無事に天井行きました(白目
「陛下、報告したい議がありまいりました」
ブルーニャがやってきたのは主君として仕えるゼフィールの部屋。養父という存在が現れ、忠誠の対象の優先順位が変わったとは言え、ブルーニャがゼフィールに忠誠を誓っていたのは事実。
そのためにイドゥンが来たことに絶望して部屋に引きこもっているゼフィールのところにはブルーニャは定期的に訪れていた。
ブルーニャが扉に声をかけてもいつものように反応はない。ブルーニャもその反応には慣れているので言葉を続ける。
「父上がギネヴィア様を召喚されようとしております」
『……なんだと?』
ブルーニャの言葉にゼフィールは初めて反応する。それに驚くこともなくブルーニャは言葉を続ける。
「続いておりましたフレイヤとの決戦。それにおいてフレイヤ側にギネヴィア様が召喚されていたようで、その強さを認めた父上は召喚しようとしております」
ブルーニャが言い切ると同時に扉が開かれる。そこには恐怖に怯える弱者ではなく、一国の王の覇気に満ちたゼフィールがいた。
「ギネヴィアを召喚させるわけにはいかぬ」
「御意」
「ついてこい、ブルーニャ」
「は」
歩き出すブルーニャに一歩下がってついていくブルーニャ。
「へ、へいかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
その姿に涙目で駆け寄ってくるナーシェン。ナーシェンを見てゼフィールは口を開く。
「ナーシェンか。お主も手伝うがよい」
「ははぁ!! このナーシェンに万事お任せを!!」
ゲイル以外の味方や部下からの評価は最低値だが、ナーシェンはゼフィールの忠臣である。誰よりも……下手をすれば養父という忠誠の対象をえてしまったブルーニャ以上の忠誠心をナーシェンは持っている。
そしてマードックが実装されたら一方的にライバル視するのだろう。
ブルーニャとナーシェンを従えてゼフィールは召喚室に入る。
「召喚士!! ギネヴィアの召喚はやめろ!!」
その言葉に振り向く召喚士、ヘクトル、エリウッド。ゼフィールはこの三人が苦手だ。なにせ幼い頃にちょっと世話になったことを今でも全力で煽ってくるのだ。
だが、それでもこの召喚は止めなければならない。
「ギネヴィアの召喚はよせ!! この世界の平和のために!!」
ゼフィールの言葉に顔を見合わせる三人。そして代表して召喚士が口を開いた。
「残念ながら天井で確定召喚だ」
「ならば実力行使に出るまで。ナーシェン!!」
「美しい私にお任せを!!」
槍を構えて石板を破壊しようとするナーシェン。それを止めるのは赤い鎧の女性。その姿を見てナーシェンは忌々しそうな表情を浮かべる。
「貴様はミレディ……!!」
「我が主の召喚の邪魔はさせません」
狭い部屋で戦いを初めてしまうナーシェンとミレディ。それに舌打ちをしつつゼフィールは口を開く。
「ブルーニャ!!」
「申し訳ありません、父上の意に反することはできません」
予想できていたとは言え、予想通りのブルーニャの反応に思わず舌打ちをしてしまう。
(マードックがいれば……!!)
ゼフィールは思わずそう思ってしまうが、残念ながら三竜将筆頭は未実装である。
マードックの実装をはよ!!
そうこうしている間に召喚石板がスパーキング!! そして大爆発!!
「おお!?」
「なんだなんだ!?」
「神様クラスが召喚されたのかい!?」
三馬鹿が何やら騒いでいるがゼフィールは苦々しそうに呟く。
「遅かったか……!!」
煙から歩み出てくる一人の女性。
「我はベルン王女ギネヴィアである!!」
力強い宣言と共にギネヴィアの発する覇気で煙だけでなく召喚部屋も消し飛ぶ。
ギネヴィアが一歩歩むと空気が死ぬ。二歩歩むと心の弱い者は失神する。三歩歩めば敵は発狂する。
「反逆者ギネヴィアの首!! このナーシェンがもらったぁぁぁぁ!!」
ミレディはすでにギネヴィアに向かって頭を下げている。その隙をついてナーシェンはギネヴィアに向かって槍をつける。
普通のギネヴィアであったなら彼女の命はナーシェンによって奪われただろう。
しかし、このギネヴィアは普通ではなかったのだ!!
ナーシェンの槍がすいこまれたのはギネヴィアの持つふくよかな大きな胸!!
「ふん!!」
ギネヴィアがちょっと力をこめれば柔らかそうに見えた大きなおっぱいは鋼鉄の胸へと変貌をとげた!!
そう!! ギネヴィアの胸はおっぱいではなく鍛え抜かれた大胸筋!!
その大胸筋に阻まれてナーシェンの槍は折れてしまう。
しかし、ナーシェンとて無能はわけではない!! そのことは予想していたので隠し持っていた短剣でギネヴィアに斬りかかる!!
「無駄ぁ!!」
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
しかし、哀れナーシェンはギネヴィアの一喝に吹き飛んでいく!! ゴッドスピードナーシェン!!
「久しぶりだな、我が兄よ」
どっちが兄だかわからない言葉遣いだが、これがベルンの兄妹の通常運行である。
「何故、貴様がここに呼ばれてしまったのだ……!!」
「しれたこと。我が宿敵がここにいる。ならば我が召喚されるのは当然のことよ」
ゼフィールはその言葉に歯噛みする。元居た世界ではギネヴィアと、そのギネヴィアの強さを認めたある存在によって世界が危機に陥った。そしてゼフィールは世界を救うためにギネヴィアをベルンから追放したのだ。
「さぁ、我が兄よ。我が宿敵のところに案内するがよい」
「断る」
「ほう?」
ゼフィールの言葉にギネヴィアは片腕でゼフィールの首を絞めて持ち上げる。ゼフィールも必死にもがくがギネヴィアは全くこたえない。
「我が兄よ。もう一度だけ機会をやろう。我を宿敵のところに案内するがよい」
どうみても覇王の表情でゼフィールに告げるギネヴィア。ゼフィールは苦悶の表情を浮かべながらも反発する。
「こ、断る!! この世界を……わ、私達の世界のように……するわけにはいかぬ!!」
「ふん、愚かなことを。だが、まぁいい。その気概に免じて命だけは許してやる」
ギネヴィアはそういうと片腕でゼフィールを放り投げる。
「ミレディ!!」
「は!!」
ギネヴィアの言葉に即座にギネヴィアの御前にくるミレディ。
「奴の居場所は?」
「調べております」
「案内せい」
「はは」
そしてギネヴィアは歩き出す。その歩みはまさしく覇王!!
ギネヴィアに飲み込まれたゼフィールはそれを見送ることしかできない。
しかし!!
「……羽虫の分際で何の真似だ?」
ギネヴィアの歩みを止めるように腰(というには太すぎる)に掴んでいたのは三竜将ナーシェン。
「わ、私は卑怯者だ。他者を陥れ、失敗は部下に押し付けるような最低の存在だ」
ボロボロになりながらもナーシェンは叫ぶ。
「だが、そんな私を認めてくださったのが陛下だ!! 私は陛下のためなら命も捨てる!!」
「ならばその命を置いていくがいい!!」
その言葉と共に振り下ろされるギネヴィアの拳!!
しかし、その空気を切り裂く轟音の拳を止めたのは召喚士の魔術であった。
ギネヴィアは不機嫌そうにジロリと召喚士を睨む。子供が睨まれたら即死する視線を受けても召喚士は飄々としている。
「なんの真似だ?」
「元居た世界同士の軽いいざこざなら見逃すんだけどなぁ」
そして召喚士は真面目な表情を浮かべる。
「世界を滅ぼす規模の喧嘩はご法度だ」
「「ヘルと頻繁に喧嘩して世界を滅ぼそうとしている奴のセリフじゃなくね?」」
「あれはお互いに手加減しているからセーフ」
改めて神々の強さに戦慄している脳筋と腹黒がいたが、召喚士はそれを無視して指をならす。
すると魔術が起動されて召喚士とギネヴィアが別の空間に転移された。
転移先は広大な荒野。そして腕を組みながら立っているのはイドゥン。
「きたようですね、人類の到達点」
「会いたかったぞ、我が宿敵」
荒野で睨みあうイドゥンとギネヴィア。
「この世界は神々専用の戦闘場所だ。どれだけ暴れてももとの世界に影響ないから思いっきりやっていい」
召喚士の言葉にイドゥンはフードを脱ぎ捨て、ギネヴィアも来ていた重さ100kgのドレスを脱ぎ捨てる。
二人を見ながら召喚士は空間にゴングを生み出す。
「それじゃあいってみよう」
『カーン!!』
「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」」
二人の拳がぶつかりあった瞬間、世界が弾け飛んだ。
ギネヴィア様
鍛え抜かれた魔法(物理)のエキスパート。その姿はまさしく覇王。イドゥン曰く『人類の到達点』
ゼフィール
妹を止めるために竜に世界を明け渡そうとしたらもっとやばいことになった一番の加害者。責任を感じているので必死になって妹を止めようとするがまったく相手にされない。
ナーシェン
ゼフィールの忠臣。やっていることは姑息だがゼフィールに対する忠誠心は本物。
イドゥン
一番の宿敵である『人類の到達点』ギネヴィア様召喚でテンション高め
ギネヴィア様VSイドゥン
ヴァイス・ブレイブに中継されて他の世界の英雄はドン引き
封印世界のギネヴィ様VSイドゥン
一騎打ちで世界がやばいと感じ取ったパントがギネヴィア様を呪殺。そしてギネヴィア様も最後の意地でイドゥンに致命傷を与える。そして致命傷を負ったイドゥンは最後に大暴れして勇者ロイくんによって打ち取られて万歳三唱しながら死んでいった
あ、どうも。封印キャラでもトップクラスに好きなギネヴィア様が実装されてテンション高めの作者です。
大好きなキャラなので全力でキャラを壊していく方針。ここの世界のギネヴィア様はきっと世紀末救世主伝説の敵役に出ても違和感がない。そしてナーシェン忠臣説をとなえていくスタイル。でも封印世界がやばくなったのはだいたいゼフィールくんのせい。
勘違いしないでほしいのは作者は本当にギネヴィア様のこと好きなんです。だからキャラを壊すんです。
今後はこんな感じで突発的にアップしていくのでよろしくお願いします。