今回は超絶お久しぶりの『召喚士のお悩み相談室』である。相談者は最近新しい装備を手に入れたルネス王国の王女エイリークだった。エイリークは最初にリンに相談し、ここにくることを提案したらしい。リンの魂胆がわからないが、一部の烈火メンバー以外には優しいので、エイリークのためを思ってここに来させたのだろう。これは期待を裏切れない……!!
あ、ちなみにいつも通りにバカ二人もいます。
「それで? 何の相談なんだ?」
熾烈なジャンケン争いの敗者であるヘクトルに人数分用意させ、お茶を一口呑んでから、こちらから尋ねる。
俺の質問に非常に言いづらそうに口を開いたエイリーク。
「その……ストーカー被害を受けていまして……」
エイリークの言葉に俺たち三人は換気のために開けていた窓に目をやる。
そこには顔だけ出して部屋の中を覗いているエフラムとリオンの姿が!!
とりあえず三人でアイコンタクトを行って役割分担。
「それは常に誰かの視線を感じているということかい?」
「はい……」
エリウッドはエイリークに確認しながら、エイリークから二人が見えないように移動する。
「かなり悪質なストーカーの可能性があるな」
俺はそう言いながらエイリークの湯呑みにお茶を注ぐ。その行動にエイリークの気が逸らされた瞬間にヘクトルが隠し持っていた小石を指で飛ばして窓に張り付くストーカー二人の額に直撃させた。
カアラで実験した時はカアラはあまりの痛みで悶絶し、叫び声を挙げたのに、ストーカー二人からは呻き声すらあげずに落下していった。それにストーカー魂を感じてしまった俺は間違っているのだろうか。
「あの……? どうかしましたか?」
「ああ、いや。なんでもないよ」
エイリークの問いに俺はなんでもないという風に答える。バカ二人もストーカー二人に呆れる前に感心してしまっていたようだ。反省。
「とりあえず調査するから少し時間をもらっていいか?」
「は、はい!! お願いします!!」
俺の言葉に安心したように返答してくるエイリーク。完全に犯人はわかっているが、どのように対策するかの時間が必要なのだ。
三人でエイリークを見送ると、真剣な表情で会議開始である。
「ヘクトル、お前だったらどうする?」
「埋める」
「エリウッドは?」
「死体を残さないように魚の餌かな」
安定の過激思考である。
「やれやれ、お前らは直情的すぎる」
「召喚士だったらどうすんだ?」
「羽にする」
厄介者(ストーカー)を消しつつ、他の英雄のためになるかと思ったんだが二人によって却下された。
それから色々と意見が出るが、どういう過程を踏んでも最終的に『ストーカー二人を殺す』という結論になってしまう。
三人で首をひねって考えるが、いい答えが出ない。
「おい、こういう時の召喚士の脳みそだろ。烈火時代みたいな悪辣な策を考えだせよ」
「殺していいんだったら幾つでも浮かぶが、生きてストーカーを辞めさせるのはなぁ……」
ヘクトルの言葉に俺は腕を組みながら答える。『殺してはいけない』という縛りが面倒すぎる。
この後も三時間程三人で考え続けたが、答えが出ることはなかった。
三人で相談して答えが出なかったので、この案件を持ってきたリンに相談したところ、ストーカーとエイリークを直接対面させるという超過激案が出たので可決。面白そうだったらセーフ!!
そんなわけでミシェイルのキャラが崩壊した広間にヴァイス・ブレイブの英雄達が全員集合である。中央の机には俺の隣にエイリーク。エイリークの対面にどちらが座るかで冷戦が起こったが、パオラさんの仲裁で戦争に発展することはなかった。さすメガ!!(流石です! 女神様!!)
「さて、二人は何故ここに呼ばれたかわかってるか?」
俺の言葉にエフラムとリオンは同時に頷いて口を開いた。
「「エイリークに付きまとっているゴミクズのことだな」」
一語一句違わずに同じ言葉が出た。リオンに至っては普段の言葉遣いから変わってしまっている。
「まったく……幼馴染という立場を弁えずにエイリークに付きまとう奴がいるとは……困ったものだな」
「双子の兄という立場でありながら妹をストーキングする変態には困ったものだね」
そのまま静かに胸ぐらを掴みあうストーカーコンビ。この時点でエイリークもストーカーの犯人が誰だかわかったのか、すでに涙目だ。
「リオン…! 貴様はただの幼馴染だぞ? エイリークに迷惑がかかっているのだから素直に辞めろ。そして痛みで喜びを感じるんだったら召喚士に頼むがいい。この世に産まれたことを後悔するような苦痛を与えてくれるはずだからな」
「エフラムは失礼すぎない? 俺だってそこまで酷いことしないぞ?」
「召喚士! スルトの扱いを思い出すんだ!!」
俺の都合の良い耳はエリウッドの言葉をシャットアウトする。
エフラムの言葉にリオンは呆れたように首をふった。
「わかっていないね、エフラム。僕はエイリークの一撃だからこそ興奮するんだ。大英雄戦の時のグレイプニルの一撃なんか思い出しただけで……」
「ヒィ!?」
発言の途中で恍惚の表情を浮かべたリオンにエイリークは本気の悲鳴をあげていた。俺も割とドン引きである。
「エフラムこそ双子の妹に付きまとうの辞めなよ。シスコンでストーカーとか嫁がつかなくなるよ?」
「俺はストーカーではない!! 自発的後方警備(エイリーク限定)なだけだ!!」
「エフラム。それをストーキングって言うんだぞ?」
俺の発言を無視して言い争いを始めるストーカー二人。エイリークがマジ泣き寸前である。俺に助けを求めてきているが、俺にはどうしようもない。
お互いに言いたいことを言い終わったのか、二人は同時にエイリークを見て叫ぶ。
「「どっち!?」」
「お? ガンパレードマーチかな?」
「エイリークは密会技能を持ってなかったんだな」
おいやめろバカ二人。突撃行軍歌を歌わせて相性不利の戦場に突っ込むぞ。
そんなバカ二人(烈火メンバーも含む)を除いた英雄達はエイリークの選択を固唾を飲んで見守る。
兄か幼馴染か……! まさに運命の選択……!!
「し、召喚士さんで!!」
「………は?」
おっと、エイリークのまさかの第三の選択に言われた俺から変な声が出てしまった……って!?
「俺か!?」
「助けてください召喚士さん!! シスコンの兄もドMの幼馴染も嫌なんです!!」
「考えなおせ!! 俺は自覚のある外道だぞ!?」
「二人に比べれば召喚士さんの方がいいです!!」
マジ泣きしながら俺のローブにしがみついてくるエイリーク。あ、これあかん奴や。精神的に追い詰められすぎた奴の瞳をしてるもん。俺は追い詰める側の人間だからよく見る。
いや、むしろこれは完全体リン降臨案件なのでは……
それに気づいて俺はリンを恐る恐る見る。
「「「ヒィ!!!!!」」」
同時に見てしまったであろうバカ二人とユニゾンしてしまった。それは仕方ない。
だってリンが聖母のような微笑を浮かべていたのだから。
あれを見たのは烈火時代だった。あの微笑を浮かべたリンは俺とエリウッドとヘクトルの三人に地獄を見せた。つまりあの微笑はマジ切れの証……!!
「……おっと」
リンに気を取られている隙に、俺に対してジークムントが振り下ろされるが俺は回避する。
完全に殺す目つきになっているエフラムとリオン。リオンはまだしもエフラムは育成し終わっているのでちょっとやばい。
仕方ない。奥義を使うか。
「エリウッドはウルスラに秘密でロイと特訓していて、ヘクトルはソニアの胸をガン見してたぞ!!」
「「きさまァァァァァァ!!!!」」
バカ二人の叫び等同時にブラーレイブンとボルガノンの轟音が響き渡る。俺はその隙に死地(広間)から脱出する。
『や、やめろ! フロリーナ、リリーナ! あれは召喚士の巧妙なわギャァァァァァァ!!!!』
重装のヘクトルは脱出に失敗して奥さんと娘から私刑にされているようだ。相変わらず要領の悪いやつだ。ブラーレイブンと母を必死に止めているロイの声が聞こえる限りでは腹黒親バカの方は脱出に成功したようだ。纏めて死んでくれたら良かったんだが。
「「そこを動くな召喚士!!」」
「おっと、鬼が来やがったな」
仕方ない。エリウッドとヘクトルを殺すために用意していた罠を使ってストーカー二人を確殺するか。
「あの……リンさん……?」
「なに? ニニアン?」
「えっと、あまり軍師さん…じゃなかった。召喚士さんを怒らないであげてくださいね?」
「別に怒ってないわよ。私の計画通りだもの」
「え!?」
「エイリークにああ言う状況になったら召喚士に押し付けるように助言していたのよ。そうすれば三馬鹿が勝手に騒ぎを大きくしてストーカー二人が事故死するかもしれないしね。ニニアンだってストーカーは許されないと思うでしょ?」
(えっと…サーリャさんとシャラさんのことはツッコンだらいけないんですよね)「それはそうですけど……」
「……何か問題点があった? ヘクトルが火炙りにされていること?」
「いえ、それは割といつも通りですけど。その言いにくいんですが……」
「何かしら……ヴァイス・ブレイブが壊れるのも今更だし……」
「エイリークさんが本気になったらどうするんですか…? 召喚士さんって不思議と人に慕われるからその危険性があると思うんですけど…?」
「…………あ!?」
「考えてなかったんですね………」
エイリーク
運命の選択でまさかの第三選択肢を選び特殊ルートに突入。召喚士を手に入れるにはキチガイばかりの烈火メンバーをどうにかしないといけないぞ!!
エフラム
シスコン系ストーカー
リオン
幼馴染属ドM系ストーカー
完全体リン
ソール・カティ、キャンドルサービス+、リバースの杖+、ミュルグレ、青のプレゼント+を装備した決戦モード。デジモン的に究極体と超究極体もいるから安心して追加していいぞ運営さん!!
策士リン
烈火で1番最初に軍師を拾うのはリンちゃん。つまり良くも悪くも軍師に影響されているという思考回路に至った作者がストーカー二人を抹殺するのに三馬鹿を利用するという発想に行きついた。でも召喚士と違って謀略のレベルが低いので爪が甘い。ちなみに召喚士のレベルはカンストしている。
対エリウッド・ヘクトル罠
通常の英雄が引っかかったら即死する。バカ二人は軽傷で済む模様。
ガンパレードマーチ
PS時代の名作だと思う。今ならアーカイブもありまっせ!!
おかしい、話の内容は兄か幼馴染のどちらかを選ぶという超シリアス展開のはずなのにいつも通りのノリに。これも全て三馬鹿のせいですね!!
本来なら土・日のどちらかに書く予定だったのですがFGOの空の境界コラボのせいで空の境界のアニメを俯瞰風景から未来福音まで見直してしまっていたので今日にずれ込みました。まさかのふじのん実装でFGOでも課金してしまったので、パントとルイーズとラクチェの実装は来月以降にしてください運営さん。
感想にて『配布される綺麗なエリウッドに違和感』(超意訳)と頂きましたが、違和感なら汚染度が低いので安心してください。作者は配布エリウッドを見て『あ、殺さなきゃ(使命感)』と思ったので星5レベル40初期スキルウルスラさんの武器錬成とスキル継承を始めました。完全に末期症状です。マジで烈火リメイクを早く……!! そうでないと烈火メンバーのキャラ崩壊が止まらない……!!
次回は未定です。予告していたエリウッドVSシグルドによる子供自慢対決ですが、お互いの子供のステータス(公平をきすためにノーマルロイ、スキル継承なし)が作者的にどこを褒めていいかわからないため不明です。剣歩行は人斬りアイラのせいでバランスおかしいんやって……
あ、おかげさまでUAが20000に行きそうです。ご愛読ありがとうございます。UA20000行ったら以前に書こうか悩んでいた『ゔぇろにかちゃんのだいぼうけん!!』を書こうかと思っています。