召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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ぼけっと英雄一覧をみていたら烈火の魔術師でまだ触れていなかったエルクを発見!


そんなわけでエルクの実力編です


エルクの実力

 「それじゃあ今日はここまで」

エルクの言葉にヴァイス・ブレイブ学園大講堂に集まっていた魔術師志望の学生達はわいわいと騒ぎながら大講堂から退出したり、教官であるエルクに質問をしに教壇に集まっている。

 「う~ん……」

ハピはそれを眺めながら首を捻る。

エルクの授業は上手いしわかりやすい。だが、風花雪月世界で召喚士、ヴァイス・ブレイブに来てからは召喚士に加えてパントとカナスというマッドな魔術師の指導を直接受けているハピにとっては『魔導ゼミでやったところだ!』くらいの授業内容でしかない。しかもこっちは突然何の前触れもなく致死クラスの呪いが飛んでくることもない。

『ビバ、命の安全性』と思いながらハピは腕を組んで考え込む。

 「う~ん……」

 「どうかしたんですか、ハピ」

 「あ、リシテア」

そんなハピに話しかけてきたのは甘いお菓子(通常の味覚の持ち主だと甘味で死ぬ)を食べながらやってきた天才魔法少女リシテアちゃんだった。

 「リシテアってエルク先生の応用魔術講義とってたっけ?」

 「私はとってませんけど、マリアンヌに代返頼まれまして」

 「マリアンヌは?」

 「先生の代理でアスク王国の偉い人と交渉だそうです」

召喚士の代理のマリアンヌの時点でアスク王国に交渉の勝ち目はないのでハピは内心で冥福を女神様に祈るが、その女神様もアスク王国でヒャッハーしているのを思い出してなかったことにする。

 「それで? ハピは何考えてるんですか? また先生から無茶ぶりでもされました?」

 「いや、無茶ぶりはされたけどそれは講義前に終わらせてるから問題ないんだよね。私が気になっているのはあの人」

ハピはそう言ってエルクを指差す。エルクは生徒一人一人の質問に真摯に答えている。

 「リシテアはエルク先生のことどう思う?」

 「先生やパントさん、カナスさんの教えを受けたのに正気を保っていて『それって一周回って狂っているのでは?』って感じですかね」

それについてはハピも同意見だったのでリシテアとガッチリ握手。

 「あと、あれですね。三マッドの教えを受けたのに魔力量少ないですよね。技術や知識がそれを埋めていますけど」

そうなのだ、リシテアの言う通りエルクが放出している魔力量は三マッドに比べたらゴミみたいなものだし、ハピやリシテアと比べてもハピ達のほうが圧倒的に上だ。

だが、エルクにはそれを補うほどの技術と知識があった。

 「セシリア先生もエルク先生の教えを受けたそうですし、教官としては優秀なんでしょう」

 「う~ん、そこが引っかかるんだよねぇ」

 「引っかかる?」

リシテアの問いにハピは眼を瞑って手をふわふわ動かしながら言葉を続ける。

 「なんていうかさ、エルク先生って本当に『優秀な魔術師』なんだよね。『これが魔術師の理想!』って感じが強くてさ」

 「まぁ、わかりますね」

 「それが妙に引っかかってさ。なんかすごい質の悪い詐欺に引っかかってるような……師匠や大師匠の『今日は休み』って言葉を信じたら夢の中で抜き打ち試験が始まったみたいな」

ハピの言葉にリシテアは再びエルクをみる。だが、すぐに首を傾げた。

 「ですが放出されている魔力量をみると、ハピの師匠や先生のようないかれた魔力を持つ魔術師には感じませんが?」

 「そうなだよねぇ」

ちょっと腕利きの魔術師になれば常日頃から放出されている魔力からその魔術師の力量を図ることは簡単にできる。しかもハピはみっちりと、リシテアも政治を学ぶ片手間だが教えられた相手は魔術の腕前で神に成り上がった召喚士の生徒だ。相手の力量を見極めが生死に直結するのでその眼力は確かだ。

そしてリシテアは『魔力はそうでもないが技術と知識が変態』という烙印をエルクに押した。

しかし、ハピは(主に三マッド)によって鍛えられた危機察知能力がエルクを下にみることを警戒していた。

 「ほっほ~、流石はハピさん。いい読みしていますね」

 「「ラクチェ院」」

そして突然床下からこんにちわしてきたラクチェに普通に突っ込むリシテアとハピ。周囲の生徒は突如床から生えてきたラクチェに驚愕しているが、ラクチェの奇行を知っている+ラクチェは召喚士の娘ということを知っているので特に驚かない。

ラクチェは床下から「よっこらセックス」と言いながら這い出てくると、ハピとリシテアの肩に手を回す。

 「ふっふっふ、このヴァイス・ブレイブにおいて知らないことはないラクチェちゃんがエルク先生の秘密を教えてあげてもいいですよ?」

 「条件は?」

ハピの言葉にラクチェは指を三本立てる。

それにハピは即座に財布から金貨三枚をラクチェに渡した。

 「思い切りがいいですねぇ」

 「情報は命に直結するからね」

 「う~ん、パパの生徒の優秀さにラクチェちゃん軽くドン引き!! リシテアさんはどうします?」

ラクチェの言葉にリシテアは金貨五枚をラクチェに渡してくる。つまり必要な情報を全て吐けと言ったようなものだ。

ラクチェはニマニマしながら受け取った金貨八枚をプラチナに錬金しながら説明を始める。

 「結構単純な話ですよ。エルクさんは常に放出している魔力量を制限しているんです」

 「なんでそんな真似を?」

ハピの疑問も当然だ。放出されている魔力はその魔術師の強さの証と言ってもいい。それを制限するというのは周囲に『自分は弱い魔術師です』と言っているようなものだ。

ハピの問いにラクチェはプラチナを屑鉄に錬金しながら言葉を続ける

 「烈火時代にエルクさんはパパと愉快なマッド二人に教えを叩き込まれていました。ですがエルクさんが直面したのはパパ達に比べて圧倒的に非力な自分の魔力量でした」

神になった召喚士と、その召喚士と同等の力量を持ったパントとカナス。普通に考えておかしいのは圧倒的に三マッドのほうであるが、エルクはそう思わなかったらしい。

 「自分の才能に見切りをつけたエルクさんは『圧倒的な魔術で相手を押しつぶす』という三マッドの戦い方ではなく、自分独自の戦い方を編み出します」

錬成した屑鉄を再び金に錬成しながらラクチェは指をピンと立てる。

 「すなわち『相手より常に劣った魔術師だと錯覚させて油断した相手を確殺する』という戦い方です」

 「「いや殺意!!」」

ハピとリシテアの突っ込みも仕方ない。それだけエルクの魔術には殺意しかなかった。

 「ま~、パパ達の世界は割と世紀末な感じで『殺すか殺されるか』みたいな超危険な感じみたいなのでエルクさんもそんな思想になったようですね」

ラクチェの言葉にハピとリシテアの視線がエルクに向かう。

エルクは使用した教科書を纏めると大講堂からでていっている。その後ろ姿は『殺そうと思えば殺せる魔術師』そのものである。

だが、実際に殺そうと思うと返り討ちにあう可能性が高いのだ。

そんなエルクをみて思わずハピは呟く。

 「烈火世界こわぁ……ハピちゃん風花雪月出身で良かったぁ」

 「あ! ちなみにエルクさんの本当の魔力量はハピさんレベルであるんで普通に戦っても超強いですよ!!」

ラクチェの最後の情報に烈火世界の修羅レベルを思って背筋が寒くなるハピとリシテアであった。




ハピちゃん
風花雪月世界において召喚士の教えを一番受けた生徒。そのためにエルクの違和感にも気づいた

リシテア
甘味は最低でも脳に突き抜けるレベルが必要

エルク
殺意高めの面倒見のいい魔術師。比較対象が三マッドなので自己評価は低いが普通に大魔導士である

魔術師が放出している魔力量
大きければ大きいほど魔術師としての実力が高い。自己鍛錬の果てに魔力量は増減するので普通は隠すという発想にはならない。だからエルクの『魔力隠し奇襲確殺』は成功する。



そんな感じでエルク編です。

自己評価低くて殺意高めのエルクですが、教官役は我らが狂った三魔術師なので普通に大魔術師レベル。しかしエルクにとっての大魔術師は三マッドレベルなのであくまで自分は『平凡より上レベル』という判断

平凡とはなんなのか。

そして鍛え抜かれた第六感によりエルクの危険性を見抜いたハピちゃんマジ優秀
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