召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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久しぶりの更新です

死神騎士の致命的なネタバレをかましているのでご注意ください


死神騎士の憂鬱

ヴァイス・ブレイブ食堂。ここでは年末から年明けにかけて英雄達が集まっての大宴会になっていた。

その食堂の隅っこ、目立たないように縮こまって隅っこ暮らしをしているのが死神騎士であった。

元来の性格が明るいほうでなく、むしろ暗い性格だったので元の世界では『悦楽……!』とか言って戦闘狂ぶってみており、それが上手くいったのでここに召喚された時も同じキャラでいこうと思ったら本物の戦闘狂に即座に連行されて地獄をみたのでそのキャラを封印することにした。

するとどうなるか?

見た目が死神の仮面をつけた不審者+会話下手+暗い雰囲気=友達いない

ヴァイス・ブレイブの騒ぎもどこか遠くで見ていて「あ、本当にここの連中と関わらなくてよかった」と思っているが、強制全員参加のこういう催しになると途端にボッチになる。

そこで自分から隅っこのほうに行ってちびちびと食事をとったりお酒を飲むことになる。

 「……友達欲しいなぁ」

ここにいる連中はパリピを通り越したキチガイの集まりだ。だが、中にはまともな英雄もいる。頑張ってそういう英雄と仲良くなろうとしても、たいていそういう英雄にはキチガイがセットでいるから無理なのだ。

 「あらぁ、また一人でこんなところにいたのね、エミール」

 「……む、メルセデスぶっふぅ!!」

声をかけられて普通に返答しようとした死神騎士!! しかし、突然姉から指導(物理)が顔面に叩き込まれる!!

殴られた衝撃で吹っ飛んだ死神の仮面を直しながら死神騎士はメルセデスを睨む。

 「何をする!!」

 「お姉ちゃんでしょ~?」

 「…………」

 「はい、リピートアフターミー、おねえちゃん」

 「………お姉ちゃん」

 「はい、よくできました~」

はたからみたら死神の仮面をつけた変質者がシスターをお姉ちゃん呼びという治安維持部隊案件不可避であるが、そこは普段からメルセデスが「あの子は私の弟なの~、中二病で魔法に弱くてメンタルクソザコナメクジだけど仲良くしてあげてね~」と言っているので周囲から生暖かい視線を向けられるだけだ。

ちなみにメルセデスの発言を死神騎士は知らない。きっと知ったら部屋から出てこなくなるだろう。

 「それで~、こんなところで一人でいるなんて寂しいんじゃないかしら~」

 「あ、楽しみにとっておいたハンバーグ……」

 「弟のものは姉のものよ~」

楽しみにとっておいた食べ物も姉に搾取される。だが死神騎士は反攻できない。反攻したら最後、姉によって地獄の教育的指導が始まるだけだ。

 (おかしい!! メル……げふんげふん。お姉ちゃんも学校に入った時は普通だったはずだ!!)

思考の中でメルセデスのことを呼び捨てにしようとしたところ、姉が握りこぶしを作ったのをみて訂正する死神騎士。そこには完全な上下関係が出来上がっていた。

こんなにも愛する姉が汚れてしまった諸悪の根源が死神騎士にだって理解している。

 (おのれシェイカー・エナヴェール!!)

この世界では召喚士と呼ばれている男であった。厳密に言うと死神騎士たちのいた世界の個体とは別個体という説明を受けたが、人を指すのに個体という言葉が出てくる時点でそれは嘘だと死神騎士は思っていた。

風花雪月のシェイカーとヴァイス・ブレイブの召喚士がまったく同じ行動をするせいもある。

 「それで~、エミールは友達が欲しいのね~」

 「いや、そんなことないがっふ!!」

姉の言葉を速攻で否定した死神騎士であったが容赦のない指導(物理)が叩き込まれる。机に崩れ落ちながらも姉であるメルセデスは言葉を続ける。

 「エミールは友達が欲しいのよね~」

 「いや、そんなことっふ!!」

必死に否定しようとしたが、今度は足が飛んできた。机から蹴り落とされる死神騎士であったが、他の英雄の乱痴気騒ぎのせいで気づいた英雄はいなかった。

 「エミールは、友達が、欲しい。違うかしら~?」

 「ほ、欲しいです」

 「そうよね~」

死神騎士の返答に満足そうに笑顔を浮かべるメルセデス。その笑顔をみて「まぁ、少しくらいなら頑張ってもいいかな」と思ったシスコンエミールくんであった。

 「それじゃあ~、良さそうな人を紹介するわね~」

姉の言葉に逃げようとした死神騎士であったが、即座に腕を極められて逃亡に失敗した。

関節をきめられながら連行される死神騎士。奇妙な光景かもしれないが、頻繁に治安維持部隊に連行される英雄がいるこのヴァイス・ブレイブでは日常的な光景だ。

 「イドゥンさん、ちょっといいかしら~」

 (ふるふる)

 「あら~、ダメよエミール。言いたいことはちゃんと言わないと~」

死神騎士は涙目で拒否しようとしたが、メルセデスに笑顔で黙らされた。

死神騎士だって拒否するだろう。なにせヴァイス・ブレイブの戦闘狂筆頭のイドゥンだ。

 「おや、メルセデスですか。ついに自分の限界を試す気になりましたか?」

 「私はただのシスターよ~」

 「ふふふ、ただのシスターからは決して放たれないであろう闘気……その闘気を持ちながらただのシスターは無理があるでしょう」

 「そうかしら~、先生の教えを受けた人間では普通よ~」

 「ふふ、ふふふ!! ふはははははははははは!!!!!! その死を前にしても動じない胆力!!!!! 実に素晴らしい!!!! あぁ!!! ダメです!!!!!! この昂り……抑えきれない!!!!!!!!」

その瞬間に目の前からイドゥンが消える。ギネヴィアも一緒に消えているので神々の仲介で別世界で限界バトルが始まったのだろう。

そしてメルセデスは死神騎士の状態に気づく。

 「あら~、ダメよエミール。あれくらいで気を失っては~」

メルセデスの気付けに死神騎士は意識が戻る。そしてメルセデスの肩を掴んだ。

 「バカなのか!? 本当にバカなのか!? 初手イドゥンはないだろう!!」

 「あら~、エミールも戦闘狂だからちょうどいいと思ったのだけど~」

メルセデスの言葉に死神騎士は絶句である。メルセデスは死神騎士のファッション戦闘狂をガチ戦闘狂だと思っていたのだ。

 「メーチェ、闇魔法試験パスおじさん、どうかしたんですか?」

 「あらリシテア~」

そこにやってきたのは天才魔法少女リシテアちゃん。リシテアは殺人級の仕事量をなんとか終わらせ、この宴会に参加していた。リシテアが持っている大皿の上には甘いものしかのっていない。

その事実に死神騎士は軽く引いているが姉とリシテアは普段通りだ。

 「対神々決戦結界が発動しましたけど、何かありましたか?」

 「イドゥンさんがちょっと興奮しちゃってね~」

 「ああ、それで何柱か神々もいなくなっているんですね」

世界崩壊の危機もこのヴァイス・ブレイブでは珍しくない。なにせ狂った神様がいっぱいいる。『ノリと勢いで世界崩壊させそうになったけど人類でどうにかしてね!!』を地で行く連中ばっかりだ。

ファッキンゴッド。

死神騎士が神々を呪っていると、メルセデスがリシテアに状況を説明したらしい。リシテアの哀れみの目が死神騎士に刺さっている。

 「ダメですよメーチェ。イエリッツァ先生はファッション戦闘狂なんですから」

 「ファッション戦闘狂とはなんだ」

リシテアの言葉につい反発してしまう。確かに死神騎士の戦闘狂は見せかけだけのファッションだが、それでも頑張って強くなったのだ。

武芸は全て姉に劣っているがそれでも武闘派としてのプライドが死神騎士にもあるのだ。

するとリシテアはイイ笑顔を浮かべた。

 「それじゃあ修羅三人衆から行ってみましょうか」

 

結果的に死神騎士は医療班と仲良くなった。




死神騎士
このヴァイス・ブレイブではガチで珍しい陰キャ系英雄。ファッション戦闘狂。趣味はレース作りや刺繍

メルセデス
友達の弟を心配するお姉ちゃん

リシテア
宴会の余興として死神騎士を修羅三人衆にぶつけた鬼畜。

イドゥンVSギネヴィアVS神々
結果的にいた飛んだ世界は滅びた




お久しぶりに更新です。

勝手な作者のイメージをつけられたエミーげふんげふん、イエリげふげふん、死神騎士さん。でもあの見かけで陰キャで嬉しそうにチクチクレース作りとか刺繍していたらちょっと好きになる。
そして好意で弟を殺そうとしたメルセデス。全ては可愛い弟のためである。

ちなみにリシテアは確信犯


あ、あとファイアーエムブレム風花雪月のオリ主×ベレスの同人誌だします
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