召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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もう止まらない独自設定の嵐。どこまで行くんだ。


TOKIMEKI メモリアル〜FEside〜

 「うわぁ、大きい」

 「そうだね」

リリーナの言葉にロイは頷く。

二人がやってきているのはヴァイス・ブレイブ学園。アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領が出資してできた士官学校である。建物はヴァイス・ブレイブ自治領内にあり、生徒も幅広く受け入れられている。ヴァイス・ブレイブに所属する英雄はもちろん、アスク、ニフル、ムスペルの平民や貴族などの入学が決まっていた。その生徒数の多さから寮も併設されており、さしずめ学園都市と言った雰囲気が出ていた。

ロイとリリーナは両親の進めで学園に通学することとなった。二人は両親の『家を継いだ時に有益になる』という言葉を受け入れた格好だ。

二人が通学することが決定し、二人の制服姿が見られるとガッツポーズを決めたバカ親(Eリウッド、Uルスラ、HEクトル。FUロリーナは苦笑)がいたそうだが二人は知らないことである。

ロイとリリーナの周囲にも入学を決めた生徒達がたくさんきている。

 「あ、ロイ。時間が迫っているから急がなきゃ」

 「うん、わかったよ」

リリーナの言葉に歩き出そうとしたロイ。そこに騒がしい声が聞こえてくる。

 「いっけな〜い!! 遅刻遅刻〜!!」

 「僕たちの名前はマークくんちゃん!! 今日は転校初日なのに寝坊しちゃって大ピンチ!!」

そんなことを叫びながらロイとリリーナも所属するマークくんちゃんが走り抜けていく。

 『え? なんだ今の二人組?』

 『ヴァイス・ブレイブに所属してるっていう英雄だろ? 襟の部分に英雄の証が付いてた』

 『マジかよ……あんなのが英雄でこの世界大丈夫なのかよ……』

周囲のヒソヒソ話がロイとリリーナには辛い。二人は襟についている英雄の証を隠すようにして講堂に入っていくのであった。

 

 

 

 

 『それでは次は学園長の挨拶です』

講堂では入学式が行われていた。席順は自由だということでロイとリリーナは隣同士に座っている。司会進行役のブルーニャの言葉にアティがニコニコ笑顔で登壇する。

 『みなさん、こんにちは。ヴァイス・ブレイブ学園の理事長のアティです』

その美貌に鼻の下を伸ばす青少年多数。アティの実力を知っているロイからしてみたら緊張で背筋が伸びる。

 『本日からこのヴァイス・ブレイブ学園で皆さんはたくさんのことを学ぶことになります。楽しいことも辛いこともあるかもしれません。ですが皆さんは一人じゃありません。一緒に学ぶ仲間が多くいます。そして皆さんを教え導く教師もいます。何かあったら周囲の人を頼ってみてください。きっと助けになってくれるはずです。あ、あまり長々と話すのは悪いですから最後に一つだけ』

そこでアティは一度口を閉じ、とびっきりのスマイルで口を開いた。

 『良い学校生活を!!』

アティの演説に生徒達から拍手が出る。ロイとリリーナも拍手をする。流石は召喚士が頭があがらない人物。かなりの人格者だと内心で感心する二人。ナチュラルに召喚士をディスってるが、二人は気づくことはなかった。

 『それでは続いて校長先生の挨拶です』

ブルーニャの言葉に登壇する白フード。そして召喚士はゆっくりと口を開く(ちなみにフードのせいで口元しか見えない)

 『人はぁ、平等ではなぁい』

そして何やら皇子が叛逆するアニメの皇帝のような演説を始めた。

 『生まれつき足の速い者、美しい者、親が貧しい者、病弱な身体を持つ者。生まれも育ちも才能も、人間は皆違っておるのだぁ。そう、人は差別されるためにある!』

そう言い切った瞬間に召喚士はアティの木の枝の一撃を受けて講堂の外に飛び出して行った。

突然の凶行の静まり返る講堂。

 『え〜、校長が不慮の事故により退席しましたので入学式を続けさせていただきます』

 『!?』

ブルーニャの言葉にマジかよと言った困惑を浮かべる生徒達。だがロイやリリーナにとっては「ああ、またか」と言った感じだ。慣れとは怖い。

 『続きまして学生部のインバース先生による授業の説明などをしていただきます』

ブルーニャの言葉に登壇したのはインバース。ブルーニャと言いインバースと言い、入学式という厳かな儀式のはずなのに服装はいつもの痴女みたいな格好だ。鼻の下を伸ばしている男子生徒もいる中で、ロイは恥ずかしくて直視できない。

 『学生部のインバースですわ。学生部では主に学生の皆さんとフォローをさせていただきます。まず、我がヴァイス・ブレイブ学園の授業の説明をさせていただきます。ヴァイス・ブレイブ学園では3つの学級に分かれ、通常授業を行わせていただきます。担任はそれぞれベレト先生、ベレス先生、セシリア先生になります。通常授業だけでなく、もっと高度な専門授業を受講したい場合は学生部にご相談ください。こちらから先生をご紹介させていただきます。クラス分けは学生部の方で入学試験の結果を鑑み、分けさせていただきました。しかし、クラスの変更は可能ですので、クラスを変更したい場合は学生部にご相談ください。詳しい説明は配布した資料をご覧ください。説明は以上ですわ』

インバースは最後に一礼してから去る。

 『それでは入学式はこれで終了いたします。生徒の皆さんはそれぞれのクラスに向かってください』

ブルーニャの言葉に講堂は静寂が破られて騒がしい声が出る。ロイも一度伸びをしてから立ち上がる。

 「ロイはどの先生のクラス?」

 「えっと……ちょっと待って」

リリーナの言葉にロイは配布された資料から自分の所属するクラスを探す。

 「ああ、あった。僕はベレト先生のクラスだったよ。リリーナは?」

 「私はベレス先生のクラス。あ〜あ、ロイと同じクラスが良かったなぁ。クラス変更しちゃおうかなぁ」

リリーナの言葉にロイは苦笑する。

 「ベレス先生も良い先生だからもったいないよ」

 「それは知っているけど……そういうことじゃないの!!」

リリーナの不満がどこにあるからわからないロイであったが、必死にリリーナを宥めながら自分の教室に向かうのであった。

 

 

 

 

 「それじゃあみんな!! これからよろしくな!!」

その挨拶を最後にベレトは教室から出て行く。それをロイはため息を吐きながら見送る。

ロイにとってベレトの印象は少々うるさくて暑苦しい男性と言ったイメージであった。だが、最初の授業を受けた印象はとても教育熱心ないい男性と言ったイメージとなっていた。

 「いい先生なんだな……」

 「おやおやおや、ベレト先生にお熱ですか?」

 「!? ら、ラクチェさん」

何やらニマニマした表情でロイに話しかけてきたのは召喚されて早々にヴァイス・ブレイブの話題を集めたラクチェであった。ラクチェは召喚士とアイラの子供ということで、召喚士の頭脳にアイラの武力、そこにファイアーエムブレム・ユニヴァースという謎の力が働いたことによって混沌と呼べる存在になっている。

正直に言うとロイはラクチェが苦手だ。むしろラクチェと普通に会話できるのはキチガイだけなのだが、良い子のロイにはそれが理解できず、自分の理解力が足りないと反省している。

だからロイは学校を機会に苦手を克服しようとした。両親がこの場にいたらニコヤカに止めただろう。

 「何かようですか?」

 「いえいえ、ロイさんは誰狙いなのかと思いまして」

 「? 誰狙いって?」

 「やだなぁ、恋愛対象つまりはLOVEってことですよ」

 「れ、恋愛!?」

ラクチェがなんでもないように告げた言葉にロイは動揺してしまう。恋愛と言う言葉にロイの頭にはとある行き遅れマムクートの姿が映ったが、ロイはそれを思い出として封印する。

ロイの動揺を見てムフフと笑うラクチェ。

 「学園物と言ったらやっぱり恋愛がつきものですからね。ちなみに女の子の情報が知りたかったら私に聞いてください。私に聞くことで女の子をデートに誘えるようになりますよ」

 「デ、デートだなんて僕には速いよ……」

 「っかぁ!! 初心なねんねじゃあるまいし、何を言ってるんですか!! せっかくの学園生活なんですから恋愛しなきゃもったいないですよ!! ちなみにロイさんの現在の好感度はリリーナさんがぶっちぎりの一位です。このままだと幼馴染のリリーナさんルート一直線ですよ!!」

 「ル、ルート?」

召喚士を筆頭にしたキチガイ達はしばしばロイに理解できない言葉を使う。

 「ちなみに私のおすすめルートは『暗い過去を背負ったが制服姿がコスプレにしか見えないアルテナ』さんルートや、『師大好きすぎて攻略難易度激高のエーデルガルト』さんルートです。他にも『入学したくなかったけど教官命令に拒否権がなかったシャニー、ティト姉妹』や『世紀末遊牧民族スー』とかもありますよ!! なんだったら『こいつらホモなんじゃないかセリス、アレス、リーフ』もあります!!」

 「い、今は結構かな」

ロイの言葉にラクチェは笑顔で立ち上がる。

 「う〜ん、そうですか!! まぁ、情報が欲しくなったら私に聞いてください!! 私は情報をくれる友人ポジションなんで!! あ、私は隠し攻略キャラじゃありませんよ!! 私とマークくんちゃんは攻略不可能キャラです!! 攻略したかったらファンディスクをお待ちくださいNE!!」

最後までロイに理解にできることは一切言わずにラクチェは去って行くのであった。

 

これから始まる学園生活。卒業の時、ロイが伝説の樹の下で一緒にいるのは誰なのだろうか。

 




ロイ
主人公

リリーナ
主人公の幼馴染ポジション。きっとメインヒロイン。

ラクチェ
主人公に女の子の情報を教えてくれる友人ポジション

ヴァイス・ブレイブ学園
アスク王国ヴァイス・ブレイブ自治領が出資してできた士官学校。ヴァイス・ブレイブ所属の英雄だけでなく、様々な国から人が集まっている。

クラス分け
ベレト、ベレス、セシリアがそれぞれ担当する。ちなみにセシリア先生のクラスに配属されたエガちゃんはクラス替えを希望したが却下された。

伝説の樹の下
ここで告白したら二人の愛は永遠になると伝わる樹。学園物のお約束




そんな感じでついにヴァイス・ブレイブ学園開校です。この作品の独自設定はどこまで行くんだ。
ちなみに生徒は基本的に年齢が20歳以下の方々。よく考えたらいっぱいいるな。
今後、この設定が生かされるかは不明です。

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