召喚士と英雄の日常   作:(TADA)

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元から好きなキャラだったのとネットでの性能を見て、お財布と相談した結果微小の課金ならできると判断した結果、無事に来てくれたので彼女が登場。


原作からのキャラ乖離は激しいです。
まぁ、でもこの作品に原作通りの性格を求めるのが間違っているよね!(開き直り


召喚士とカレルスレイヤー

 「割とアッサリと許可が出たね」

 「まぁ、今回のピックアップ緑はニノだからな」

エリウッドの言葉に俺は答える。いつものバカ2人と一緒にリンから召喚許可をもらいに行ったところ「え? 召喚? 貴方達ねぇ、毎回毎回バカみたいに……今回のピックアップだって……え? ニノの新装備? なにをやっているの召喚士。さっさと緑を回してきなさい」と言って貯蓄していたオーブを全部渡された。人の事を言えないが、烈火世界出身者のニノに対する可愛がりが半端ない。

 「んで? 今回はなんで剣魔(笑)さんもついてきてんの?」

ヘクトルの言葉に俺たち3人の視線が珍しくついて来ていたカレルに集中する。

 「(笑)をつけるな」

 「「「攻撃力43、速さ35、守備魔防が20前半とか(笑)でしかないだろ」」」

 「貴様らぁ!!!」

我がヴァイス・ブレイブの剣歩行でも屈指の弱小キャラであるカレルを煽りながら召喚室に入室する。

召喚石盤にオーブを叩き込む準備をしながらカレルと会話する。

 「それで? 今回は本当にどうしたんだ?」

 「いいか、召喚士。今回は絶対に赤は引くな」

カレルがマジ表情になりながら俺に告げてくる。俺はそれに首を傾げてしまう。そしてエリウッドが何かを思い出したかのような表情になった。

 「そっか。今回の赤のピックアップはカ」

 「それ以上言うなエリウッド。本当に来たらどうする」

 「フィルは喜ぶと思うぞ?」

ヘクトルの言葉にカレルは物凄く複雑そうな表情になった。

 「……いや、私は姪の喜ぶ顔より身の安全を図るぞ」

 「まぁ、賢い選択だよな」

俺はそう言いながら召喚石版を起動する。そして浮かび上がったオール赤を見てカレルは吐血した。

 「落ち着けカレル!! まだ召喚されると決まったわけじゃない!!」

 「その通りさ!! 何せ召喚士のすり抜け確率は高い!! 君だってすり抜けでこの地獄にやって来た人間じゃないか!!」

 「おい、エリウッド」

ヘクトルのフォローと、エリウッドのフォローのように見せかけた俺に対する口撃に気を持ち直したのか、カレルは口の端から溢れる血を吹きながら俺を見つめてくる。

 「し、召喚士。起動のやり直しはできないか?」

 「残念ながら最低でも1回は召喚しなきゃいけない」

 「任○堂のクソが!!」

 「「「運営をディスるのは辞めろカレル!!」」」

これでサービス終了になったらどうしてくれる。

カレルの呪咀を聞きながら俺は赤のオーブを召喚石盤に叩き込む。

浮かび上がる煙り、出てくる女性のシルエット、そのシルエットは流れるようにカレルへと斬りかかる。カレルも持ち歩いていた無銘一門の剣で必死に防いでいた。

 「兄者か? 兄者だな。よし死ね!!」

 「「「来ちゃったかぁ……」」」

 「呑気に言っている場合か!? おい、このバーサーカーを早く止め……ヌヲ!?」

 「兄者!! あぁ、ついに兄者を斬れるのですね!!」

テンション爆上がりでカレルに斬りかかるのはカレルの妹で剣姫と呼ばれるカアラであった。

カアラはカレルを探しながら旅をしているうちに兄に対する愛情とか憎悪がごっちゃになった結果『カレル絶対殺すウーマン』になってしまった可哀想な女性である。闘技場で戦ったバアトルとの会話の途中で俺たちの中にカレルをいるのを見つけた瞬間に斬りかかり、当時は職業・辻斬りだったカレルも笑いながら応戦という地獄絵図が広がったのが思い出深い。

兄は時代を重ねて普通になったらしいが、妹の方は治らなかったらしい。

 「落ち着け、カアラ!!」

 「これはおかしなことを言いますね兄者!! 私は落ち着いていますとも!! ええ!! ですからそのお命を頂戴します!!」

 「待て!! ここにはお前がずっとお礼を言いたがっていた軍師がいる。そこにいる白フードが軍師だ」

俺たちはカレルを置いて召喚室から逃亡しようとしていたが、カレルの言葉によって逃亡が失敗した。

 (やだなぁ……カアラは普段は天然気味で普通なのに、カレルがいると話が通じないんだよなぁ……)

俺はそう思いながらカアラの方に向き直る。だが、ここは召喚士としてバシっと言ってやらねばなるまい。上下関係はハッキリとさせておいたほうがいいのだ。

 「よ、よう久しぶりだなカ、ア……ラ?」

俺は愕然とした。だってカレルが近くにいるのにカアラの瞳に理性が戻っている。

 「え? なにこれ、怖い。待って。近くにカレルいるよ?」

 「お久しぶりです軍師殿。以前の戦いのように存分に私の力をお使いください」

 「え、あ、うん。ごめん、カアラ、ちょっと待って」

 「軍師殿が言われるならばいくらでも」

あまりに素直に俺のいうことを聞くカアラに恐怖しながら逃げようとしたバカ2人を確保して小声で会話する。

 「おい、誰だよあの美人。絶対にカアラじゃないだろ。カアラは狂戦士系残念美人だったろ」

 「いや、残念ながらあれは正真正銘カアラだよ」

 「嘘だろ!? カレルが近くにいたら俺の指示を無視してカレルに斬りかかるのがカアラだったろ!?」

エリウッドの言葉に俺は愕然とする。当時は言う事を聞いてくれと思っていたが、実際に言う事を聞かれたら恐怖するしかない。

だが今度はヘクトルが口を開く。

 「実はな召喚士。お前さんがいなくなった後にカアラが病にかかった。当時は不治の病といわれていたやつだ」

 「あれが病気になったのか?」

ヘクトルの言葉に俺たち3人の視線がカアラに集中する。カアラは俺の言う事を聞いて大人しく待っているが、鯉口を鳴らしながらカレルを牽制している。

とりあえず見なかったことにしてヘクトルに先を促す。

 「だが、その病気を治す方法があった」

ヘクトルの言葉に俺は嫌な予感が駆け巡る。俺は烈火時代から色々な医術や薬術にも手を出していた。そしてそれを一冊に纏めてとある友人に渡していたのだ。

 「まさかパントか?」

俺の言葉にバカ2人は黙って頷いた。

 「ち、ちょっと待ってくれ。あそこに書いていたのは簡単にできることじゃないぞ? それこそ俺みたいに普段から研究していないとできることじゃない」

 「召喚士、再現したのはあのパントだよ?」

 「説得力が強すぎるぞ、あのクソイケメン!!」

烈火メンバーにとってパント=万能の天才と言うのは通説である。

 「そして病気を治したパントはカアラの尊敬の視線に気づいて瞬間的に面倒になることを見抜いた。そこで奴はこう言い放った。『この医学書は将来カアラが病になる事を見抜いていた軍師が私に託していたものさ。感謝をするんだったら軍師にして欲しい。私は彼の意思を受けついだだけだからね』と」

 「あのイケメン!! 面倒事を押し付けやがったな!!」

遠くから天才魔導軍将の『ハハハ、勝手にいなくなった人間には当然の仕打ちさ』とか聞こえた気がする。おのれ……実装されたら覚えておけよ

 「失礼、軍師殿。もうよろしいか?」

 「あ、ああ。待たせたなカアラ」

 「何の。恩人である軍師殿の命令ならばいくらでもお待ちしましょう」

 「どうしようエリウッド、ヘクトル。すごい怖い」

 「「頑張れ」」

昔を知る俺からすれば素直に言う事を聞いてくれるカアラとかすごく怖い。そしてバカ2人は愉悦な笑顔を浮かべていた。

とりあえずいつの間にか逃亡していたカレルを探すべく、カアラを連れて召喚室から出てヴァイス・ブレイブを歩く。ちなみにバカ2人は即座に逃亡した。

言う事を聞いてくれるカアラに恐怖しながらヴァイス・ブレイブを歩いていると、フィルがこちらを驚きの表情で見ていることに気づく。

 「母上!!」

そして笑顔で駆け寄ってくる。それは尊敬する母親に久しぶりに出会えて心の底から喜んでいる表情であった。

俺が恐る恐るカアラの顔を見ると、優しい母親の表情をしていた。

 (あ、良かった。烈火修羅面のカアラも血縁の情はあったんだな)

俺がそう思いながら親子感動の再会を眺める。なんだったらこのままフィルにカアラを押し付け……もとい、親子水入らずの時間にしてもいい。

俺のそんな気持ちを知らず、フィルがカアラの剣の間合いに入る。するとカアラは母親の表情をしながら刀をフィルに振り下ろした。咄嗟に反応できずに頭を強く叩かれるフィル。幸いにして鞘に収まっていたのでフィルが両断されると言うスプラッター映像を見ずに済んだ。

 「……え?」

俺の心からの呟きを無視するようにカアラが母親の表情から般若の表情になった。

 「フィル!! なんだその様は!? それで軍師殿の役に立てると思っているのか!!」

 「はい!! 申し訳ありません、母上!!」

 「鍛え直しだ!! 剣を持って修練場に行くぞ!!」

 「はい!!」

カアラの直接の指導が嬉しいのか飼い主に褒められた犬のように喜ぶフィル。だが、その先にあるのは地獄だ。

 「ちょっと待てカアラ」

 「ハ、なんでしょうか軍師殿」

俺の言葉にすぐさま従う忠犬を装った狂犬カアラ。俺は内心でビクつきながら言葉を続ける。

 「ここにはバアトルもいる事だし、久しぶりに夫婦」

 「あ!! ダメです召喚士殿!!」

 「……え? なんで……ヒィ!?」

フィルの言葉に俺は思わず問いかけ直そうとするが、カアラの目を見て恐怖した。

その瞳はどこまでも冷たく、その微笑には恐怖しか感じなかった。

そしてゆっくりとカアラは口を開く。

 「私に夫はいません。良いですか、軍師殿」

 「アッハイ」

カアラの言葉を俺は肯定するしかなかった。そしてカアラは満足そうに頷くと震えているフィルを引きずって訓練場へと歩いて行くのだった。

 

 

 

 「……こわ。あの2人何があったんだ」

 「気にしない方がいいぞ、召喚士。深く踏み込むと死ぬ事になる」

 「ロイドか」

 「下手に刺激すると命に関わるわよ」

 「うん? ウルスラも……ハ!? 貴様らは黒い牙!?」

 「その通りだ。お前さんだったら俺たちの要望もわかるよな? その通りだ。うちの可愛い妹のことだ」

 「ペガサスに乗ったニノ…それを見たいと思うのは黒い牙の人間にとっての当然の心理よ」

 「待て、正直に言うともうオーブがもうない」

 「安心しろよ、ストーリーの時にライナス達に話は通してある」

 「連戦トライアルでかき集める時間よ」

 「この『ニノちゃんファンクラブ』どもがぁぁぁぁ!!!!」

 




カアラ
黒髪長髪巨乳という今考えると作者の役満要素を揃えている存在。烈火原作でのカアラとカレルの支援会話がとても良かった……この作品では真逆の存在になっていますが。とりあえず兄者は殺す、絶対に殺すというカレルスレイヤー。そして召喚士のフェリシアとかジョーカーポジション。動画を見たときからこのキャラにしようと思っていました。バアトルとの夫婦仲が悪いのは『仲が良好な夫婦ばっかりじゃ面白くないよね!!』という作者の悪ノリ。だから悪くなった理由は考えていません。

カレル
ちょくちょく名前は出てきて不幸になってたこの作品の被害担当英雄。そして妹がカレルスレイヤーになったことによって安住の地はなくなった。こういう不幸担当になったのもクリスマスガチャの時にすり抜けでやってきたせい。

医学書
召喚士が烈火時代に書いていた医術や薬術が書かれている書物。特に薬は治療薬は当然として各種毒物、さらには拷問時に使う薬品や捕虜の尋問に使う自白剤の作り方まで書かれており、流石にやばいと思ったパントが責任を持って保管していた。

黒い牙
正式名称:ニノちゃんファンクラブ 他称:ニノガチ製
ちなみに隊長はソーニャ。え? 原作で冷たい扱いを受けてた? この世界のソーニャ様は『ニノに冷たい対応をしてしまってガチ凹みをするツンデレポンコツソーニャ様』だから。あ、ちなみに封印時代には故人です。



こんな感じでカアラさんが兄者を殺しに我がヴァイス・ブレイブにログインしました。死線3をつけたとは言え攻撃力56、速さ45はドン引きですわ。守備? 歩行剣士に何を求めてるの?
活動報告でも書きましたが烈火キャラが増えて作者はニッコリ。そして愉快なことになっている黒い牙。いやぁ!! ソーニャ様とか早く書きたいけど未実装だからなぁ!! できれば大英雄戦とか戦禍の連戦ボーナスで確実に手に入ると嬉しいんですけどねぇ!! 頼むよ、運営さん!!
そして未実装なのに存在感溢れるパント。むしろこのまま未実装の方が作者的に助かる気がしてきました。

前話で書いた召喚士の異世界召喚体質を使って他作品に放り込むという考えですが、真っ先に思いついたのはサモンナイト3のアティ先生の護衛獣として召喚されるケースでした。アティ先生の胃はバーストして無色の派閥は死ぬ。

動画の影響で落第騎士の英雄譚を読み始めました。そうか、一刀『修羅』か(うちの修羅筆頭アイラを眺めながら)

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