召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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みんなもゴルシちゃんを育成しようぜ!!(なお育成難易度


リンとゴルシ

 「私に見て欲しい馬がいる?」

リンが召喚士に呼ばれ執務室に来ると、頼まれたのは思いもよらないことであった。

リンの言葉に召喚士は頷く。

 「ああ、ちょっとばかり問題があるウマでな。別次元の俺から矯正をお願いされた」

別次元の召喚士とか常人にはちょっと何を言っているかわからないことでも平然と受け入れるリン。

召喚士は普通に別次元にもいる。これが烈火の常識である。

 「私は構わないけど、あなたも馬の調教は得意でしょう?」

遊牧騎馬民族出身のリンは当然として、実は召喚士も動物と会話ができるので動物の調教は得意だ。それを知っているリンだからこその質問である。

それに対して召喚士も苦笑い。

 「俺でも手が余る。それほどの問題児ってことだ」

 「あ、そういうことね」

常人がドン引きするような実験が得意な召喚士でも馬の調教に関しては修羅の民・サカの民出身のリンには構わない。

 「いいわ、受けてあげる。何番厩舎のなんて子?」

 「恩に着る。銀髪が特徴的な綺麗な娘だ。リンがいくまで食堂にいるように言っておいたからたぶんいるはずだ」

 「……うん? 食堂?」

その言葉に質問を続けようとしたリンであったがリシテアが殺人級の資料の山を持って入室してきたので速やかに逃亡した。

そしてそのまま召喚士が言っていた食堂へと向かう。

 「まぁ、馬も含めて歓迎会をすることも少なくないし」

召喚された英雄が馬(頻繁にペガサスやドラゴン)と一緒がいいということもたまにある(特にセルジュ)ので食堂には馬やペガサスたち専用の席も設けられている。

そう納得しながら食堂に入ったリンの思考は停止した。

 「むむむむむ、このあたしすらも唸らせるハイパーニンジン! まさしく有機農業の匠のワザマエ!! 流石はトレーナーだぜ、こんな一品は富士の樹海でもみかけなかった」

何やらニンジンをむさぼり食っている銀長髪の女性。その頭には馬の耳、おしりにはばっさばっさと馬のしっぽが揺れている。

 「だがあたしは負けねぇ! このスーパーキャロットジュースをミックスすることによってコンボが発生! あたしの胃は大満足だぜ!!」

正直なところどう考えても厄介事の気配しかしないが、治安維持部隊の隊長として不審人物を見逃すわけにはいかない。

なので職務質問である。

 「ちょっといいかしら」

 「んあ?」

舌をべロリと出して、決して乙女が出してはいけない表情で振り向く銀髪美人。そしてリンを見て目を輝かせた。

 「お! あんたがトレーナーが言っていた臨時トレーナーだな!!」

その言葉でリンの脳内で何かが繋がる。

食堂で待っている馬→リンが召喚士から矯正をお願いされた馬。

実際にいたウマ→あまり関わりたくない雰囲気を醸し出す長身の女性。

そしてリンは一つの結論を下した。

 「……人よね?」

リンの言葉に驚愕した表情を浮かべる銀髪女性。

 「おいおいおいおいおいおいおい! 確かにこのゴルシ様は絶世の美女かもしれねぇけど人間に間違えられるなんて初めてだぜ!! ちゃんとみろよこの耳としっぽ!! ふっさふっさだぜ!! 毛並みも最高なゴルシちゃんだぜ!!」

 「うん、ちょっと待って」

 「待て!? このゴルシちゃんにステイだって!? そうはいかねぇイカの金隠し!! このあたしをステイできるヤツはこの世に存在しねぇ!!! うをぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 唸れあたしのコスモ!!!!」

 「このニンジン美味しいわよ!!!」

 「ひょえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!! 黄金に輝くニンジンだって!! こいつこそエデンに隠されたお宝に違いねぇ!! 早速写メってマックイーンに自慢してやろ!!」

黄金のニンジンを高速で写メし始めた白髪美人を無視してリンは魔法通信を召喚士に繋ぐ。

 『お、会えたか?』

 「長髪銀髪美人ならいたわ」

 『それだ』

 「……あなたが言っていたのは馬よね?」

 『そうだな。ウマだな』

そして始まる別世界でのウマという存在。なんでも馬が人型に進化した存在。それがウマらしい。

 『で、別次元ではそのウマ達がレースする競技があって、そこにいるゴールド……げふんげふん、権利の問題があるから正式名称は回避してゴルシと呼称するが、そこにいるゴルシは未来を嘱望されているウマ娘だが、性格に難がありすぎてトレーナーがつかず、別次元の俺が担当することになった』

 「で、あなたでもどうしようもなくなったから私に話が回ってきた、と」

 『そういうことだ』

その瞬間にリンは気配を感じてその場から回避!!

その瞬間に空間画面に浮かんでいた召喚士に叩き込まれるゴルシのドロップキック!!

割れる空間画面にドン引きのリン、そしてゴルシは何故か驚愕の表情を浮かべていた。

 「こんな簡単にトレーナーにあたしのドロップキックが叩き込めちまう……これは異世界に来たことによってあたしのオーラ力が高まったのか!!」

 「落ち着きなさい」

 「ダンバイン!!」

とりあえず落ち着かせるためにリンがチョップをするとゴルシは大人しくなった。

 「わかる……あたしには感じるぞ……!! 目の前の女から感じるプレッシャー……!! 少しでも舐めた真似をしたらバ刺しにされる気配だ……!!」

友である馬にそんな酷いことをするわけがないリンだが、訂正するのも面倒なので話と続ける。

 「私の名前はリン。あなたは?」

人間が相手だったら名乗りをあげずに斬り殺すことも頻発するリンだが、馬に対しては丁寧に接する。

だからまずは対話である。人型であれば話が通じるだろうと思ってのことだ。

 「おひけぇなすって!!」

それに対してゴルシは任侠映画で出てくるようなポーズを決める。

 「あっしの名前は金船!! ゴルシって名乗ってるチンケなウマ娘です!! 趣味はマグロの解体!! 将来の夢は三ツ星輝くペガサス流星拳です!!」

突っ込みどころしかなかった。このヴァイス・ブレイブにも酷い存在はいっぱいいるが、ここまで酷いのはいない。何せ会話が成立しているようで成立していない。

 「ウマ娘ってみんなあなたみたいなの?」

 「おいおい!! バカにするなよ臨時トレーナー!! このゴルシちゃんを先行量産型みたいなウマ娘と一緒にしないでくれ!! いわばゴルシちゃんはイデオンよ!!」

意味は理解できないが最終目標は宇宙の消滅なのだとリンは理解しておく。

 「とりあえずあなたはレースに出るんでしょ? それだったら走りを見るのが一番ね。馬場まで来なさい」

 「お!? レースか!! いいぜ……!! ちょうどフラストレーションがたまっているところだったんだ……!!」

フラストレーションがたまっているのは意味不明な存在を押し付けられたリンのほうであったが、それをリンは言うのを辞めた。

言っても無駄だと短い付き合いで悟ったからだ。

 

 

 

そしてリンとゴルシはヴァイス・ブレイブ内にある馬場へとやってきた。ここはヴァイス・ブレイブが主催して騎乗英雄達がレースする賭場でもあるので立派なコースが作られている。芝も天然芝でモウディが動物達と毎日手入れをかかさないのでとてもきれいである。

 「で、ここで実際に走るわけだけど」

リンも愛馬(総選挙の馬)を連れてきたのだが、呆れた眼でゴルシを見る。

 「あなたは何をしているの?」

 「わからねぇのかよ臨時トレーナー!! これこそゴルシちゃんが考えた肩ぁぁ!! 肘ぃぃぃ!! 膝ぁぁぁぁ!! のポーズだぜ!!!!」

 「そう、じゃあレースするから準備して」

会話のキャッチボールを早々に諦めて出走の準備をするリン。ゴルシもポーズを解いて腕をぐるんぐるん回しながらゲートへと入る。

そしてリンは横目でゴルシを確認する。

真剣な表情を浮かべたゴルシがいた。

その表情にリンは内心で口笛を吹く。

 (ただのキチガイかと思ったらレースにはマジなのね)

そしてゲートが開く!!

サカの民として競馬で負けるわけにはいかないのでリンはスタートをうまくきめる。リンの愛馬は先行逃げ切り型だ。そのまま勢いに任せて突っ走る。

そしてリンは後方に残したゴルシを見る。

呑気な表情を浮かべてちんたら走るゴルシがいた。

 「いや、やる気!!」

スタート前に見せていた真剣な表情などどっかに吹っ飛んでいる。

しかし、勝負は勝負である。リンは愛馬をそのまま駆けさせて最終コーナーに入る。

そこでリンは寒気がした。

思わずリンが振り返るとリンの真後ろにゴルシがいた。

眼が逝っていて舌を出して走るゴルシが。

 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

思わず悲鳴をあげて手綱を少し緩めてしまうリン。それにとこなってリンの愛馬の速度が少し落ち、ゴルシがリンを追い抜いていきそのままゴール!!

 「いえぇい!! 勝利のポーズ!!」

そして両手を猫の手のように掲げて勝利のポーズを決めるゴルシ。リンは愛馬を軽くクールダウンさせながら召喚士に通信。

 『どうした?』

 「ゴルシが意味不明な速度を出したんだけど?」

 『ああ、ゴルシワープか』

 「ゴルシワープ」

 『レース中最後尾にいたはずなのに最終コーナーに入ったら隣にいた。隣を走っていたはずなのにトップになっていたetc……終盤に入った時のその意味不明な速度からつけられた名称だ』

 「……レースに勝つだけなら問題なくない?」

リンの言葉に召喚士は腕を組みながら頷く。

 『確かにレースに勝つだけなら問題ないんだがな。向こうの世界ではウマはいわゆるアイドル活動的なこともしているから意思疎通ができるようになりたいらしい』

召喚士の言葉にリンはゴルシを見る。

一心不乱に木魚と銅鑼を叩き讃美歌を歌うゴルシがいた。

 「……あれと意思疎通?」

 『あ!! 俺仕事が忙しいから頑張ってな!!』

切られる通信に中指を立てつつ、リンは矯正の仕方について悩むのであった。

 

 

 

 「お~い、リン。ゴルシから写メが来たぞ」

 「あら、レースで勝ったの?」

 「いや、アンコウの解体をしたらしい」

 「レースは!?」




ゴルシ
金船。誰が呼んだかウマ娘界のハジケリスト。一人だけボーボボ世界で生きる女

リン
人間は初手惨殺はありだが、馬とは会話しようとする

召喚士
異世界ではゴルシのトレーナー。自分ネットワークを使ってリンがいる自分の世界に話をつけてゴルシを送り込んできた

ギムレー
生ウマ娘がみれて大興奮。サイレンススズカ推し



そんな感じでコラボ回ですよ!! なんとコラボ先はいま大流行のウマ娘世界!!
そしてそんなウマ娘界で話題を独占する女・ゴルシが颯爽登場!!

正直なところ作者の競馬知識はオグリキャップとナリタブライアンとハルウララくらいだったのでやる気なかったんですが、Twitterで流れるゴルシの情報に惚れて始めました。

何が悔しいってアプリ版のゴルシが作者程度の力量では書ききれなかったこと。何をきめたらあんな存在が生み出せるんだ運営。
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