「今日も召喚の時間だ」
俺はいつも通りのバカ2人にゲンドウポーズを取りながら告げる。するとバカ2人は呆れた表情で俺を見てきた。
「今回の伝承英雄がリンだって判明した時点で、リンにオーブは全部没収されただろ」
「そうだよ。『今後出てくる強力な英雄のために取っておきなさい』って正座付きの説教を食らっていたじゃないか」
ヘクトルとエリウッドの言葉に俺は頷く。
「その通り。そして抗弁した俺はリンのソール・カティで気絶させられてつきさっき起きたばかりだ」
リンがどんどん容赦がなくなってきている。あ、昔(烈火時代)からか。
「そしてオーブは全部没収された上に、倉庫にはウルスラを筆頭にした烈火メンバーを置くことでオーブの奪取は不可能になった」
「味方のはずなのに殺意高いよな」
ヘクトルの発言も割と今更である。
「だからこうやって僕らは君の部屋で駄弁っているわけだけどね。爆死して吐血する召喚士の姿が見られないのは残念だけど、仕方ないよね。オーブがないんだから」
「ふ、愚か者どもめ」
「「なんだと、人間の屑」」
俺の嘲笑に即返してくるバカ2人。
「お前達の知るアンナとはどんな人間だ?」
「金にガメツイ強欲商人だな」
「FEシリーズにDLCが出てきた時点でキャラは定まったよね」
ヘクトルとエリウッドの言葉に俺は力強く頷く。
「そう。奴は金さえ持っていけばなんでも用意してくれる。まるでエリア88のマッコイ爺さんのような奴だ」
なぜFEHで斧をふるっているのか。お前はショップで課金兵からヘイトを集める役回りだろうに。
「アンナがどうか……って、まさか?」
エリウッドは何かに気づいたかのように俺を驚愕の表情で見てきた。俺はそれに力強く頷く。
「オーブがないなら買えばいいじゃない」
そう言いながらオーブの詰まった箱を取り出した。
「こいつ……やりやがった……!!」
「なんて恐ろしいことを……! それで召喚されるのはリンだよ!? それがどうなるかわかっているのか……!?」
本気で戦慄しているバカ2人に俺は言い放つ。
「課金が怖くてガチャが引けるか!! さぁ、行くぞバカ2人!! 目指すは伝承英雄リンだ!!」
「ヘクトル、何回舞踏祭アズールと仮装ヘンリーがブロックされるか賭けないかい?」
「お、いいぜ」
「おいバカ、やめろ」
俺は召喚室にてエリウッドと一緒に召喚を行う。
「いやぁ、警戒態勢が高まってたね」
「生贄(ヘクトル)がいなかったら即死だった」
召喚室にたどり着くまでに、自ら巡回警備を行っていたリンに捕捉され、追われることになったが尊い犠牲によって無事に辿り着いた。
「とりあえず召喚士、扉の外のリンの怒号がやばいから早く召喚したほうがいいんじゃないかい?」
「そうだな。いくら召喚室の扉が攻撃力70の英雄の一撃でも大丈夫でも、バフ付きのニノ砲、サーリャ砲、ティルテュ砲、雷旋の書の攻撃を同時に食らったら消し飛びそうだ」
「……ねぇ、召喚士。正月のときのニノ砲×2であの威力だったわけだけど、今の状況だとそれが倍になってるけど」
エリウッドの言葉に俺はエリウッドを見る。エリウッドも頷いたので、2人で扉に耳をつける。
『いいから放ちなさい、ニノ!!』
『で、でもリンさん!! 流石にブレード4つはまずいと思うよ?』
『大丈夫よ、ニノ。どうせあのゴミクズ2人は死なないわ!!』
リンとニノの会話の途中で扉から耳を離す。そしてエリウッドと2人で頷いた。
「「早いところ召喚して逃げよう」」
親バカと意見が一致したところで召喚石版を起動である。
「伝承英雄はピックアップ以外の星5が出ないからなぁ。すり抜けで崩れ落ちる召喚士を見れないのは残念だよ」
「ロイ(総選挙)はクリスマスのすり抜けで来たことを忘れるなよ」
「あれはすり抜けじゃないから」
エリウッドの言葉を無視しつつ、とりあえず緑のオーブを叩き込む。
石版から出る煙。浮かび上がるシルエット。踊り子のような服装の英雄。
「僕はアズール。ダンサーは僕の夢だったんだ。この舞台で精一杯踊ってみせるよ」
「「知ってた」」
「あれ? 反応鈍くないかい? これでも貴重なバフ付き再行動要員なんだけど」
伝承英雄召喚において狙っている英雄と同色ピックアップのガードが働くのはFEHプレイヤー全員が通った道。
「とりあえず部屋の隅に行っとけ、アズール。あ、外に出るなよ。下手しなくても死ぬから」
「……待って。ちょっと待って。なんで召喚室の扉から半端じゃない轟音が鳴ってるの」
「ルフ男あたりをダシにしてサーリャを焚きつけたのかな」
「単純なティルテュを騙したのかもしれんな」
「助けてお母さん!!」
軽く混乱を始めたアズールをエリウッドがデュランダルを叩きつけて黙らせる。
「あ、緑がないね」
「仕方ない。無色を一回だけ回して次に行くか」
とりあえず無色のオーブを召喚版に叩き込む。
溢れ出る煙。浮かび上がるシスターの格好をした英雄。
「わたし、ジェニーっていうの。知らない人ばっかりで心細いな……優しくしてね?」
「「もちろんです!!」」
いかん、つい父性ハートが刺激されてしまった。とりあえずこんな少女が召喚室という危険地帯にいるのは不味い。なので
「マシュー」
「はいよ。なんです召喚士殿?」
マシュー専用の召喚室と外を繋ぐ道(他の英雄が通ろうとすると死ぬ)からマシューが出てくる。当然のようにスタンバイしているあたりに烈火組からの俺の信頼の高さが伺える。
「ジェニーちゃんを安全な場所まで連れて行ってあげろ」
「へいへい。報酬はわかってますよね?」
「レイラが実装されたら召喚してやるよ」
「その約束忘れないでくださいよ」
マシューはそれだけ言い残して困惑するジェニーを連れて行った。
「約束を守る気かい?」
「とあるアニメに出てくる文部科学省学園艦教育局長は言いました。『口約束は約束ではないでしょう』と」
「マシューもバッチリパント印の録音魔道具で録音していたようだけどね」
「これだから盗賊ってやつは!!」
FEシリーズで宝箱開けたりするのに1人は育成しとかなきゃいけないからな!! そのくせに戦力になるのは少ないんだ!!
「まぁ、盗賊が最前線で戦うのも問題あるでしょ」
「まぁな。お、次は緑があるな」
エリウッドに返答しながら緑のオーブ召喚石版を叩きつける。
溢れ出る煙。倒れ伏しているシルエット。出て来たのは腹黒親バカによって気絶させられたアズールだった。
「2人目かぁ」
「召喚士のことだから凸らせることはないと思うけど、どうするんだい?」
エリウッドは気絶しているアズールを部屋の隅に投げ捨てながら聞いてくる。俺は再度召喚石版を起動させながら答える。
「そうだなぁ。疾風の舞をニニアンに継承させるか。ニニアンも踊り子だしな」
そう言いながらも緑のオーブを召喚石版に叩き込む作業は止めない。
溢れ出る煙。浮かび上がる棺を担いだシルエット。
「僕はヘンリー! 収穫祭おめでと〜! お菓子も欲しいけど、血も欲しいな〜! 敵にイタズラして奪ってきていい〜?」
「憤死しそう」
「やったね召喚士! リン以外は揃ったよ!!」
残りオーブも少なくなっている。この状況でリンが出なかったら魔法のカードの使用も辞さない。
「それだけは辞めるんだ」
「俺の思考を読むんじゃない、エリウッド」
「とりあえず僕はどうしたらいい〜?」
「部屋の隅に行ってろ」
「アッハイ」
おやおや? 黒い任天堂と言われた『壊れた心の』二つ名らしくなく、恐怖心を持った表情で俺を見て来ているぞ?
「召喚士、ほら次がもう出てるよ」
「うん? あぁ、じゃあ行くか」
エリウッドの言葉で俺は緑のオーブを召喚石版に叩き込む。
溢れ出る煙。浮かび上がるシルエット。シルエットから撃ち出される一矢。その一矢は吸い込まれるようにエリウッドに叩き込まれ、エリウッドは呻き声を挙げることもなく意識を落とした。
「フゥ、なるほど。エリウッドが俺の部屋で言っていた『どうなるかわかっているのか?』とはこういうことか」
まぁ、召喚されるのが新装備のリンなんだから、召喚したら新しい装備に身に纏ったリンが出てくるよな。
その証拠に疾弓ミュルグレを構えて素敵な笑顔を浮かべているリンがいる。部屋の隅でガタガタ震えているヘンリーを無視しながら俺は正座をする。
「それで、召喚士? 言い訳はある?」
「ガチャの課金は必要経費」
「反省が足りないバカにお仕置きの疾弓ミュルグレ!!」
リン
まさかの伝承英雄でリンちゃん登場。烈火で伝承英雄は来る予想はしてましたが『リンはもう4人出てるから来ないだろ』と思っていた矢先の実装。5人揃ったことにより究極体リンちゃんとなった。きっとエクゾード・フレイムを撃てる
懸命な読者さんなら、新伝承英雄の紹介動画が発表された時点で作者が課金することは予想していたと思う。すまない、その通りなんだ。蓄えていたオーブが70個しかなかったから仕事の帰りにGoo○le playカードを買ってきて課金したんだ。残弾が50くらいになって『明日の帰りにも買わなきゃいけないのか……』と財布の心配をしていたら無事に召喚されました。FGOのガチャに慣れているとFEHのガチャが天国な気がして困る。
あ、2人目アズールはニニアンに疾風の舞を献上させました。うちのニニアン地味に3凸してるっていうね。そして伝承英雄リンの初期スキルが完成されてて困る。オーディンから月虹を没収させるだけで済むというね。え? パオラ神? ちょっとうちのパオラ神は下々の英雄に月虹と飛刃の紋章を授けてくださったので、残りが星3で4人しか残っていないんだ。
どうでもいい話ですがリメイク銀英伝を見てます。リメイクを見た後に昔のをBlu-ray BOXで見ていたんですが、つい先日本編全110話を見終わりました。やっぱり銀英伝はいい……学生時代に下校の電車の中で本に集中して乗り過ごしたのは司馬遼太郎の夏草の賦の長宗我部信親が死ぬシーンと、銀英伝のヤンの最期です。銀英に至っては何回読み直したかわからないレベル。