召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

35 / 219
今回は三馬鹿以上にフリーダムなキャラが出てきます。ご注意ください。


ファイアーエムブレムヒーローズ〜マークの名を継ぐ者達〜

俺はルフレ達の子供であるマークくんとマークちゃんを弟子として戦術を教えていた。俺に弟子入りすることを聞いたアルフォンスが「これ以上胃痛の種を増やさないでくれ!」と叫んでいたが、厳正なる三軍師会議の結果、マークくんとマークちゃんは俺に弟子入りした。そして現在、俺の部屋でマークくんとマークちゃんに戦術を教えていた。

 「以上が基本的に相手を絶望させる初歩的な事だ。理解できたか?」

 「はい!! つまり『闘技場で数時間かけて育てたキャラクターを殺された瞬間のプレイヤーの気分』にさせればいいんですね!!」

 「まったく理解していないね、マークくん。それは戦争の相手じゃなくてプレイヤーに対する絶望だから」

それはガチでプレイを辞めるレベルの絶望だから。

 「そしてマークちゃん。教材で頭をゴンゴン叩くのは辞めよう」

 「ちょっと待ってください師匠。もう少しで何か出てきそうなんです……」

 「うん。叩きすぎて血が出てきてるから落ち着こう」

俺の言葉を無視して教材で頭をゴンゴン叩き続けるマークちゃん。そして何か思いついたかのように嬉しそうに俺を見てきた。

 「わかりましたよ師匠!! 何かストーリーでレーギャルンさんに仲間フラグみたいなのが立っていたんで、ネゴシエーター・シーダさんに頼んで説得してもらいましょう!!」

 「それをやると作者がとても困るからやめて」

この二人は烈火面でないくせに時折メタ電波を受信するようだから困る。

 「俺、召喚士が困ってる姿見ると嬉しくなるな」

 「僕も心が洗われるようだよ」

 「おう、喧嘩売ってるのかバカ2人」

そして当然のようにいるバカ2人。俺が困ってる姿をみて喜ぶとか最低な連中である。これは後で奥さんであるフロリーナとウルスラに適当なデマを流して殺してもらうしかない。

俺たち三人が無言でメンチを切り合い、マークくんちゃんが2人して教材で頭をゴンゴン叩いている混沌とした室内に、扉をノックしてから1人の女性が入ってくる。

 「失礼いたしますね。召喚士さんは……」

 「これは女神・パオラ様。このパオラ様なる忠実な下僕に何の御用でしょうか……おい、バカ2人。きちんと跪け。相手は女神だぞ」

 「俺に相性激化の月虹という天罰は勘弁してください」

 「僕に月虹というすごく使いやすい奥義を授けてください」

 「あの……三人とも……本当に辞めてください……」

あれれぇ? 我らが女神がとても困った表情をしているぞぉ。

俺とエリウッドがとりあえずヘクトルが悪いという判断を下して、マークくんに魔書ギムレーを叩きこませてヘクトルを殺してから女神・パオラ様からの神託を拝聴する。

パオラ様も俺たちの対応を変えさえる事を諦めたのか、疲れたようにため息を吐く。疲れの原因はきっとエリウッドだな。あとでロイにエリウッドの黒歴史を暴露するとしよう。

 「その……ゼルギウスさんが召喚室に立て籠もってしまいまして……」

 「なんで英雄達は自分の意見を通そうとする時は召喚室に立て籠もるんだ?」

 「君に一番効くからじゃないかな」

パオラさんの言葉に俺が思わず呟くと、エリウッドが的確すぎるツッコミを入れてきた。

 「なるほど!! ソシャゲの一番の楽しみはガチャですからね!!」

 「マークくん、少し黙ろうか」

ソシャゲの楽しみ方は人それぞれだから。

 「とりあえず今回も話は聞いてみるか。ゼルギウスだったら誰かを召喚しろっていう要求じゃないだろうしな」

 「対話って大切だもんね」

エリウッドがそれを言うと死ぬほど白々しいな。

 「マークくんとマークちゃんはついて来ちゃダメだからな」

 「でも師匠!! マークちゃんはゼルギウスさんに絶対有利な青魔道ですよ!!」

 「うん、君らを連れて行くと場がさらに混沌とするだろうから絶対に来るな。パオラ様、大変申し訳ないのですがミカヤを呼んできていただいてよろしいでしょうか」

 「そこでリンじゃなくて重装騎馬特攻持ちのミカヤを呼ぶ辺りに召喚士の殺意が垣間見えるよね」

 「うるせぇ、腹黒。お前はヘクトルの死体でも処分しとけ」

俺はそれだけ言い残すと自室から出て召喚室へと向かった。

 

 

 

俺が召喚室の入口に来るとゼルギウスと同じ蒼炎と暁の世界出身者達が集まっていた。

 「悪いな、あんたには迷惑をかける」

 「英雄って生き物は一癖も二癖もあるもんだ、気にするなよアイク」

蒼炎・暁の世界のまとめ役であるアイクの言葉に軽く返す。

 「さて……お〜い、ゼルギウス!! 俺だ!! 今回の騒ぎの要求はなんだ? ヴァイス・ブレイブの良識派なお前さんが騒ぎを起こすんだ。どんな内容だ?」

 『召喚士か……』

俺の言葉に召喚室内から人生に疲れていますといった感じの声が返ってくる。

 「おう、俺だ。それで? 要求はなんだ?」

 『私の要求は些細なものだ。今回の戦禍の連戦から私を外して欲しい』

俺の言葉に蒼炎・暁組みは目を背ける。なるほど、確かに些細な要求だな。これなら答えは決まっている。

 「却下だ。大人しく戦禍の連戦に行ってこい」

 『貴様は鬼か!?』

俺の返答にゼルギウスが叫び声を挙げている。

 『相性不利なボスだろうが容赦なく私を編成に入れているのは何の真似だ!? 相手が魔道士だろうと関係なく、同じ相性や相性有利、さらには弓や暗器の相手を釣り出す役割も私にやらせるな!! 何回死んだと思っている!?』

 「だから回復3のスキルを継承させて、遠距離防御3の聖印をつけてやっているだろう?」

 『そうだな!! 主に回復3のせいで死ねなくなって楽になれなくなったな!! 貴様は私に何の恨みがあるんだ!?』

恨みか。

 「そうだな、簡潔に言うと『しっこくハウス』の恨みってところだな」

 「しっかりしろ!! ティアマト!!」

『しっこくハウス』と言う言葉にトラウマを刺激された副団長がいるようで、団長が必死にフォローしている。俺の言葉に召喚室にいるゼルギウスも無言になる。

 『いや……あれはちょっとしたサプライズのつもりだったんだが……』

 「うん、言い訳は聞きたくないから。戦禍の連戦に行ってくれるよな?」

俺の言葉に召喚室からゼルギウスが出てきた。うん、なんか目が死んでるけど誤差だよな。

 「「話は聞かせてもらいました!!」」

そこにとてつもなく嫌な声が響き渡る。そして天井裏から飛び降りてくるマークくんとマークちゃん。決めポーズまでバッチリである。

 「ついて来るなって言ったよな?」

 「はい!! 師匠は確かに僕らに『来るなよ! 絶対に来るなよ!!』というフリをしてきたので、僕らはしっかりとそれに答えてちゃんとついてきました!!」

やめろ。FEの世界にダチョウさんのネタを放り込むんじゃない。そしてそれをやるべきなのは俺とヘクトルとエリウッドのはずだ。

 「お話はこの天才軍師の子供である私、マークちゃんと」

 「同じく天才軍師の子供である僕、マークくんが聞かせてもらいました!!」

 「話を聞いてくれ」

俺のことをガン無視して話を進めるマークくんとマークちゃん。

 「このホワイト特務機関ヴァイス・ブレイブにおいて過酷な労働環境なんかあってはいけません!!」

 「そうです!! 労働基準監督署の調査が入ったら即指導の状況は改善されなくてはいけません!!」

 「いや、だが今回のボスは緑マムのルフレだからなぁ。遠距離反撃を持ってるゼルギウスを入れるのは当然だろう」

俺の言葉にマークちゃんがやれやれと言った雰囲気で首をふる。

 「わかっていませんね、師匠。いいですか? このマークちゃんのお父さんである神軍師は原作では子供世代も含めて全ての異性を相手に結婚できるんですよ?」

 「……それが?」

とてつもなく嫌な予感がしながら話を続けさせる。そしてマークちゃんはビシっと指を突きつけながら言い放つ。

 「原作においてマークちゃんは母親次第で何のクラスにでもなれるんです!! つまりこの世界においても雷のブレス、ハンマー、蒼海の槍、勇者の槍、リバースの杖、ゲイルスケグルが使えるはずなんです!!」

 「その発想はおかしい」

 「試しにサーリャさんを『ママ』と呼んで借りたラウアブレード+は装備できました!!」

さりげなく父親を人生の墓場に叩き込んでいる。

 「待つんだもうマークちゃん!!」

 「む!! 何か意見があるんですかマークくん!!」

そんなマークちゃんの暴走を止めたのは同一存在であるマークくんだった。そうだ。ゲームシステム的にそれは許されないことを教えてやれ。

 「ボスであるルフレさん(闇落ち)は守備、魔防が共に高くて遠距離反撃も持っています!! ボーナス効果でステータスが上がっていても、HPが低いマークちゃんでは反撃で倒されてしまいます!!」

違う、そうじゃない。

 「ムムム、確かにその通りです。しかし師匠がルキナさん(ノーマル)を召喚していないのでファルシオンはありません……」

 「安心してください!! マークちゃん!! 僕のお母さんは子供世代も含めた全ての異性と結婚することが可能です!! そしてここにはクロムさん(ノーマル)がいます!! 試しにクロムさん(ノーマル)の部屋からファルシオンをパクってきて装備してみたら装備できました!!」

 「おお! それは素晴らしいですよマークくん!! しかし……実の娘が闇落ちした実父を救うというのは王道展開です!! スターなウォーズ的な意味でも!!」

 「もちろんそれは僕も理解しています!! RPGにおいて勇者の剣で魔王を倒すことに意味があることは当然です!! 決してカジノで稼いではぐれメタル装備を整えてラスボスに挑むなんてロマンの欠片がないことをしてはいけません!!」

 「やめろ2人とも!! その発言は色々な方向でアウトだ!!」

昔の作品でははぐメタ装備の方が強かったから仕方ないんだ!! 俺の言葉は当然のように2人はスルーする。

 「この世界においては僕はマークちゃんであり、マークちゃんは僕なんです。つまり、僕が装備できるものはマークちゃんも装備できるはずなんです!!」

 「な、なんだってぇぇぇぇぇ!!!!」

マークくんの言葉に大げさに驚くマークちゃん。そしてマークちゃんはマークくんが(無断で)借りてきたファルシオンを装備する。

装備できてしまった。

声が出ない俺や蒼炎・暁メンバー。しかし、フリーダムチルドレンは止まらない。

 「こ、これは確かにマークちゃんも装備できました!!」

 「そして僕も魔書ギムレーやその他父親候補全員の装備とスキルでフル装備です!!」

 「すごいですよマークくん!! 体が軽い…こんな幸せな気持ちで戦うなんて初めて……もう何も怖くない!!」

 「さぁ、行きましょうマークちゃん!! 僕らの戦いはこれからです!!」

 「わかりました!! 今こそお父さんを止める時です!! 行きますよ、トロンベ!! 今が駆け抜ける時!!」

 「僕はマーク!! 悪を断つ剣なり!!」

黒いペガサスに乗って駆け抜けていくマークちゃんと、何故か斬艦刀を振り回しながら戦いそうな言葉を叫びながら走っていくマークくん。そしてそれを呆然と見送る俺や蒼炎・暁メンバー。

 「いや、マジでなんだこれ」

この直後にやってきた女神・パオラ様のお言葉によって正気を取り戻した俺は、すぐに回収メンバーを伴って行ったところ「う〜ん、お父さんが正気に戻りませんねぇ」「もうちょっと深く刺してみたらいいんじゃないかな」と呑気に会話しながらギムレーを刺しているマークちゃんとマークくんを発見。とりあえずギムレーに止めを刺した後に2人に説教をし、2人だけで出撃してはいけないと厳重注意をするのであった。

 




マークくんとマークちゃん
マークの名前を継ぐ者達。烈火の軍師のデフォネームがマークだったので、マークくんちゃんは三馬鹿以上にフリーダムなキャラになりました。無自覚にメタ電波を受信してしまう感じ。作者はクリアし忘れていた第一部のルナをクリアしてオーブをかき集めた結果、マークちゃんの召喚に成功。そして2人を混ぜた結果、混沌となりました。マークちゃんにスキル継承は済みましたが、マークくんはまだ済んでいません。マークくんのスキルA欄は未だに空欄。そして余っているロイ星4。攻撃力50の相性激化のロマン砲ができる……?
ちなみに呼び方は『マク男』と『マク子』ではなく『マークくん』と『マークちゃん』です。

ゼルギウス
我がヴァイス・ブレイブの過労死枠第二位。英雄値はカンストしてませんが、漆黒の騎士と合計すると余裕でカンスト。他に赤剣遠反がいるにも関わらず彼を使うのは作者の趣味です。

しっこくハウス
貴方は何回リセットしましたか?

ホワイト特務機関ヴァイス・ブレイブ
有用スキル持ち歓迎。遠距離反撃持ち優遇。笑顔の絶えない職場です
急募)星4で鬼神の一撃3を持っている方

マークくんとマークちゃんの超理論
考えるな、感じろ。



前回の投稿直後にマークちゃんが召喚され、Wマークをレベル40にして戦禍の連戦が始まったので思いついてしまったネタです。マークくんとマークちゃんが三馬鹿を超えるフリーダムになりました。2人のファンには申し訳ない。
前回の話を書いた後に『ルフ男とルフ子を星5にするかぁ」と思って2人を探してみたところ、ルフ子の星4が行方不明。大英雄戦はクリアしているのにいるのは星3が2人と星2が1人。スキル継承に使うわけないので完全に行方不明です。マジでどこ行った。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。