召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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UA10000突破記念小説です。いつも以上に三馬鹿がフリーダム、キャラ崩壊、そして独自設定の嵐なので覚悟して読んでください。


召喚士と英雄の日常外伝〜炎の王・スルトの華麗なる一日〜

炎の王・スルトの朝は速い。家臣が起こしに来る前に起床し、身嗜みを整える。それは一国の王として当然のことであり、全ての家臣の模範とならなければならないからだ。戦闘でも常に陣頭に立って自らシンモラを振るって敵と戦い、家臣達の士気を挙げる。だからこそ家臣達も厳しい軍規にも耐え、スルトと共に戦うのだ。国の資源が乏しいために、隣国のニフルに侵攻し、これを攻略した。スルトは侵攻軍ということを自覚し、家臣達に対して決して略奪をしてはならないと厳命した。それを破った側近を自らの手で斬ったこともある。内政にも力を入れ、荒廃したニフルの立て直しをおこなっている。

スルトは執務室で疲れた眼を揉む。

スルトはどちらかと言えば武闘派だ。内政は得意ではない。だがやらねばならない。それが王としての務めだからだ。

 「……う〜む、やはり我々に対してのニフルの国民感情がよくならんな」

それがスルトの現在の悩みだ。様々な政策でニフルの国民感情をよくしようとしているが上がらない。慈悲をかけて逃したニフルの第二王女・フィヨルムの下に逃亡している民も多いようだ。

そして何よりも悩ませているのがアスク王国にある特務機関ヴァイス・ブレイブの連中だ。正確に言えばそこの中心人物と他二名なのだが。定期的に攻めてきては砦を攻略し、保管していた物資を奪って地域住民へと施すのだ。そして物資が少なくなった軍のためにそれを徴発することによって反ムスペル感情が高まるのだ。

 「奴らも落とすつもりならば本気で奪えばいいものを……」

あの連中は適度に攻撃すると引き上げて行くのだ。必要最小限な物資だけを奪って。一つ一つが少なくとも、それが積み重なればかなりの数になる。

 「兵糧攻めのつもりか。腹立たしい!!」

スルトは机を強く叩くが、全く気が晴れない。気持ちを落ち着けるために自分で用意していた紅茶を飲む。

 「王様、いらっしゃる?」

 「む、ロキか。入るが良い」

スルトの言葉に入室してきたのはスルトの軍師であるロキだった。しかし、スルトはこのロキという女を信用していなかった。しかし、スルトの家臣は多くが武闘派で、信用できなくても使わなくてはならないという現状があった。

 「何かあったか?」

 「ええ。王様に速やかに報告しなければならないことが」

だがロキはそこまで言って本題を言おうとしない。それにスルトは苛立ちながらも紅茶に再度口をつける。

 「あのキチガイ共がここまで攻めてきてますわ」

 「ブファァ!!」

そして盛大に吹き出した。

 「ちょっと待て!! 奴らはどこまで来ている!?」

 「先刻の報告で王城から5km付近ということでしたわ」

 「えぇい!! ロキ!! 迎撃の準備をせよ!!」

 「あ、私これから髪を切りに行きますので無理ですわ」

 「貴様ぁ!! 三日前も同じことを言って奴らの相手を拒否したではないか!!」

 「嫌ですわ王様。女性にとって髪は命ですのよ。常に手入れをしておかないとダメですわ。それにあのキチガイ三人組を相手にするのなんて死んでも嫌なので」

 「後半が本音だろうがぁぁぁぁ!!!!!」

スルトの叫びと同時に執務室の壁が吹き飛び、巨大な鉄の塊が乗り込んでくる。呆然とするスルト。そしてその巨大な鉄の塊から見たくない三人組が出てきてポーズを決める。

 「「「チャリ(戦車)できた」」」

 「それはチャリオット(戦車)ではなくタンク(戦車)だぁあぁぁぁぁぁ!!!!!」

スルトの渾身の叫びだった。先ほどまでいたはずのロキの姿がない。いち早く逃げ出したのだろう。

それに気づいたのか三人の中心にいたフードを被ったキチガイAが口を開いた。

 「あれ? おっぱいさんいなくね?」

 「……ロキのことか? あやつなら既に逃げたわ」

 「マジかよ。あの人のおっぱいを楽しみに」

発言の途中でキチガイAはタンク(戦車)の中に引きずりこまれた。そして鈍い打撃音が外にまで聞こえてくる。スルトは中で起こっている惨劇を想像して恐怖した。

だが、赤髪のキチガイBと黒髪のキチガイCはのんびりと会話をしていた。

 「愚かだね、召喚士は」

 「一緒にリンが乗り込んでたのを忘れてたみてぇだな」

スルトが戦場で使うシンモラはキチガイ共が乗り付けたタンク(戦車)の下敷きになっている。仕方ないので護身用に持っていた剣を抜こうとするが、喉先にデュランダルとアルマーズを突きつけられる。

 「おっと、おかしな動きをしないでくれるかい? 僕は二人と違って慈悲深いから、敵でもあまり殺したくないんだ」

 「……慈悲深い?」

キチガイCの呟きに、キチガイBは慣れた様子でキチガイCにデュランダルを叩きつける。そして執務室の壁に叩きつけられるキチガイC。スルトはこいつらは本当に味方同士なのかと疑ってしまう光景だ。

そしてズタボロになったキチガイAがタンク(戦車)の中から出てきた。

 「くそ、つい本音が溢れちまった」

 「いい加減にしないと本気でソール・カティ案件になるよ?」

 「だが、性癖ってそう簡単に変えられないだろ? なぁ、おっさん」

 「……なぜ、私に同意を求める?」

 「いや、おっさんからは俺と同じ変態の匂いがしてな」

 「一国の王に対しての発言じゃないよね」

 「ははは、今更だろ」

和やかに会話するキチガイAとB。この隙に脱出しようとしたが、それを見越しているかのようにキチガイAがスルトを見た。

 「あ、レーヴァテインの救援に期待しないように」

 「貴様ぁ!! 娘に何をした!?」

レーヴァテインはムスペル王国の第二王女。つまりスルトの娘だ。パパ的には戦場なんて危ないところに出て欲しくないが、本人が強く希望してしまって押し負けたのだ。

「詳しくは言えないが、黒髪オールバックの青魔騎馬が『突然のダイムサンダをお許しください』をしたってくらいかな!!」

 「おのれ現況でトップクラス性能のヤクザめぇぇぇ!!!!」

スルトは激怒した。スルトに性能はわからない。しかし、強すぎる相手には敏感だった。

 「えぇい!! 話が進まん!! 今回は何の用だ!! もう出すオーブもないし、経験値も少ないからストーリーをやる意味などなかろう!! 大人しく修練の塔を周回していろ!!」

 「おいおい、このおっさん。とうとうメタってきたぞ」

いつのまにか復活していたキチガイCが何か言ってきたが無視する。

するとキチガイAはイイ笑顔を浮かべてスルトに手を差し出してきた

 「僕に協力して実験台になってよ!!」

拒否する前にスルトの意識は飛ばされた。

 

 

 

 

スルトが意識を回復すると、そこはだだっ広い平原だった。そこはムスペル軍が間違って焼いてしまい、スルトの指示で復興をさせようとしている平原であった。そこでスルトは鎖で柱に縛り付けられている。鎖を引きちぎろうとしたが、引き千切れない。そこにキチガイCがやってきた。

 「お、目覚めたみたいだな。お〜い、召喚士!! おっさんが目を覚ましたぞ!!」

キチガイCの言葉にキチガイAが近寄ってくる。スルトはキチガイAを強く睨みつける。

 「貴様ら……何故、私に対してこのような扱いをする。敵対しているとは言え、私は王ぞ。エンブラ帝国との戦いでは幼女皇女に対しては寛容だったと聞くぞ」

スルトはそこが一番不思議だった。最初に敵対していたヴェロニカに対しては寛容だったと本人から聞いている。ニフルの第一王女と第二王女を旗下に置き、領地奪還を大義名分にしているとは言え、何度も拷問紛いのことをされていては腹が立つ。仇敵であるはずのニフルの第二王女に心配された時など、思わずニフルを返そうかと思ってしまったほどだ。

 「いやな。俺とエリウッドとヘクトルは敵に対して容赦しない主義だから、ヴェロニカもえげつないことをしようと思ったんだけど……はい、タクミ。発言をどうぞ」

 「まったく、幼女は最高だぜ!!」

 「とまぁ、ロリコンの強い反対にあってな」

スルトは強い頭痛に襲われた。長いあいだ不思議に思っていたことが、変態の登場によって解決させられた。そしてこんな連中に自国の未来を託しているアスク王国がちょっと心配になった。

 「さ〜て!! おっさんが目覚めたことだし『第142回 ドキドキ!! ムスペルの炎耐久実験大会!!』は〜じめ〜るよ〜!!!」

キチガイAがマイク片手に叫び、ノリノリで叫び返すキチガイ集団。スルトは内心で「あぁ、またか」と思った。

最初に戦ってから、何度も拷問まがいの実験をされてきた。確かにムスベルの炎でダメージは0だが痛みや苦しみはあるのだ。だが、王としてそんな弱い部分を家臣達に見せてはならないとやせ我慢した結果、このキチガイ共は痛みなどもないと勘違いしてしまったのだ。

今回はいつ解放されるかと青い空を眺める。眼からは心の汗が流れ落ちる。

 (レーヴァテイン……パパ頑張るよ……)

ちなみに娘のレーヴァテインはニニアンを筆頭にしたヴァイス・ブレイブの面倒見のいいお姉さん達によって遠くでお菓子をもらって嬉しそうに頬張っている。ちなみにパパは娘の笑顔を見たことがない。

 「さぁ、まずはミカヤから行ってみよう!!」

 「ちょっと待て」

最初に出てきたのは銀髪の少女だった。スルトの記憶ではあの少女の武器には重装特攻があったはずだ。相性有利とは言え、特攻の痛みは激しい。だが、キチガイAはスルトの言葉を聞かずにイイ笑顔でサムズアップした。

「安心してくれ!! バフもいっぱいつけたから!!!」

安心できる要素が皆無だった。

銀髪の少女は戸惑いながらも魔法を撃ってくる。戸惑っているとこを見ると、キチガイ集団に呼ばれてからまだ日が浅いのだろう。ぜひとも染まらないで欲しいと願いながらスルトは光に包まれた。

 

 

 

 

スルトは再び目を覚ました。夢かと思ったが、キチガイ共を見て自分の瞳が死んでいくのがわかる。

 「あ、おっさん、眼を覚ましたか。それじゃあ二人目な」

そしてキチガイAが容赦なくスルトを地獄に叩き落とした。

そして出てくる紫髪幼女。先ほどのロリコンが騒いでいたが、速やかに緑髪の女性がグルンレイヴンを叩き込んで沈黙させていた。

 「二人目は幼女皇帝・サナキだ。彼女には相性激化がある上に奥義も継承させた。相性有利なんだから、少しはダメージが通るだろう」

 「うむ! 私に任せるが良い!!」

ムッフーと自信満々に胸を張る幼女。その姿にスルトは娘の幼少期を思い出して頬が緩みそうになる。だが、王としての威厳を保つために表情を引き締める。

 「では! 行くのじゃ!!!」

おそらくはキチガイAがしっかりとバフもつけたのだろう。強大な魔力がスルトに直撃した。

 「あ、召喚士。このおっさん、相性相殺持ってるよ」

 「マジか」

スルトは薄れゆく意識の中でキチガイBとキチガイAの会話を聞いていた。

 

 

 

 

目を覚ましたくなかったが、スルトは目を覚ましてしまった。そして愛娘がヴァイス・ブレイブの女性陣にお菓子を貰っている姿を見て少し嬉しくなる。

 「お、目覚めたな」

そしてすぐに絶望した。ヴァイス・ブレイブのキチガイ三人衆が勢揃いしていた。

 「残念なことにここまでおっさんに通ったダメージは0。いやぁ、ムスベルの炎舐めてたわ」

 「ふん。私に敵わないと思ったならば、素直に解放するが良い。そうすれば見逃してやるぞ?」

というかそろそろ帰ってください、マジで。

スルトは本音を隠しながら、不適に言い放つ。するとキチガイAは頷いた。

 「うん、今回は次で最後だ。これを耐えられたら大人しく帰るよ。そんなわけで……先生! お願いします!!」

 「うむ、任せておけ」

キチガイAに呼ばれて出てきたのは黒髪長髪の美女。

 「ゲェ!! アイラ!!!」

ムスペル軍において最も恐れられている女傑・アイラだった。スルトも彼女と戦って逃げるので精一杯だった。そのためムスペル軍では『アイラに会ったら来世を祈れ』と言われるくらいに恐れられている。

しかし、アイラが持っているのは普段愛用し、多くのムスペル軍兵士の血を吸った剣ではなかった。

見るからに半端ではない魔力が込められた聖剣。どう考えてもFE世界にあったら世界感を崩壊させるような一品。

 「……おい、キチガイA。その剣はなんだ?」

 「これか? これは俺がちょっと時空間旅行していた時に訪れたブリテンという国によった時にな、なんか胡散臭い笑みを浮かべた魔道士がくれた一品だ。なんでもその魔道士曰く『人々の概念が星の内部で結晶・精製された神造兵装』とか言ってたけど、俺はパントじゃないからよくわからなかったな」

 「約束された勝利の剣(エクスカリバー)ではないか!!」

 「お、よく知ってるなおっさん。流石にその名前で使うには問題があるから、ヴァイス・ブレイブでは『エクスカリパー』と呼んでいる。なかなか使える人間がいなかったんだけどさ、アイラは使うことができてな」

 「うむ。たかだか剣風情が使い手を拒否しようとしたのでな、軽く調教したら大人しくなったぞ」

どこか自慢げに言うアイラ。選ばれた人間しか使うことができないのではないかとかツッコミたかったが、スルトは突っ込むことはできなかった。

なにせアイラの手にあるエクスカリパーに金色の奔流が集まっているのだ。

 「いやぁ、なかなかこれの実験ができなくてさ。アイラにこれを装備させたら奥義が宝具に変わったけど……まぁ、誤差だよな!!」

 「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!!!」

 「では行くぞ。『剣姫の流星』」

スルトの叫び虚しく、アイラが繰り出したビームにスルトは飲み込まれていった。

 

 

 

 

スルトが目を覚ましたのは王城の自室だった。いつも通りムスペル軍が決死隊を組んでスルト救出に動いたようだ。ヴァイス・ブレイブの連中はアイラの一撃の後に撤退したらしい。ご丁寧に周囲の砦から物資を強奪して。

 「本当に忌々しい連中だ……」

スルトは家臣から報告を受け、下がらせると自室でワインを飲む。

王としても、武人としてもどこぞのクズ召喚士と違って優秀なスルトだが、家臣達も知らない一面もあった。

 「……だが、やはり女性からの攻撃とはいいものだな」

スルトは超ドMなのであった。

 




スルト
この話の主人公。外道に対して外道で罰を食らわせるなんて普通のことしたら面白くないと考えた作者によって、アルフォンス以上のまともなキャラに。ちなみにニフルの国民感情が悪いのは召喚士の情報操作のせい。

タクミ
最初はストーリーでヴェロニカの仲間のマニキにやらせようと思ったが、どうせだったら声優ネタをやろうと考え、作者が知っているロリコンキャラは阿良々木暦(物語シリーズは終物語までしか読んでない)と長谷川昴(原作、アニメは一切知らない)の二人。アララギくんはFEHにいなかったので、長谷川くん役をやっているタクミがロリコンになりました。



チャリできた
元ネタは知らない。作者がこれを知ったのはコハエースのlineスタンプ。ちなみに三馬鹿達が乗ってきたのはⅧ戦車マウス。もちろん本来は戦車ではなく自転車です。

胡散臭い笑みを浮かべた魔道士
そんな花の魔法使いがFE世界にいるわけないじゃないですか。だから召喚士が時空間旅行してもらいに行ってきたんですよ。



そんなわけでUA10000突破記念小説です。この作品の中でスルトは超マトモな王様です。原作のような扱いは召喚士のせいです。アルフォンスくんは召喚士を殺して和睦交渉すべきだと思う。
記念小説なのでいつも以上に好きにさせてもらいました。スルト視点なので名前は判明していません。アイラ? アイラはムスペルにとって三国志で呉における張遼ポジションです。つまり泣く子も黙る。
本当は前話でちょろっと出たけど、特にツッコミがなかった邪神様に登場してもらうつもりでしたが、それをやると収拾がつかなくなるので却下されました。
ツッコミ所が満載ですが深く気にしてはいけません。書いた作者本人が一番ツッコミたいですから。

追記:感想のご指摘でサナキの髪色を間違えていることに気づき、直しました。ちょっとロリコンに風神弓されてきます
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