召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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戦禍の連戦開始!!


さぁ、みんな走れ!!


ニフル王女フィヨルムの受難

ついに戦禍の連戦がスタートである。

前だったら「戦禍の連戦めんどくさ」と思う俺だが、オールオートという技を覚えてからはこのイベントが楽しくて仕方ない。なにせ英雄達に丸投げしているだけでオーブや羽がガポガポ入ってくるのだ。

好きです戦禍の連戦!!

 「お〜っす」

 「お、早いな」

そして今回の(何故か)ボーナスキャラのヘクトルが帰ってきた。

 「いやな。メンバーの一人が召喚士にお願いがあるらしくてな」

 「お願い? 今回は英雄値がMAXになったからゼルギウスはお休みしてるし、他のメンバーが出撃することに反対するとは思えんが?」

 「あの……私のことを忘れていませんか?」

 「なんと、フィヨルムか?」

別に忘れていたわけではないが、意外な人物であったことは確かだ。とりあえずフィヨルムを部屋に入れてお茶の用意をする。当然のようにヘクトルも入ってきて勝手に酒を飲み始めた。これは後でフロリーナとリリーナへの密告案件ですね。

お茶を飲んで一息ついたフィヨルムは言いづらそうに口を開いた。

 「私をメンバーから外してもらえませんか?」

 「それまたなんでだ?」

 「言わなきゃわかりませんか?」

フィヨルムの言葉に俺はヘクトルを見るが、ヘクトルはさっぱりといった感じだ。

 「「全くわからん」」

 「貴方達は正気なんですか!?」

わからないと言ったら正気を疑われた。

 「そんなこと言ってもメンバーも別に普通だろ。なぁ、ヘクトル」

 「そうだな。ナギが前まで使っていたブレスを一切使わずに格闘術で相手の首をへし折っていたり、イドゥンのテンションが上がりすぎて戦禍の渦が消滅の危機になるくらい普通だよな」

 「それは普通じゃない!!」

フィヨルム、渾身の、叫び。

 「どう考えたっておかしいじゃないですか!! ナギさんは何か体が黄金に輝いたと思ったら手からエネルギー体を発射しますし、イドゥンさんは終始あのテンションで暴れまわりますし……どうにかしてください!!」

そんなこと言われてもな。

 「お姉ちゃんが格闘術……お姉ちゃん? 俺に姉は存在いいいいいいいいいいいいいいい!!!!」

みょんみょんみょんみょん(ナギの手から謎のビームが発射されて召喚士の頭に当たっている)

 「そうだったな。お姉ちゃんはお姉ちゃんだった。おかしいな。最近疲れているのかな」

 「ヘクトルさん」

 「放っておけ」

 「やっぱり貴方達はおかしい!!」

最近お姉ちゃんに会ってなかったからか? 今日の戦禍の連戦が終わったら会いに行くか。

 「それはそれとして……お姉ちゃんがブレス吐くよりナギ流格闘術戦った方が強いのはギムレーがオタクなことくらい当然のことだからな」

 「ナギ流格闘術って何ですか?」

 「お姉ちゃんが創始した武術。相手は死ぬ」

 「殺人術……!!」

フィヨルムがどこか恐ろしい表情を浮かべているが、それも今更である。基本的に俺が関わった人はみんなどこかおかしい。

 「やっぱり俺が一番まともだよな」

 「ありえねぇだろ鬼畜クソ外道」

 (メンチの切り合い)

 「あの……私の話を聞いてください……」

フィヨルムの言葉に最後に中指を立て合うことを忘れずに俺とヘクトルは席に座る。

 「このままでは私の神経がやばいんです。誰かに変えてください」

 「それは別に構わんが、それだと変わった人物の精神がやばいことになるぞ?」

俺の言葉に体がねじ切れるくらいに悩み始めるピヨちゃん。このいい子ちゃんは他人に迷惑がかかることを嫌うんだろう。

だからあのクソめんどくせぇ姉の世話ができるとも言う。

 「ち、ちなみに私から変わるとしたら誰になりますか?」

 「青の遠距離反撃持ちわなぁ。誰がいたか……」

ピヨちゃんの言葉に俺は資料を漁り始める。青の遠距離反撃持ちは誰がいたかな、と

 「マルテ装備のヘクトルにニケ、それにハーディンだな」

 「な、ならヘクトルさんでいいじゃないですか!!」

 「俺に二役やらせようとか酷い女だな、ピヨちゃん」

 「そうは言っていません!!……ピヨちゃん?」

 「ニケはぶっちゃけステータス面の不安があるんだよなぁ」

 「いえ、あの……ピヨちゃんって私のことですか?」

 「暗黒残念皇帝はどうなんだよ?」

 「ハーディンのやつはニーナが実装されなくて不貞寝してるよ」

 「あの……なんで私がピヨちゃんなんですか?」

 「ニーナなんか実装される確率低いだろ。絶対にその前にアトスとかあるぞ」

 「それな」

 「私の話を聞いてください!!」

ピヨちゃんが机を叩き始めた。

 「私以外に最適そうな人がいるじゃないですか!! ハーディンさんなんか重装ですからあのメンバーにぴったりです!! あとなんでピヨちゃんなんですか!!」

 「ハーディンもなぁ。ソシャゲの宿命だから仕方ないけど、若干型落ちって感じがなぁ……」

 「俺なんか初期装備だぞ。この装備だと待ち伏せあんの忘れてたわ。そういや初期に流行ったよな、遠距離反撃待ち伏せ地雷」

 「懐かしいよなぁ」

 「なんで私がピヨちゃんなんですかぁぁぁぁぁ!!!!」

俺とヘクトルがHAHAHAHAと笑いあっていたらピヨちゃん渾身の叫びである。

 「ふむ、ピヨちゃん。君には常識というものが何かわかっていないように思える」

 「いえ、私はこのヴァイス・ブレイブでもトップレベルの常識人だと思っていますけど。あとなんでピヨちゃんなんですか?」

 「愚かしい……いいかピヨちゃん。常識というものは時代と共に移り変わる者だ。例えばピヨちゃんが思い出せる範囲で『あのお姉ちゃんとイドゥンはおかしい』と判断している英雄はどれだけいる?」

そして指を降り始めるピヨちゃん。そして片手に届かず折れるのは止まった。愕然とするピヨちゃん。

 「わかったようだな。100人近い英雄がいるにも関わらずあれが非常識だと思っているのは圧倒的少数。民主主義に乗っ取ってこれが常識なんだよ」

 「……いえ!! 一瞬納得しかけましたけど、その発想もおかしいですよね!?」

 「やれやれ……ピヨちゃんにはまだ常識を直視させる必要があるらしい」

俺はそう思って冷蔵庫から一つのビンを取り出す。

 「お、なんだ精力剤か?」

 「いいか脳筋。冗談にならない冗談はよせ」

最近は既成事実を狙ってくる英雄が増えて口に入れる物も気をつけなければいけないのだ。

 「これはスタミナ回復薬だ」

 「……え?」

呆気にとられているピヨちゃんを尻目に俺はそれをぐいっと飲み干す。

 「よっしゃ、脳筋これでスタミナ回復したからピヨちゃんに現実を見せてやってくれ」

 「よしきた」

 「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

悲痛な叫びをあげながらヘクトルに引きづらていくピヨちゃんを俺は笑顔で見送るのであった。

 




ピヨちゃん
ヴァイス・ブレイブ常識派筆頭(自称)。今日も頭のイカれた英雄を目にして常識を疑う

ナギ流格闘術
参考流派:流派東方不敗

戦禍の渦
イドゥンがはしゃいで消滅の危機




そんな感じで戦禍の連戦編です。うちの戦禍のメンバーはナギ、イドゥン、ボーナスキャラ、サンバでやっているんですけど、学習した作者は全部オートにしたら楽だと気付いたのでボーナスの最初の二回以外はサンバの代わりにピヨちゃんを入れてオートで回すようになりました。すると今回の編成がナギ、イドゥン、ヘクトル、ピヨちゃんと言う大惨事。
きっとピヨちゃんの常識はやばい


あと作者はツイッターやってます。固定ツイートにお題箱を設置してますので、この作品の疑問点などを投げてくだされば(答えられれば)三馬鹿が答えます。
名前:惟宗正史
ID:@TadashiKoremune

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