途中でシリアス(っぽいの)入ります。
大騒ぎであった。新年会の会場の隅でアクアは用意されたソフトドリンクを片手にそう考える。普段は堅物のギュンターも同年代のジェイガンと二人でしんみりとした雰囲気でお酒を飲んでいるのかと思えば、クロムとルフレ(男)が仲良く飲んでいるところをサクラが顔を赤くして凝視している。
……サクラは見なかったことにしよう。
「さぁ、お兄様。もう一杯いかがですか?」
「待て、ラケシス。すでにありえない速度で飲まされているんだが、何を狙っているんだ?」
「うふふ、いやですわ。別に酔わせて既成事実を作ろうとは思っていませんよ」
「召喚士! ラケシスを止めろ!!」
「オーブなしでデルムッドとナンナが来てくれる可能性があるから却下」
「召喚士ぃぃぃぃぃ!!!」
ラケシスからは忠義を尽くした騎士と聞いていたが、召喚士との会話を聞いているとそんな風には思えない。ラケシスの兄を慕う気持ちは暗夜王族や白夜王族がカムイに向ける気持ちと同じベクトルな気もするが、突っ込んではいけないのだろう。召喚士に聞いたら「FE的に珍しくもないから大丈夫」とよくわからないことを言っていた。
普段は物静かな面々を楽しんでいるのをアクアは遠くから眺める。騒がしいところも嫌いではないが、得意なわけでもないのだ。
「なんだ、飲んでないのか?」
「ヘクトル」
アクアのところにやって来たのは召喚士やエリウッドと一緒に騒いではリンに制裁されるヘクトルがいた。
この新年会も召喚士とエリウッドとヘクトルの主導で開催されている。その証拠に三人は騒ぎながらも会場全体を回って場を盛り上げている。エリウッドだけはロイにお酒を飲ませようとした輩をサイゾウやカゲロウ並の隠密行動で闇に葬っているが。
「貴方達は何故こんな企画を考えたのかしら?」
「考えたのは召喚士なんだけどな。俺とエリウッドは乗っかっただけだぜ?」
「理由は聞いているの?」
「ここには敵対した英雄同士もいるからな。それの親睦会も兼ねているんだとさ」
アイクと漆黒の騎士を二人だけにして机に座らせているのもその一環なのだろうか。どう考えてもあそこの机だけ雰囲気が緊迫している。ティアマトとセネリオが心配そうに見ているが、空気が読めないロリ皇帝(サナキ)がガイアからもらった甘いものを持って笑顔で突撃して行ったので放置でいいのだろう。
「それよりアクアは呑まねぇのか?」
ヘクトルが酒瓶を掲げながら言うと、アクアは困ってしまった。
「カムイ達に私はお酒を呑んではいけないと言われてしまってね」
「なんだアレルギーか?」
「そうじゃないわ。むしろ好きなほうよ」
「だったら酒癖が悪いだけか。だったら呑んでも問題ねぇよ。ほれ、あいつらを見てみろ」
ヘクトルが指差した先にはカレルの口に酒瓶を突っ込んでいるロイドとウルスラがいた。必死に尊敬する叔父を助けようとしているフィルはバアトルに止められていた。
アクアは半目でヘクトルを見ると必死に弁解を始めた。
「いや、あれはあれであれだからあんな状況なんだぞ!?」
「説明になっていないわ」
アクアが疲れ切ったようにため息を吐くと、ヘクトルは笑いながらグラスに注いだお酒を差し出した。
「まぁ、飲め飲め。ちなみに召喚士は超下戸だから一切お酒を飲まないから、酔い潰してお持ち帰りはできないぞ」
「…………そんなこと考えていないわ」
「スッゲェ間があったけどな」
別にカミラやカゲロウ、ヒノカ、シャラと共謀していたわけではない。だから自分だけ素面でいて他を出し抜こうとしたわけではない。
ゲラゲラと笑っているヘクトルからグラスを奪い取り、そこに注いであったお酒を呑んだ瞬間にアクアの記憶が飛んだ。
なんだ、この光景は。俺は夢でも見ているのか。
「正気になりなさい、召喚士!」
護衛についてくれているティアマトの言葉で俺も現実に戻る。
だが悪夢は終わっていない。
悪夢の始まりは愛すべき脳筋ジェネラルであるヘクトルがアクアに酒を飲ませたことだった。止めようとしたジョーカーは間に合わず、アクアが酒を呑んだ瞬間にヘクトルが空を舞った。そして嫌な音をたてながら首から落ちたのだ。
その瞬間に新年会の空気が止まった。誰もが口を開けずにアクアを見ていると、アクアは右手に酒瓶、左手に丸太を持ち出していた。そして俺を見て呟いたのだ。
『見つけた』
宴会場にいたのは全員が戦いを経験している連中である。やばい空気を感じた子安傭兵(セーバー)が斬りかかったが、丸太の一撃で壁をぶち抜いて飛んでいき、フォローに入ろうしたマークスは地面と結婚した。
そこから俺は素早く青に対して相性有利の緑であり守備が高いアメリアとシーマ様を壁役にさせ、ヒーラー部隊に二人を回復させ続ける。一瞬の隙をついてFE界のトラウマとも言うべき漆黒の騎士やFEHの強すぎる剣士ことアイラが奥義を叩き込んでいるが、全く通じていない。
狙いは明らかに俺なので、キャンセル3、金剛の一撃3、深緑の斧+を持っているティアマトに護衛をしてもらい、腹黒親馬鹿に暴れるバーサーカーを倒すべき策の準備をさせている。
「し、召喚士さん! もう、持ちませんよ!!」
「私のスヴェルの盾も限界だぞ!!」
最前線で壁役をやってくれているアメリアとシーマ様から悲鳴が聞こえてくる。
く! こんなことならあの二人もしっかりのスキル継承させておくべきだった。緑アーマーナイトは脳筋ジェネラルがいるからつい後回しにしてしまった。
赤組は相性不利なので、防御30未満は避難させた。カムイ(男)はギリ30だったから投入しようとしたらフェリシアがどこかに避難させていた。
幼女皇帝サナキや慈愛の王女セリカが相性激化シムベリンとライナロックを叩き込んだが、全く通用しなかった。いくら相性不利と言えども二人とも攻撃力52と49なんですがねぇ。
「ひゃぁ!!」
「く!?」
そうこうしているうちにアメリアとシーマ様が吹き飛ばされる。近くにいた漆黒の騎士とアイラ、アテナ、カレルの剣士組が斬りかかるが、アクアは丸太を一閃させて4人を吹き飛ばす。
……重量の軽いアイラ、アテナ、カレルはまだしもジェネラルの漆黒の騎士すら吹き飛ばすとかどうなってるんですかねぇ……
遊撃に控えていたオートクレールを持ったミネルバと、最近武器をニンジンの斧に持ち替えたカミラ姉さんがフォローに入ったが、二人とも守備力は高くないので非常にまずい。
「エリウッド! 準備はどうなってる!!」
「あと少しだけ持ちこたえてくれるかい!! 大丈夫!! 君ならできる!!」
「できるか!? 俺は先生に『基本的に戦いは数を揃える』って学んだんだぞ!? 烈火時代にもこんなデタラメな敵はいなかったぞ!?」
ちなみにその時に敵だったロイドとウルスラはいち早くこの地獄から離脱した。あの二人には生き残ったら罰ゲームを与えるとしよう。
そんな時に力強い声が響く
「もう大丈夫!!」
北沢力さんのような声。
「何故って?」
FEH界に置いてただ一人画風が違う男。
「私が来た!!」
『ハロルド!!!』
深緑の斧を携えたFE界のヒーローがやってきた。
「ここはヒーローである私に任せておきたまえ」
「な!? 無茶だわ!!」
ハロルドは確かに相性有利で深緑の斧も持っている。だが、俺は戦線に投入しなかった。それを知っているティアマトは止めるように叫んだ。
「あなたは星4でレベルも1!! 星5レベル40まで育成されている他のメンバーでも止められないのに、あなたが止められるわけがない!! 無駄死にするだけよ!!」
「HAHAHA、確かにその通りだ。だが、私は逃げるわけにはいかないのだよ。何故なら私はヒーローだからだ」
ティアマトの言葉に真剣に返すハロルド。そして地味にメタネタを突っ込むのはやめようティアマト。それは汚れ(烈火)担当だ。
俺も真剣な表情でハロルドを見る。
「……やれるんだな?」
「HAHAHAHA。やれるやれないじゃない。やらなければならないんだよ」
「5分だ。俺の計算ではそれだけ持ちこたえればエリウッドに命じた仕込みが完了する」
「任せておきたまえ」
そう言って深緑の斧を持ってミネルバとカミラ姉さんを相手取っているアクアのところに行こうとするヒーロー(ハロルド)。
「ああ、そうだ。召喚士」
「なんだ?」
「時間を稼ぐのはいいが———別に、あれを倒してしまっても構わんのだろう?」
「ちょ!」
ハロルドはぶっとい死亡フラグを立ててから、アクアに深緑の斧を構えながら飛びかかっていく。
「うをぉぉぉぉぉぉ!!!」
「……」
「グアぁぁぁぁぁぁ!!!」
『ハ、ハロルドぉぉぉぉ!!!』
そして一瞬で叩き潰された。時間にして10秒に満たない。ゴッドスピードハロルド。
だが、ピンチには変わりない。あまりのハロルドの速攻に気を取られたミネルバは一撃で落とされ、カミラ姉さんもニンジンが圧し折られた。
うん、本格的にやばい。どれくらいの絶望かというと、大きい方をしたくてトイレに行ったら長蛇の列を見たときの絶望くらいやばい。
アクアも倒した英雄達を一瞥することもなく、まっすぐに俺を見て歩き出してくる。
「逃げさない! 召喚士!!」
最後の砦であるティアマトが俺の前に立つがその前にアクアの足を止める者がいた。
「HAHAHA、まだ私を倒したと思うのは速いのではないかね」
血まみれになりながらもハロルドは立ち上がっていた。アクアの繰り出した一撃は衝撃波で床が消し飛んでいる。それに直撃しながらもハロルドは立ち上がった。
「ティアマトくんの言う通りさ。私では君には勝てないだろう」
そう言いながらハロルドは再度深緑の斧を構える。
「期待されていないのはわかっている」
アクアの丸太を食らってハロルドは吹き飛ぶが、それでも尚も立ち上がる。
「取り柄は深緑の斧と槍殺しかないなんてことは、私が一番よくわかっているんだ……」
ハロルドは血反吐を吐きながらも立ち上がる。
「私が弱いってことはちゃんとわかってるんだ。私が君に勝てないなんて私が一番よくわかってるんだよぉぉっ……!!」
そこで初めてアクアは血まみれになっているハロルドを見る。そしてハロルドは吠えた。
「それでもやるしかないんだ……! 勝てる勝てないじゃなく、ここで私は君に立ち向かわなくちゃいけないんだ!!」
そう言ってハロルドは深緑の斧を振りかぶってアクアに立ち向かう。
「何故なら私はヒーローだからだ!!!」
「……!!」
今まで数多くの英雄を叩き潰したアクアが初めて俺以外に対して反応した。
「うぉぉぉぉぉぉ!! ジャスティスアックス!!」
「!!」
「グフ」
だが、大ぶりになったハロルドの深緑の斧をかいくぐりながら、アクアは冷静にハロルドに丸太を叩き込んだ。
吹っ飛んでくるハロルドを俺は受け止める。だが、モヤシで馬にもリンの補助がなければ乗れないような俺では受け止めきれるわけもなく、一緒に倒れ込んでしまう。
「し、召喚士くん……」
「ナイスファイト。お前のおかげで時間が稼げた」
俺の言葉にハロルドは満足そうに目を閉じた。
俺はハロルドを優しく寝かせて立ち上がる。
「エリウッド! 準備は!!」
「ハロルドのおかげで間に合ったよ!!」
「よし! ニノ! スリーズ!!」
「うん! 頑張るよ!!」
「はい」
俺の合図で出てきたのはグルンブレード+を持つ二人(スリーズはスキル継承させた)。
「さぁ、ゲームシテムとか全無視して応援とか紋章とか鼓舞をつけまくった二人の魔法を食らうがいい!!」
「でも召喚士、爆心地付近にヘクトルが残ってるよ!!」
「大丈夫! 他の英雄はカゲロウ達が回収してくれた。ヘクトルは必要な犠牲だったのだ」
「それもそうだね! それにヘクトルだったら死なないか!!」
「それでは『断空砲フォーメーション』だ!!」
「威力的にはイデオンガンだよね!!」
エリウッドの突っ込みは無視する。俺の指示により天使(ニノ)と愛の重い(暫定)姫スリーズはグルンブレード+をアクアに向けて解き放つ。
圧倒的な威力で飛んでいく魔法。その余波で部屋も消し飛んでいくが、気にしない。
どう考えてもこれなら倒せるだろう。むしろ死体すら残らない可能性がある。
『は?』
あ、ありのまま、今起こったことを話すぜ!
『超絶強化されたグルンブレード+×2がアクアに着弾するかと思ったら、丸太の一閃で消えた』
何を言っているかわからねぇと思うが、実際に見た俺たちはもっと信じられない。頭がどうにかなりそうだった……催眠術とか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。もっと恐ろしい脳筋を味わったぜ……
「ポルナレフってる場合じゃないよ、召喚士! ぶっちゃけもう勝ちようがないよ!?」
「く、仕方ない。こうなったら師匠直伝の技を使うしかないか」
「今のつながり的に逃亡だね! わかるとも!!」
エリウッドが何か言っているが、俺は師匠に教えられた禁断の技を解放する。
「俺たちの戦いはこれからだ!!!」
「それは打ち切りENDだ!!」
召喚士の次回作にご期待ください!!
アクア(飲酒)
最強バーサーカー。強さはラスボス。最強すぎて誰も勝てないレベル。最初は軽く暴れてグルンブレード食らって沈黙する予定が薙ぎ払ってしまった。これは勝てない(確信)
ハロルド
FE界に現れたアメコミ風英雄。この話を考えた時にヒーローキャラのネタを突っ込もうと思った時に思いついたのが無免ライダーだった。画風がアメコミだったのでオールマイトが混ぜられ、バーサーカーに挑むことになったので正義の味方が混ざってしまった。FEifでもFEHでも特に思い入れのないキャラだったが、これを書いたらちょっと好きになった。
グルンブレード+×2
最初は二人だったからチャクラエクステンションにしようかと思ったけど、作者の趣味で断空砲フォーメションになった。むしろ威力的には某宇宙戦艦の波動砲。それを薙ぎ払うアクアとは一体……
俺たちの戦いはこれからだ!
英雄達の勇気がヴァイス・ブレイブを救うと信じて!
新年一発目からこんなどうしようもない話で申し訳ありません。でも思いついたのがこんな話やったんや…!
ちなみにアクアと戦闘しているのはうちの星5レベル40メンバーです。出てきてないのもいますけど、作者の力量ではこれが限界やった。出てきても喋ってないメンバーも多いですが。
リンのソール・カティを武器錬成したんで、スキル継承させ直しています。カミラ姉さん(ノーマル)にもスキル継承させ直しているんで、現在のスキルポイント2倍キャンペーンの間にリン(ノーマル)、カミラ姉さん(ノーマル)、スリーズのスキルを完成させたいところ。
シリアス? あるじゃないか。ハロルドに無免さんが憑依しているシーンが。アニメであのシーンを最高にかっこよくやってくれて、作者はテンション上がった。
お正月ガチャ? それは未実装。イイネ?