召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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その日、強さを求める少女は(出会ってはいけない)運命と出会う


召喚士とフィル

私は気がつくと真っ暗な空間にいました。どこまでも進んでも真っ暗で、どこにも光はありませんでした。

 『力が欲しいですか? 未熟な剣士フィルよ……』

困惑する私をよそに、声は言葉を続けました。

 『偉大な伯父と偉大な母を持ちながら、貴女は未熟すぎます』

絶句する私をよそに謎の声は言葉を続けます。

 『その2人……それのみならず、貴女のいる特務機関ヴァイス・ブレイブにいる修羅と同等……もしくはそれ以上の力が欲しくはありませんか?』

 「……欲しい、です……」

 『声が小さい!!』

 「力が……伯父や母のような力が欲しいです!!」

 『よくぞ言ったぁぁぁぁぁ!!!!』

私の大きな返事と同時に真っ暗な空間に光が包まれ、1人の少女が出現しました。

見たこともない格好に帽子。そして帽子から飛び出る金髪のアホ毛が特徴的で、そのアホ毛がピコピコと動いていました。

え? アホ毛という言葉ですか? ヘクトルさんが教えてくれました!

あ、話を続けますね。正体不明の金髪アホ毛少女は剣を構えながら叫びます。

 「私は三千世界全てのセイバーを殺す者! その名も謎のヒロインエェェェェェッッッックス!!!!! 世界が違くても殺すべきセイバーは抹殺しなければいけません!!!」

なんというか……呆然としました。召喚士さんやエリウッドさん、ヘクトルさん達のやり取りを初めて見た時と同じ印象を受けました。

 「FEの世界では剣士が多いのは当たり前? それでも私には関係ありません!! 何せFEH界で旋風を巻き起こした青魔オールバックヤクザがセイバークラスになったでしょう? 私はそれを許しません!! このままではゲーム界に多すぎるセイバーが増えすぎることになってしまうかもしれません!! それは許せません!! 本来なら私自らが出向いて殺してしまいたいですが、会社が違うので自重します!! 大人の問題もありますからネ!! しかし、私のセイバーを抹殺するという使命を放棄するわけにはいきません。そ・こ・で!! リリィのわた……ゲフンゲフン。セイバー・リリィに似て純粋な魂を持ち、セイバー適正を持つ貴女にその役目を任せます!!」

謎のヒロインXさんの言葉に私は素直に頷くことはできませんでした。しかし、謎のヒロインXさんは私の悩みを見抜くように頷きました。

 「フィルさん。貴女の悩みはわかります。貴女の世界の過労死重騎士ゼルギウスや親バカシアルフィ公国公子シグルド。果てにはクズ夢魔ニートが召喚士に冗談半分で渡したエクスカリバーを使いこなす修羅女王アイラ。特に修羅女王アイラでは半端な武器や鍛錬では追いつけません」

謎のヒロインXさんの言葉に私は俯いてしまいました。だってその言葉は事実でしたから。私にはその3人だけでなく他の剣士の方々にも勝つ予想ができませんでした。

そして謎のヒロインXさんはニヤリと笑って言葉を続けます。

 「ふ、ラッキーソードです」

そう言って謎のヒロインXさんは持っていた1本の剣を差し出してきました。その剣はアイラさんが持っている剣によく似ていました。

 「……いいのですか?」

 「ふ、構いません。私はまた英霊の座にいる私から盗ってくればいいですから」

『えいれいのざ』というのが何かは私にはわかりませんでしたが、私はその剣を受け取りました。

 「よろしい!! ならば行きなさいセイバースレイヤー見習いフィル!! FEH界のセイバーをスレイしなさい!! そして本当に困った時は合言葉で私を呼びなさい。その合言葉は『青こそ至高!! 他のセイバー死ね!!』です!! いいですね? それではまた会いましょう!! セイ、バー!!!!」

 

 

 

 

 「そこで私は目が覚めました。夢だと思ったのですが枕元にこの剣が置いてあって……あ、あれ? 召喚士さん、どうしました?」

 「いや、なんでもない」

あの腹ペコ騎士王アサシン。ついにこっちの世界に出てきやがった。しかもエクスカリバーをフィルに渡すおまけつきかよ。

 「そういえば謎のヒロインXさんは『剣士を殺すのに有効なスキルをつけてあげます』と言っていましたが……」

 「ちょっと待て。スキルもだと?」

 「はい」

フィルの言葉に整理整頓(リンが整理してくれた)していた英雄の資料からフィルの項目を見る。

そこのパッシブB欄には『剣殺し2』の項目が!!

そして手書きで『こいつはプレゼントです。え? 3まで欲しい? それは自力でどうにかしてください』という文字があった。あの女、絶対に許さんぞ。

 「それで召喚士さん。この剣はどうしましょうか? やはり出どころがわからない剣は使わない方がいいでしょうか?」

 「ちなみにフィル。それで宝具は撃てる?」

 「ほうぐ、ですか?」

 「アイラが撃つ光の魔法みたいなやつ」

 「いえ、撃てません。やっぱり私が未熟だからでしょうか……」

悔しそうなフィルを横目に俺は安心する。これ以上バグが増えては困る。

 「とりあえずその剣はカレルと同じ『無銘の一門の剣』ってことにしておく。それの扱いかたは……あ〜、うん。仕方ないよな。アイラに頼んで鍛えてもらうとしよう。あとで俺からアイラに伝えておくから、フィルはとりあえず体に不調がないか医者に診てもらってこい」

 「は、はい!! わかりました!!」

その嬉しそうな表情は尊敬する伯父と同じ名前の剣を持てることだと信じてる。

嬉しそうに剣を抱えて俺の部屋から出て行くフィルを見送り、俺は考える。

 「うん、どう考えてもあの女を野放しにするのはダメだな」

 「召喚士はいる?」

 「あぁ、リン。ちょうどいい」

俺が考えをまとめたところで『ヴァイス・ブレイブ自治領軍総司令官』のリンが部屋にやってきた。

 「うちのヴァイス・ブレイブに所属する星5レベル40に緊急招集をかけてくれ」

俺の言葉に少し驚いた表情をするリン。

 「ムスペルを滅ぼすつもり? それともアスク王国?」

 「その2つはこの世界において必要だから残す」

 「それじゃあどこを攻めるつもり?」

リンの言葉に俺は立ち上がりながら告げる。

 「人理継続保障機関・カルデア。そこにいるはずの『謎のヒロインX』を討伐する」

 




フィル
謎のヒロインXによってセイバースレイヤーに任命される。しかし、せっかくの剣殺しもHPと守備が高い相手には意味がない模様。頑張れフィル!! 明日のセイバースレイヤーは君だ!!

無銘の一門の剣
しかしフィルが使っているのは聖剣。ビームは撃てないので普通の剣である。

謎のヒロインX
いったい何トリア・ペントラゴンなんだ……


フィルの武器スキル『無銘の一門の剣』が追加され、試しに習得させて装備させてみたところ攻撃力が41まで上昇。それでも火力不足に悩んでいた作者に『逆に考えるんだ。ネタに走ればいいやと考えるんだ』という教えをジョースター卿が示してくれた結果、フィルちゃんにはセイバースレイヤーになってもらいました。ちなみに試していませんが相手がゼルギウスとかHP、攻撃力、守備が高い相手だと余裕でぶち殺される可能性があります。パッシブAと Cはまだ空欄。
え? 謎のヒロインXの出てきた意味? 剣士(セイバー)殺しなら彼女だろうと思った結果です。

ストーリーが追加されましたねぇ。トラキア組みが追加されましたが、作者はレーギャルンの戦いで書いた烈火メンバーでクリアしましたが、ウルスラさんは新ヤクザによく刺さってくれました。なんか特攻の威力上がりましたかね。相性不利の新オルエンもウルスラさんがぶっ殺してくれました。そして無料召喚でやってくる新ヤクザ。野郎はいらないから新オルエンが欲しかったんですがねぇ(新ヤクザはレベル40まで育成終了)。
それで? イシュタルはいつ実装されるんですか?

ちなみに『特務機関ヴァイス・ブレイブVS人理継続保障機関・カルデア〜謎のヒロインXを求めて〜』は反響があったら書きます。

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