召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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学校ならこの問題だろ、というわけでモンスター親編です


召喚士とモンスター親

俺は自分の執務室で大量の書類と格闘している。これだけ溜まっているのも人手をヴァイス・ブレイブ学園の方に取られているからだ。インバースとブルーニャはひと段落したらこっちに戻ってくるが、ベレトスコンビは教師になっており、イシュタルは生徒として(制服を着ることを恥ずかしがっていたが、師匠命令で着させた)学園に通っているためにギリギリで回っていた執務が完全に破綻しそうになっている。

 「おいおいおい、誰だよ学校作りたいとか言ったやつ。この人手が足りてない状況でさらに人を減らすとか正気の沙汰じゃねぇぞでも学園やりたいって言い始めたのアティじゃねぇか俺に拒否権ねぇよマジファック」

文句を言いながらも書類を片付ける手を休めない。というか休めたら書類がさらに溜まる。

そしてそのタイミングで机の上に置いてある電話が鳴る。この電話、パントの奴が「これから必要になるだろうからね!! カナスと一緒に開発しておいたよ!!」と言って置いていった代物だ。これが置いてあるのは俺とルフ男とルフ子のそれぞれの執務室。治安維持部隊の詰所。そしてヴァイス・ブレイブ学園である。

ルフ男とルフ子からだったら絶対に要確認案件だし、治安維持部隊からの連絡を無視すると後でリンからしばかれる。いや、しばかれるだけならいい。最悪逆レの悪夢再びになる。

「今度はパントに通話相手を表示できるようにする術式組ませるか」

俺はそう呟きながらも電話に出る。

 「はいよ」

 『先生、忙しいところすまない』

 「なんだベレトか」

通話の相手はヴァイス・ブレイブ学園で教職に就いたベレトであった。

 「何か問題が起きたか?」

 『すまない……!! すまない先生!! なんとか俺だけで解決しようとしたのだが……!!』

 「あ〜、わかったわかった」

基本的に単純で熱血漢のベレトは扱いやすいのだが、相手をするのが面倒なのがたまに傷である。

 「それで? 何があった?」

 『先生も忙しいだろうから単純明快に言おう。モンペがでた』

 「Oh……」

学園が始める前から恐れていたこと、それはモンスターペアレンツの出現である。

 「一般人か? 英雄か?」

 『英雄だ』

 「Oh……」

そして次に恐れていたこと。それはヴァイス・ブレイブ学園に子供を入学させた英雄がモンペになることである。うちのヴァイス・ブレイブには自分の子供大好き親英雄が多いので出るだろうなぁ、とは思っていたのである。

 「学生部じゃ無理か?」

 『俺とインバースとブルーニャで対応したのだが責任者を出せ、と』

 「はぁ、わかった。これから向かう」

俺は通話を切ると執務机から立ち上がる。そして俺は自分の机を見る。そこには山のように書類がある。

 「こりゃ早いところ文官育てないとダメだな」

 

 

 

 

 「お〜っす、来たぞ」

 「ああ、すまない先生」

俺を迎えたのはベレトであった。

 「インバースとブルーニャはどうした?」

 「先生がこっちにいる間に向うの仕事を片付けてくるそうだ」

 「できる娘がいて俺は幸せものだよ」

インバースとブルーニャが向うに行ったなら向うの仕事は心配しなくてもいいだろう。

 「それで? 誰がモンペになった?」

 「うむ……まぁ、会ってもらった方が早いだろう」

ベレトはそう言いながら扉を開く。応接室の中には三人の人物がいた。三人掛けのソファーの両端に申し訳なさそうに座っているアルテナとリーフ。そして真ん中に不満な表情を隠さずに座っているエスリン。

 「来ましたね、召喚士」

 「そりゃ問題が起きたなら来るさ。それで? どんな不満の内容だ?」

俺がソファーに座りながら聞くと、エスリンは不満そうな表情を隠さずに口を開いた。

 「なぜアルテナとリーフが同じクラスじゃないの!?」

 「そう来たか」

エスリンの言葉に恥ずかしそうに顔を覆うアルテナとリーフ。

 「クラス分けは入学試験の結果を鑑みた結果だから」

 「そんな杓子定規な返答を聞きたいわけじゃないの!! いい召喚士!! アルテナとリーフは色々あって離れ離れで成長したの!! すれ違いもあったけどここでは姉弟として過ごせるのよ!! だったら少しでも一緒にいさせてあげたいじゃない!!」

俺はエスリンの戯言を流しながらベレトが差し出してきた資料に目を通す。そこにはアルテナとリーフの試験結果が書かれていた。

ふむ、アルテナがベレト。リーフがセシリアのクラスか。

 「それと教師にも問題があるわ!! アルテナのところに男性教師!! リーフのところに女性教師!! もし、男性教師がアルテナに惚れたり、女性教師がリーフに惚れたりしたらどうするの!!」

 「それは心配する必要ないと思うがな」

俺の言葉を聞かずにヒートアップするエスリン。

 「あの、母上……その辺で……」

 「ま!! アルテナは優しいわね。でも大丈夫よ!! お母さんに任せておきなさい!!」

アルテナの歯止めも聞かない迷惑お母さん。

 「それとリーフが未だにレベル1なのも問題よ!! リーフよ!? リーフなのよ!? なんで育成しないの!!」

 「わかったわかった。修羅連中に連絡はいれておく」

俺の言葉にエスリンの目がさらに吊り上がった。

 「あんな危険な連中のところにリーフを預けるつもり!? 怪我でもしたらどうするの!?」

 「あの……母上、僕は大丈夫ですから……」

 「駄目よリーフ!! 怪我を甘く見ちゃいけないのよ!! そうだわ召喚士!! 結晶よ!! 結晶を使いなさい!!」

 「いえ、それでは強くなれない……」

 「いいリーフ。ここで危ない真似をする必要はないの。なにせここには飯を食べるより戦争大好きな戦争狂がいるんだから!! 危ない真似はその連中に任せておけばいいの!!」

もう聞いているだけでゲンナリする。こんなのの相手をしている学校の先生を尊敬する。

 「わかった。リーフは結晶を使う。二人のクラスも恋愛感情が死滅しているベレスのクラスに入れる」

 「ベレスの恋愛感情が死滅している……?」

俺の言葉にベレトが困惑した表情を見せているが、俺は気にする余裕はない。

エスリンは俺の言葉にしばらく考えていたが、納得したのか立ち上がってこちらに礼をすることもなく部屋を出て行く。

アルテナとリーフは慌てて俺たちに頭を下げると部屋から出て行った。

 「お疲れ様です、先生」

 「なぁ、ベレト」

 「何でしょう」

 「この先もこんなの増えると思う」

 「増えるでしょうな、間違いなく」

 「増えるかぁ……」

もう学校経営が嫌になりそう。

 




エスリン
ヴァイス・ブレイブ学園初のモンスター親。二人の子供を大事に思うあまりに周囲に迷惑をかける

アルテナ&リーフ
母親の行動に恥ずかしさMAX

召喚士
エスリンの対応でゲンナリ。さらに仕事が溜まってゲンナリ。



そんな感じでヴァイス・ブレイブ学園編です。そして速攻でクレームをつける英雄様。子供を大事に思う気持ちは大事だが行き過ぎちゃいけないよネ!!

新英雄きましたねぇ。原作知らないので作者は引きません。きっと次に風花雪月ガチャが来ると信じてる……!!
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