召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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先に言っておきます、サクラファンには申し訳ない。


召喚士とルキナ

さて、基本的に俺の部屋は一部の愛の重い英雄以外は出入り自由である。悪友のヘクトルやエリウッドはしょっちゅう遊びに来るし、重度のシスコンであるエフラムも妹自慢をしにくる。ティアマトさんも「体を鍛えなさい」とか言って修練場に連行されたりする。

そんな中今日来たのはルキナである。父親のクロムに強い憧れを持つ彼女はゲイルスケグルを担いで召喚された。彼女を召喚する過程でヘクトルの奥さんが2人くらい召喚されてヘクトルが血を吐いていたのを爆笑したのは記憶に新しい。そんな彼女は重々しい雰囲気で俺に相談したいことがあると言ったのだ。普段は巫山戯ていても真面目になることもある俺である。

とりあえず部屋のクローゼットにいたカゲロウを同僚のサイゾウに引き渡し、お茶を用意して机に着き、ルキナの言葉を待つ。そしてルキナは口を開く。

 「実はお母様についてなんです」

お、これは想像以上にヘヴィーな問題だ。召喚した英雄が親子関係なんてこともあるので、あまり触れるようにはしていない。ヘクトル? あいつはいいんだよ。

 「お父様は本当にお母様のことを愛していたのかと……」

まぁ、ゲームのシステム的に母親候補がいっぱいいるもんね。

 「なんでそんな風に考えたんだい?」

 「それは……」

俺がそう問いかけるとルキナは少し言い淀むが、やがて決心したのか強い口調で言う。

 「お父様とルフレ様の距離がすごく近い気がするんです!!」

 「……うん?」

おっと、少し話の展開がおかしいぞ

 「お父様とお話をしていても出てくる名前はルフレ様、ルフレ様……ならばと思ってルフレ様にお話をしにいくとお父様の名前ばかり……これはお互いに想いあっているのではないかと思うんです!!」

 「……ちなみにルキナが言っているルフレは男のほう? 女のほう?」

 「? ここには確かに女性のルフレ様がいらっしゃいますが、私の中のルフレ様は男性ですよ?」

クロムのまさかのホモ疑惑……!!いや、確かに俺もあいつらはホモ臭いとは思っていたが。

 「男性同士でなんてことはないと思ったのですが、ゼロ様が『愛に性別は関係ない』とおっしゃっているのを聞いてしまって……」

とりあえずゼロは絶許。とりあえずルキナが泣きそうなので、これをどうにかしないといけない。うなれ灰色の脳細胞……!!

 「確かにあの二人は怪しいというか完全にホモを疑うレベルだけど、それでルキナのお母さんを愛していなかった理由にはならないよ。親愛と友愛は違うしね」

 「そうでしょうか……いえ! でしたらお父様を真っ当な道に戻してあげるのも私の使命なのでしょうか」

 「話は聞かせてもらいました!!!」

そんな叫びと共に俺の部屋の扉を開け放ってきたのは白夜の王女・サクラであった。サクラは俺の部屋に入ってくると、座っていたルキナの手を握る。

 「大丈夫です。男同士が愛し合うなんて普通なんです」

 「おまえは何を言っているんだ」

 「ホモが嫌いな女子はいません!!!」

 「本当におまえは何を言っているんだ」

俺の突っ込みを無視するサクラ。おい、普段の引っ込み思案でオドオド系妹キャラはどうした。

 「男同士で愛し合うなんて普通なんです。現に白夜王国では衆道と言って男性が男性の性欲を満たすことなんて普通だったんです。白夜王国で普通だったということは他の王国でも普通のはず。つまり王族であるクロム様がホモだったとしてもそれは当然なんです!!」

 「おまえは本当に何を言っているんだ」

 「男同士だけど愛さえあれば関係ないよね!!」

 「出てけ」

とりあえずテンションが上がり始めたサクラを廊下に放り出し扉を閉める。しばらく扉が叩かれていたが、魔法の音と共に大人しくなった。おそらくは風紀委員のセシリアさんのグルンレイヴンで黙らされたのだろう。

とりあえず顔を真っ赤にしてプルプルしているルキナをどうしようか。

 「あ〜、ルキナ? 国よって事情が違うだろうから、サクラの言うことは」

 「そうだったんですね!!」

俺の言葉を遮って立ち上がるルキナ。

 「私はお父様に剣を習いました。槍もお父様に習いました。他のことを教えていただく機会はありませんでしたが、イーリス聖王国にはそんな文化があったなんて……!!」

 「いや!! ない!! 絶対にないから!!!」

 「こうしてはいられません!! 早速お父様に他にもどのような文化があるか教えてもらいにいきませんと!!!」

ルキナはそれだけ言うと俺の部屋から飛び出していく。そして開け放たれた扉からエリウッドが不思議そうに覗き込んできた。

 「今、ルキナちゃんが君の部屋から飛び出していったけど、何かあったかい?」

 「なぁ、エリウッド。もしおまえがロイからホモ扱いされたらどうする?」

 「とりあえず君かヘクトルの仕業だから、二人にデュランダルを叩きつけるかな」

 「こやつめ、ははは」

そんな会話をしていると、クロムがファルシオン片手に鬼の形相でやってきた。

 「おい、召喚士よ。ルキナに何か余計なことを吹き込まなかったか?」

 「信じてもらえないだろうけど、俺は言う。俺は関係ない」

 「そうか、俺は友に手をかえるなんて悲しいことはしたくなかったのだがな」

 「殺意満点じゃないですかぁ……ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

 「なぁ、タクミ」

 「なんだよ」

 「白夜王国ってホモが多いの?」

 「は? いや、ちょっと待って。どこからそんな情報が出たのさ」

 「サクラ」

 「……サクラはちょっと趣味に偏りがあるだけだよ」

 「その苦虫を噛み潰した表情はなんだよ」

 「少なくとも僕とリョウマ兄さんにはない」

 「そうか……サクラが腐っていただけか」

 




ルキナ
 これの中では純粋キャラ。ファルシオンのほうはいません。きっと一癖も二癖もある英雄から話された内容を信じてクロムが怒り狂うのだろう。

サクラ
 腐ってやがる、早すぎたんだ……!! ファンの人は正直すまんかった。でもifをやっている時から腐っている気がしたんだ。





覚醒をやっている時から思っていたことを書きました。二人の関係が親友とかのレベルじゃない気がしたんだ。尚、作者はノーマルです。フィオーラの実装はまだですか?

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