「戦禍の連戦の時間だぞ! 召喚士!!」
「突然部屋に入ってきて何なの、おまえ?」
扉を蹴破って叫んだのは、カムイ以外に対しては超絶失礼執事のジョーカーだった。
俺の言葉を確実に聞いていないであろうジョーカーは尚も叫び続ける。
「今回の達成報酬はカムイ様(晴れ着)だ! 休んでいる暇はないぞ召喚士! 出撃だ!!」
「ルーデルかおまえは。ちょっと落ち着け」
とりあえず奇声を挙げ続けるジョーカー星4レベル1をフランケンシュタイナーで床に叩きつけることで黙らせることに成功した。
3分で復活したジョーカーを落ち着かせて、炬燵に入らせる。
「それで? 今回はどうした? またフェリシアに煽られたか?」
「そうだな。あのクソメイドの奴、貴様が星5レベル40にしたことによってさらに調子に乗ってな。『ジョーカーさん。私、星5レベル40になったんですよぉ。ジョーカーさんはどうですか? あ、星4レベル1ですよねぇ。スキルも星4じゃ魔防の応援と守備3ですもんねぇ!! 私なんて星5ですよぉ? しかも星4で生の息吹3と氷華まで持ってきますからねぇ!! つらいなぁ。人気者は辛いなぁ!! あ、私はこれからカムイ様(男)とカムイ様(女)と一緒に修練の塔なんで失礼しますねぇ!!』と散々に煽って行きやがった!! あのクソ淫乱ピンクがぁ!!!!」
どうやらいつも通りフェリシアに煽られたらしい。二人ともカムイ’sには忠実な臣下だが、二人がいない時のノリは俺とヘクトルとエリウッドのノリに近い。そのためにどちらかが煽って、煽られたほうが俺の部屋に来て相手に罵倒の言葉を吐き続けるのが平常運転である。
俺も慣れているので適当に相槌を打ちながら聞き流していると、1時間近くフェリシアに対して呪詛を吐き続けてからジョーカーは落ち着いた。
「それで? 戦禍の連戦だっけ? 言われなくてもやりに行くぞ?」
「やりに行くだけではダメだ。とにかく少しでも早くカムイ様(男・晴れ着)を仲間にする必要がある。もし、星5を取り逃がしたら俺はまた反乱するぞ」
期間内にポイントを集めなかったら第三次ジョーカーの乱が発生するらしい。
「今回はボーナス40%キャラがカミラ姉さん(晴れ着)とアクア(晴れ着)がいるし、ポイントも15000だから早めに加入すると思うけどな」
今回、キャラ配布のポイントが下がったのは何故だろうか。
「とにかく早くだ。今回のカムイ様(男・晴れ着)が来れば、カムイ様(男)・カムイ様(女)・カムイ様(男・晴れ着)の三人が揃うんだぞ? 召喚士がカムイ様(女・水着)を召喚していればカムイ様パーティが組めたと言うのに……!」
「それに関してはカムイ(女)を星5にすることで決着しただろう」
というかカムイの名前が出て来すぎてカムイがゲシュタルト崩壊しそう。
「カムイ様(男・晴れ着)は破魔矢の効果と守備魔防の応援と紋章でバフをかけることができるんだぞ? これは入っていただくしかないだろう?」
「むしろ破魔矢を含めたそれらのスキルを他の奴に継承させ落ち着け、冗談だ。だからその銀の暗器は仕舞え」
ガチで殺す目つきになっているジョーカーを落ち着かせてから、とりあえずお茶を飲む。
「まぁ、おまえに言われなくても戦禍は走るさ。羽もオーブも欲しいしな」
何よりカムイLOVE勢からのプレッシャーが酷い。末妹組とタクミ以外は殺気だってるしな(リョウマはいない)。
「走るだけではダメだ。とにかく早く加入していただけ」
ジョーカーの目つきがヤバイ。
「だけどなぁ……スタミナは最大99で、スタミナを20消費するしなぁ」
昼間は色々あるので、FEHは夜しかできないのでそこまで参加できないのだ。
「安心してください、召喚士さん!!」
「フォ!?」
突然俺の部屋に現れたフェリシア。あまりにも驚いて奇声を挙げてしまった。だが、ジョーカーは驚くことなく、殺す目つきでフェリシアを睨みつけている。しかし、フェリシアはそんなジョーカーを無視しながら楽しそうに言葉を続ける。
「倉庫からスタミナ回復薬を298個持ってきました!! ソシャゲのイベントはスタミナ回復アイテムをぶん回しながら走るのが基本です!! さぁ、走りましょう!!」
「ちょっと待て。298個って俺が保管していたスタミナ回復薬全部じゃねぇか」
「よくやった無能淫乱ピンクメイド。貴様もたまには役に立つな」
「わざマシンとしても中途半端なクソ執事に言われたくないですぅ」
「話を聞け」
俺の部屋なのに俺を無視して中央でメンチを切り合うカムイの忠臣達。
「とりあえずスタミナ回復薬を使う気はないぞ? おそらくポイントは間に合うしな」
「フェリシア。あれを用意しろ」
「は〜い。もう準備していますよぉ」
俺の言葉に阿吽の呼吸でフェリシアが紅茶セットを用意してきた。どこから出した。
ジョーカーはティーポットからティーカップに注ぎ、俺の前に置く。
「召喚士、貴様はフェリシアに美味しい紅茶を入れてもらったと言っていたな。だが、奇跡はなかなか起きないから奇跡なんだ」
ジョーカーはそう言いながらティーポットから紅茶を一滴垂らす。そしてその滴が床につく……
「は?」
意味がわからない。紅茶が地面に付着した瞬間に、その水滴の床の部分が溶けて穴が空いた。
え? 何なの? これ本当に紅茶?
「基本的にこのゴミクズメイドの料理は毒にしかならない。さぁ、貴様の選択肢は二つだ。スタミナ回復薬を飲んで戦禍を走るか、この紅茶を飲んで命を失うか、だ」
なるほど、これは交渉ではなく脅迫のようだ。命を散らすより、スタミナ回復薬をがぶ飲みしながら戦禍を走れと言いたいのだろう。
だが、この執事は甘い。
こちとら心が深淵のように真っ黒な腹黒侯と付き合っているのだ。その程度では脅しにならない。さらに、そっちが脅迫してくるならこちらも外道に走らせてもらう。
「ここにロイに悪いことを教えようとする執事がいるぞ!!」
「き、貴様!? それガ!!!!」
発言の途中でジョーカーは部屋の床に押し付けられる。押し付けているのは我らが暗黒親バカ侯エリウッドである。ちなみに瞳の中にハイライトはない。
「いやぁ、ロイに悪影響を与える人間は処分しなきゃね! 仲間だった気もするけど……うん、ロイの教育に悪いから死刑でいいね!!」
「ふ、ふざけるな!! おい、フェリシア助け……って、いない!? や、やめ……ギャァァァァァァァ!!!!!」
「あれ? カムイ様。どうかしましたかぁ?」
「あ、フェリシアさん。最近、ジョーカーさんを見ないんですけど、どこに行かれたか知りませんか?」
「あ、ジョーカーさんですか。きっと召喚士の好きなキャラが無色ピックアップされたら来る可能性もありますよ」
「きゃら? ぴっくあっぷ?」
「あ、純粋なカムイ様は知らなくていんですよぉ。さ、それより召喚士さん達とお茶会にしましょうかぁ」
ジョーカー
カムイの忠臣、しかし忠誠心は鼻から出る。カムイ以外に対しては対応が雑。しかし、同じ立場のはずのフェリシアと仲は悪い。ちなみに作者はこれを書いた後に唯一いたジョーカー星4を羽にした。すまん、ジョーカー。ネタのために羽になってくれ。
フェリシア
腹黒メイド。でも腹黒具合ではエリウッドに劣る。むしろエリウッドを超えたら人間であることを捨てることになる。立ち回りが上手で、美味しいところを持っていく。星5にしたのはいいけど、攻撃力が低くてレベル上げが大変だった。
ルーデル
ハンス・ウルリッヒ・ルーデル。第二次世界大戦の時のドイツ軍人で爆撃王。アンサイクロペディアを読んで見よう! きっと面白いはずだ!!
第一次ジョーカーの乱
カムイ(女・水着)を召喚しない召喚士に怒りを抱いたジョーカーが召喚室にオーブを持ち込んで立て籠もった事件。一週間立て篭もり続け、最終的にカムイ(女)を星5に覚醒させ、星5カムイ(男)をレベル40にすることを条件に解決された。尚、黒幕はピンク髪のメイドの模様。
第二次ジョーカーの乱
星4カムイを羽にした召喚士に対して怒りが有頂天になったジョーカーが、主力がストーリーや修練の塔に行った隙に仲間を集めて召喚士を襲撃した事件。しかし、召喚士はこの動きを察知しており、ヴァイス・ブレイブ本拠地を焼き払って逃亡し、ゲリラ戦を展開。さらにニフルに遠征していたリンとエリウッド率いる主力軍が『ニフル大返し』を行って帰還、さらに修練の塔に出撃していたヘクトル達も合流し、ジョーカー率いる反乱軍は鎮圧され、ジョーカーはヴァイス・ブレイブの焼け跡で斬首された。尚、密告したのはカムイの家臣の模様。いったいなにシアなんだ……
前回のあとがきで暗黒侯爵爆誕と書きましたが、戦禍の報酬とジョーカーを見て思いついてしまったのでジョーカー編です。書いているうちにジョーカーとフェリシアが烈火面に染まりました。赤と青を回すたびにカムイ'sが出て来るので、よく羽にしてしまうんですが、よく考えたらこいつらが黙ってないよなって感じでジョーカーは二回反乱を起こしています。無色を回してもジョーカーは全く出なくて一人しかいなかったのに、ネタのためだけに羽になりました。そのおかげで羽が20000溜まったので親バカ暗黒卿が覚醒できます。
主にデジモンのせいで買ったのはいいけどやっていなかった『大神(絶景版)』をプレイし始めました。PS2でもやっていましたが、とりあえずアマ公は尊い。