召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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ついにこの作品でも第四部スタート!!


召喚士とピアニー

私の名前はピアニー!! 夢の国アルフに住む妖精よ!!

でもでも、妖精と言うのは仮の姿!! 本当の私は悪党からお宝を盗み、貧しい人達に施す義賊なの!!

今回のターゲットはアスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領!! アスク、ニフル、ムスペル三国の経済の中心地であり、強大な軍事力を誇る言わば最強国!! でもこの国の幹部の評判は最悪!! 鬼畜、クソ、外道の三拍子!! 義賊としてはこんなロクでもない連中許せない!! 必ず正義の鉄槌を下すんだから!!

あれ? ヴァイス・ブレイブってまだ国じゃなかったっけ? まぁいいや!! 今回のターゲットはこのヴァイス・ブレイブにあると言われる神器・ブレイザブリク!! なんでもこの神器は他の世界の英雄を呼び出せる神器らしいの!!

こんなすごい神器が邪智暴虐なるヴァイス・ブレイブにあったら大変!! 絶対に私が盗み出さなきゃ!!

そう思っていたのに……

 「それじゃあ、これより不審人物の尋問を行う」

 『うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!』

私はなんで大広間で鎖で雁字搦めにされて床に転がされているの!? そしてなんで目の前の白フードは明らかに拷問の道具を持ってるの!? そしてなんで周囲の人達は止めるどころか盛り上がっているの!?

そんな私の狼狽をよそに白フードが用意されていた資料を読み上げる。

 「不審者A(今後この人物を甲とする)は東城壁を無断で乗り越えたところを破壊神に発見され一撃で昏倒、捕縛される……っておいおいマジかよ。こいつユンヌの一撃食らって生きているのかよ」

 「待って待って待って!! あなた達は侵入者は容赦なくデストロイなの!?」

白フードは心底不思議そうに首を傾げた。

 「当然だろう」

 「世紀末!?」

私が想像していた以上にここはやばいところだ。

 「捕縛したユンヌだったが甲が見たこともない種族だったために連行。現在に至る。ユンヌ、何か違っている点は?」

 「私はユンヌ」

 「ないようだな」

 「そんなこと言ってないよね!?」

空中にフヨフヨ浮いている幼女が何を考えているかわからないけど、絶対に私の味方ではないと思う。

 「それで? お前は何者かね?」

 「え、え〜と……」

考えろ!! 考えるのよピアニー!! まだ私は城壁を間違えて超えてしまっただけのか弱い妖精と言い張るのよ!!

 「私の名前はピアニー!! 夢の国アルフに住む妖精よ!!」

私が妖精と言った瞬間にその場の全員から可哀想なものを見るような目で見られた。

そして白フードが口を開く。

 「ピーターパン症候群か? 辛いようだが現実を突きつけると、この世界に妖精さんなんていないんだぞ?」

 「えぇぇぇぇ!!!! 私、本当に妖精だよ? ほら、見てこの羽!!」

私が精一杯に自分の羽をアピールすると、白フードはため息をつきながら口を開く。

 「リアーネ」

 「? ……なぁ、に?」

白フードに呼ばれたのは純白の翼を持つ少女。その姿に私は天使さんかと思ってしまいました。

 「この通りここでは翼持ちなど珍しくもない。それだけで妖精認定はできないな」

 「ファッキン!!」

確かに狐耳とか狼耳とかもいるけど!! いるけど……!!

 「そして俺の知り合いの妖精は人と同サイズではない。つまりお前は妖精ではない証明終了Q.E.D」

 「召喚士!! さすがにその説明は無理がある!!」

赤頭に激しく同感である。

 「わ、私は本当に妖精なの!! 面白そうな人がいっぱいいるなぁと思って城壁を超えちゃったけど、怪しくなんてないんだから!!」

 「父上」

私の弁明の途中でやってきたのは二人の美女。

 「お父様、調べがつきましたわ」

 「報告書はこちらになります」

 「おう、ご苦労さん。インバース、ブルーニャ」

二人の美女(インバースさんとブルーニャさんと言うらしい)から書類を受け取って目を通す白フード。

 「ふむ、世間を騒がす義賊を名乗る盗人。通称・ドリームねぇ」

ば、BA・RE・TE・RUUUUUUU!?

そして私がドリームだとわかった瞬間に白フードを挟んで座っている銀髪の男女の女の方が口を開く。

 「ドリームには私傘下の商人が被害をあっています。商業担当として言わせるならば即刻、処刑すべきでしょう」

い、I・NO・CHI・NO・KI・KIIIIIII!!!

しかし捨てる神いれば拾う神もいる。その意見に反対したのは銀髪の男の方。

 「ちょっと待って欲しい。彼女がドリームだと言うのならば民の間では評判が良い。民生担当としては彼女は生かして利用すべきだ」

う〜ん、どう考えても『利用価値があるから殺すのはもったいない』と言う意見だけど、殺されるよりマシだよね!!

二人の意見に白フードは少し考えこんでいます。

 「ルフ子」

 「なんです?」

 「彼女を生かしたとして商人達からの反発はどの程度だ?」

 「そうですね……落ち着かせるのに一ヶ月。不満もくすぶって残ると言ったところでしょうか」

 「ルフ男」

 「なんだい?」

 「彼女を殺した時の民の反発は?」

 「強いと思うよ。彼女は一応義賊で通っているし、そのように行動してる。ただでさえ僕らに対する反発は強いんだ。ここは我慢すべきだろう」

二人の意見に白フードは机を人差し指でトントンと叩いている。

 「ふむ、よし。ギムレー」

 「ムフフフフフ、また可愛い子がきちゃって我大・興・奮!! って、あれ? 我? なに?」

そして白フードは端っこの方で怪しい笑いを浮かべていた銀髪の女の方の姿をした女性を呼びます。

 「こいつはお前に預ける」

 「その時我に衝撃走る……!!」

そして何やら不穏なことを言い始めた。

 「え? マジで!? こんな可愛い子を我に預けるの!?」

 「ああ、ただし治安維持部隊にお世話になるようなことしたら即処刑だぞ」

 「蛇の生殺しぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

床をゴロゴロと転がるギムレーと呼ばれた女性。

 「え〜と、どう言うこと?」

私の言葉に白フードと銀髪’sは胡散臭い笑顔を浮かべる。

 「「「ようこそアスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領へ!!」」」

わ、私どうなっちゃうのぉぉぉぉぉ!!!!

 




ピアニー
神風怪盗ピアニー。妖精の国を出奔して(自称)正義の盗賊をやっている。しかしやっている内容は『あいつは悪党だから奪ってもOK』と言う水滸伝思想。

三軍師
ピアニーに利用価値を見つけた模様。

ギムレー
まさかのピアニーを預かることになった同人作家ギムレー先生。

リアーネ
可愛い。



そんな感じで第四部スタートです。そして始まったと同時に原作崩壊する世界。ギムレーに預けられたピアニーちゃんは泣いていい。
リアーネは好きなのでいつか出したかったんですが、なかなか出す機会がないので今回無理やり出しました。ちなみに純粋枠です。

いやぁ、クリスマスガチャでクリゼフィールの剣をリンちゃんに没収したくて深追いしたらすり抜けリーフくん。

赤剣ですり抜けてくるとはいい度胸だなリーフくん。

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