ちょっといつもの勢いがないかもしれません
「父上!」
「おっと」
俺を父上と呼ぶのはヴァイス・ブレイブに英雄多しと言えどもブルーニャとロリルバの二人である。
だが勢いよく呼んでくるのはロリルバである。修練の塔から帰ってきたロリルバは元気よく俺に飛びついてくる。
「アルテナもお疲れさん。ロリルバの世話は大変だったろ」
「いえ、とてもいい子でしたよ」
一緒に帰ってきたのはSP稼ぎ中のアルテナである。再行動要員として連れて行かせたイシュタル(舞踏祭)とリアーネは別の面々を連れて修練の塔に戻ったのだろう。
「二人ともSPは稼ぎ終わったか?」
「父上! 私は終わりました!」
「そうか、お疲れさん」
俺が頭を撫でてやると嬉しそうな表情になるロリルバ。
「アルテナはまだか。真面目なアルテナの方が早く終わると思ったんだけどな」
「すいません……」
「いや、責めちゃいないが」
何よりアルテナを責めるとモンペが五月蝿い。割と本気で申し訳なさそうな表情のアルテナに数少ない俺の良心が痛む。不思議なものだ。
「父上! 父上!」
「はいはい」
「アルテナ殿にも闇の祝福をお渡ししたらどうですか!」
闇の祝福。それはロリルバが『父上とお揃いの祝福がいいです!』と言った結果、ロリルバに付けられた祝福である。そしてロリルバは闇の祝福を『姉妹の証にしましょう!』ということでインバースとブルーニャにも闇の祝福が渡され、本当に俺の子供の証明みたいになっている。
「でも闇落ちカム子ちゃんも闇の祝福だよね」
「どこから来たパント」
どこからともなく現れた天才クソイケメン。
「うちのリグレ一家も祝福統一したいところだね」
「その前にクレインとクラリーネは星5にしないといけないけどな」
「? 父上、何のお話ですか?」
「ロリルバにはまだ早いな」
俺の言葉に不満そうな表情になるロリルバ。子供扱いに不満を覚えるお年頃なのだ。
「ああ、そっか。アルテナには祝福をつけてなかったな。だからSP稼ぎに差が出たのか」
「まぁ、私達のヴァイス・ブレイブには割と祝福つけてない英雄が多いしね」
「祝福には限りがあるからな」
「クソみたいに在庫はあるけど?」
「さて、アルテナにつける祝福だったな」
「逃げたね」
ちょっとパントの言っていることは理解できませんね。というか祝福は限られた資源なのだから使う英雄は選抜しなければならない。つまり祝福をつけていない英雄がたくさんいてもセーフ。俺は悪くない。
「父上! 父上! アルテナ殿にも闇の祝福を!」
「はいはい」
ロリルバにローブを引っ張られ、俺は闇の祝福を取り出す。
「ほい」
そしてアルテナに差し出した。アルテナは顔を真っ赤にしながら闇の祝福を受け取る。
何故顔を赤らめる。
「しょ、召喚士殿……」
「? なんだ?」
そしてアルテナは闇の祝福を大事そうに抱きしめ、顔を赤らめながら口を開く。
「こ、これはプロポーズなのでしょうか!?」
「……は?」
呆気にとられる俺。面白くなったと速攻で姿を消すパント。不思議そうに首を傾げるロリルバ。
「や、闇の祝福は召喚士殿の家族の証! それを私に渡してくるのは、か、か、家族になって欲しいということではないですか!」
「その発想はおかしい」
「し、しかし! リン殿やフィオーラ殿、アイラ殿、ミネルバ殿を差し置いて私が召喚士殿の奥方になることは……! いえ! 決して嫌と言っているわけではないのです! ですがやはりプロポーズをしていただくのならばもうちょっと雰囲気とか大事にして欲しいと言いますか!」
「お前は何を言っているんだ」
「私は確かに恋人はいませんが心に決めた者が! いえアリオーンはどちらかと言えば兄として慕っているので問題はないのですが!」
「お前は何を言っているんだ」
「と、とりあえず母上に相談してきます!!」
大事そうに闇の祝福を抱え、顔を真っ赤にしながら走り去るアルテナ。それを呆然と見送る俺。何があったかよくわかっておらず不思議そうに首を傾げるロリルバ。
「ラクチェ」
「はぁぁぁはっはっはっは! 流石はパパ!! 私がバッチリ見ていることもお見通しですね!! それはそれとしてラクチェちゃんの祝福は未だに風のままなのはどういうことですか!!」
「お前は認知していないからな」
「んま!! なんて失礼なパパなんでしょう!! ですができた子であるラクチェちゃんは『パパがアルテナさんにプロポーズした』という噂を流すだけで許してあげます!!」
「俺を殺す気かぁ!!」
「あ、もう手遅れですね!! パントさんが情報をばら撒いています!!」
「あのクソイケメン!!」
何故俺の知り合いはクズばっかりなのだ。
「ところでパパ」
「パパ呼びやめい。なんだ?」
「今回の出来事でフラグが立ちましたよ」
「……何の話?」
俺の言葉にラクチェがすごくイイ笑顔を浮かべる。
「そりゃあもうアルテナさんによる『禁断の校長ルート』突入ですよ!! これにはファイアーエムブレム・ユニヴァースにいるパパとアルテナさんのお子さんも大喜び!!」
「ツッコミどころ満載の発言をするなぁ!!」
「ラクチェ姉上、『るーと』とは何ですか」
「興味を持つんじゃないロリルバ!! 非常識になるぞ!!」
「んま!! なんて失礼な外道なんでしょう!! いいですよロリルバちゃん。ラクチェお姉ちゃんが丁寧に教えてあげます。あとここにいるとパパの処刑に巻き込まれるので逃げるのが吉です!!」
ラクチェの言葉に俺の背筋が凍る。
(このプレッシャー!! 間違いない!!)
振り向いたところにいたのは目を光らせているリンとフィオーラ。
「召喚士、百歩譲ってフィオーラだったら認めるのによりにもよってアルテナってどういうこと?」
「そうです召喚士さん。百歩譲ってリンさんだったら共有財産にしましょうという提案をするのに、何故アルテナさんなんですか?」
(逃げ、無理、死!!)
しかし、神は俺を見捨てないのだ!!
「召喚士さん!!」
「パオラ様!!」
そう女神様の登場である。俺は速攻でパオラ様に土下座する。
「お助けくださいパオラ様!! 臣は覚えのない罪を被せられているのです!!」
俺の言葉にパオラ様は優しく微笑みながら手を取ってくれる。
おぉ、これこそ慈愛の女神パオラ様……
「召喚士さん、その迷いを救う方法があります」
「本当ですか!!」
「はい、ミネルバ様に闇の祝福をお渡しするのです」
「「なぁ!?」」
パオラ様の言葉に驚愕している不信心者がいるようだが俺は気にならない。
だってこれはパオラ様の神託だから……!!
「わかりました!! 不肖、この召喚士!! ミネルバに闇の祝福を渡してきます!!」
「「させない!!」」
駆け出す俺を止めようとしたリンとフィオーラはブーケのステッキを持った女神様に阻まれる。やはり女神様のいうことを聞くと邪魔する者はいなくなる。
明日から礼拝の時間を増やすとしよう。
アルテナ
完全に勘違いしたお姉ちゃん。このあとモンペの母親に相談しに行った結果、モンペが召喚士のところに怒鳴りこんできた。
ロリルバ
闇の祝福は家族の証!(満面の笑み
リン&フィオーラ
まさかの伏兵にマジギレ
パオラ様
主君の幸せのためにえんやこら
ミネルバ
突然召喚士に闇の祝福を渡されて困惑
そんなわけで何気なくアルテナに闇の祝福をつけた後に、召喚士チルドレンを闇の祝福で統一したらできたお話です。子供の証のはずなのにプロポーズと勘違いするアルテナさんマジ乙女。ちなみにリン、フィオーラ、アイラは風です。ミネルバ様は今回のお話で闇になりました。
ちなみに他の闇の祝福持ちは闇落ちカム子です。今度この設定が生きるかは不明。
伝承エーデルガルド欲しいなぁと思って深追いしたら伝承セリカが二人やってきました。まぁ、伝承キャラは使うからいいけどね。