召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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感想にて『ストーリーでスリーズ死んじゃったけどどうするん?』的なことを言われたのでこうします。


当然のように独自設定です。


ヴァイス・ブレイブにフィヨルム慟哭す

フィヨルムは複雑な気分でヴァイス・ブレイブ本拠地内にある自室へと向かう。複雑な気分というのも姉であるスリーズの死が原因であった。素直にスリーズが死んでしまったことを悲しめれば良かったのだが、スリーズが死んだ原因にあった。

ムスペルの王・スルトによって殺された。

これだけならば素直に母に続いて姉まで殺したスルトを仇敵とすればいいのだが、スルトに捕まった姉の原因が酷い。

 『シャロン王女に聞いた囚われたお姫様を助け出す王子様役を召喚士様にやっていただくためにスルトに捕まってきます。  スリーズ』

この書き置きを見つけてしまった時のフィヨルムの気持ちと、召喚士さんに伝えなきゃいけなかった時のフィヨルムの申し訳なさをあの狂信的な姉には考えていただきたい。

フィヨルムが置き手紙を召喚士に手渡すと、召喚士は酷く面倒そうな表情を浮かべて連れて行く仲間を招集していた。

召喚士が集めた英雄が全て同一世界出身(烈火組)だった。

この時点でフィヨルムの胃が痛み始めた。

そしてスリーズがご丁寧にも用意していた、囚われている場所(予定地)までの地図に従って進んでいくと、最終地点にて姉(無傷)にシンモラを突きつけているスルト(ズタボロ)がいた。2人の背後には重傷者を回復しているムスペル回復軍がいた。多分、言う事を聞かなかったムスペルに対して姉が暴れたのだろう。姉の思いつきに巻き込まれた形となったムスペル軍に対して申し訳ない気持ちと迷惑をかけたアスク王国とヴァイス・ブレイブ自治領の関係者への謝罪行脚を考えてポンポンが痛くなった。

スルト側の要求は『ヴァイス・ブレイブ自治領に繋がっている商人への税金の追加』。そこから召喚士とスルトの交渉が始まった。勝手に1人で盛り上がっている姉は見事に全員スルーである。

そして交渉が上手くいかないことに業を煮やしたスルトが『この条件を呑まなければニフルの第一王女には死んでもらう』と言って姉の首筋にシンモラを突きつける。流石に妹としての責務として(本心は別としても)姉を助けてくれるように召喚士に進言しようとしたら愚姉が発言した。

 『私に構わず撃ってください』

多分シャロン王女から聞いていたストーリーに似ていたのだろう。愚姉はとても嬉しそうだった。

だが、ここにいるのは物語に出てくる主人公体質な王子様ではなく、勝つために割と手段を選ばないクソ外道達である。

愚姉の発言の瞬間に召喚士は同行していたレベッカに合図を出すと、レベッカは見事な早撃ちと的確さで愚姉の眉間に矢を突き立てた。この時のレベッカの表情が普段と違い『剃刀の刃』のような鋭い目つきと、猛禽類のような眉毛が印象的だった。烈火メンバーが『ゴルゴモード』と言っていたのはなんだったのだろうか。

フィヨルムがそんな現実逃避をしている間に召喚士は話を進めていく。

 『ニフルの第一王女・スリーズはムスペル王国によって殺害された! ヴァイス・ブレイブ自治領はスリーズ王女を亡命者として受け入れ、ムスペル王国側に対してニフル王国の返還を求めてきた。しかし、ムスペル王国側はこれに対して交渉するどころか王女を殺害するという暴挙に出た。ヴァイス・ブレイブ自治領はこの行動に対して深い遺憾の異を示すと同時にムスペル王国に対して謝罪と賠償を要求する。これに対してムスペル王国側が適切な対応を取らなかった場合は経済制裁をする準備がある。ムスペル王国の誠実な対応を求めるところが大である』

なんかもう全てが酷かった。確かに愚姉の暴走は酷いがそれを利用してムスペル王国を冤罪で追い詰める召喚士も酷かった。

呆然とするムスペル側を無視して召喚士率いるヴァイス・ブレイブ軍(烈火メンバーのみ)は手慣れた様子で撤退していく。フィヨルムもロイドに担がれて戦場を(強制的に)離脱させられた。

ロイドは『悪』を嫌っていたはずなのにこの行動は『悪』ではないのかという疑問がフィヨルムに浮かんだが、すぐに消した。深く考えたら非常識になる。

そしてフィヨルムはヴァイス・ブレイブ自治領に戻って関係各所に愚姉の行動の謝罪巡りをした。

自治領主・アルフォンスは黙って胃薬を呑み。政治を担当しているルフ男とルフ子は既に報復のために動き出していたのか不在であった。

そしてフィヨルムは自室へと戻ってきた。

フィヨルムの部屋はスリーズと一緒であった。これも暴走する姉を止めるためのストッパーとして働くためだった。

姉の暴走を止めるために色々なところを駆けずり回り、その後は迷惑をかけた関係者に謝罪して回る日々であった。

 「あれ? もしかしてそう考えるとスリーズ姉様が亡くなられると楽になるのでは……?」

最近の戦闘は眼が赤く光っている暗黒皇帝・ハーディンの登場でフィヨルムの出番は少なくなり、仕事の大半は愚姉の尻拭いであった。

その考えに行き着くと、フィヨルムの気持ちは0.5%の複雑な気持ちと99.5%の爽快感に満ち足りた。

 「そうです。これで私の心労の原因がなくなったのですから、喜ばしいことでしょう。いえ、スリーズ姉様が亡くなったことは悲しいですが、ひょっとしたら仮面をつけて名前を変えて登場する可能性もありますし」

そう。あの愚姉だったら召喚士に対する狂信で普通に生き返ってきそうでもある。少なくてもそれまでは胃薬のお世話になる心配もないし、子供達の相手をして心を癒す時間も増えるのだ。いいことずくめではないか。

フィヨルムはそう考えながら自室の扉を開く。すると自室に見覚えのありすぎるピンクのロングヘアーを持った女性が優雅にティータイムを楽しんでいた。

 「あら、フィヨルム。遅かったですね」

 「復活速すぎますよスリーズ姉様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

フィヨルムの慟哭がヴァイス・ブレイブに響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 「どういうことですか召喚士さん!!」

 「やぁ。ようこそ召喚士ハウスへ。このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ちついて欲しい。うん、『また独自設定』なんだ。済まない。仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。でも、ここまでの作品を読んだとき、君はきっと言葉では言い表せない『作者の狂気と暴走』を感じてくれたと思う。この殺伐としたFEHの世界でそういう気持ちを忘れないで欲しい。そう思って今回の『独自設定』を考えたんだ」

俺は部屋に突撃してきたフィヨルムをバーテンの格好をしながら迎える。雰囲気を出すために自室もバー風に作り変え、バカ2人もバーに居そうな客の格好に着替えさせてお洒落なお酒を嗜んでいる。

完全に勢いを殺されたフィヨルムは一瞬だけ呆然としている。だから、最後に俺はこの言葉を続ける。

 「じゃあ、注文を聞こうか」

 「………ッハ!? な、なんで死んだはずのスリーズ姉様が復活しているんですか!?」

 「ダメだぜお嬢ちゃん。姉の復活っていうのは喜ばしい出来事じゃねぇか」

フィヨルムの言葉にカッコつけながら告げるヘクトル。そしてエリウッドもグラスを一度指で弾いて口を開く。

 「そこの男性のいう通りさ。家族が生きてたなら素直に喜ばなくちゃ」

どうやらヘクトルとエリウッドは『行きつけのバーで会う名前も知らない相手』という設定らしい。

 「いやいや! 普通に目の前で額に矢が額を貫通してましたから!! 明らかに即死でしたから!? それが部屋に戻ったら普通にティータイムですよ!? 明らかにおかしいでしょう!?」

どうやら俺たちの小遊びにも付き合えない様子のフィヨルムに対して俺たちもいつもの雰囲気に戻す。

 「そうは言ってもFEHのゲームモードが『カジュアル』だからなぁ」

 「……はい? げーむもーど? かじゅある?」

フィヨルムの言葉に俺は頷き返す。

 「そう、『カジュアル』。このモードだとステージで撃破されると、そのステージでは使用不可能になるけど次のステージでは復活する素晴らしいシステム。このシステムが昔からあったら多くのファイアーエムブレムプレイヤーを泣かせた『闘技場の罠』にかからずに済んだ。具体的な(作者の例)を上げると『リンとオズインとフィオーラの育成が終わり、一応主人公だからエリウッドも上げとくかと考えてエリウッドで闘技場に挑戦したらうっかり勝てない相手に挑戦してエリウッドが戦死して3人の育成時間が無駄になった』ような出来事のことを指す」

 「Hey! それはプレイヤーが長時間プレイによる判断力の低下やながら作業で引き起こされる事故だ!! 僕のせいじゃないぞ!!」

エリウッドの言う通り、闘技場を扱うときは適度な休憩を入れ、ながら作業は辞めよう!! 召喚士との約束だ!!

 「……え? ちょっと待ってください? それのせいで復活できたならお母様も復活できるのでは?」

 「残念ながらこのモードが使えるのは戦闘中だけなんだ。イベント展開でお亡くなりになった場合は復活できない。スリーズの場合は俺とスルトの会話を戦闘中の『議論戦闘』という扱いにすることによって、スリーズの死を『戦闘中』とした。これによって俺たちが戦闘を逃亡したことによって戦闘が終了し、次のステージに移ったという判定によってスリーズが復活したという訳だ」

 「………申し訳ありません。簡潔に言っていただくとどういうことでしょうか?」

フィヨルムの問いに俺たち3人は笑顔で告げる。

 「「「お姉さんのお世話は変わらずよろしく」」」

 「嫌ですぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」

フィヨルム魂の咆哮だった。

 「ようやく姉の暴走から解き放たれて一息つけると安心した瞬間に絶望に落とすんですか!? 1週間……いえ、3日でいいんで休暇を」

 「すいません、失礼します」

フィヨルムの言葉を遮るように入室してきたのは治安維持部隊のカチュア(バニー装備)だった。カチュアはフィヨルムの姿を確認すると安堵のため息を吐く。

 「よかった。総司令の言う通りこちらにいたんですね」

 「……カチュア様。もしかしなくてもスリーズ姉様のことですか」

カチュアの無言の首肯にフィヨルムはお腹を押さえて蹲る。だが、カチュアはフィヨルムに対して絶望を告げる。

 「スリーズさんが召喚士さんを愚弄したと判断した相手に対してガチ殺意を乗せた魔法を放っていましたのでこれを総司令が鎮圧。とりあえず牢獄に放り込みました」

 「……そ、そろそろ500回行ったのでは?」

 「残念ながらまだ100回も行ってません」

牢獄の常連であるスリーズ達が100回も行っていないのに、すでにリーチがかかっているエイリークストーカー2人の恐怖は言葉では言い表せない。

 「も、もうちょっとしたら迎えに行きますので……」

 「いつもなら待てるんですが今回は牢獄にスリーズさん、タクミさん、ギムレーさんが揃ったことでスリーズさんが『召喚士様が如何に素晴らしいか』で議論を吹っかけ、これに対してタクミさんが『幼女の無限の可能性について』で対抗し、ギムレーさんが『熟女や人妻の醸し出されるエロス』発言によって牢獄内でものすごく頭の悪い議論が展開されているので早く回収していただきたいんです」

カチュアの言葉でフィヨルムはとうとう吐血したのだった。

 




フィヨルム
姉に振り回される妹。解放されて喜んだ次の瞬間に絶望に叩き落とされた。

スリーズ
簡単に死なない狂信者。立川在住の聖人のように蘇ってもらおうかと思いましたが、それをやるとスリーズの『ニフル国教会』が強くなりすぎるので却下されました。

レベッカ
『ゴルゴ』の異名をとる凄腕スナイパー。これはレベッカの実装を待ち望んでいた作者の友人がFEHのレベッカを見て『レベッカをゴルゴにしやがった』という怒りの発言から本当にゴルゴになっていただきました。実装当日にうちのヴァイス・ブレイブにやってきたレベッカをスクショしてその友人に送ったところ『これはレベッカじゃなくてゴルゴだから』と返信がありました。現実を見ろ。

FEHのゲームモード
注意・この作品の独自設定です!! これを書いている時にFEHの配信前にリア友との
(作者)「これって死んだらキャラ消滅するかね?」
(リア友)「消滅したら課金製ブチギレだろ」
という会話を思い出しました。配信当日に最初からいた星3ヴィオールを実験的に殺して消滅しないか確認した作者。

闘技場の罠
数多くのFEプレイヤーを絶望に落とす罠。少なくとも作者の友人の全てがこの罠に一度はかかったことがある。まぁ、作者の友人にFEプレイヤーが少ないせいかもしれませんが。ちなみに本文中の出来事の後にプレイを再開するのに2日かかりました。作者的にしっこくハウス以上のトラウマです。


こんな感じでストーリーでお亡くなりになったスリーズさんは当然のように生き返ってもらいました。フィヨルムは絶望していい。
あ、本文中の『召喚士によるムスペル王国に対する難癖』は気にしてはいけません。ぶっちゃけ適当に考えたので穴だらけなので。

星4レベル40で止まっていたロイドに武器錬成が来たので星5に覚醒させてレベル40にしました。攻撃力が48もあって驚きました。そしてスキル継承を考えるついでに他の烈火英雄のスキルを確認していたらニノのスキルを見て驚愕。
パッシブAに魔防3、パッシブBが空欄。パッシブCに攻撃の鼓舞。
ニノのスキル継承が終わってない……!! 大天使ニノエルのスキル継承が終わってないとかパオラ神教信者として考えられない不敬なのでスキル継承のお時間です。クレインくん!! 鬼神の一撃3を大天使に献上するんだ!!

何気なくハーメルンで『ファイアーエムブレム』を検索したら烈火を題材にした軍師とリンカップリングの小説を発見。ちょっとヒマな時間を見つけて読んで見ようと思います。仕事が休みの時はリメイク銀英伝を見た後にBlu-rayの旧銀英伝を見たりスパロボXもクリアしなきゃいけないんですよねぇ(PS4版三国志13withPKをやりながらの発言)

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