「やあ、召喚士。ちょっといいかい」
「パントか。久しぶりだな」
ヴァイス・ブレイブ内を書類を確認しながら歩いていた俺に声をかけてきたのは近頃姿を見せなかったパントであった。
「君に紹介したい人がいてね」
「お前が俺に紹介だと……?」
「おっと! その不審そうな表情はやめてもらおうじゃないか!! 今まで私が君の不利益になることをしたかい?」
「まずいな、両手両足の指じゃまったく足らんぞ」
「私の指も使えばいけるんじゅないかい?」
「それでも足らんな」
基本的にこいつは自分とルイーズと子供たち以外には不利益こうむってもいいと考えている人種なので信用できん。
「まぁ、今回は本当に人の紹介さ。さ、挨拶をして」
パントの言葉に、パントの背後から一人の少女が出てくる。俺はその少女に見覚えがあった。
「ユリアじゃないか」
というかうちの竜殺し(伝承)と竜共存(闇落ち)を訴えることで有名な英雄少女であった。
「今更、ユリアが俺に挨拶ってどういうことだ。前から言っているがギムレーは殺しても構わないが」
「まぁまぁ、とりあえず彼女の挨拶を聞いてみて欲しい」
100%爽やかな笑顔を浮かべてのパントの発言。何も知らない女性がみたら「素敵な笑顔(ポ)」と惚れても仕方ない笑顔であったが、烈火組にはこの笑顔に警戒心しか生まない。
俺が胡散臭げにパントを見ているとユリアが覚悟を決めたのか口を開いた。
「こ! これからよろしくお願いします!! 父上!!」
空気が死んだ。
とりあえず俺は目頭を揉み、片眼鏡を拭いてから改めて口を開く。
「すまん、ユリア。俺が何だって?」
「はい! よろしくお願いします!! 父上!!」
「ラクチェぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」
「はぁぁぁっはっはっはっはっはっは!!!!」
俺の怒鳴り声に爆発エフェクト付きで即座に現れるラクチェ。
「流石はパパ!! このユリアさんがファイアー・エムブレム・ユニヴァース産だと即座に看破しましたか!! しかし、彼女はファイアー・エムブレム・ユニヴァース四天王の中では一番の小物!! 次なる刺客がパパの精神をクラッシュさせに来ますよ!!!」
「そういうのいいから」
「連れないですねぇ」
そういいながらもこっちに近寄ってくるラクチェ。
「ハロハロユリアちゃん!! 私のことは気軽に『お姉ちゃん』でいいですよ!!」
「お前ユリアより年上なのか?」
「さぁ? でもパパ’s childrenの中で私よりも明確に年下なのはロリルバちゃんだけなので妹が欲しいのです!!」
「心底どうでもいい」
本当にどうでもいい理由であった。
「それで? おかしいだろ。ファイアー・エムブレム・ユニヴァースは明確に親が決まっていない子供がいるべき世界だろ? ユリアの親はディアドラとアルヴィスで決まっているだろ。そこに俺の入る余地はなくないか?」
というかユリアが俺の娘になると聖戦世界が面倒になると言うか、聖戦士の血が云々が始まって聖戦ファンから叩かれてしまう。
「う~ん、まぁ、確かにユリにゃんはパパが親になることなんて本来ありえないんですけど……」
ラクチェはそこまで言うと横眼でチラリとパントを見る。それに気づいて俺もパントに視線を向けるとパントは100%爽やかな笑顔を浮かべた。
「うん!! 簡潔に言うと私がちょっと悪戯した!!」
「やっぱり貴様かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
「ははははは!! 私はちょっと平凡な毎日に刺激という名のスパイスを振りかけただけさ!!」
「そのスパイスで何回ヴァイス・ブレイブが消し飛んだと思っている!?」
俺の言葉にパントは決め顔で口を開く。
「君は食べたパンの枚数を覚えているかい?」
その瞬間に俺は100本の魔法の矢をパントに撃ち込むが、それらはすべてパントの結界によって防がれた。
「まぁ、落ち着きたまえ」
「俺は落ち着いている。落ち着いて俺を地獄に落とそうとしている悪魔を殺そうとしている」
「う~ん!! 神様のくせに地獄を怖がっていちゃいけないなぁ!!」
俺は殺す目つきでパントの胸倉を掴み上げるが、パントは相変わらずへらへらと笑っている。
「さて、それじゃあ説明しよう」
「!? いつのまに!?」
「ふふふ、いつから時を止めれるのが神々だけだと錯覚していた?」
「なん……だと……!?」
とうとう神々の権能レベルのことをし始めたパントに戦慄しかない。
「さて、私達のヴァイス・ブレイブにいるディアドラさんは記憶喪失だ。これは間違いないね」
「シグルドとアルヴィスが発狂したからな」
愛する妻が自分のことを覚えていないとわかった二人の絶望した叫び声は酷かった。まるで神々に見捨てられた狂信者のようであった。
「そして記憶喪失のディアドラさんは君に惹かれていた……それなら子供を作ってあげなきゃ可哀想だろう!?」
「その発想はおかしい」
「ちなみにパパ。パントさんは本来介入できないファイアー・エムブレム・ユニヴァースに介入もしています」
「お前の存在がおかしい」
「失礼な話だね!!」
いや、当然の発想である。
「まぁ! 今回の介入で私に色々弄れることがわかったんでもっといろいろする予定だぞう!!」
「具体的には?」
「父親の決まっている子供英雄の父親を君にする!!」
その瞬間に俺は魔法の矢をパントに1000本撃ち込んだがそれらすべてをパントの結界に阻まれた。
「お前それやったらマジで戦争だからな?」
「お、ついに私も神殺しをする機会を得たのか……」
「お前なら余裕で殺しそうな件について」
「いやいや、流石にイドゥンとかには苦戦すると思うよ?」
あの戦闘脳筋神々相手に負けない宣言する、そしてこいつなら実際にやりそうなあたりにそこはかとなく恐怖を感じる。
「まぁ、それは置いといて召喚士。娘の挨拶はきちんと受け入れなくちゃ」
「マジかぁ……また娘増えたのかぁ……リンとフィオーラになんて説明しよう」
「君なんだかんだ言ってリンとフィオーラのこと大好きだだよね」
否定はしない。
「あ、一応、お前の父親らしい。これからよろしく頼むぞ」
「はい!! 父上!!」
ナーガを大事に……あ、ちげぇ。このユリアが持っているのナーガじゃない。絶無の書だ。
「そ、そこでなんですか父上……」
「なんだ? 母親か? 実母はディアドラだろうが、たぶんリンとフィオーラも母親宣言すると思うぞ?」
「リンお母さんとフィオーラお母さんも逞しいですよねぇ」
ラクチェの言葉に内心で頷く。あの二人は俺の子供が実装されるたびにその子供に母親呼びするように言っている。
そしてユリアは絶無の書をギュっと胸元で握って宣言する。
「いつ人類を滅ぼしますか!!」
「パントぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
「はっはっはっはっはっは!! やっぱり君は人類を救うより滅ぼす側のほうが似合っているよ!!!!」
ユリア(神装)
ファイアー・エムブレム・ユニヴァースからやってきたまさかの召喚士×ディアドラのユリア。将来の夢は父親のように立派に人類を滅ぼすこと
ディアドラ
ヴァイス・ブレイブで記憶喪失状態の人妻。シグルドとアルヴィスがお互いに夫宣言をしていたところにまさかの召喚士登場でさらに混乱する。
シグルド&アルヴィス
召喚士×ディアドラの事実に発狂した
パント
ついにファイアー・エムブレム・ユニヴァースにまで手を出し始めた天才イケメン魔導軍将
それぞれのユリにゃん
ユリにゃん(伝承)→竜を滅ぼそうとする
ユリにゃん(闇落ち)→竜との共存を目指す
ユリにゃん(神装)→人類を滅ぼそうとする。
あなたはどのユリにゃんを選びますか?
そんな感じで神装ユリにゃん編です。
そしてパントの悪戯によってついに固定CPも崩壊をはじめました。なんて余計なことをしやがる。ファンが怒るだろうが。
そして召喚士の子供らしく人類滅亡を目指すユリにゃん。セリスくんには頑張って人類を守っていただきたいところ。