両手の指の途中で止まった。

 「やったね藤丸さん!! 両手で足りますよ!!」

 「わぁい!! ここは魔境だぁぁ!!」

笑顔でのマークちゃんの発言に渾身の叫びをあげる藤丸。

 「メカクレ美少女ktkr!!」

そして最近実装された海賊みたいなことを言ってマシュに向かって走ってくる同人作家ギムレー先生(ルフ子バージョン)。そしてマシュの前まで来ると血走った目でマシュの前身を舐め回すように見る。それに居心地が悪そうにするマシュ。

 「あ、あの……なんでしょうか?」

 「純粋系メカクレナイスバディ美少女キター!!!!!」

そして謎の踊りを踊るギムレー。テンションが振り切れていて正直気持ち悪い。

 「きみきみ同人誌に興味ないいやなくても興味持ってくれると嬉しいと言うか我の同人誌のモデルになってくれると超嬉しいと言うかなってなって大丈夫18禁だけど竿役は隣の彼氏をモデルにしてあげるからだから我の部屋に来ようか大丈夫先っぽだけ先っぽだけだからゲブフォアぁぁ!!!!」

不穏なことを垂れ流していたギムレーは通りかかったセシリアとカチュアによって鎮圧されて逮捕された。

 「あの、今の方は?」

 「オタクに魂を囚われた人ですね!!」

 「……えと、どう言うことでしょう」

 「知らない方がいいよ、マシュ」

困惑した様子で藤丸を見上げて来たマシュに、優しい微笑みで返す藤丸。とりあえず次からギムレーを見かけたら即座にガンドを打ち込む覚悟完了する藤丸であった。

それからも色々とsan値がピンチな光景を見せつけられながらも一つの部屋に案内される藤丸とマシュ。

 「ここが師匠の部屋です!!」

 「今日はヘクトルさんとエリウッドさんはいないはずですから安心していいですよ!!」

誰だが知らないがいないと言う二人に藤丸は内心でナイスを返しておく。

そして扉を開く藤丸とマシュ。部屋の中央にはゲンドウポーズを決めた白フードの男。

 「ようこそ我がヴァイス・ブレイブへ。歓迎しよう、人類最後のマスター・藤丸立香とそのサーヴァント・マシュ・キリエライト」

その威圧感に思わず後ずさる藤丸とマシュ。

 「どうしたんですか師匠!! いつもとキャラが違いますよ!!」

 「そうですよ師匠!! いつもとキャラが違くて気持ち悪いですよ!!」

 「う〜ん、マークくんとマークちゃんはもう少し空気を読むことを覚えような!!」

そして速攻で威圧感が霧散した。

 「……え〜と」

 「まぁまぁ、座れ座れ。藤丸は初めましてだな。マシュは久しぶりだな」

召喚士の言葉に困惑するマシュ。なにせ初対面の相手に面識があるようにされたら誰でも驚く。特にマシュは対人関係に慣れていないのだ。

 「すいません……どちら様でしょうか?」

 「あん? ああっと、そっか。カルデアにいた時はこっちだったか」

そう言って白フードから黒フードになる召喚士。それを見てマシュは心底驚いた声をあげた。

 「ブリガンクロス教授!?」

 「イエース!! 久しぶりだな、マシュ!! すっかり女の子のなっちゃって!!」

まさかの召喚士カルデアにも首を突っ込んでいた案件である。

 「マシュ、知り合い?」

 「は、はい。ブリガンクロス教授はカルデアの英霊召喚システムを作り上げた中心的人物です。Aチームの皆さんとも仲が良かったんですが、ある日突然姿を消してしまわれて……」

 「はっはっは!! ちょっとまた異世界に召喚されてね!! ちなみにヴァイス・ブレイブ自治領は専用回線じゃないと通信が開かれることはないからな!! きみらが使っている通信システムじゃロマニ達と通信できない!! そこんところは理解しておくように!!」

 「あ、だからさっきからロマンから連絡がこないのか」

召喚士の言葉にどこか納得する藤丸。

 「あ、あのブリガンクロス教授!! 聖杯を渡してください!!」

 「ああ、これだろ」

マシュの問いかけになんでもないように戸棚から取り出された聖杯。カルデアではめっちゃ厳重に保管されているものがここでは日用品のように扱われている。

 「別に渡してもいいんだけど、条件がある」

 「条件ですか?」

藤丸の言葉にニヤリと笑う召喚士。

 「我がヴァイス・ブレイブ修羅三人衆と戦って1時間生き残れたらこれをやろう!!」

そんな地獄のような宣言をしたのであった。

 

 

 

 

結果的に藤丸とマシュは聖杯の回収に成功した。

二人が何回臨死体験をしたか?

10から先は数えることを放棄したのであった。

 




藤丸立香
人類最後のマスター。特異点(本編)より季節特異点(ギャグ)の方が辛いと感じる人類最後の希望。

マシュ・キリエライト
みんなの後輩。可愛い。

召喚士
まさかのカルデアにも関わっていた男。こいつは一体何者なんだ。

藤丸&マシュVSヴァイス・ブレイブ修羅三人衆
藤丸とマシュのトラウマ




そんな感じで聖杯戦争編が書けなかったので、藤丸くんとマシュに我がヴァイス・ブレイブにやってきてもらいました。二人は泣いていい。
そしてさり気なくカルデアにも関わっていた召喚士。マリスビリーの死因はきっと胃潰瘍。

FEHではペトラちゃん欲しさに青を回したらすり抜けスミアを食らいました。本当にこのゲームのすり抜けはブチ切れそうになるな。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。